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2007年3月14日 (水)

天才小説家・横光利一

小林秀雄が天才批評家とするならば、そのほぼ同時代を生きた

天才小説家と言えばやはり横光利一以外にはないであろう。

横光利一は新感覚派の旗手として登場し、その独自の作品世界を

特徴的な文体で表現し続け、まさに天才を冠するにふさわしい存在であった。

しかし、残念なことに今現在の評価はと言うと、

その名前さえ目にすることが少ないというのが現状であろう。

むしろ同じ新感覚派に属していたとされる川端康成のほうが

ノーベル賞作家として、その才能を高く評価されているのであろう。

ここではどちらが優れているのかの結論を出したいわけではないが、

私が考えるに、川端が自分の美に対する資質を最大限引き伸ばして

芸術の領域に達したのに対して、横光は芸術の領域そのものを

最大限に引き伸ばすことに全精力を傾けたという気がする。

横光の「機械」という作品を読むと、そこには現代人が抱える悩みが

そっくりそのまま詰め込まれているという気がするのである。

別な言い方をすれば横光は現代の優れた作家の先駆けたり得るが、

川端は川端の後に続くものを拒み続けているように思える。

天才をどう定義するかにもよるのだが、少なくとも横光利一は

川端康成を読んで楽しめる程度には、こちらを楽しませてくれる

読んで損のない天才小説家であると私は思っている。

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