必読の夏目漱石論
文豪・夏目漱石について書くという行為は、その作品世界が多様で、
それでいてどの作品も水準が高いために、書き手の作家や
評論家の力量を広く世間に知らしめるという意味で、
とても興味深いものと言えるだろう。
なので、ぜひお気に入りの作家や評論家がいる人は、
その人が漱石論を書いていないか探してみていただきたいし、
もし書いていれば必ず読んでみてもらいたい。
私がこれまでに読んだ漱石論の中でも、特に面白かったものを
何点か紹介してみたいと思います。
これは吉本ファン待望の漱石論といったところでしょうか。
読みやすい内容で、それでいて吉本隆明がどのように
漱石を捉えていたのかが、大体は理解できるというものです。
他には対談集を参考にすると、より吉本隆明の漱石理解に
ついて詳しく分かります。
柄谷行人がデビュー当時からこだわり続けた漱石について
まとめられています。ある意味で柄谷の文学理解のエッセンスが
ここに全て詰まっていると言えるでしょう。
江藤淳には他にも漱石関連の作品があり、どれも面白く読めます。
後は少し手に入りにくいものでは、大岡昇平の『小説家夏目漱石』、
蓮実重彦の『夏目漱石論』などがお薦めです。
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