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2007年3月 6日 (火)

偉大なる思索家・吉本隆明

吉本隆明を文学史の教科書的表現を借りて紹介をするなら、

やはり「左翼思想の精神的支柱」であったということになるのかもしれないが、

私は吉本をそのような思想家であるとは認識していない。

確かにマルクスの言っていることに間違いはないと語り、

今でも思索の原点はマルクスの枠組みの中にあるようには見えるが、

吉本はその多くをヘーゲルにも依拠していることが明白であるし、

世間一般で言われるような「マルクス主義者」ではないことも明らかだ。

左翼が「サヨク」としてその存在を保っていた時代はもう過ぎ去り、

その時代の変化に応じて吉本も「労働者」から「大衆」へとその軸足を移し、

いつしか大量消費社会の恩恵を受ける側に移ってしまった感じである。

けれどそれは吉本が転向したというよりは、吉本が寄り添ってきた

「労働者」なり「大衆」なりが、その様相を変えてしまったということに過ぎない。

それを吉本のせいにして批判することは酷なような気がする。

確かにここ最近の宗教や核の問題に対する発言には

納得のいかない人も多いのかもしれないが、それでも吉本の建てた

「掘立小屋」以上のものを建てた人はそう多くはいないと思うのである。

今読み返してみても初期の3部作はとても示唆に富んでいるので、

やはり吉本の思索の過程をたどる上でもぜひ読んでもらいたい作品群である。

上記3冊に加えて、少し手に入りにくいかもしれない『心的現象論序説』を

読んでいただければ、その後の吉本の思索を追う楽しみが広がると思います。

次回は、吉本隆明に対する批評について書いてみたいと思いますので、

よろしくお願いします。

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