早過ぎた死を悼む中上健次論
近年の作家の死で最も衝撃を受けたのがやはり
中上健次のそれであった。
まだ死ぬには若すぎるということはもちろんのこと、
それ以上に中上が死ぬなんて想像もできないほど、
私にとって中上健次という作家はエネルギッシュで、
生の力にあふれた存在であったのだ。
それほど大きな存在感を示していた作家の死を前にして、
多くの作家や批評家がすばやく中上健次論を上梓した。
その中でも絶対にはずすことができないものといえば、
やはり盟友の柄谷行人の手によるものであろう。
生前はどちらがどちらを巻添えにしているのか分からないような
つながりを見せていた2人ではあったが、
そのある種独特な緊張関係を知るものにとっては
興味の尽きない作家論となっている。
他の2作品もそれぞれの評者なりの中上健次観があり
早すぎる死を悼むには格好の作品であるように思う。
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