ドゥルーズを解説することの困難
解説書というからには、あるいは入門書と銘打つからには
その本を読むとそこに取り上げられている思想家や哲学者の
思索の内容が易しく理解できると思いたいのは読書人の
多くが思う、その本に対する素直な気持ちであるでしょう。
しかし、それは間違いであるかもしれないと最近思うのです。
それはそもそも哲学書が出版され、一般の専門家ではない
読書人に向けて発売されているのですから、
その作品を通して理解できたことが全てであって、
翻訳であるとか、専門用語が使われているとか言うことで、
解説書なり入門書が後に出されたとしても、
元の作品から得られたもの以上のものが
そこに書かれていることはまずないはずなのです。
では、解説書や入門書を読む効用とは何なのでしょうか。
それは私の考えでは、解説として書かれていることから
こちらが何を考えるかという、そのヒントを与えてくれる
そういった本であれば効用ありとすべきなのではないでしょうか。
時には分かりにくかった作品が、その解説によって
理解できるようになるということもありえます。
例えば最近紹介した人の中では、丸山圭三郎や木田元、
あるいは竹田青嗣などはそのようなことを期待して
その解説を読んでもいいとは思います。
しかし、それ以外の人については、こちら側の考える
きっかけを作ってくれれば、それで良い作品なのです。
こんなことを長々と書いてから、ドゥルーズについての
解説書や入門書を紹介するのは失礼かもしれませんが、
とにかくたくさん読んで、良い悪いと批評できるようになれば
それはその人にとっての財産だと思います。
こちらとしては万人に良いと思ってもらえるものを
紹介したいところですが、それは所詮無理なので、
なるべく読んで損のないところから、多くの人に考える
楽しみを提供できればと考えていますので。
本は読む時期によっても評価が変わるものでもありますから。
今回はドゥルーズの解説書の中から、選んでみました。
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