集合的無意識を発見したカール・グスタフ・ユング
人間の心にはフロイトが言う個人的な無意識だけではなく、
人類に共通の「集合的無意識」があるというのが、
カール・グスタフ・ユングの発見であり、その集合的無意識の
パターンとして「元型」ということが強調されている。
例えばユングの代表的な作品である『変容の象徴』では、
サブタイトルにもあるように精神分裂病を発症する前に
書かれた女性の日記をもとに、世界の神話的素材を駆使して
心の病理を解き明かしていく構成に一応はなっている。
しかし、ユング自身が精神分裂病になってしまったのかと
本気で疑われるほどに話は次々に展開していき、
日記に出てくる空想や夢や詩などを、世界の様々な
神話や芸術や宗教等の素材を織り交ぜることにより、
誰の心の中にも集合的無意識があることを
私たちに示してくれるやり方は、魅力的である一方で、
少しついて行けない感じを与えるのも事実である。
ただ、オカルト的なところもあるユングの諸作品ではあるが、
そういったものが好きな人はもちろんのこと、
そういってものに少し抵抗がある私のようなものも
一度は迷ってみるべき迷宮であるのかもしれません。
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