現象学から精神医学への道筋をつけたビンスワンガー
ビンスワンガーはスイスのクロイツリンゲンに生まれ、
精神医学の分野ではボンヘッファーやブロイラー、ユング、
そしてフロイトの影響を受けたと言われている。
『精神分裂病』ではハイデッガーの理論に基礎をおいた
現存在分析の方法で、分裂病者の世界を分析したのに対し、
『うつ病と躁病』ではフッサールの先験的現象学にまで
さかのぼって、うつ病と躁病者の世界を分析しようと
している。そして、ビンスワンガーはこの作品によって
フッサール現象学が精神医学においても有効であることを
明確にしている。また、『夢と実存』にはすでに紹介した
ミシェル・フーコーが本文の倍にも及ぶ序論を書いている
ことでも分かるとおり、やはりビンスワンガーも現代の
思索家に影響を与えうるほどに重要な精神医学者で
あったということであろう。
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