耽美派の代表格として活躍した永井荷風
エミール・ゾラの影響を受けた自然主義的作品を書いて出発した
永井荷風だが、その後はアメリカ・フランスへ赴き、帰朝後には
『あめりか物語』や『ふらんす物語』を発表し、反自然主義である
耽美派(別名、新浪漫主義)の代表格として活躍することとなる。
谷崎潤一郎らとともに示した耽美派と呼ばれる作風は、
当時の島崎藤村らを中心とした自然主義文学とは異なり、
現実そのままの自己体験の暴露ではなく、
小説としての虚構性にこだわり、理想的な美意識に基づいた
作品として、現在でも多くの読者を魅了するものとなっている。
また、永井荷風は日本の近代文明を嫌い、江戸文化への憧れから、
「腕くらべ」などの花柳界を舞台にした花柳小説も発表した。
更に、永井荷風は訳詞集『珊瑚集』で、ボードレールや
ヴェルレーヌといった近代フランス詩人の紹介にも尽力した。
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