私小説の方向性に影響を与えた田山花袋
日本自然主義文学の代表作として知られる田山花袋の『蒲団』は
その後の私小説の方向性に多大なる影響を与えた作品でもある。
『蒲団』は家庭を持ち、世間に名を知られてもいる中年の作家の
若い女性の弟子への恋情を赤裸々に描写することにより、
作者自身の自己体験の暴露として文壇に衝撃を与えもした。
そして、そのような自然主義文学の実体験を醜く暴露するだけの
作品に対して、愛や理想の名のもとに人間の道に外れない
作品を創作していこうという運動が生まれ、反自然主義の
3派(耽美派・白樺派・理知派)が形成されていった。
また、田山花袋は『田舎教師』という作品により、
平面描写論を確立したとも言われている。
田山花袋の作品は文学史的に重要だということは
多くの人に知られていると思うが、あまり読まれていない
であろうこともまた事実であり、ぜひ明治時代の先駆性に
実際に目を通していただきたいと思うので、
ここにその作品を紹介しておきたいと思います。
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