東野圭吾『秘密』
東野作品の数ある特徴の中のひとつに
性の扱い方が他の推理小説家と異なるという
指摘はあまり多くないところかもしれない。
しかしこのことは東野作品について語るときに
どうしても外せないポイントであることは
読者のほとんどが意識しているはずである。
そして性の扱い方に違和感を覚える作品に
運悪く最初に出くわしてしまうと映画の原作として
手に取ったような人にはあまり受けが良くないかもしれない。
特に東野圭吾は原作とテレビや映画の作品が
かなり違っていたとしても寛大なことで有名らしく、
この作品の映画化に関しても、当初からどのような
内容変更も受け入れるつもりでいたような感じが
エッセイなどからもうかがい知ることが出来る。
ただし、私個人としてはこの作品の性の扱いには
なんだか救われるような気がして、好きな作品となっている。
もちろん話の展開や登場人物なども
東野作品としてかなりレベルの高い
作り込まれ方をしていると思うが、
それらを根底で支えているものの存在も
見逃してはならないと思うのである。
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