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2010年8月31日 (火)

勝間和代さんの『勝間式「利益の方程式」 』を読んでみた

勝間さんの『勝間式「利益の方程式」
─商売は粉もの屋に学べ!─
』を読んでみた

 (5つが最高)

勝間さんの提案する利益の方程式とは、

利益=(単価-獲得コスト-原価)×顧客数

と、いたってシンプルなものである。

この顧客当たり単価、顧客当たり獲得コスト、

顧客当たり原価、顧客数の4つの要素を

コントロールすることで、誰でも簡単に、

利益の最大化が実現できるようになるという。

それでは、他の要素は一切考慮しないでよいか、

といえば、当然そうではないのだが、

ここで問題なのは利益を具体的に考えることである。

他にも重要なことがあるという指摘は

勝間さんがシンプルに利益について考えてもらいたい

というメッセージを受け取り損ねているとしか思えない。

ではなぜシンプルに考える必要があるのか。

それは実際に利益を考えて行動してもらうためである。

算数で言えば、式は立ててあげたので

とにかく手を動かして計算しなさいよというところか。
(頭の中でとか、座ったままでとかではもちろんない)

もっと直接的に表現すれば、社員1人1人が

利益について考えて行動しなさいということである。

だから、この本の中の原則についても、

「どうやって」というところに力点がある。

そして、最後は「明日からできる行動習慣」として

体に身に付けてしまいなさいというところへ行き着く。

もし、あえてこの本の欠点を指摘するとするなら、

サブタイトルの「粉もの屋」の事例が

あまり活かされていない点だろうか。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 なぜ、利益の概念が必要なのか
第2章 利益はどう計算するのか―慣れればカロリー計算のようなもの
第3章 利益を上げる方程式の解き方
第4章 原則1 どうやって顧客単価を上げるのか
第5章 原則2 どうやって顧客獲得コストを下げるのか
第6章 原則3 どうやって顧客原価を下げるのか
第7章 原則4 どうやって顧客数を伸ばすのか
第8章 明日からできる行動習慣―利益の増やし方をどうやって身につけていくか

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2010年8月30日 (月)

勝間和代さんの『決算書の暗号を解け! 』を読んでみた

勝間さんの『決算書の暗号を解け! ダメ株を見破る投資のルール』を読んでみた

 (5つが最高)

やはり勝間さんは会計の分野の本で一番力を発揮する。

特に物事の全体を捉えるための枝葉を切り捨てた解説は

初心者がフレームワークを認識するには最適だと思う。

ただ、それがある程度知識のある人からは

例外もあり正しい記述ではないと指摘される点でもある。

しかし、本の体裁やタイトルからして、

この本のみで決算書の細部まで理解させ

細かな会計の規則を身に付けてもらうことを

意図していないことは明らかだ。

本当にそのような知識を必要とする人は

もっと別の本を手に取るだろう。

そして、ここでの評価も会計初心者の私にとって

知りたいことが書かれていたか、ためになったかで

評価をさせてもらっているので、高い評価とした。
(ただし、私は初心者だが用語はある程度理解している)

まず、勝間さんがこの本の中で繰り返している主張は

決算書を読むときにもっとも大切なのは、

損益計算書と貸借対照表とキャッシュフロー計算書を

3つ合わせて見ることというもの。

私のように古くから決算書を見ている者からすると

一番キャッシュフロー計算書の見方がわからない。

ましてや損益計算書や貸借対照表などと組み合わせて

どこを中心に見ていくといいのかは更にわからない。

それをアナリスト目線、会計士目線、投資家目線と

3つの視点から捉えていく構成は興味深く

はっきりとした立ち位置からの説明で参考になる。

もちろん長年の株式投資経験から決算書の

数字がいかに信用のおけないものであるかは

勝間さんに指摘されるまでもなく百も承知の上である。

それでもやはり株式投資に際して

ファンダメンタルとチャート(テクニカル)を

組み合わせて利益を上げようとするなら

まずその会社の財務状況を調べておきたい。

正直なところこの本だけで利益を上げられる

ようになるわけではないが、ここを取っ掛かりに

徐々に専門的なものを読み込んで

最後はバフェット流の銘柄選別をしていけば

企業の財務分析としては充分だと思う。

そして会計初心者の決算書を見る手引きとしても

ここから始めることで得られる知識は多いはず。

わかりやすさからすると、かなりお買い得の1冊。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 会計利益を信じてはいけない!
第2章 財務諸表はこう読み解く
第3章 インチキ利益を見抜くための下準備
第4章 アナリスト目線で全体のイメージをつかむ
第5章 会計士目線で財務諸表を読みこなす
第6章 投資家目線で判断する

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2010年8月29日 (日)

マルコム・グラッドウェルさんの『ケチャップの謎』を読んでみた

グラッドウェルさんの『マルコム・グラッドウェル
THE NEW YORKER傑作選(1)ケチャップの謎
』を読んでみた

 (5つが最高)

直接的に明日からの仕事に役立つというような

ノウハウが書いてあるたぐいの本ではないが、

各章の話の内容の興味深さと作者の探究心は

さすがマルコム・グラッドウェルだと感心させられる。

中でも今回は、第3章の「ブローイング・アップ(吹っ飛び)の

経済学」におけるナシーム・タレブの投資戦略について

いかに簡単ながら感想を記しておく。

ナシーム・タレブは、全米屈指のファンドマネジャーの

ニーダーホッファーや億万長者の投機家である

ジョージ・ソロスについて、株の投機の専門的な

スキルを持っているのではなく、ただ単に

まったくの幸運によるものではないのかという思いを抱く。

なぜなら、世間に1万人の投資マネジャーがいるとして

毎年その半数がまったくの偶然により成功し、

後の半数がまったくの偶然により金を失うとすると

10年後には9人が、まったくの偶然によって

勝ち続けたものとして生き残る計算になる。

そうであるなら、有名なファンドマネジャーであっても

偶然によって作り出されたものではないかというのが

ナシーム・タレブの主張するところである。

このことはニーダーホッファーが巨額の損失を出したり

ジョージ・ソロスが自身の理論を放棄したりすることにより

極めて正当な主張であり、確からしく思える。

では、ナシーム・タレブの戦略はどのようなものなのか。

それはオプションの買い専門という単純な戦略である。

しかしこの戦略を他の投資家はほとんどとらない。

なぜかといえば、この戦略はオプションの売りが

儲けが大きく利益も出しやすいことと比較し、

ほとんど毎日じりじりと損失を出し続けるためだ。

けれど、この投資戦略では市場が予期せぬ

大きな変動があった際には、それまでの損失を

取り戻して余りある利益を生み出してくれる。

そして、そのような大きな変動の際にオプションの

売り手に回っているものは破滅の危機に至る。

経済学者のユージン・ファーマが株価を研究した際

平均値から標準偏差5個分(ファイブ・シグマ)も

かけ離れたジャンプは7000年に1度のはずなのに

実際には3~4年に1度の割合で起こっていた。

理由は、投資家はいかなる種類の統計的な

秩序にも基づいて行動したりなどしないためだ。

ユージン・ファーマの結論は、株価の変動を

グラフにすると「ファット・テール(太い尾)」になる、

というものであり、統計学者が想定するより

はるかに多く正規分布の両端が実現する

可能性が高いという結論になった。

私が個人でオプションの買いを続け

日々の損失に耐え続けることは投資規模からして

まずもって不可能であるが、もしファンドなどの

ある程度の資金量を有するものが

オプションの買いを続けてくれるのであれば

そのファンドを購入することは可能である。

ナシーム・タレブの戦略がその著書とともに

もっと広まれば、そのようなファンドが

選択肢の1つに加わると思うのだが、どうだろうか。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 TVショッピングの王様─アメリカのキッチンを征服した男
第2章 ケチャップの謎─マスタードは数十種類以上、なのにケチャップは、なぜ同じ味?
第3章 ブローイング・アップ(吹っ飛び)の経済学─ナシーム・タレブが壊滅的損失の不可避性を投資戦略に転換させるまで
第4章 本当の髪の色─ヘアカラーと戦後アメリカの隠れた歴史
第5章 ジョン・ロックの誤解─避妊薬の開発者が女性の健康について知らなかったこと
第6章 犬は何を見たのか?─カリスマ調教師シーザー・ミランの“神業”

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2010年8月28日 (土)

吉本佳生さんの『投資リスクとのつきあい方(下)』を読んでみた

吉本さんの『投資リスクとのつきあい方(下)
紙ヒコーキで学ぶオプション取引』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は上巻と下巻で扱っている内容が異なる。

この下巻ではオプション取引について、

その内容や仕組みについて詳しく述べられている。

吉本さんのこの本での最大の工夫は紙ヒコーキを

用いたオプションの説明だと思うが、

すでにオプションの知識がある私からは

この説明がわかりやすいものなのか判断できない。

そのため評価を低くさせてもらっている。

上巻ではリスク管理手法への不満があったにもかかわらず

得るところが多いと感じたのと比較して

下巻では何だか中途半端な印象で物足りない気がする。

ただ、上巻にあったリスク回避策の一つに

ポートフォリオによる輸出企業の株式と輸入企業の株式を

組み合わせたリスク回避というものがあり、

これではリスクは回避できるかもしれないが

どのように利益を上げるのかわからないという

疑問が残ったのに対して、下巻でのコールとプットの

組み合わせによる利益の出し方は非常にためになった。

また、日経225オプションの吉本さんによる取引の実践は

もっと詳しい内容にしてもらいたかったが、

最後に利益が出た仕組みは何とか理解できた。

総じてオプションの理論を知識として得ることは可能だが、

実際の取引によって利益を上げようとするのであれば

もっと詳しいハウツー本が今ではたくさん出ているので

そちらを参考にしたほうが良いだろう。

吉本さんのファンの私としては損をした気はしなかったが。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 オプション取引とは?(オプションはデリバティブの花形/パソコンの価格変動とオプション ほか)
第2章 紙ヒコーキで考えるオプションのしくみ(紙ヒコーキでイメージする/ポイントは損益図を書くこと ほか)
第3章 オプションの価格変動を理解する(デルタ・ヘッジとオプション価格/リスクを消す魔法ではない ほか)
第4章 日経二二五オプションの実戦(なぜ日経二二五オプションか?/オプション・トレード実戦記 ほか)

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2010年8月27日 (金)

吉本佳生さんの『投資リスクとのつきあい方(上)』を読んでみた

吉本さんの『投資リスクとのつきあい方(上)
サイコロで学ぶリスク計算』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は上巻と下巻で扱っている内容が異なる。

まずこの上巻ではリスク管理について、

その手法と難しさについて詳しく述べられている。

そして、冒頭には、「株式投資は社会に貢献するギャンブル」

と明確に定義されており、株式投資=投機(博打)ともある。

だからこそリスク管理が重要であり、金融機関も使っている

というその手法の紹介が、この上巻のメインである。

しかし、残念ながらここで紹介されている手法は

個人が使うべきものではないと思う。

もっと言えば金融機関などもこんなにずさんな

管理手法で良いのかと疑問を持たずにはいられない。

『金融工学 マネーゲームの魔術』のときにも書いたことだが

「確率分布」や「標準偏差」という統計学を金融の世界に

持ち込んだことの意味は分かるが、近似値での計算は

どこまで行っても実際の株価のデータとは違うものを

便宜的に用いて計算しているだけのことだ。

そして、そこには根本的にリスク管理手法としての誤りがある。

それは認識論学者でヘッジファンド運用者としての経験も持つ

ナシーム・ニコラス・タレブさんが著書「ブラックスワン」で

述べているように、全ての白鳥が白色と信じられていても

オーストラリアで黒い白鳥が発見されてしまえば、

従来からの知見は役に立たないどころか間違いなのであり、

黒い白鳥の発見により、鳥類学者の常識は崩れてしまう。

タレブさんは、この出来事を元に、確率論や従来からの

知識・経験からでは予測できない極端な現象が発生し、

その現象が人々に多大な影響を与えることがありうるとした。

そして、株式市場などのマーケットは人間が取引を行う

のであるから、確率論では語れないとしている。

これは私の感覚とも一致しており、受け入れやすい。

アメリカのLTCMを引き合いに出すまでもなく、

計算によりリスクを回避しようとすることには限界があり、

逆に計算に頼りすぎれば1度の異常値によって

すべてが吹き飛んでしまうことはあまりにも明らかだ。

では、この本のどこに有用性があるかというと

それでも確率論を信じている人がマーケットには

たくさんいる事実を教えてくれる点だ。

金融機関が確率論によりリスク回避を図れば

その分だけ歪んだマーケットから利益を得やすくなる。

では、われわれはどのようなリスク回避策があるのか。

それもこの本では示されており、1つが「こまめな

マーケット・リスク管理」、もう一つが「損切り」である。

吉本さんは長期投資もリスクは大きいとし、

たとえ長期投資をしている個人投資家であっても

「こまめなマーケット・リスク管理」をすすめている。

また、「損切り」は心理的にとても難しいが

有力なリスク管理手法の一つであるとしている。

ちなみに私は「損切り」が出来ないので

株式投資はやめてしまったクチなので、

その重要性も難しさも嫌というほど知っている。

この本をもっと早く読んでいればと思わないでもない。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 株式投資を学んで儲ける?(ハンディキャップつきの賭け/株式投資という名のギャンブル/勉強すれば株で儲けられるか? ほか)
第2章 サイコロで実感する株価変動のリスク(日本人のリスク管理能力は貧弱/リスク管理の第一歩は?/確率を考えて予測する ほか)
第3章 いろいろなリスクに注意しよう(いくつもある株式投資のリスク/個人のリスク管理能力のポイント/こまめなマーケット・リスク管理 ほか)

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2010年8月26日 (木)

ロバート・キヨサキさんの『金持ち父さんの子供はみんな天才』を読んでみた

ロバート・キヨサキさんの『金持ち父さんの子供はみんな天才
 親だからできるお金の教育』を読んでみた

 (5つが最高)

『金持ち父さん』シリーズのうちの1冊。

もうこのシリーズの考え方は理解し、金融リテラシーを

身に付ける重要性も理解している人にはよい復習。

この本で自分の子供にいきなり教育というわけには

残念ながらいかないが、まず親がどうするべきなのか

ということは繰り返し教えてくれる。

銀行が学生時代の「成績表を見せろ」とは言わないことは

当然に理解しているが、では銀行がお金を貸してくれる

決算書を持っているかといえば、何もないのが現実。

とりあえずあるのは会社に勤めて、どれだけの給料を

手にしているかということを示す明細くらい。

ほとんどの人が不動産を買うために銀行に行くときは

自宅として購入する不動産の住宅ローン。

私はこれまで会社の同僚で不動産を所有し

大家さんでもあるという人を2人見てきたが、

いずれも月に1度は会社に嘘をついて休んでいた。

不動産というのは以外に人の手を要するものらしい。

けれど会社からもらう給料以外に収入があることは

ただただ羨ましい限りである。

この2人のサラリーマン大家さんは、

2人とも経理畑の人間で利益にうるさかった。

私より法律の知識のある先輩が

子供には法律ではなく、会計を学んでほしいと

言っていたことが思い出される。

法務の人間は高い専門性を有するが

会社の中では利益を生まず評価は高くなりにくい。

それに対し経理の人間は高い専門性に加え

会社の全体を見れるうえコストをコントロールできる。

当然、評価も高くなり上に立つことも可能だ。

私のように中途半端で専門性とは無縁な人間からすると

どちらも羨ましいが、やはり経理が強いらしい。

ロバート・キヨサキさんは起業することを最良とし、

会社勤めでは金持ちになりにくいとしているが、

それでも自分の子が会社に所属するなら経理だろうか。

あと、営業の能力も必要だと書いてあった。

会社勤めの後、独立するのであれば営業を学ぶのも

将来起業するときに役立つだろう。

まあ、自分の子供が社会に出るのは、

まだまだ遠い先の話で、その前に学校に

行かせてやらなければいけないのだけれど。

子供には私の投資の失敗談でも聞かせてやろう。

【目次】(「BOOK」データベースより)
銀行があなたに「成績表を見せろ」と言わない理由
第1部 お金は一つの考え方に過ぎない(生まれた時はだれでもリッチ・キッド、スマート・キッド/あなたの子供は天才か? ほか)
第2部 大事なのはファイナンシャル教育(銀行は「成績表を見せろ」とは言わない/子供は遊びながら学習する ほか)
第3部 子供の才能を見つける(子供が持って生まれた才能を見つける方法/成功とは自分自身でいられる自由を持つこと)
おわりに この世で一番大切な仕事/シャロン・レクターからのアドバイス(小遣いを与えるか、与えないか?/子供と一緒に「マネー・エクササイズ」)

金持ち父さんの子供は...

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2010年8月25日 (水)

勝間和代さんの『起きていることはすべて正しい』を読んでみた

勝間さんの『起きていることはすべて正しい
――運を戦略的につかむ勝間式4つの技術』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、タイトルが誤解を与えている面があるが、

別に自己正当化のための、勝間さんに起きていることが

正しいことなので、みんな従えという内容ではもちろんない。

ここで言われていることは、『起きていることはすべて、

自分に対するメッセージ、あるいは何らかのチャンスとして

受け止めよう。そして、そのメッセージを分析し、

そこに対して自分の持っているパーソナル資産を

正しく割り当て、使いきり、最大の成果になるように

行動を続けよう』ということである。

本の内容としては、「メンタル筋力のトレーニング案内」である。

勝間さんの言うメンタル筋力とは、次の4つの技術を総合した

能力のことであり、この4つを統合すると、メンタル筋力が

強化され、偶然の中から幸運を発見できるようになるいう。

① 脳内フレーム120%活用法
   (顕在意識だけでなく潜在意識を最大限に活かす技術)
②即断即決法
   (多種の情報から必要な物を選んで決断する技術)
③パーソナル資産増強法
   (パーソナル資産を組み合わせ、使いこなす技術)
④勝間式人間関係の兵法
   (周りの人と協調し、自分の力を倍増させる技術)

結局のところ、勝間さんにとっての運をつかむ技術の

根底にある発想は、「起きていることはすべて正しい」とし、

いま起きていることを否定したり、こうだったらいいなあと

夢想しても仕方がないので、起きていることから、

何を学び取り、どのように行動すれば、いまこの一瞬を

最大限に活用できるかを考えるということにつきる。

そこに至る過程には当然、努力すれば報われるという

勝間さんのこれまでの経験が強く影響している。

しかし、努力しても報われない世代にとっては

そもそも努力をすると何か良いことがあるんですか

という疑問から始まってしまうのである。

このギャップが勝間さんとアンチの間の1つの溝だが

私は努力しても報われないかもしれないけれど

努力しないで悪い結果を受け入れるのは嫌だという

ただそれだけの理由で勝間さんの本を読み続けている。

そして単純に昨日の自分より今日の自分の方が

少しでも成長していると感じられるなら、

報われないことばかりでも、何とか生きてはいける。

私の人生は幸運とは無縁であるように思うが

それでも幸運をつかみやすくする技術があるのであれば

やってみない手はないように思う。

少なくともこの本に書かれていることを実践したからといって

悪いことが起こるわけではないのだから。

いま、あまり恵まれた環境にない人こそ

この本を読んで元気を取り戻してほしい。

本来はある程度成功している人がさらに上を目指すための

技術であるかもしれないのだけれど。

【目次】(「BOOK」データベースより)
はじめに “メンタル筋力”と「運をつかむ勝間式4つの技術」
第1章 「偶然を幸運に変える」セレンディピティの技術
第2章 勝間式技術1・広げる―あなたの潜在意識が目覚める!脳内フレーム120%活用法
第3章 勝間式技術2・絞り込む―「99%捨て、1%の本質をつかむ」即断即決法
第4章 勝間式技術3・殖やす―「4つのダイヤ」を引き寄せるパーソナル資産増強法
第5章 勝間式技術4・調和する―勝間式人間関係の兵法 「5つのわがまま力」で年収が20倍になった秘密
おわりに 起きていることはすべて正しい

起きていることはす...

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2010年8月24日 (火)

フィリップ・C・マグローさんの『史上最強の人生戦略マニュアル』を読んでみた

マグローさんの『史上最強の人生戦略マニュアル』を読んでみた

 (5つが最高)

この本もまた、勝間さんが推薦し、翻訳も手がけていたので

手にとって読んでみたのだが、少し期待はずれだった。

人はいろいろな時期に本を手にするし、

いろいろな考え方の人が作者の想いとは関係なく

その本を手に取ることになるのだと思う。

このことは作者が読者に読んでもらう時期を選べない

不自由さがあるだけではなく、読者もその本を読む時期を

選ぶことが出来ないという不自由さの中にある。

私がもしもっと若く、勝間さんがこの本を初めて手にした

時期のような心境にあったとするなら、

私はこの本からもっと多くのことを学び

もっと多くの感動を得られていただろう。

しかし、私はすでにこの本に書かれている多くのことを

その経験から学んでおり、あえていまさら

この本から学ぶべきことが見出せなかったのだ。

そんな私にとっては、残念ながらこの本は

太字だけ読めば十分な本であった。

なお、翻訳は言われているほど悪くないと思う。

もちろん原典に当たって調べていないので

正確な訳かどうかは分からないが、

日本語としての読みづらさは感じなかった。

内容については、若い人向けの問題解決の心構え

を集めた本といったところだろうか。

【目次】(「BOOK」データベースより)
問題がひとりでに解決することは、絶対にない/本当に生きるということ/自分の選択と態度に焦点をあてる/「見返り」が行動を支配している/問題は、あなたが認めるまで悪化していく/違うことを「する」/過去の出来事を言い訳にしない/今すぐに人生計画を立てる/見返りを断つ/憎しみはあなたの心を変えてしまう/あなたのゴールラインはどこか?/ガイドつき人生の旅/目標設定の七つのステップ/自分の公式を見つけよう

史上最強の人生戦略...

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2010年8月23日 (月)

山田真哉さんの『世界一感動する会計の本です』を読んでみた

山田さんの『新装版 世界一感動する会計の本です
女子大生会計士の事件簿』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、女子大生会計士の事件簿とタイトルには

シリーズ名が記載されているが、まったく別の物語である。

あえてこのシリーズの作品として出版したのは

売行きを気にしてのことだと思うが、

そのような小細工が不要なくらい

この物語自体の出来はかなり良いと思う。

この本を読んで感動するか、簿記の勉強になるかは

読んだ人の感性や勉強の段階によると思うが、

山田さんの簿記や会計を分かりやすく

伝えたいという気持ちはとても響いてくる。

簿記の勉強を始めたばかりの人だけでなく

物事を分かりやすく伝えるにはどうすればよいのか

ということに興味がある人にも、

とても参考になる点の多い本である。

「借方→自分」「貸方→他人」という表現に始まる

細々とした簿記の知識に対する解説だけでなく

物語の展開や結末の楽しませ方など

これまでの入門書とは明らかに質が違う。

私が山田さんの作品をいくつも読むようになった

決定的な1冊なので、ぜひ多くの人に読んでもらいたい。

【目次】(「BOOK」データベースより)
はじめに 教室にて1/たまごの国の物語(たまごの国と2人の少年─複式簿記の話/たまごの国の天才少年─等価交換の原則/たまごの国から大航海─商品が複数の場合/たまごの国の夢の1日(前編)─元帳と試算表/たまごの国の夢の1日(後編)─決算書の話)/物語のおわりに 教室にて2/課外授業/おわりに 教室にて3

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2010年8月22日 (日)

山田真哉さんの『山田真哉のつまみ食い新会社法』を読んでみた

山田さんの『山田真哉のつまみ食い新会社法 500円でわかるシンプル版』を読んでみた

 (5つが最高)

この本の特徴は、とにかく薄くて要点が簡潔に

まとめられていて安いので、お買い得なこと。

私は法律には仕事柄ふれる機会があるので

いまさらこの本で会社法の勉強をする必要はないが

会計士の目線での要点とは、どこかというのに興味がった。

もっと簡潔に言えば、山田さんがどのようにまとめるのかに

興味があったので古いながらも手にしたということ。

ただ、この本は会社法について何から勉強すればいいのか

わからない人向けというよりは、会社法以前の

商法時代の知識がある人が、会社法移行に際して

簡単に新法の概略を押さえるために書かれており

商法のことや有限会社法のことなんか知らないし

興味もないという、即実践で使用したい人には

あまりお勧めではないかもしれない。

とにかく薄いので、勉強の取っ掛かりとするには向いている。

まあ、無理やり会計士目線での会社法のまとめとして読むなら

次のような変更点について読むのがいいだろう。

①最低資本金制度が廃止になった。
②会計参与制度が導入された。
③合同会社という持分会社が用意された。
④決算書が変わった。
⑤種類株式について9つの事項が決められた。

特に商法時代から決算書にかかわってきた人であれば

④については承知していると思うが、

会社法になってから変わったのだということを

新たに押さえるには、ここから入っていくのが良いだろう。

なお、この本について会計士が法律の本を出すなんてと

批判的な人もいるようだが、重要なことは手にした人が

知りたい内容を正確に理解できればよいので、

他の人が簡単にまとめてくれないなら

どんな人が書いたって構わないと思うがどうであろうか。

(会社法の施行により商法が廃止されたと誤解している人が
多いが、商法の会社に関する部分が削除されただけである)

【目次】(「BOOK」データベースより)
1 新会社法って何?
2 会社を設立する
3 会社を運営する
お答えします!「新会社法」Q&A
つまみ食い「新会社法」マンガ
こんなときどうする?ケーススタディ
取締役会非設置型の会社の定款例
新会社法用語集

山田真哉のつまみ食...

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2010年8月21日 (土)

トマス・J・スタンリーさんの『となりの億万長者』を読んでみた

スタンリーさんの『となりの億万長者 成功を生む7つの法則』を読んでみた

 (5つが最高)

アメリカの億万長者でも実態はこんなものなのかと

思い知らされるとともに、自分に出来ることが明確になる1冊。

この本では純資産100万ドル以上持つ人を億万長者と定義し、

全米1億世帯にも、わずか3.5%しかいないことを明らかにする。

また、「期待資産額」として、年齢に税引き前の年間家計所得

(相続から得られる年収は含まない)をかけ、10で割り

そこから遺産相続額を引いた金額を1つの尺度としている。

そしてこの本が分析しているのは、「蓄財優等生」と

「蓄財劣等性」の性格や行動の違いから億万長者の実態が

どのようなものであるかということである。

この「蓄財優等生」とは、同じ年齢層・所得層の中の

資産額が上位4分の1の者のことであり、

「蓄財劣等性」とは、同じく下位4分の1の者のことである。

しかし、この本の中では、この成績の計り方の簡便法として

「期待資産額」の倍の資産を持っている人を「蓄財優等生」

半分しか持っていない人を「蓄財劣等生」としている。

ここまでのことから、この本の対象が年齢と所得に

対して、どれだけの資産を残しているかということに

焦点を当てた億万長者の分析であることがわかる。

では、どのようにすれば資産を残せるかであるが、

法則はつまらないくらいにきわめて簡単である。

1.収入より低い支出で生活
2.資産形成に時間・エネルギー・金を効率よく配分
3.世間体より、お金の心配をしないですむことを重視
4.社会人になったら、親から経済的援助を受けない
5.子供たちを経済的に自立させる
6.ビジネス・チャンスをつかむのが上手
7.ぴったりの職業を選んでいる

この冒頭に紹介される7つの法則を本を読み終えて

自分なりに組み替えてみると、4と5、6と7は1つにし

それ以外に注目すべき点を加えて以下のとおりとした。

1.とにかく倹約(高い時計や車は買わない)
2.所得税の対象となる現金所得を抑える
3.住宅ローンは現金所得の2倍以内
4.資産運用に時間とエネルギーをかける
5.家計の予算を立て支出を把握する
6.子供に経済援助はしない
7.ビジネス・チャンスをつかむ

法則の1と3は倹約ということで1つにしてもいいのだが、

これを私が驚きをもって読んだ住宅ローンの話と

2つに分けて自分なりの7つにまとめてみた。

確かに収入が1000万円くらいあれば2000万円の

住宅ローンは資産を残すには良い手なのだろうが

収入が300万円だと600万円のローンとなり

現実的に頭金の額が大きくなりすぎるとは思う。

しかし、億万長者になるなら300万円の収入では

無理なので、そこは収入を増やすことが第一なのだろう。

この本を読んだ人が、やるかどうか考える最初のことは

私がそうであるように、たぶん倹約であると思う。

けれど、それが本当に最適な戦略であるかは疑問である。

なぜなら、アメリカは高度な消費社会であり、

高収入の人間の多くが「蓄財劣等生」になってしまう

ような国柄なのに比べ、日本は現在多くの人が

節約疲れするほどに長期にわたり倹約を続けている。

そのことがデフレの要因の一つであり、

長期的な不況と雇用減少に繋がっているとするなら

周囲が倹約をしているときに自分も倹約をすることが

どのような意味を持つのだろうか。

ただ、現在億万長者なら、お金を有意義につかう時期

であるとしても、そうでないなら倹約する以外

生活防衛の手段がないことも事実だ。

みながみな節約疲れから消費に向かうなら

そのときには倹約は難しい選択になる。

なぜなら自分も疲れてしまっているだろうから。

けれどそこで我慢するのが本当の億万長者

への道なのかもしれない。

まあ、億万長者になるのは簡単ではないということだ。

【目次】(「BOOK」データベースより)
1 となりの億万長者を紹介しよう/2 倹約、倹約、倹約/3 時間、エネルギー、金/4 車であなたの価値が決まるわけではない/5 親の経済的援助/6 男女平等・家庭版/7 ビジネス・チャンスを見つけよう/8 職業・億万長者対遺産相続人

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2010年8月20日 (金)

三浦展さんの『下流社会』を読んでみた

三浦さんの『下流社会 新たな階層集団の出現』を読んでみた

 (5つが最高)

いろいろなことを考えさせられるという点では、

この本は評判どおりの良書なのかもしれない。

しかし、民間のマーケット分析の手法らしいが、

サンプル数が少ないのに自説を展開してしまうのは

正直言っていかがなものかと思う。

とにかく自分の考えていることを説明するためにのみ

資料を作成しているようで、現実を正確に

写し取っているのかは甚だ疑問である。

ただし、読めば読むほど自分が下流社会に属する人と

考え方や行動様式が似ていることが興味深い。

また、周囲を見渡してみても貧困ではないながら

下流社会に属する人が増えてきたことは事実らしい。

経済格差、教育格差などが固定化されていくことは

なんとしても避けたいところである。

これからますます下流の人が増えていく気がして

暗い気持ちになってしまう点では、憂鬱な書なのかも。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 「中流化」から「下流化」へ
第2章 階層化による消費者の分裂
第3章 団塊ジュニアの「下流化」は進む!
第4章 年収300万円では結婚できない!?
第5章 自分らしさを求めるのは「下流」である?
第6章 「下流」の男性はひきこもり、女性は歌って踊る
第7章 「下流」の性格、食生活、教育観
第8章 階層による居住地の固定化が起きている?

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2010年8月19日 (木)

山本浩司さんの『ツーウェイ資格試験合格法』を読んでみた

山本さんの『ツーウェイ資格試験合格法』を読んでみた

 (5つが最高)

司法書士の受験勉強をしたことがある人であれば

その名前を耳にしたことがあるかもしれないが、

Wセミナーの名物講師の勉強本である。

他にも行政書士や宅建などの「一発合格塾」シリーズもある。

もともと筑波大学附属駒場高校から東京大学法学部へという

エリートコースを歩んできた人のようだが、

38歳で失業し、独立を決意して難関の司法書士試験を

6ヶ月という最速で突破したツワモノである。

この本は山本さんの数多い本の中でも最初の短期合格法の

本ということもあり、そのエッセンスが凝縮されていると思う。

とにかく基本を大事にすること、試験に真剣に向き合うこと

資格試験に受かるにはどうすればよいのかということを

分かりやすく解説してくれていてさすがと言う以外にない。

勉強本は、作者の経歴が立派でないと手にしてもらえないが

逆に立派過ぎると読者に真似ができないと感じさせてしまう。

とても難しいところがあるのは事実だが、

最初から試験に強い人や勉強の仕方が上手い人など

いないのだと考えれば、学ぶところは多いはずだ。

勉強本の良し悪しは、やはり真似できるかもしれないと

やる気にさせてくれるかどうかが最も重要なことだと思う。

それがなければ、どんなにすごい勉強法も意味がない。

そういう意味では、この本は読む価値は充分にある。

資格試験でも受けてみようという人は特に

闇雲に勉強を始めるより、まずこの本から勉強法の

ヒントを探るのが、合格への近道なのかもしれない。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1部 札幌・短期合格編(六カ月合格コースの誕生/基本の充実が合格の鍵/事務所見習いで学んだこと ほか)
第2部 横浜・開業実録編(僕が司法書士を選んだ理由/開業を宣伝する/営業とは人の輪を広げること ほか)
番外編 士業不滅の法則(司法書士も女性は強い?/アイデアで勝負/オホーツクに夢の架け橋)

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2010年8月18日 (水)

吉本佳生さんの『金融商品にだまされるな!』を読んでみた

吉本さんの『金融商品にだまされるな!
本当に正しい預金、債券、個人年金の使い方』を読んでみた

 (5つが最高)

金融商品に疎い人にとってはマークを5つ付けても良いと思う。

私もその昔ネットバブルの華やかな時代には仕組債なる

金融商品を検討したことがあるくらいなので、この本に出てくる

いろいろな商品の特徴がとてもよく分かる。

たぶんその頃は1度目は購入していれば儲かったと思うが

それ以降何回かすると安くなってしまった株券で償還され

かなりな損失をこうむることから、注意が呼びかけられたはず。

ネット株が上昇する中、それに乗り遅れた株式投資未経験者に

債券としてある程度の利回りを提示するものの、

ある株式の価格に対して条件がついており

株券で償還される可能性が書いてあったと記憶している。

このとき株券を手にすることは条件が悪いほうに

確定したということなので、利回りに対してリスクが高すぎる

商品であったはずなのだが、私を含め多くの人は

株券になったとしても再度値上がりすることによって

損が発生しないかのように錯覚していた。

自己責任と言われれば確かにそうだが、

その当時この本が発売され、手にしていれば

自分がいかに馬鹿であるか理解できたに違いない。

そういう意味で、とにかくためになるし

第2章のインフレに強いのが普通預金だというのも

意外な感じがするが納得させられる。

知識がないというのは本当に恐ろしいということだ。

金融リテラシーは学校では身に付かないので

こういった良書が広く知られるようになることを

願わずにはいられない。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 最近流行している『危ない金融商品』のポイント解説
第2章 インフレに強いのは、意外にも、古くからある普通預金
第3章 高金利で元本保証で、しかも金利がステップアップする円定期預金
第4章 よほどの不運に見舞われない限り、高金利が得られる債券
第5章 ふつうより有利な条件でスタートできる外貨預金
第6章 元本は円建で安全で高金利なのに、円安でさらに金利が上がる預金
第7章 大学や地方銀行などが喜んで買い、個人なら富裕層しか買えない債券

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2010年8月17日 (火)

橘玲さんの『亜玖夢博士の経済入門』を読んでみた

橘さんの『亜玖夢博士の経済入門』を読んでみた

 (5つが最高)

てっきり経済学の入門書だと勘違いして手に取ってしまったが

実際には経済学の理論などをベースにした小説であった。

今現在最も関心のある「行動経済学」に始まり

若いときに夢中になった「囚人のジレンマ」や

「ゲーデルの不完全性定理」など、取上げられているテーマは

興味深いものばかりだが、さすが橘さんの作品だけあって

その話の進み行きと最後の章での驚きの展開には

いろいろな意味で唸らされる。

ただ、「ゲーデルの不完全性定理」については

少し消化不良のような後味の悪さがあるのも事実。

もともとの定理の持っている意味が、これだけの中で

上手く伝わっているのか、かつて現代思想を

追いかけた者としては少し気がかりなところ。

それ以外は小説としては、かなり楽しめる。

もちろん、行動経済学について何冊か本を読んで

もっと知りたいと言う思いにさせてくれる点でも

入門の役割はきちんと果たしている。

読み進むうちに亜玖夢博士の処方箋を予想したり

助手の暴走振りに期待をしたり、楽しみ方もいろいろ。

これからも橘さんの作品を読み続けたいと思わせる

コミカルな経済小説に仕上がっている。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1講 行動経済学
第2講 囚人のジレンマ
第3講 ネットワーク経済学
第4講 社会心理学
第5講 ゲーデルの不完全性定理

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2010年8月16日 (月)

勝間和代さんの『無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法』を読んでみた

勝間さんの『無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法』を読んでみた

 (5つが最高)

勝間さんの本を好んで読むようになったのは、この本を読んでから。

とにかく、お金をかけて道具を用意してでも勉強時間を

効率的に活用しましょうという内容に驚き。

少しずつお金ができたら導入していければよいと思った反面、

ここまで効率重視でいいのかとの疑問も。

けれども、勝間さんはこの時点では、自分がやってきたことを

正直に読者に公開し、それによって多くの人に

効率的にお金を稼いでもらって、残りの時間を有意義に

過ごしてもらいたいとの気持ちが本当にあったはず。

その後に多くの著書を出すにしたがい効率至上主義のようになり

単なる拝金主義者のように言われてしまうまでになってしまうが、

勝間さん個人が効率的に金儲けをすることと

本に書かれていた「時間投資法」や「勉強法」は

分けて考えてもよいのではないかと思う。

確かにその後の本のあちらこちらに内容よりも売り方というような

表現が出てくるたびに、こんなこと書かなければよいのに

と思うことも事実だけれど、それは勝間さんのことだから

必ずマーケティングにより自分に対する評価に関しても

フィードバックをして、この頃のような切れを取り戻してくれるはず。

実際、今でも私は会計関連の本では勝間さんの本から

とても多くのことを教えてもらっている。

勝間さんが本当に得意な分野の本を時間をかけて

丁寧に作ってくれれば、バブルがはじけたなんて言われない

良い本がまだまだ書けると思うので頑張ってもらいたいものだ。

そのブームの終盤から遅れてきた参加者の私は

常に批判的読み方を続けてきたが、

それを可能にさせてくれていたのも勝間本の

強靭さによるものだったのだから。

【目次】(「BOOK」データベースより)
年収10倍アップ時間投資法 基礎編(なぜ時間管理はうまくいかないのか/なぜ新しい行動は続かないのか/勝間式「黄金の時間の5原則」/黄金の時間を増やすための5つのステップ)/年収10倍アップ時間投資法 実践編(実践ケーススタディー1―時間効率10倍アップを目指して手帳を使いこなす/実践ケーススタディー2―勝間式時間投資法 ある夏の一週間のスケジュール)

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2010年8月15日 (日)

勝間和代さんの『無理なく続けられる年収10倍アップ勉強法』を読んでみた

勝間さんの『無理なく続けられる年収10倍アップ勉強法』を読んでみた

 (5つが最高)

この本を読んで年収が10倍にならなかったからといって

批判めいたことを書く人の気持ちが知れないが、

自己啓発の本としては格段に優れていることは間違いない。

全部取り入れることは私には無理だし、

もちろん年収が上がったりはしないが

モチベーションが上げられて勉強に取り組めるなら

この手の本としては文句なく良書なのである。

自己啓発の本を読んで満足してしまい

知識を増やしても何もならないのである。

実際にいくつやってみるかが問題であり、

やった上で、自分に効果があるか検証し、

さらに他の自己啓発本に手を伸ばす、

勉強し続ける「習慣」を身に付けることが目的なのである。

では、何を取り入れてやってみたかと言うと、

「勝間式勉強法の神器」
①無線 LAN つきのノートパソコン
②MP3(MD)プレーヤー
③速読術
④親指シフト
⑤マインドマップ

とりあえず②と⑤を導入し、それなりの効果あり。

「勉強の内容」としては、

英語 (TOEICのための勉強を始めたが挫折した)
会計 (勝間さんの本を含め読み始めた)
IT  (エキスパートには程遠いが重要性を認識した)
経済 (日経だけでなく本も読み始めた)
転職 (これに一番注力しているかも)
資産運用 (投資信託の積み立てを始めてみた)

予想通りというか、英語は相変わらず挫折してしまった。

けど、その後に勝間さんの紹介してくれる本を

何冊か読んでとても得した気分。

これらのことが常識だった人には、つまらないこと

かもしれないけれど自己啓発をなんとなく避けていた

自分には何でも効果があり楽しい。感謝、感謝。

ブログも珍しく続いているしねぇ。

【目次】(「BOOK」データベースより)
年収10倍アップ勉強法―基礎編(なぜ勉強するのか?/なぜ勉強が続かないのか?まずは道具を揃えよう/勉強の基本的なコツを知る/目でする勉強―本・新聞・雑誌・ネット/耳でする勉強―オーディオブック・音声コンテンツダウンロード/目と耳でする勉強―セミナー・DVD/学校に行ってみる/基礎編のまとめ―「勉強の仕組み」を投資しながら組み立てる)/年収10倍アップ勉強法―実践編(何を勉強すればいいのか?/英語―めざせ、TOEIC八六〇点/会計―「さおだけ屋」を超える知識とは?/IT―みんなに頼られるエキスパート/経済―日経新聞の裏を読める/転職―身につけたものをお金にしよう/資産運用―勉強内容が収入に直結する/さぁ、スケジュール帳に予定を入れましょう)

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2010年8月14日 (土)

マーク・ダグラスさんの『ゾーン』を読んでみた

ダグラスさんの『ゾーン 相場心理学入門』を読んでみた

 (5つが最高)

この本の全体を評価するならマークは3つだが、

部分的には5つを付けてもいい箇所が多数ある。

ただ残念なことに翻訳のせいか原著がそうなのか

回りくどい表現が多く、例えもピンとこないものが多い。

日本にこのレベルの本を書ける人がいないので

仕方がないが、もっと上手い表現はいくらでもあると思う。

しかし、1度は読んでおいて損のない1冊である。

まず、「ゾーン」をあえて訳すなら「明鏡止水の境地」と

訳者も評しているとおり、「悟り」に近いような簡単には

手に入らない心理であることを前提にすること。

その上で論理の展開は実に簡単である。

ファンダメンタル分析は「材料として他のトレーダーを

考慮していない」ので上手くいかないとし、

トレーダーは「感情的要素」に反応し

「必ずしも論理的に動くわけではない」という。

テクニカル分析は「トレーダーが優位性を手にする

可能性を、ほぼ際限なく提供してくれる」とし、

その優位性を生かすには心理分析が必要だという。

この本を読んで感じることは一般社会での成功者は

トレードでの成功者になることが難しいということだ。

なぜなら、「優位性」に対する対応の仕方が違うからだ。

社会の成功者は努力が報われた結果であることが多く

「優位性」の確率を上げるために努力する。

どちらかと言えばマーケットを分析しファンダメンタルを

重視することにより合理的に行動する。

しかし、それではトレードの成功者には

なれないというのがこの本の主張するところなのだ。

トレードでの成功者は「優位性」があることが分かったなら

その優位性を生かし、ただひたすらに、それこそ機械的に

トレードを繰り返すことにより利益を積み上げていくのである。

10回やれば6回勝つなら、4回負けていいのである。

10回やって1回しか勝たなくても、その1回が

9回の負けを取り戻してお釣りがくるなら、

その取引を何度も何度も繰り返すのである。

このとき負けの回数を減らそうとするのではなく

負けてもそのことに感情を左右されないようにすることが

ゾーンにいたるということであり、成功するということである。

けれど、この「感情面のリスクを排除する」というのは難しい。

それでもトレーダーとしての成功の道を歩みたい人へ

トレードに適した確率的心構えを身に付ける上で

欠くことのできない根本的真実を5つ紹介しておく。

①何事も起こりえる。
②利益を出すためには次に何が起こるか知る必要はない。
③優位性を明確にする一定の可変要素には、
 勝ち負けがランダムに分布する。
④優位性があるとは、あることが起きる可能性がもう一つの
 可能性よりも比較的高いことを示しているに過ぎない。
⑤マーケットのどの瞬間も唯一のものである。

詳細は本を読んでいただくとして、

ここまでのことを考えると私がトレードで

成功しない理由がはっきりとしてくる。

私は一般社会ではまったく成功していないが

それでも成功しようとして努力を続けてはきたつもりだ。

私は完璧主義ではないが負けが多いことには耐えられない。

感情的要素に反応し、論理的でない行動さえしてしまう。

ゾーンの心境にはなかなか到達できそうにない。

けれど諦める必要もないのかもしれない。

マーケットはいつでも開いているのだから。

最後に、第2章に紹介されているランダムな報酬にのめりこむ

サルの話が私のことでないことを祈るばかりだ。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 成功への扉―ファンダメンタル分析か、テクニカル分析か、それとも心理分析か
第2章 トレードの誘惑(そして落とし穴)
第3章 責任を取る
第4章 一貫性―心理状態
第5章 認識の力学
第6章 マーケットの観点
第7章 トレーダーの優位性―確率で考える
第8章 信念の役割
第9章 信念の性質
第10章 信念がトレードに及ぼす影響
第11章 トレーダー的思考法

ゾー...

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2010年8月13日 (金)

吉本佳生さんの『金融工学 マネーゲームの魔術』を読んでみた

吉本さんの『金融工学 マネーゲームの魔術』を読んでみた

 (5つが最高)

金融工学と言えば吉本さんから学ぶのが一番と思い

この本を手にしてみたのだが、今回は少しこちらの

期待していたものとは異なっていたので

評価を下げざるを得なかった。

私は単純に金融工学のエッセンスを学び

それを自分の投資に生かせないかとの目的だったが、

この本はそのような目的に答えてくれるものではなかった。

では、何について書かれていて、何が学べるかということだが、

端的に言ってしまえば、金融工学は万能ではないということ。

肝腎なことは「確率分布」や「標準偏差」という統計学を

金融の世界に持ち込んだことの意味は分かるが、

それは良く言っても近似値でしかなく、

もっと分かりやすく言えば、まったく株価のデータとは違う

確率分布を用いて便宜的に計算しているだけだということ。

ノーベル賞を受賞したことで有名なオプション・プレミアムの

計算公式であるブラック=ショールズ式について、

吉本さんは「計算が手軽なのは、株価の予想の

一番難しいところを隠してしまっている」と解説しています。

結局、当然のことではあるが私たちが株式投資をする際に

金融工学を用いて必ず儲けるということは不可能なのです。

順番は逆になったが、金融工学とは何かについて、

この本はとても明快な定義をして見せてくれているので

それも学べることのひとつとして紹介させてもらう。

まず、資産運用の戦略には次の3つがある。

①正統派=ファンタメンタルズ分析
②実践派=チャート分析・テクニカル分析
③策略派=株価が上昇しても下落しても儲けられるよう工夫する

そのうちの③が金融工学と呼ばれるものであり、

金融派生商品(デリバティブ)を組み合わせることにより

市場のスキ(歪み)を突こうというサヤ取り戦略である。

サヤ取りということは、他の誰も気づかないうちに

その歪みを利用して儲けようということだから、

できるだけ早くポジションを取ったものが勝ちという世界である。

今であれば外資系の金融機関がコンピュータを駆使し

ものすごい速さで大量の注文を発注することでのみ

可能な世界となってしまっているようだ。

まあ、私たちはその大量発注から生じる歪みによって

儲けるチャンスを得られるのかもしれないが

実際には夢のまた夢というところであろうか。

(ニューヨークの株式の誤発注から為替が大きく動いた
と言われたときもコンピュータ売買による弊害と騒がれた)

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 金融のリスクを考える
第2章 ポートフォリオ理論の本質
第3章 デリバティブとは何か?
第4章 ブラック=ショールズ式を検証する
第5章 金融工学でカネ儲けはできるのか?

金融工学マネーゲ...

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2010年8月12日 (木)

マルコム・グラッドウェルさんの『天才!』を読んでみた

グラッドウェルさんの『天才! 成功する人々の法則』を読んでみた

 (5つが最高)

勝間和代さんが推薦し、翻訳も手がけているため

アンチ・カツマーにはあまり評判が良くないようだが、

私はこの本の内容に気づかされる点が多かったし、

翻訳も別に悪いとは思わなかった。

特に翻訳については、勝間さんの他のものも読んでいるが

この本については、この程度で充分だという気がする。

まあ、私が比較している翻訳は、フランス現代思想の

難解な文章の訳となので、もとの文章の性質が

違うということもあるだろうが。

内容については、誕生日の違いによるマタイ効果や

一万時間の法則など、とても興味深かった。

これは、天才といわれる成功者には、

身体能力の高さやIQの高さといった

持って生まれた才能以外に偶然と思われるような

外的要因や、一定以上の努力の時間が必要だとするものだ。

また、時代や文化による制約も受けるという。

このことをもってして、では私たちに何ができるのかと

問うことは容易であるが、そのことの答えは

この本の中にきちんと示されているように思う。

しかし、えてして犯しがちな過ちは次のようなものではないか。

①天才でさえ様々な外的制約から自由でないなら
 私たちはどんな努力をしても無駄ではないのか。
 (時代や文化をわれわれは選べないので努力は無駄)

②外的制約が同一であってもすべての人が成功する
 わけではないのだから結局才能によるのではないのか。
 (才能がなければどんな努力も結局は無駄)

この2つの考えは、特に今、自信を失っている

若い世代に多いのかもしれないが、

この本に示されていることはそのようなことではない。

もし、自己啓発本としてこの本を読もうとするなら

引き出す結論は、あえて言うなら、一万時間かけて

物事に取り組んでみろということであり、

文化的な制約を認識し、それを克服しようということになる。

しかしこの本は、そのような読み方だけではなく、

もっと別の読み方をされることを望んでいるのではないだろうか。

グラッドウェルは次のような言葉を記している。
「よりよい世界を築くためにわれわれに求められることは、
成功者を決める幸運や気まぐれな優位点、タイミングのいい
誕生日や歴史の幸せな偶然の代わりに、すべての人間に
好機を与える社会を築くことだ」

対象は「自己」ではなく、「社会」なのではないだろうか。

まあ、社会が変わるまでには時間がかかるので、

勝間さんのように子供を生む際に優位になるように

誕生日を上手く調節するというのも1つの考えだろうけれど。

【目次】(「BOOK」データベースより)
プロローグ ロゼトの謎─ロゼト住民の死因は、老衰だけだった!
第1部 好機(マタイ効果─誰でも、持っている人は更に与えられて豊かになるが、持っていない人は持っているものまでも取り上げられる(マタイによる福音書25・29)/一万時間の法則─僕たちはハンブルクで、一日八時間も演奏しなければならなかった/天才の問題点その一─たとえ、ある男子生徒のIQがわかったとしても、クラスの全員が利発な少年だった場合には何の役にも立たない/天才の問題点その二─長引く話し合いの結果、ロバートは謹慎処分となった ほか)
第2部 「文化」という名の遺産(ケンタッキー州ハーラン─男らしく死にな。兄さんと同じようにね!/航空機事故の“民族的法則”─機長、気象レーダーがおおいに役立っています/「水田」と「数学テスト」の関係─一年三六〇日、夜明け前に起きた者で、家族を豊かにできなかった者はいない/マリータの取引─いまではお友だちは全部、KIPPの子たちだけです ほか)
エピローグ ジャマイカの物語─幼いカラードの跡継ぎが生まれたら、その子は自由の身にしてもらえる

天才...

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2010年8月11日 (水)

藤巻健史さんの『藤巻健史の実践・金融マーケット集中講義』を読んでみた

藤巻さんの『藤巻健史の実践・金融マーケット集中講義』を読んでみた

 (5つが最高)

収入も増やせそうにないし支出ももう削れないとなれば

資産の運用利回りを上げるしかないということで

少ない蓄えを銀行預金よりは何とか増やせないかと

長年にわたり株式投資や投資信託などをやってきたが

まったく効果がないどころか損ばかりしてしまう。

これでは駄目だと思い別の投資対象を探してみるが

仕事で得られる知識を使ってどうにかなりそうなものは

もうすでにやって駄目だとわかっている。

それであれば仕方がないので新たに勉強して

FX(外国為替証拠金取引)でもやってみるかと

取り組んではみたものの、そんなに上手くいくわけもなく

あっという間に資金も底をつき、勉強代と言い訳するには

あまりにも何も残らなかった今回の投資を反省すべく

読み始めたのがこの本だった。

FXのやり方や成功者の書いたと思われる本の類は

いろいろ読んで参考にしたりしたけれど

やっぱり自分には投機性が強くて真似しきれない。

株式投資をやっていたときもそうだったけれど

結局、「上がる銘柄」とか「1年で1億円」のような本からは

どうも自分は相手にされないようです。

最後に行き着くのは財務諸表の見方とか

証券投資を含めた経済全般だとかの本に行き着き

なんとなく高い授業料を払って知識を得て

仕事の中で少しづつ損を取り戻している気になってお仕舞い。

今回も懲りずに同じパターンだったけど、

まあ当分は、おとなしくしてろってことで

こうしてブログにせっせと読んだ本の記憶を呼び出すための

フック作りに精を出すことに。

もともと2002年に上下2巻で発売されていたものだけれど

上巻の『為替と金利はなぜ、いつ動くか編』はとても参考になった。

下巻の『現場で使えるデリバティブ、スワップ編』は

その当時は難しくて理解できなかった。

今回新書版を読んでみて、その後の知識の補充により

若干、理解できるようになっていたけれど

実際にマーケットでやってみないと本当の理解は難しいのかも。

藤巻さんがお弟子さんのような後輩から

いろいろと現状を教えられているところなども

まったく省かずに書かれているところが印象的。

伝説のトレーダーといえどもいつまでも第一線で

何でもかんでも知っているということではないのだと

改めて厳しいプロの世界であることを認識させられる。

素人の自分のようなものが出し抜いて儲けられないのも納得。

ちなみに藤巻さんはチャート嫌いらしく、

FXの成功者がチャートを重視する傾向にあるのとは

まったく真逆のスタイルなのも考えさせられる。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 為替のマーケット(為替とは何か/マーケットの参加者 ほか)
第2章 短期金融マーケット(日銀/日銀はなぜ偉い ほか)
第3章 長期国債マーケット(長期金利はなぜ動くか/国債マーケット基礎用語 ほか)
第4章 金利スワップマーケット(金利スワップマーケット/金利スワップを利用する ほか)
第5章 オプションマーケット(オプションとは何か/運用と調達の考え方 ほか)

藤巻健史の実践・金融マー...

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2010年8月10日 (火)

勝間和代さんの『自分をデフレ化しない方法』を読んでみた

勝間さんの『自分をデフレ化しない方法』を読んでみた

 (5つが最高)

当時の菅大臣との対決で始まるこの本は日本の経済問題を

考える上では格好の入門書だと思います。

勝間さんは「デフレだから希望がない」と断言し、

その理由を述べていますが、富裕層における

デフレのメリットは書かれていません。

もちろん私は富裕層ではないのでメリットを享受しませんが、

逆にインフレにしようと言うときの、インフレのデメリットについても

あまりないかのような展開には疑問があります。

また、インフレターゲットの導入については

私の好きな経済学者のポール・クルーグマンも

提唱していたので、そのような考え方もあるのでしょう。

けれど日銀はこれまでの歴史から、そう簡単に

インフレターゲットを導入するとは思えません。

私は政府による円安誘導が日本経済を好転させると考えますが

その結果、若干インフレになる程度で、その後

景気は安定していくように思います。

これは日本企業の技術革新が進み、

今後は良いものが安く作れるようになり、

デフレ傾向はなかなか改善しないだろうと考えるからです。

勝間さんの言うインフレのほうがデフレよりも良いのだという

考え方そのものには考えさせられる点が多いのも

事実ですが、インフレやデフレというのは簡単に

政府や日銀が作り出せたりコントロールできたりするのでしょうか。

最後に、デフレ時代のサバイバル術のひとつに

「どこでもよいから正社員就職する」というものを挙げているが、

これは「会社に人生を預けるな」という主張と矛盾しない。

なぜなら正社員就職の先に転職を見据えており

一時しのぎの策であることが明らかだからだ。

ただ、デフレでもインフレでも正社員就職したいという人は

多いだろうが、ブラック企業でもよいというのは過激すぎでは。

まあ、批判的にであれなんであれ、この本のレベル程度には

日本経済について考えていないと、

どこの会社でもやっていくのは厳しいという意味で

ぜひ読んでみていただけたらと思います。

(私もインフレターゲットを採用している国が多いことを
この本を読んで知った程度なので偉そうには言えませんが)

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 デフレだから希望がない(デフレはなぜ怖いか/デフレだからクビになる ほか)
第2章 デフレ時代のサバイバル術16カ条(まずは収入の2割を貯める/蓄財は投資信託を活用する ほか)
第3章 経済知識ゼロでもわかるデフレ(デフレとは何か/デフレとデフレスパイラルの違い ほか)
第4章 こうやってデフレを退治しよう(インフレは悪なのか/インフレターゲットはどうやる ほか)
第5章 もっとお金を配ろう(再分配がなぜ必要か/教育バウチャーの配布 ほか)

自分をデフレ化し...

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2010年8月 9日 (月)

橘玲さんの『得する生活 お金持ちになる人の考え方』を読んでみた

橘さんの『得する生活 お金持ちになる人の考え方』を読んでみた

 (5つが最高)

橘さんは『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』で

金持ちの方程式は、「資産形成=(収入-支出)+(資産×運用利回り)」

であり、収入を増やすための方法か、支出を抑えるための方法か、

運用利回りを上げる方法以外(またはその組み合わせ)に

この手の本で紹介することがないことを喝破していたが、

今回の『得する生活』は、どちらかというと支出に関する本だろうか。

例えばクレジットカードを使いポイントによって支出を抑えたり

マイレージを貯めることによってお得にハワイ旅行ができたり。

あるいは、安く不動産を手に入れる方法や借金の利息を

無駄に多く払う人たちがいることへの考察など。

情報が古くなってしまっているので現在ではその超過利潤の

恩恵を受けることが難しいものも多いが、

その考え方を知ることや、現在までの流れを知っている者が

少し前の過去において存在していたお得な世界を

きちんと認識していたかどうかを確認するのには

とても参考になる1冊だと思います。

そしてもし知らずにいたことがあるようなら

橘さんの最近の作品にも目を通してみると良いと思います。

もちろん、本当にお金持ちになれるかどうかは別ですが。

【目次】(「BOOK」データベースより)
序章 経済合理的に考えるヒント(覚醒剤を合法化しよう/福祉社会は差別社会である ほか)
第1章 クレジットカードが世の中のカラクリを教えてくれた(タイムマシンに乗って未来からお金がやってくる/常識として知っておきたいクレジットカード ほか)
第2章 借金から経済の秘密が見えてくる(経済合理性では行動しない人々/金を借りることはプライバシーを捨てることである ほか)
第3章 素晴らしきリゾート生活(タダでリゾートマンションを買う方法/不動産とプライバシー ほか)

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2010年8月 8日 (日)

村井哲之さんの『コピー用紙の裏は使うな!』を読んでみた

村井さんの『コピー用紙の裏は使うな! コスト削減の真実』を読んでみた

 (5つが最高)

コンサルタント嫌いの私ではあるが、

社内のコピー用紙の裏を使う提案になんとなく

疑問を感じていたので読んでみました。

結果は思っていたとおりのことが書かれており

逆にコピー用紙の裏を使えと提唱している人の

根拠が聞きたくなるほど。

他にも「人件費節約が最も効果的なコスト削減策」や

「事務用品はカタログで一括注文せよ」などが

嘘であることがとてもわかりやすく書かれています。

私のいる会社が、この本に出てくる間違いのほぼ全てを

実行しており、ほぼ書かれているとおりの悪い結果に

なっていることからも信頼に足る内容だと思います。

世の中にはこんなに便利な本があるのに

読まない経営者は多いんですよねぇ。

リストラと称して首切りをし、魅力がなくなった会社から

有能な人材が流失していくことの愚かしさ。

一時的には前年に会計処理により多くの損失を出しているので

翌年は誰がやっても黒字化するのは当たり前。

けれどその次の年はボーナスをもらった社員が

転職活動に忙しくて会社の業績どころじゃないからまた赤字。

リストラを行った幹部は一度黒字化を達成しているので

責任を問われることはないまま。

人件費節約を安易に言い出す経営者なんて使うな!

と言いたいサラリーマンは多いはず。

経費削減策を任されている社員は読む価値あり。

【目次】(「BOOK」データベースより)
序章 そんなコスト削減なら、しない方がましだ!
第1章 “正しいコスト削減”ができると何が起きるか
第2章 これってやっていませんか?間違いだらけのコスト削減シンドローム
第3章 “敵は社内にあり”ウチの会社のコストが下がらない理由
第4章 組織は永遠にコスト削減し続けなければならない。コスト削減の真の目的
第5章 “正しい”コスト削減の五つのステップ
第6章 ザクザク減らせる!価値ある契約&交渉ナレッジ
第7章 すべての解は“現場”にある。これで「現場力」は爆発する
第8章 ヒントがいっぱい!コスト削減の成功事例集

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2010年8月 7日 (土)

山田真哉さんの『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』を読んでみた

山田さんの『さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学』を読んでみた

 (5つが最高)

評判の良いベストセラーであったにもかかわらず

読んだのが最近になってからだったのは

多くの人が興味を引かれたというタイトルが

逆に私にはピンと来なかったから。

多くの著作者が作品の内容も大事だがタイトルによって

売れるか売れないかが決まるというのを目にするが

私はそんなことが本当にあるのだろうかと懐疑的だ。

現にこの本は会計の考え方を学ぶには格好の入門書で

あるにもかかわらず、サブタイトルまで目を通さないと

何について書かれているのかさえわからない。

(私は、なぜ騙されてしまうのかという心理学の本だと思っていた)

しかし、その内容は普段会社勤めをしていても

あまり会計について知る機会のない者にとっては

とても新鮮な内容であると思う。

さおだけ屋が潰れない理由に納得しない人でも

会計学の考え方には納得させられるはずである。

この本のみで会計学を理解することは当然無理だが

山田さんの本を何冊か読んでいけば会計の知識が身に付き

自分の中に新しい視点が生まれることを感じさせてくれる。

そういう意味では山田さんの入門書としても良いのかもしれない。

(文庫版の「女子大生会計士の事件簿」シリーズの表紙の絵は
サラリーマンが本屋のレジに持っていくには勇気がいるので
山田さんの本の内容を気に入った人でないと厳しい気がする)

このブログでは芋ずる式に本を紹介することにしているので

読んだ順に紹介する場合と、その順番で読んだほうが

わかりやすいと思って、あえて順番を組替える場合があるが、

山田さんの本ではこの本が最初に読んだ本であり

読む順番としてもこの本からがいいのではないかと思う。

【目次】(「BOOK」データベースより)
1 さおだけ屋はなぜ潰れないのか?―利益の出し方
2 ベッドタウンに高級フランス料理店の謎―連結経営
3 在庫だらけの自然食品店―在庫と資金繰り
4 完売したのに怒られた!―機会損失と決算書
5 トップを逃して満足するギャンブラー―回転率
6 あの人はなぜいつもワリカンの支払い役になるのか?―キャッシュ・フロー
7 数字に弱くても「数字のセンス」があればいい―数字のセンス

さおだけ屋はなぜ潰れ...

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2010年8月 6日 (金)

吉本佳生さんの『ニュースと円相場から学ぶ使える経済学入門』を読んでみた

吉本さんの『ニュースと円相場から学ぶ使える経済学入門』を読んでみた

 (5つが最高)

本当はマークを5つ付けても良いくらい、ためになる為替の本だが

出版が2000年3月なので1999年1月1日から決済通貨として

導入されたユーロについて記述がない点がマイナス。

しかし、ドル円相場についての知識を身に付けるためには

これ以上良いテキストはないというくらいの1冊。

吉本さんは、最近の経済学の解説本など、その活躍ぶりも含めて

私が最も信頼している経済学者(エコノミスト)。

実はこの本を読むのはすでに3回目で、

1回目は株式投資にはまっていた頃で経済の勉強目的。

2回目は仕事柄、為替や経済について勉強しなおす必要から。

そして今回の3度目は、FXの取引の参考にするため。

結局のところ株とFXでは儲からなかったが、

別にこの本が悪いわけではない。

経済に関する予測は、そのときのさまざまな状況によって、

まったく逆の結論になってしまうことを

この本によって学んだにもかかわらず、

自分の願望をこめて勝手な予測に基づき

ポジションを取り続けたから儲からなかっただけだ。

仕事ではきちんと役立ったのでリストラされずに

まだ職にありつけているのだから感謝感謝。

欲を言えば、最新の為替に関する本を吉本さんに

お願いしたいところではあるが、

この1冊を読めば普段の経済ニュースで

ドル円に関しては不自由しなくなるはずなので、

ぜひ読んでみていただきたい。

【目次】(「BOOK」データベースより)
講義の部 基本の五問を解きながら考えよう(五つの問い/アメリカの物価が上がると、ドルは高くなる?/日本の景気がよくなると、円は高くなる?/なぜ、円相場は不安定なのか/アメリカの金利が上がると予想されると、ドルは高くなる? ほか)/実戦の部 30問を解いて実力を養おう

ニュースと円相場から学ぶ使...

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2010年8月 5日 (木)

ロバート・キヨサキさんの『金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント』を読んでみた

ロバート・キヨサキさんの『金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント』を読んでみた

 (5つが最高)

『金持ち父さん貧乏父さん』の続編となるシリーズ第2弾。

今回は「クワドラント」という聞きなれない言葉からすべてが始まっていく。

「クワドラント」とは、円を4分割したものという意味であるらしく

その前にキャッシュフローを付けることによって、

その人のお金の流れを把握し、経済的な立場を分類してみせてくれる。

まず、E(従業員)とS(自営業者)、B(ビジネス・オーナー)とI(投資家)の

4つから「キャッシュフロー・クワドラント」ができていることを示す。

それぞれのクワドラントに属する人のお金に対する考え方の違いから、

EやSからBやIのクワドラントに移っていくことの重要性について書いている。

ここでもやはり経済的に成功するためには起業してBになり

会社を通じて投資をすることにより成功することができるとされている。

確かに自分があくせく働くだけのEやSよりも、

お金にも働いてもらうBやIの方が金持ちになる確率が高いことは理解できる。

しかし、誰もが起業して成功するわけではないことも事実だ。

けれど何もしないでも状況は良くはならない。

誰でも今すぐにできることは、やはり「ファイナンシャル・リテラシー」を

きちんと身に付けることなのだ。

今回もやっぱり投資の勉強の大切さを感じさせてくれる。

「金持ち父さん」シリーズはどれを読んでも損はない。

まあ、大切なので同じことが繰り返されているのは当然だから

シリーズ全部を読む必要はないようだけれど。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1部 クワドラントの右側か左側か(私があえてホームレスになったわけ/クワドラントが違えば人間も違う/人はなぜ自由よりも安全を求めるのか ほか)
第2部 最高のあなたを引き出す(なりたい自分になる/どうしたら金持ちになれるか/銀行そのものになれ)
第3部 クワドラントの右側で成功するために(まずはヨチヨチ歩きから/ラットレースから抜け出すための七つのステップ)

金持ち父さんのキャッシュフロ...

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2010年8月 4日 (水)

勝間和代さんの『会社に人生を預けるな』を読んでみた

勝間さんの『会社に人生を預けるな』を読んでみた

 (5つが最高)

アマゾンなどのレビューなどを見ると、勝間さんへ向けられる

批判の厳しさには、尋常でないものを感じる。

しかし、本当にそのような切り捨て方でよいのだろうか

という視点で、このブログでは自分にとって有益な点が

あったかどうかで評価を段階付けて、

読むべきものと読まなくても良いものを

選別する参考にでもしていただければと思っている。

この本では、リスクリテラシーを高めるために

国レベルで行う3つの提言がなされている。

①源泉徴収・年末調整制度の見直し
②道州制の導入
③終身雇用制の緩和

中でも、さまざまなリスクの根底にあるのが、

「終身雇用制度」であると主張している。

これまで以上にリスクにさられている日本の現状、

特に政治の停滞・経済の停滞・労働問題の

解決策を探れば探るほど、その最大の原因は

「終身雇用制度」に問題の核心があるとする。

どうしてかという部分は、この本の中心をなしているので

各自で読んでいただきたいと思うが、

この主張には明らかなタイミングの悪さと

勝間さんの経歴への嫉妬から来る反発が

強烈な批判を形成してしまっているように思う。

世間では非正規社員の雇用問題をどうするか、

どうしたら正規社員になり下流から抜け出せるか、

リストラされないためにはどうしたらいいのか、

ということが話題になっているのである。

勝間さんの『無理なく続けられる 年収10倍アップ勉強法』が

売れたのも、年収を10倍にするためというよりは

いかにすればリストラされない優秀な社員になれるのか

という涙ぐましい努力の1つの指針であったはずなのだ。

確かに『金持ち父さん』シリーズでもサラリーマンのままでは

金持ちにはなれないので、起業することが薦められている。

勝間さん自身も起業して雇われない生き方を選択できているので

「終身雇用制度」に諸問題の原因があると考えているのだろうが、

事実そうだとしても、サラリーマンにとっての最大のリスクは

やはり目先のリストラなのだ。

社会が良くなる前に自身の生活が改善しなければ

やっていけないというサラリーマンは多いはずだ。

ましてや能力の高くない人間にとって

終身雇用制の緩和は明らかに劇薬だ。

勝間さんが本当に社会を良く変えていこうと考えているのなら、

平均からそれ以下の人(要するに社会の半分の人)に

いかに自説を納得してもらえるかが課題になってくるように思う。

【目次】(「BOOK」データベースより)
プロローグ リスク・リテラシーと終身雇用制
第1章 会社に人生を預けるな(終身雇用制は現代の小作農、または奴隷制/終身雇用制とワーク・ライフ・バランス/さまざまな歪みの原因/女性は働きにくく、若者は報われない)
第2章 リスク・リテラシーを磨く(なぜ、貯蓄から投資が進まないのか/日常生活に潜むリスク/リスクは常に偏在する)
第3章 「お上」に人生を預けるな(「お上」中心主義/日本の巧みな支配構造/現代資本主義が抱えるリスク/リスクを予見する能力)
第4章 21世紀のパラダイムシフト(人生はコントロールするもの/日本が導入すべき三つのもの/よりよく生きるために/問題解決の鍵)
エピローグ リスクを取る自由 ※参考文献、及び推薦図書

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2010年8月 3日 (火)

橘玲さんの『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』を読んでみた

橘さんの『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方
― 知的人生設計入門
』を読んでみた

 (5つが最高)

ロバート・キヨサキさんの『金持ち父さん』シリーズに対して、

日本では法律や税制などが違うので通用しないとの立場らしく

冒頭で『金持ち父さん』の要約を試み、

ロバート・キヨサキさんのハワイでの不動産投資が成功したのは

バブル当時の日本人がハワイの不動産にまで手を出した

からであり、そのような特別なことがなければ

破産していたことは間違いないだろうとしている。

そして、その日本のバブルに助けられた不動産投資家が

日本人に対して金持ちになるための方法を

伝えていることを皮肉と捕らえている。

このことは要約に若干の違和感はあるものの

大筋では間違いではなく、

さらに日本でも『金持ち父さん』シリーズが

ヒットしたことにより、今度は日本の貧乏人が

ますますロバート・キヨサキさんをお金持ちにしているという

笑えない構図が出来上がってしまった。

しかし、この本を読めば、不動産投資をしなくても

起業したりベストセラーを出したりしなくても

黄金の羽を拾えるかもしれないと思わせてくれる。

確かに『金持ち父さん』シリーズより、

実践的で日本の状況に対応していることは間違いない。

ただ、それでも情報が古くなってしまっていることは

仕方がないと思って、その考え方を学び

新しい情報は自分で手に入れるようにしなければならない。

また、「海外投資を楽しむ会(AIC)」創設メンバーであるため

海外志向が強く、日本に税金を納めないようにする

工夫の数々はいろいろなことを考えさせてくれる。

確かに税金を払わなくて良いのなら

お金持ちになるスピードは早くなることは確実だ。

しかし、それで本当によいのかどうかは

各自の価値観にゆだねられているということか。

そういえば、『金持ち父さん』シリーズでも

法人化をして節税することが説かれていたっけ。

【目次】(「BOOK」データベースより)
Introduction 人生は一度しかない。だから近道を行こう!
1 人生を設計するための知識
2 人生の大きな買い物
3 惜しみなく奪われる人々
4 黄金の羽根の拾い方
5 税金について知りたい本当のこと
6 もうひとつの人生
Epilogue 新宿中央公園のホームレス

お金持ちになれる黄金の...

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2010年8月 2日 (月)

ロバート・キヨサキさんの『金持ち父さん貧乏父さん』を読んでみた

ロバート・キヨサキさんの『金持ち父さん貧乏父さん』を読んでみた

 (5つが最高)

勝間さんが『無理なく続けられる 年収10倍アップ勉強法』で

お薦めの投資の本として紹介していたので

どんな内容なのか興味があったが、

普通の投資の指南書というのとはちょっと違っている。

最も違っているのは、普通の指南書が株式投資など

投資そのものをすぐにやりたくなるものだとすると

この本は投資について勉強したくなるということだ。

書かれている内容そのものは、ある種の成功談だが、

住宅ローンによる持ち家の購入などは資産購入ではなく、

逆にお金を払わなくてはいけないので負債であるという

考え方などは、至極真っ当な考え方だと思う。

自宅は売却しなければ、いくら市場価値が下がっても

住居としての役割を果たすので減価償却などする必要がなく、

たとえ家賃相当額のローンの支払いで購入できるといっても

それほどお得な買い物ではない。

それでもマイホームを購入するのは、経済合理性とは別の話だ。

ロバート・キヨサキさんのように起業して成功したり、

不動産投資に簡単に成功してしまったりというのは

作り話ではないにせよ、正直なところ明日から

自分も始めてみようという気にはならない。

それでも投資の勉強を始めようという気にはさせてくれる。

成功談が単純明快なこともその理由のひとつだと思うが、

何より元気のよさが伝わってくるので

自分も頑張ろうという気にさせてくれるのである。

「金持ち父さん」シリーズを読み進めていくと

実はこの1冊目の後に挫折を経験していることや

実の父の貧乏父さんが亡くなってから

本を出すまでにある程度の時間を置く必要があったことなど、

人間性を垣間見させてくれるエピソードも紹介されている。

拝金主義と批判することは簡単だが、

お金について考えてみることが大切なのも

また事実であるだろう。

さまざまなことを学んでいく際のレバレッジとしては

なかなか面白い1冊だと思う。

【目次】(「BOOK」データベースより)
教えの書(金持ち父さん、貧乏父さん―ロバート・キヨサキが語ったこと/金持ち父さんの六つの教え/金持ちはお金のためには働かない/お金の流れの読み方を学ぶ ほか)
実践の書(まず五つの障害を乗り越えよう/スタートを切るための十のステップ/具体的な行動を始めるためのヒント)
エピローグ たった七千ドルで四人の子供を大学に行かせた男の話

金持ち父さん貧...

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2010年8月 1日 (日)

勝間和代さんの『お金は銀行に預けるな』を読んでみた

勝間さんの『お金は銀行に預けるな』を読んでみた

 (5つが最高)

金融リテラシーを身に付けるための最初の1冊としては

これで充分という気もするが、少しでも勉強したことがある人や

投資経験のある人には物足りない内容だと思う。

勝間さんに対する世間の評価はいろいろあるが

生き方を真似るかどうかは別として

そのスキルから今の自分が必要としているものを

選択して身に付けるということは決して悪くない。

では、どのような選択が良いのかだが、

それはその個人個人の置かれている状況によって

当然違ってくるだろう。

例えば、この『お金は銀行に預けるな』について言うと、

投資未経験者であれば、次のアドバイスは参考になる。

①分散投資(まずはノーロード型の投資信託)
②年間5%のリターンで上出来
③投資の世界にタダ飯はない(ノーリスクはない)
④投資にはコストと時間が必要
⑤管理できるのはリスクのみ、リターンは管理できない

しかし、投資経験者であれば、その経験の違いから

当然これには反論がある点も出てくる。

①についてだけでも、『金持ち父さん貧乏父さん』などには

不動産に偏った投資の成功例が紹介されているし、

分散したくともそれほど資金のない人は多いはず。

ただ、この本が出版された2007年からの状況をさして、

投資信託では損が出たから銀行預金のほうが

良かったじゃないかというのはナンセンス。

投資信託でも儲けた人は必ずいるからだけではなく、

銀行預金にはハイリスク・ローリターンという

バブル崩壊後の悲惨な商品特性があるからだ。

ところで、なぜいまさら、この本を取り上げたかというと

ただ単純に勝間さんに影響されて、

久しぶりにブログを更新したくなったからだ。

勝間さんのようにはなれないが、(なりたくないわけではない)

勝間さんの本を批判的に読めないようでは

社会人として今まで何をやっていたのかという想いもあり、

それでもなお、取り入れるべき点があれば

積極的に取り入れていこうと、思っております。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 金融リテラシーの必要性
(金融リテラシーとは/日本の家計における“リスク資産”の割合 ほか)
第2章 金融商品別の視点
(分散投資(アセット・アロケーション)を理解する/見かけ上のリスクと本当のリスク ほか)
第3章 実践
(円高と円安、どっちがどっち?/「じゃんけん理論」と「チャート分析」 ほか)
第4章 金融を通じた社会責任の遂行
(資本主義の二つのほころび/「小さな政府」路線の結果 ほか)

お金は銀行に...

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