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2010年8月14日 (土)

マーク・ダグラスさんの『ゾーン』を読んでみた

ダグラスさんの『ゾーン 相場心理学入門』を読んでみた

 (5つが最高)

この本の全体を評価するならマークは3つだが、

部分的には5つを付けてもいい箇所が多数ある。

ただ残念なことに翻訳のせいか原著がそうなのか

回りくどい表現が多く、例えもピンとこないものが多い。

日本にこのレベルの本を書ける人がいないので

仕方がないが、もっと上手い表現はいくらでもあると思う。

しかし、1度は読んでおいて損のない1冊である。

まず、「ゾーン」をあえて訳すなら「明鏡止水の境地」と

訳者も評しているとおり、「悟り」に近いような簡単には

手に入らない心理であることを前提にすること。

その上で論理の展開は実に簡単である。

ファンダメンタル分析は「材料として他のトレーダーを

考慮していない」ので上手くいかないとし、

トレーダーは「感情的要素」に反応し

「必ずしも論理的に動くわけではない」という。

テクニカル分析は「トレーダーが優位性を手にする

可能性を、ほぼ際限なく提供してくれる」とし、

その優位性を生かすには心理分析が必要だという。

この本を読んで感じることは一般社会での成功者は

トレードでの成功者になることが難しいということだ。

なぜなら、「優位性」に対する対応の仕方が違うからだ。

社会の成功者は努力が報われた結果であることが多く

「優位性」の確率を上げるために努力する。

どちらかと言えばマーケットを分析しファンダメンタルを

重視することにより合理的に行動する。

しかし、それではトレードの成功者には

なれないというのがこの本の主張するところなのだ。

トレードでの成功者は「優位性」があることが分かったなら

その優位性を生かし、ただひたすらに、それこそ機械的に

トレードを繰り返すことにより利益を積み上げていくのである。

10回やれば6回勝つなら、4回負けていいのである。

10回やって1回しか勝たなくても、その1回が

9回の負けを取り戻してお釣りがくるなら、

その取引を何度も何度も繰り返すのである。

このとき負けの回数を減らそうとするのではなく

負けてもそのことに感情を左右されないようにすることが

ゾーンにいたるということであり、成功するということである。

けれど、この「感情面のリスクを排除する」というのは難しい。

それでもトレーダーとしての成功の道を歩みたい人へ

トレードに適した確率的心構えを身に付ける上で

欠くことのできない根本的真実を5つ紹介しておく。

①何事も起こりえる。
②利益を出すためには次に何が起こるか知る必要はない。
③優位性を明確にする一定の可変要素には、
 勝ち負けがランダムに分布する。
④優位性があるとは、あることが起きる可能性がもう一つの
 可能性よりも比較的高いことを示しているに過ぎない。
⑤マーケットのどの瞬間も唯一のものである。

詳細は本を読んでいただくとして、

ここまでのことを考えると私がトレードで

成功しない理由がはっきりとしてくる。

私は一般社会ではまったく成功していないが

それでも成功しようとして努力を続けてはきたつもりだ。

私は完璧主義ではないが負けが多いことには耐えられない。

感情的要素に反応し、論理的でない行動さえしてしまう。

ゾーンの心境にはなかなか到達できそうにない。

けれど諦める必要もないのかもしれない。

マーケットはいつでも開いているのだから。

最後に、第2章に紹介されているランダムな報酬にのめりこむ

サルの話が私のことでないことを祈るばかりだ。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 成功への扉―ファンダメンタル分析か、テクニカル分析か、それとも心理分析か
第2章 トレードの誘惑(そして落とし穴)
第3章 責任を取る
第4章 一貫性―心理状態
第5章 認識の力学
第6章 マーケットの観点
第7章 トレーダーの優位性―確率で考える
第8章 信念の役割
第9章 信念の性質
第10章 信念がトレードに及ぼす影響
第11章 トレーダー的思考法

ゾー...

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