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2010年8月12日 (木)

マルコム・グラッドウェルさんの『天才!』を読んでみた

グラッドウェルさんの『天才! 成功する人々の法則』を読んでみた

 (5つが最高)

勝間和代さんが推薦し、翻訳も手がけているため

アンチ・カツマーにはあまり評判が良くないようだが、

私はこの本の内容に気づかされる点が多かったし、

翻訳も別に悪いとは思わなかった。

特に翻訳については、勝間さんの他のものも読んでいるが

この本については、この程度で充分だという気がする。

まあ、私が比較している翻訳は、フランス現代思想の

難解な文章の訳となので、もとの文章の性質が

違うということもあるだろうが。

内容については、誕生日の違いによるマタイ効果や

一万時間の法則など、とても興味深かった。

これは、天才といわれる成功者には、

身体能力の高さやIQの高さといった

持って生まれた才能以外に偶然と思われるような

外的要因や、一定以上の努力の時間が必要だとするものだ。

また、時代や文化による制約も受けるという。

このことをもってして、では私たちに何ができるのかと

問うことは容易であるが、そのことの答えは

この本の中にきちんと示されているように思う。

しかし、えてして犯しがちな過ちは次のようなものではないか。

①天才でさえ様々な外的制約から自由でないなら
 私たちはどんな努力をしても無駄ではないのか。
 (時代や文化をわれわれは選べないので努力は無駄)

②外的制約が同一であってもすべての人が成功する
 わけではないのだから結局才能によるのではないのか。
 (才能がなければどんな努力も結局は無駄)

この2つの考えは、特に今、自信を失っている

若い世代に多いのかもしれないが、

この本に示されていることはそのようなことではない。

もし、自己啓発本としてこの本を読もうとするなら

引き出す結論は、あえて言うなら、一万時間かけて

物事に取り組んでみろということであり、

文化的な制約を認識し、それを克服しようということになる。

しかしこの本は、そのような読み方だけではなく、

もっと別の読み方をされることを望んでいるのではないだろうか。

グラッドウェルは次のような言葉を記している。
「よりよい世界を築くためにわれわれに求められることは、
成功者を決める幸運や気まぐれな優位点、タイミングのいい
誕生日や歴史の幸せな偶然の代わりに、すべての人間に
好機を与える社会を築くことだ」

対象は「自己」ではなく、「社会」なのではないだろうか。

まあ、社会が変わるまでには時間がかかるので、

勝間さんのように子供を生む際に優位になるように

誕生日を上手く調節するというのも1つの考えだろうけれど。

【目次】(「BOOK」データベースより)
プロローグ ロゼトの謎─ロゼト住民の死因は、老衰だけだった!
第1部 好機(マタイ効果─誰でも、持っている人は更に与えられて豊かになるが、持っていない人は持っているものまでも取り上げられる(マタイによる福音書25・29)/一万時間の法則─僕たちはハンブルクで、一日八時間も演奏しなければならなかった/天才の問題点その一─たとえ、ある男子生徒のIQがわかったとしても、クラスの全員が利発な少年だった場合には何の役にも立たない/天才の問題点その二─長引く話し合いの結果、ロバートは謹慎処分となった ほか)
第2部 「文化」という名の遺産(ケンタッキー州ハーラン─男らしく死にな。兄さんと同じようにね!/航空機事故の“民族的法則”─機長、気象レーダーがおおいに役立っています/「水田」と「数学テスト」の関係─一年三六〇日、夜明け前に起きた者で、家族を豊かにできなかった者はいない/マリータの取引─いまではお友だちは全部、KIPPの子たちだけです ほか)
エピローグ ジャマイカの物語─幼いカラードの跡継ぎが生まれたら、その子は自由の身にしてもらえる

天才...

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価格:1,785円(税込、送料別)

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