橘玲さんの『亜玖夢博士の経済入門』を読んでみた
橘さんの『亜玖夢博士の経済入門』を読んでみた
(5つが最高)
てっきり経済学の入門書だと勘違いして手に取ってしまったが
実際には経済学の理論などをベースにした小説であった。
今現在最も関心のある「行動経済学」に始まり
若いときに夢中になった「囚人のジレンマ」や
「ゲーデルの不完全性定理」など、取上げられているテーマは
興味深いものばかりだが、さすが橘さんの作品だけあって
その話の進み行きと最後の章での驚きの展開には
いろいろな意味で唸らされる。
ただ、「ゲーデルの不完全性定理」については
少し消化不良のような後味の悪さがあるのも事実。
もともとの定理の持っている意味が、これだけの中で
上手く伝わっているのか、かつて現代思想を
追いかけた者としては少し気がかりなところ。
それ以外は小説としては、かなり楽しめる。
もちろん、行動経済学について何冊か本を読んで
もっと知りたいと言う思いにさせてくれる点でも
入門の役割はきちんと果たしている。
読み進むうちに亜玖夢博士の処方箋を予想したり
助手の暴走振りに期待をしたり、楽しみ方もいろいろ。
これからも橘さんの作品を読み続けたいと思わせる
コミカルな経済小説に仕上がっている。
【目次】(「BOOK」データベースより)
第1講 行動経済学
第2講 囚人のジレンマ
第3講 ネットワーク経済学
第4講 社会心理学
第5講 ゲーデルの不完全性定理
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