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2010年8月10日 (火)

勝間和代さんの『自分をデフレ化しない方法』を読んでみた

勝間さんの『自分をデフレ化しない方法』を読んでみた

 (5つが最高)

当時の菅大臣との対決で始まるこの本は日本の経済問題を

考える上では格好の入門書だと思います。

勝間さんは「デフレだから希望がない」と断言し、

その理由を述べていますが、富裕層における

デフレのメリットは書かれていません。

もちろん私は富裕層ではないのでメリットを享受しませんが、

逆にインフレにしようと言うときの、インフレのデメリットについても

あまりないかのような展開には疑問があります。

また、インフレターゲットの導入については

私の好きな経済学者のポール・クルーグマンも

提唱していたので、そのような考え方もあるのでしょう。

けれど日銀はこれまでの歴史から、そう簡単に

インフレターゲットを導入するとは思えません。

私は政府による円安誘導が日本経済を好転させると考えますが

その結果、若干インフレになる程度で、その後

景気は安定していくように思います。

これは日本企業の技術革新が進み、

今後は良いものが安く作れるようになり、

デフレ傾向はなかなか改善しないだろうと考えるからです。

勝間さんの言うインフレのほうがデフレよりも良いのだという

考え方そのものには考えさせられる点が多いのも

事実ですが、インフレやデフレというのは簡単に

政府や日銀が作り出せたりコントロールできたりするのでしょうか。

最後に、デフレ時代のサバイバル術のひとつに

「どこでもよいから正社員就職する」というものを挙げているが、

これは「会社に人生を預けるな」という主張と矛盾しない。

なぜなら正社員就職の先に転職を見据えており

一時しのぎの策であることが明らかだからだ。

ただ、デフレでもインフレでも正社員就職したいという人は

多いだろうが、ブラック企業でもよいというのは過激すぎでは。

まあ、批判的にであれなんであれ、この本のレベル程度には

日本経済について考えていないと、

どこの会社でもやっていくのは厳しいという意味で

ぜひ読んでみていただけたらと思います。

(私もインフレターゲットを採用している国が多いことを
この本を読んで知った程度なので偉そうには言えませんが)

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 デフレだから希望がない(デフレはなぜ怖いか/デフレだからクビになる ほか)
第2章 デフレ時代のサバイバル術16カ条(まずは収入の2割を貯める/蓄財は投資信託を活用する ほか)
第3章 経済知識ゼロでもわかるデフレ(デフレとは何か/デフレとデフレスパイラルの違い ほか)
第4章 こうやってデフレを退治しよう(インフレは悪なのか/インフレターゲットはどうやる ほか)
第5章 もっとお金を配ろう(再分配がなぜ必要か/教育バウチャーの配布 ほか)

自分をデフレ化し...

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価格:840円(税込、送料別)

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