トマス・J・スタンリーさんの『となりの億万長者』を読んでみた
スタンリーさんの『となりの億万長者 成功を生む7つの法則』を読んでみた
(5つが最高)
アメリカの億万長者でも実態はこんなものなのかと
思い知らされるとともに、自分に出来ることが明確になる1冊。
この本では純資産100万ドル以上持つ人を億万長者と定義し、
全米1億世帯にも、わずか3.5%しかいないことを明らかにする。
また、「期待資産額」として、年齢に税引き前の年間家計所得
(相続から得られる年収は含まない)をかけ、10で割り
そこから遺産相続額を引いた金額を1つの尺度としている。
そしてこの本が分析しているのは、「蓄財優等生」と
「蓄財劣等性」の性格や行動の違いから億万長者の実態が
どのようなものであるかということである。
この「蓄財優等生」とは、同じ年齢層・所得層の中の
資産額が上位4分の1の者のことであり、
「蓄財劣等性」とは、同じく下位4分の1の者のことである。
しかし、この本の中では、この成績の計り方の簡便法として
「期待資産額」の倍の資産を持っている人を「蓄財優等生」
半分しか持っていない人を「蓄財劣等生」としている。
ここまでのことから、この本の対象が年齢と所得に
対して、どれだけの資産を残しているかということに
焦点を当てた億万長者の分析であることがわかる。
では、どのようにすれば資産を残せるかであるが、
法則はつまらないくらいにきわめて簡単である。
1.収入より低い支出で生活
2.資産形成に時間・エネルギー・金を効率よく配分
3.世間体より、お金の心配をしないですむことを重視
4.社会人になったら、親から経済的援助を受けない
5.子供たちを経済的に自立させる
6.ビジネス・チャンスをつかむのが上手
7.ぴったりの職業を選んでいる
この冒頭に紹介される7つの法則を本を読み終えて
自分なりに組み替えてみると、4と5、6と7は1つにし
それ以外に注目すべき点を加えて以下のとおりとした。
1.とにかく倹約(高い時計や車は買わない)
2.所得税の対象となる現金所得を抑える
3.住宅ローンは現金所得の2倍以内
4.資産運用に時間とエネルギーをかける
5.家計の予算を立て支出を把握する
6.子供に経済援助はしない
7.ビジネス・チャンスをつかむ
法則の1と3は倹約ということで1つにしてもいいのだが、
これを私が驚きをもって読んだ住宅ローンの話と
2つに分けて自分なりの7つにまとめてみた。
確かに収入が1000万円くらいあれば2000万円の
住宅ローンは資産を残すには良い手なのだろうが
収入が300万円だと600万円のローンとなり
現実的に頭金の額が大きくなりすぎるとは思う。
しかし、億万長者になるなら300万円の収入では
無理なので、そこは収入を増やすことが第一なのだろう。
この本を読んだ人が、やるかどうか考える最初のことは
私がそうであるように、たぶん倹約であると思う。
けれど、それが本当に最適な戦略であるかは疑問である。
なぜなら、アメリカは高度な消費社会であり、
高収入の人間の多くが「蓄財劣等生」になってしまう
ような国柄なのに比べ、日本は現在多くの人が
節約疲れするほどに長期にわたり倹約を続けている。
そのことがデフレの要因の一つであり、
長期的な不況と雇用減少に繋がっているとするなら
周囲が倹約をしているときに自分も倹約をすることが
どのような意味を持つのだろうか。
ただ、現在億万長者なら、お金を有意義につかう時期
であるとしても、そうでないなら倹約する以外
生活防衛の手段がないことも事実だ。
みながみな節約疲れから消費に向かうなら
そのときには倹約は難しい選択になる。
なぜなら自分も疲れてしまっているだろうから。
けれどそこで我慢するのが本当の億万長者
への道なのかもしれない。
まあ、億万長者になるのは簡単ではないということだ。
【目次】(「BOOK」データベースより)
1 となりの億万長者を紹介しよう/2 倹約、倹約、倹約/3 時間、エネルギー、金/4 車であなたの価値が決まるわけではない/5 親の経済的援助/6 男女平等・家庭版/7 ビジネス・チャンスを見つけよう/8 職業・億万長者対遺産相続人
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