マルコム・グラッドウェルさんの『急に売れ始めるにはワケがある』を読んでみた
グラッドウェルさんの『急に売れ始めるにはワケがある
ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則』を読んでみた
(5つが最高)
いかに小さな変化が大きな変化を生み出すかという、
グラッドウェルさんの処女作の『ティッピング・ポイント』
の文庫版ということで手にしてみた。
この本は流行現象を口コミによる感染ととらえ、
そのメカニズムを「少数者の法則」、「粘りの要素」、
「背景の力」の3つの原則により説き明かしていく。
お金をかけないでヒット商品を生み出すための
マーケティングに興味を持つ人には古典的名著。
まず、「ティッピング・ポイント」の解説から。
「あるアイディアや流行もしくは社会的行動が、
敷居を越えて一気に流れ出し、野火のように
広がる劇的瞬間のこと」とある。
そして、いくつも紹介される事例。
例えば、靴の流行、NY市犯罪率の低下、
梅毒の感染、セサミ・ストリート、自殺や喫煙。
これらの事例を紹介しながら爆発的感染のための
3原則を実に丁寧に解説していく。
原則の1つ目は、経済学者がよく口にする
80対20の法則に対し、爆発的感染が起こるときは
より極端なごくわずかな少数者により
大半の仕事がなされるという「少数者の法則」。
80対20の法則とは、どのような状況にあっても
「仕事量」の80%は、それにかかわった人の
20%によって達成されるという考え方だが、
「ティッピング・ポイント」へ至るまでには
もっと少数者で成し遂げられるという。
そして、少数者には3種類の役割を持つ者がいる。
まず、世界を束ねる特殊な才能を持つ、知り合いを
多く持っている媒介者(コネクター)。
次に、積極的に情報を収集し、他人に教えたがる
情報の専門化としての通人(メイヴン)。
最後に、説得の技術を持ったプロのセールスマン。
これらの3種類の役割を持つ者が流行を作り出す。
原則の2つ目は、これらの者に情報を上手く
記憶に残すための決定的な「粘りの要素」。
原則の3つ目は、環境の条件や特殊性という
微妙で予測しがたい要素の「背景の力」。
この「背景の力」として印象的なのが
以前、私もセミナーなどで聞く機会のあった
犯罪学者の発案した「割れた窓」理論である。
これは1枚の割れた窓をそのままにしておくと
いずれ広い地域に犯罪が感染していくという
ある特定の比較的小さな問題が
犯罪の蔓延につながるという理論である。
これはセミナーでは、従業員に小さなことも
大切に取り組みなさいという際に、
NY市の落書きを消したことから犯罪率が
低下した事案とともに語られていた。
当時は完全に受身でセミナーに参加していたため
この理論を知識として仕舞い込むだけであったが
今であれば、日々の行動に反映させられるだろう。
本との出合いもそうだが、いい話を聞いても
その置かれている環境によって、
受け止め方やその後の行動への現れ方は
本当に大きく違うものだと、改めて考えさせられる。
【目次】(「BOOK」データベースより)
はじめに ティッピング・ポイントとは何か?
第1章 爆発的感染、その3原則―ティッピング・ポイントへ至る指針
第2章 「80対20の法則」から「少数者の法則」へ・原則1―感染をスタートさせる特別な人々
第3章 粘りの要素・原則2―情報を記憶に残すための、単純かつ決定的な工夫
第4章 背景の力・原則3―人の性格に感染する背景
第5章 「150の法則」という背景―人の行動に感染する効果的な集団の規模
第6章 商品はどのようにして感染するのか?・Case study1―エアウォーク社の販売戦略から学ぶこと
第7章 自殺と禁煙・Case study2―ティーンエイジャーの感染的行動の謎を探る
第8章 ティッピング・ポイントを押せば世界は傾く―焦点をしぼること、実験すること、そして信念を持つこと
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