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2010年9月18日 (土)

橘玲さんの『貧乏はお金持ち』を読んでみた

橘さんの『貧乏はお金持ち
「雇われない生き方」で格差社会を逆転する』を読んでみた

 (5つが最高)

この本の主題は、「マイクロ法人」という小規模な

株式会社を作ることによる節税であるように見える。

しかし、本当は違うのではないだろうか。

なぜなら、橘さんが「あとがき」にも書いていることだが、

会社のオーナーが社員に対し待遇は変えないと

約束してもサラリーマンは独立を躊躇し、

何度説明しても「マイクロ法人」を設立する者は

1人もいなかったという事実が物語るとおり、

多くの人にとって重要なのは節税よりも

とにかく雇用の安定が重要だということだ。

そうであるなら、この本は、「マイクロ法人」による

節税の指南本ではなく、今後更に深刻な不況に

直面した際に、リストラという形で正社員の座を

追われた者たちが、仕方なく選択する非正規雇用の

一形態を描いたノンフィクションなのだろう。

実際にリアルな現実として業務委託や請負という

形で、企業から追い出された労働力が

多くの企業から溢れ出し、厳しい生活を強いられている。

この本の中では、社会保険の負担分など

企業側の負担分をそのまま「マイクロ法人」の

収入になるような描き方をしているが、

そんな現実はあるわけもなく、当然すべての費用が

「マイクロ法人」の支出としてのしかかってくる。

企業側は社会保障の負担分や交通費などを

払わなくてよくなる上に、直接雇用でないため

一つの仕事が終われば、そのつど契約を

更新するか打ち切るかを選択できる。

現在世の中に存在する「マイクロ法人」は

節税どころか支払うべき税金がない場合も多く、

安定した雇用とはまったく無縁である。

これは脱サラをしてレストランを始めた場合でも

ごく一部の成功例を除けば、状況はまったく同じである。

橘さんがこの本の締めくくりに書いていることは

自由の価値が貶められていることへの嘆きだが、

そのことは直接、絶滅しつつあるサラリーマンへの

鎮魂歌になっているのではないだろうか。

「私はずっと、自由とは自らの手でつかみとるものだと
考えていた。だがようやく、それが間違っていたことに
気がついた。自由は、望んでもいないあなたのところに
扉を押し破って強引にやってきて、外の世界へと連れ
去るのである。」

【目次】(「BOOK」データベースより)
1 楽園を追われて─フリーエージェントとマイクロ法人の未来(この国にはなぜ希望がないのか?/フリーエージェント化する世界)
2 もうひとつの人格─マイクロ法人という奇妙な生き物(ふたつの運命/「ひと」と「もの」 ほか)
3 スター・ウォーズ物語─自由に生きるための会計(資本主義とデス・スター/自由に生きるための会計)
4 磯野家の節税─マイクロ法人と税金(マスオさん、人生最大の決断/節税と脱税のあいまいな境界)
5 生き残るためのキャッシュフロー管理─マイクロ法人のファイナンス(フラワーチルドレンのファイナンス革命/キャッシュフロー計算書で資金繰りを理解する ほか)

貧乏はお...

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価格:1,680円(税込、送料別)

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