スティーヴン・D・レヴィットさんの『ヤバい経済学』を読んでみた
スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナーさんの
『ヤバい経済学増補改訂版 悪ガキ教授が世の裏側を探検する』を読んでみた
(5つが最高)
経済学者のスティーヴン・D・レヴィットさんと
ジャーナリストのスティーヴン・J・ダブナーさんの
あまりにも有名な本だが、今回、続編となる
『超ヤバい経済学』が出版されたのを機会に
どんなものなのか読んでみた。
私は勝手にヤバい事象を経済用語で解説する
内容なのだと思って読み始めたので
まとまりのないような第一印象に少し戸惑ったが
マルコム・グラッドウェルさんの作品を
最近いくつか読んでいたので、
似たような話の展開を予想して読み進めた。
結局、思ったとおりいろいろな話題から
意外な結論を導き出してくれるが
そのどれもが今まで読んだ経済学が扱う事象とは
まるっきり違っており、かなり面白かった。
ただ、まとまりがないように感じられた印象も
読み進めていくにしたがって、だんだんと印象が変化し、
序章に「一貫したテーマなんてものはない」とあるが
明らかにテーマを持っていることに気づく。
それは『超ヤバい経済学』の「説明のためのノ-ト」に
「前の本でウソついてた件」として、説明されているとおり
テーマは明らかに存在し「人は誘因で動く」ということだ。
この本の中にインセンティブとして出てくるものは
他の経済学の本ではほとんど見ることがない。
各章のタイトルからして、「ヤバい」ものが並んでいる。
増補改訂版に付けられたオマケには、
もっと酷いものもあり例えば、犬のウンコ、臓器売買、
脱税など、やりたい放題の印象さえ受ける。
中でもニューヨークの犯罪の減少は
割れた窓理論から落書きを消すなどの細かい
対策を行ったためではなく、中絶をしやすくした
ことが理由だという説明は、複雑な気持ちながら
納得させられてしまう自分がいるのも事実だ。
犬のウンコの話も、割れた窓理論に絡めて
社会的なインセンティブが働くと
罰金の金額が小さくてもうまく機能するというように
話が進められていていくのは興味深い。
『超ヤバい経済学』も読みたくなるほど面白かった。
【参考図書】
『道徳感情論』(アダム・スミス著 岩波文庫)
『入門経済思想史 世俗の思想家たち』(ロバート・ハイルブローナー著 ちくま学芸文庫)
【目次】(「BOOK」データベースより)
序章 あらゆるものの裏側―この本のサワリ:道徳が私たちの望む世の中のあり方についての学問だとすると、経済学は実際の世の中のあり方についての学問だ。
第1章 学校の先生と相撲の力士、どこがおんなじ?―インセンティブの美しさとその暗黒面であるインチキを追究する。
第2章 ク・クラックス・クランと不動産屋さん、どこがおんなじ?―情報は最強の力である。とくに悪いことに使うときは。
第3章 ヤクの売人はどうしてママと住んでるの?―通念なんてたいていは張り巡らした嘘と、私利私欲と、ご都合主義にすぎないことについて。
第4章 犯罪者はみんなどこへ消えた?―犯罪のウソとマコトを仕分けする。
第5章 完璧な子育てとは?―差し迫った疑問をさまざまな視点から追究する:親でそんなに違うもの?
第6章 完璧な子育て、その2―あるいは、ロシャンダは他の名前でもやっぱり甘い香り?―親が子供にする最初の儀式、つまり赤ん坊に名前をつけることの大事さを測る。
終章 ハーヴァードへ続く道二つ―データの信頼性が日々の偶然に出合う。
オマケ 『ヤバい経済学』増補改訂版での追加
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