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2010年10月14日 (木)

吉本佳生さんの『デリバティブ汚染』を読んでみた

吉本さんの『デリバティブ汚染 金融詐術の暴走』を読んでみた

 (5つが最高)

「いますぐ対処しなければ、大変なことになる」という

吉本さんの叫びが聞こえるような1冊である。

吉本さんといえば、私にとっては為替の知識の

よりどころであり、デリバティブの案内人である。

その分かりやすい解説は、信頼の源泉でもある。

その吉本さんが今回は、デリバティブの危険性と

メガバンクや証券会社が暴利をむさぼる実態の

告発に真剣に取り組んでいる。

読めば読むほど金融機関の悪事は許しがたく

なぜこのような人たちを血税で救済してしまったのか

私はいまだに分からないが、日本中にまき散らされた

「汚染」の凄まじさは、想像以上だという気がする。

自治体や大学、企業、病院や公益法人など、

この国の未来を支えるあらゆる組織を蝕んでいる。

本来は、投資家のリスクを回避するために

開発されたはずの金融技術を使って

これほどのリスクをこの国にばら撒き続ける

金融機関という悪の巣窟を何とかできないものだろうか。

そして、私もこの本を読むまで勘違いをしていたが、

金融知識の欠如というのは本当に恐ろしい。

デリバティブといえば何か魔法のことでもあるかのように

妄信してしまうが、「特別な運用」などないということを

この本は何度も繰り返し教えてくれている。

『国債より高い金利で安全確実な運用はできない。
たとえ、どれほどすごい金融技術(金融工学)を
使っても!しかも、もともとすごい金融工学なんて
存在しない。それなのに、どこかに「特別な運用」
があると信じようとする人たちがいる。』

私もこれまで「元本保証」の商品の危険性など

この本を読むまでほとんど考えてもいなかった。

チラッと思ったことといえば、保証している金融機関の

倒産くらいで、それも国に救済されるだろうと

いうくらいにしか考えていなかった。

30年先の長期の「元本保証」がインフレなどにより

まったく意味がなくなってしまう可能性など

これっぽっちも考えてみなかった。

銀行間の金利に近い金利が適用される

インターネット専業銀行の普通預金が

インフレに強いということでは良い商品だという

吉本さんの考え方にも今回さらに納得した。

また、次のような為替の変動に関する解説は

吉本さんらしい分かりやすい解説でとても良かった。

『・円相場を確実に予想することは困難である
・短期・中期では、円相場に一番強い影響を
 与える要因は「金利」である
 したがって、いまの円のように低金利通貨は
 安くなりやすい
・長期では、円相場に一番強い影響を
 与える要因は「物価」である
 したがって、いまの日本のような相対的に
 物価が上がらない国の通貨は高くなる
 ※なお、物価や金利の前提が変われば、
 円高・円安の結論は変わりうる』

物価上昇率が低いことが低金利につながるのなら、

2つ目のことが「短期・中期では、日本の物価が

上がらないなら円安になりやすい」と言い換えられ

3つ目のことと完全に逆になるというのは

かつて他の本でも解説していただいたが、

やっぱりすんなりとは納得できなかったが、

こういったことも分からずに為替の予測をしていた

私は、なんと怖いもの知らずだったことか。

金融知識がないとだまされる側にも

だます側にもなってしまうということが

この本を読むとよく分かる。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 日本を覆う深刻なデリバティブ汚染(地方自治体を蝕むデリバティブ汚染・運用編/大学や財団、そして金融機関さえ蝕むデリバティブ汚染)
第2章 安全にみえることの危険性(元本信仰のまちがい─物価安定に慣れすぎた日本人/円相場の基本的な考え方)
第3章 未来を地獄に陥れる金融技術(「満期についての選択権」の隠された破壊力/地方自治体を蝕むデリバティブ汚染・借金編)
第4章 元本は保証でなく消滅(明らかな欠陥金融商品を売るメガバンク/デリバティブ汚染を放置する日本)

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