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2010年10月 6日 (水)

岩田規久男さんの『金融危機の経済学』を読んでみた

岩田さんの『金融危機の経済学』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、サブプライム・ローンが急増した背景や

住宅ローン担保証券に対する需要について

とても丁寧に解説してくれていて有難い。

ニュースなどで概要はつかんだ気になっていたが、

実際のところは、この本を読むまで知らなかった。

内容については、全てためになるので、

とにかく自分で読んで納得してもらいたいが、

1つだけ残念だったのは、私にとっての最大の

疑問には、誰も答えてくれないのかもしれないという

不安が読み終えた後も残り続けたことだ。

それはこの本が悪いのではなく、

たぶん私の疑問が経済学の前提に関係している

ために誰も論じないのだろうからである。

私の疑問とは、証券化しようがどうしようが、

リスクのある商品をどれだけ複雑に組成しても

リスクそのものはなくならないし、

リスクを低くすることは出来ないのでは

ないかというものである。

ではなぜこれが経済学の前提に関係しているか

であるが、それは経済学は誰もが経済合理性に

基づいて行動するのであり、馬鹿な行動する者を

前提にしていないのであるが、それでは経済は

回っていかないという現実である。

リスクを取る者はリターンを得られるというのが

常識であるが、これは嘘なのではないだろうか。

本当に儲けている人は、リスクのない状況で

いかにリターンを得るかを考えているはずである。

しかし、そのような者を経済学は対象とせず

経済学ではリターンを得たい者が

リスクを取ることにより経済が回ると解説する。

そして、このような前提のもとでは必ず

金融危機は繰り返し起こるはずである。

なぜなら金融機関が想定するリスクは

いつも市場で起きることを過小評価し、

100年に1度の危機は3~4年に1度起きる

という状況がずっと続いている。

経済学の限界は、人間は必ず馬鹿な行動を

するのであり、それはリスクのないところから

リターンを得ようという者や、ほとんどリターンの

ないことが明らかなのにリスクを取る者がいる

ということを理解しようとしないところにある。

経済学は科学になろうとして人間を置き去りに

してしまった学問なのだと思う。

最近になって行動経済学など心理学を取り入れた

経済学がもてはやされるようになってきたが、

むしろ逆に心理学の一分野が経済学なのかも

しれないと、経済学の本を読むたびに思う。

金融機関の人は高額な報酬をもらうが、

損をしないことに知恵を絞るのではなく、

いかに損を先送りして自分だけ利益を得るかを

考えているだけにしか思えない。

この本は、そういった金融機関の体質が

金融危機を生み続けることを教えてくれている。

岩田さんは防止策を挙げているが

金融機関の体質は経済のあり方が変わらない限り

けっして変わることはなく、金融危機は

必ず繰り返されるだろうと私は思う。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 なぜ、サブプライム・ローンが急増したのか
第2章 資産担保証券市場に何が起きたのか
第3章 二〇〇七年のサブプライム・パニック
第4章 世界金融危機へ
第5章 金融危機は防げるのか
第6章 二〇〇八年世界金融危機の教訓は何か

金融危機の...

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価格:1,680円(税込、送料別)

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