東谷暁さんの『エコノミストは信用できるか』を読んでみた
東谷さんの『エコノミストは信用できるか』を読んでみた
(5つが最高)
この本は、1990年代以降、日本経済の低迷にも
かかわらず、拡大を続けたエコノミストや
経済評論家と呼ばれる人たちの発言について
前後の一貫性や議論の整合性などを基準に
詳細にその当時の文章を引用しながら
本当に信用できる人はいるのかを解説してくれている。
しかしながら、新聞やテレビで馴染みのある
40人のエコノミストについて、本当のところは
誰が正しく、誰を信用すればよいのかということは
結局のところ分からずじまいに終わる。
80年代のバブルとその崩壊、90年代からの
長期不況、短命に終わったITバブル、
さらに最近の構造改革について、エコノミストが
いかなる予測をしてきたのかの検証は
面白く読めるけれど、80年代のバブルの崩壊後にも、
相変わらずのんきなコメントを発表して平気な
エコノミストがいかに多かったかを見ると、
正直言って暗い気持ちになってくる。
また、インフレ・ターゲット論については
その実証がなされていないので今後どうなるか
まだ分からないところがあり、バブルに対する
コメントよりは、建設的な感じがする。
なお、終章のエコノミストの採点表については、
前後の一貫性がどれだけ得点が高くても
間違った説を唱え続けていたのでは
意味がないように思うので、議論の整合性や
説得力で高得点をあげている人についてのみ
前後の一貫性を問題にするような採点方法
の方が信頼性が増すように感じた。
【目次】(「BOOK」データベースより)
序章 エコノミストの市場/第1章 バブルを繁栄と見誤った論者たち/第2章 日本とアメリカ「浮沈」の読み方/第3章 なぜ財政出動は効かなかったのか/第4章 金融政策だけで日本を救える?/第5章 改革すべき「構造」とは何か/第6章 試金石としての「IT革命」騒動/第7章 不良債権処理で「回復」か「崩壊」か/第8章 インフレ・ターゲット論の憂鬱/終章 エコノミストの採点表/付表 エコノミスト格付け表(九九年版・〇一年版)
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