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2010年11月22日 (月)

ナシーム・ニコラス・タレブさんの『ブラック・スワン』(下)を読んでみた

ナシーム・ニコラス・タレブさんの『ブラック・スワン 不確実性とリスクの本質』(下)を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、あるブロガーの方が上巻より下巻の方が

読む価値があると「弾言」しているせいか、

アマゾンのランキングなどでも、下巻の方が

圧倒的に上位に来るという珍しい現象が起きている。

けれど、私のようにこの本を読む以前から

何が書かれているかということを知ってしまっている

者にとっては、上巻のさまざまな考察の方が面白い。

当然上下巻合わせて読むのがベストであることは

間違いないが、犯人が分かっている推理小説でも

名作であれば何度読んでも面白いように

この本も書かれていることの結論を知っていても

何度でも充分に楽しめるだけの作品である。

ただ、もともと哲学や心理学、文学の世界を中心に

読書を続けてきた私としては、ウンベルト・エーコや

プラトンに始まり、ついにはウィトゲンシュタインにいたる

話の端々は懐かしささえあるが、そういったことに無縁な

読者には、やや冗長すぎると感じるのかもしれない。

私に関しては、話の核心部分であるマンデルブロに

関する知識が決定的に不足していた。

また、作者独特の話の展開も先を急ぎたい者には

迂遠に感じるのは仕方がないところだろうか。

投資戦略ということでは、「バーベル戦略」ということが

紹介されているので、以下に引用させていただく。

『黒い白鳥のせいで、自分が予測の誤りに左右される
のがわかっており、かつ、ほとんどの「リスク測度」には
欠陥があると認めるなら、とるべき戦略は、可能な限り
超保守的かつ超積極的になることであり、ちょっと積極
的だったり、ちょっと保守的だったりする戦略ではない。』

『お金の一部、たとえば85%から90%をものすごく
安全な資産に投資する。たとえばアメリカ短期国債
みたいな、この星で見つけられる中で一番安全な
投資対象だ。残りの10%から15%はものすごく
投機的な賭けに投じる。(オプションやなんかみたいに)
あらん限りレバレッジのかかった投資、できれば
ベンチャー・キャピタル流のポートフォリオがいい。』

上記の投資戦略は何だかありふれているような気がする。

そして、結果が出るまでに時間がかかるだろう。

その間、私はカール・ポパーやポワンカレ、

モンテーニュ、ハイエクなどを読んで過ごしたい。

タレブさんが儲けたのはたったの3度、1987年・

1998年・2008年、ほぼ10年周期なことに

意味はないのだろう。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第2部 私たちには先が見えない(鳥のフンを探して/夢の認識主義社会/画家のアペレス、あるいは予測が無理ならどうする?)/第3部 果ての国に棲む灰色の白鳥(月並みの国から果ての国、また月並みの国へ/ベル・カーブ、この壮大な知的サギ/まぐれの美学/ロックの狂える人、あるいはいけない所にベル型カーブ/まやかしの不確実性)/第4部 おしまい(半分ずつ、あるいは黒い白鳥に立ち向かうには)

ブラック・スワ...

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