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2010年11月10日 (水)

山田真哉さんの『「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い 禁じられた数字』(下)を読んでみた

山田さんの『「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い
禁じられた数字』(下)を読んでみた

 (5つが最高)

正直言って、この本のタイトルのつけ方は反則だ。

私も今まで上下巻でタイトルが違うものまでは

読んだことがあるが、上巻のタイトルを下巻で

否定してしまうなんて、こんな「販促」はない。

ただ、内容を読んでみると、このタイトルをつけた

意味に納得がいくのが山田さんの良いところだ。

ただ単に目立てばよいというだけではなく

中身があるところが、いつもながらさすがである。

上巻では読者に数字を意識することの重要性を

繰り返し理解させ、下巻では逆に数字や会計にも

限界があるということを理解させてくれる。

拝金主義から、行き過ぎた数字至上主義に対し、

ものごとの本質を見誤ることのないように、

数字の負の側面について語っている。

本当のお金教育から貨幣論までとにかく面白い。

しかし、会計は世界の1/2しか語れないとして

会計は科学であるが、ビジネスは非科学であるから

会計的な分析は常に必要だが経営に際しては

「妙手」を打つことを考えようというのは

一面では賛成だが、全てに納得できるものではない。

そもそも会計は科学なのか、科学でなければならないのか。

私はそうは思わない。なぜなら山田さんが言うようには

誰がやっても結果が同じにならないからだ。

それは会計基準が違えば、各国の計算方法により

企業の利益の額が異なるだけでなく、

国内に限ってみても税理士によって決算の数字は

必ず違ってくるのが実際のところだ。

税金を払いたくないから利益を減らしたり、

金融機関に借入れをお願いするので利益を出したり。

私は会計が科学的だと強弁する必要はないと思う。

その上でビジネスは非科学であり、人間の営みなの

だから、会計に縛られない妙手を経営者は

常に考えなければならないのだと言いたい。

会計上の利益欲しさにリストラをし、その後の

会社を完全に機能不全にしてしまう「会計人」の

誤った会社再建策に泣く人は少なくないはずだ。

この本の最後に「食い逃げされてもバイトは雇うな」

というのは、単一の視点であることこそが、

大間違いなのですとあるが、経営者には

よくよく複数の視点で物事を考えてもらいたい。

この本はそういった複数の視点を提供してくれる

という意味でもビジネスマンにとっての良書である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 数字の達人は、特になにもしない―数字のウソ(「禁じられた数字」4つのパターン/禁じられた数字とはその1「作られた数字」 ほか)/第2章 天才CFOよりグラビアアイドルに学べ―計画信仰(ケーススタディ(1)1億円を1週間で使い切れ!?/私たちは計画のなかで生きている ほか)/第3章 「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い―効率化の失敗(ケーススタディ(2)合理的に儲けようとする大学生/ケチケチ会計士はなぜ結婚したのか? ほか)/第4章 ビジネスは二者択一ではない―妙手を打て(妙手を打て/ライバル店から客を奪う ほか)/終章 会計は世界の1/2しか語れない―会計は科学(会計は科学、ビジネスは非科学/内部統制とビジネスのソリが合わない理由 ほか)

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