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2010年12月31日 (金)

勝間和代さんの『読書進化論』を読んでみた

勝間さんの『読書進化論 人はウェブで変わるのか。
本はウェブに負けたのか』を読んでみた

 (5つが最高)

今年最後の本の紹介は、やはり勝間さんの本にしたかった。

このブログを再開したきっかけを与えてくれた人であり

ぬるま湯に浸っていた私に喝を入れてくれた人である。

自慢話が多いという批判がレビューに寄せられているが

自慢できるものがない人よりは、ずっといい。

私も自慢できるものがないが、自分には何となく

根拠のない自信を持っているタイプの人間なので

もし、もっと若い頃に勝間さんの本を読んでいたら

他の読者以上に反発していたことは間違いない。

しかし、40歳を過ぎて自分の人生を振り返ってみると

まだ折り返し地点くらいなのかもしれないが、

何となく中途半端に生きてきた自分に後悔がある。

もっと頑張っておけば良かったと、正直に思う。

そして勝間さんという人は頑張った人なのである。

この本の初めに「勝間和代著作一覧」などを載せてしまう

くらい、目くじらを立てず、ご愛嬌であると思いたい。

もちろん賛成しかねる提言などにはこのブログの中でも

批判することが勝間さんへの礼儀であると思っているので

今後も、そのことを止めるつもりもないし、全ての本を

高評価とするようなこともするつもりはない。

私ごときが勝間さんの経済政策の提言に反対する

ことなど、それこそブログという媒体でしか考えられない。

そのブログの良さを教えてくれた勝間さんの本の紹介で

今年を締めくくることが出来るのは何よりである。

この本は勝間さんが、「本」で成功と自由を手に入れた

その過程と、勝間さんがどんな本をどう使ってきたのか

勝間さんを「進化」させてきた本たちの紹介となっている。

ウェブ時代の「本」の新しい価値と可能性についても

提言しており、ウェブ時代の読書論を展開している。

①ウェブによる本というコンテンツの読み方の進化
②ウェブによる著者と読者の関係性や書き方の進化
③ウェブによる本の売り方と書店の進化

ネットコンテンツと紙媒体の「本」をいかに差別化して

作りこんでいくか、売るための努力の必要性について

勝間さんなりの実験結果と、今後の方向性を示している。

ノウハウ本というよりもメッセージ性が強いが、

勝間さんについて知りたい人には特にお奨めである。

巻末の「私を進化させた20人の著者」や「巻末資料」は

個人的にとても参考になったし、新井素子さんに影響を

受けていたなんて、新井さんのファンでもある私には

何だかとても意外だっただけでなく、嬉しくもあった。

【目次】(「BOOK」データベースより)
序章 成功や自由は、読書で手に入れる/第1章 人を進化させる読書がある/第2章 進化している「読む」技術/第3章 「書く」人も進化する/第4章 「売る」仕組みを進化させる/終章 これから「読みたい」「書きたい」「売りたい」と思っているみなさんへ

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2010年12月30日 (木)

三木谷浩史さんの『成功のコンセプト』を読んでみた

三木谷さんの『成功のコンセプト』を読んでみた

 (5つが最高)

いまさらという気もしないでもないが、あの楽天の

急成長の秘訣について書かれた本である。

三木谷さんの考える5つの「成功のコンセプト」を

数々の事例を交えながら分かりやすく解説してる。

成功のコンセプトとは次の5つである。

①常に改善、常に前進
②Professionalismの徹底
③仮説→実行→検証→仕組化
④顧客満足の最大化
⑤スピード!! スピード!! スピード!!

しかし、私には現在の三木谷さんからして違和感を

感じる点が決して少なくなかった。

たとえば第1のコンセプトの「改善」について、

三木谷さんは次のように書いている。

『トヨタの成功は欧米人の目には奇跡と映ったに違いない。
欧米の多くの学者がトヨタのシステムを徹底的に研究した
ことからもそれは明らかだ。トヨタの秘密を解明していく
過程で、成功のエッセンスのひとつとして抽出されたのが、
カイゼンという彼らにとっては新しい概念だったというわけだ』

今、三木谷さんは会社の公用語を英語とするとしている、

しかし、私が考えるに「改善」が三木谷さんの言うとおり

欧米人にはない概念であるとするなら、それを生み出した

ものは、紛れもなく日本文化であり、その日本文化は

日本語に立脚して成り立っているものであるはずだ。

「日本人が集まるここ日本で、英語を使おうなんてバカな
話だ」とホンダの伊東孝紳社長が発言したという話もある。

そもそも主要な顧客が日本人である楽天が、世界展開を

するからというだけの理由で、社内の公用語を英語にする

という発想が分からないが、それで国内の顧客満足度が

あがるものなのだろうか、まったく疑問である。

また、三木谷さんは第4のコンセプトとして「顧客満足の

最大化」ということを言っているが、楽天の出店料の

見直しに際して、『楽天市場がさらに発展することは、
僕たちだけでなく出店者みなさんのためでもある』と

言い切っているが、出店者にしてみれば楽天が潰れても

ほかの会社が同じようなことをやってくれればいいだけ

ということではないのだろうか。

三木谷さんの言う「顧客満足」というのは、楽天のための

「顧客満足」であって、顧客から必要とされる企業を

目指しているというよりは、世界一のインターネット企業に

なるために顧客が必要なのだと言っているように聞こえる。

だからこそ、三木谷さんは出店者を獲得するために

本当の汗を流したのではなく、腕立て伏せをして汗を

かいたということをさらりと書いてしまえるのだ。

三木谷さんは出店者に対して、『楽天を運命共同体として
選んでもらうのが、僕たちの基本方針だった』と言う。

ここでの「運命共同体」も当然、楽天ありきなのである。

楽天の社長なのだから当然だと言われれば、別に

あえて反論したいわけではないが、それでも楽天の

利用者が私の周りには多くいるのに、楽天が好きだ

と言う人が少ない気がするのは、気のせいだろうか。

ただ、この本自体はとてもよく出来ていると思うし、

三木谷さんの考え方や成功した理由なども分かって

とても楽しめるので、『成功の法則92ヶ条』も読んで

みたいという気になった。

私の場合特に、あまり好きではない人からこそ多くの

ことを学べるという昔からのジンクスもあることだし。

今回いちばん三木谷さんと私の違いを感じたのは

「Get things done(何が何でも達成する姿勢)」を

強調する三木谷さんに対して、私はどちらかと言えば

「Best effort basis(現状に満足してしまう姿勢)」に

いつもなりがちだという点である。

この本を読んで、私も自分を改善していこうと思った。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1のコンセプト 『常に改善、常に前進』(改善は人が未来を切り開くための強力なエンジンだ/未来へのビジョンを信じて改善を行っていく ほか)/第2のコンセプト 『Professionalismの徹底』(仕事を人生最大の遊びにできれば、誰でも有能なビジネスマンになれる/仕事は誰のためでもなく、自分のためにするものだ ほか)/第3のコンセプト 『仮説→実行→検証→仕組化』(コミュニケーションの潜在的な欲求が、楽天の急成長の秘密でもある/仮説は右脳と左脳のキャッチボールから生まれる ほか)/第4のコンセプト 『顧客満足の最大化』(個人をエンパワーメントすることが、僕の仕事のモチベーションだ/顧客満足がなければ事業は成り立たない ほか)/第5のコンセプト 『スピード!!スピード!!スピード!!』(なぜスピードなのか?/スピードを上げると仕事の質も喜びも変わってくる)/おわりに インターネットが変える世界はリアルそのものだ

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2010年12月29日 (水)

酒匂隆雄(サコウタカオ)さんの『酒匂隆雄の為替塾』を読んでみた

酒匂さんの『酒匂隆雄の為替塾 外国為替の新常識』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、どうすれば為替取引で儲かるかとか

いくら為替で利益を出したかとかいうことは

まったくと言っていいほど書かかれていない。

しかし、FXで儲けたいなら(損をしたくないなら)

ぜひ読んでおくべき1冊だと思う。

書かれていることは、作者がディーラとして経験

してきた事や感じてきた事がほとんどである。

外資系銀行の元敏腕為替ディーラーであった

酒匂さんの書いた外国為替秘話だけあって

話しそのものが面白いのはもちろんだが、

その言葉の端々に損を小さくしないといけない

ということが織り交ぜられていて、それこそが

為替取引の必勝ノウハウの真髄なのだと感じる。

すなわちファンダメンタルどおりに為替は動かないし

評論家の予想も当たらないから為替取引に損は

必ずついてまわるものだということだ。

この本を読むことで得ることができるのは現実に

為替相場でディーリングを続けてきた作者の相場への

取り組み方や考え方であると言える。

必勝法として紹介されているものも実に潔い。

①大儲けを狙うな
②レバレッジを効かせるな
③諦めが肝心(早めに損切れ)
④無茶をしない
⑤ラウンドナンバー(きりの良い数)の注文を避ける
⑥情報が命(本物のディーラーの情報は参考になる)
⑦運をコントロールする
⑧のべつ幕なしにやらない

この本を読んで自分の知らなかったことは多いが、

その中でも驚いたのは70年代から80年代は、

マレーシアの中央銀行など新興国の中央銀行が

90年代のヘッジファンドのような投機家と同様な

影響力を持って為替の世界を動かしていたこと。

結局のところ、どの時代のスタープレーヤーも

現在までは生き延びていないことも興味深い。

FXで大きな損を出す前に読んでおくといいと思うが、

損を出した経験のある私が読むからこそ

納得する部分が多かったのかもしれない。

とにかくFXに挑戦するなら、読んでみる価値がある。

【目次】(「BOOK」データベースより)
為替ディーラーというお仕事/第1章 よいディーラー、悪いディーラー/第2章 どうしてマーケットに勝てないのか/第3章 僕が体験した東京外為市場25時/第4章 市場の力学/第5章 個人でもできる外国為替取引必勝法/第6章 マーケットのクセを読む/最終章 僕はこうして外為ディーラーになった

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2010年12月28日 (火)

小出義雄さんの『知識ゼロからのジョギング&マラソン入門』を読んでみた

小出さんの『知識ゼロからのジョギング&マラソン入門』を読んでみた

 (5つが最高)

とにかくマラソンやジョギングに興味のある人であれば

初心者でなくても買って損のない1冊です。

小出さんは有森選手や高橋選手を育てたことで有名ですが

  • 「ほめて育てる」という選手育成方法で知られた監督です。
  • そんな小出さんが試行錯誤の末に手にしたノウハウの数々を

    この本では惜しげもなく披露してくれています。

    「ランニングはもっと自由なもの」、「身軽な服装になって

    気ままに走る」、ただそれだけでいいのだということが

    この本では、どのページを開いても伝わってきます。

    もちろんトップランナーの高橋選手を育てた小出さんの

    本であるので、強くなるためのアドバイスもあります。

    そして、私のように走ることを楽しみたい人や

    ダイエットが目的の人にも参考になることが満載です。

    小出流の指導方針に基づく楽しいQ&Aで進められる

    ジョギング&マラソンの入門書として、ぜひお奨めです。

    【目次】
    序章 ランニングは楽しい
    第1章 今日から走り始めよう(Q&A形式 Q31まで)
    第2章 快適に安全に走ろう
    第3章 目指せ走力アップ
    第4章 レースに出てみよう

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    2010年12月27日 (月)

    東浩紀さんの『存在論的、郵便的 ジャック・デリダについて』を読んでみた

    東さんの『存在論的、郵便的 ジャック・デリダについて』を読んでみた

     (5つが最高)

    この本は、1998年に出版された本であるが、

    その輝きはいまなお衰えることなく強烈である。

    作者の東浩紀さんは、1971年生まれで

    私より少し若いだけだが、その登場は新鮮であった。

    東さんは東京大学大学院総合研究科を修了し、

    この本は、そのときの博士論文でもある。

    現在では少しユニークな「現代思想好きのオタク」と

    本人も自認しているようであるが、批評家や小説家

    としても活躍し、早稲田大学教授も務めているようだ。

    この本は、一般にポスト構造主義に属するとされる

    フランスのユダヤ系哲学者であるジャック・デリダの

    2種類の脱構築である、論理的-存在論的脱構築と

    精神分析的-郵便的脱構築についての解説と、

    なぜ前者から後者の脱構築へデリダは変遷する必要が

    あったのかという謎や、その間に書かれた1970年代の

    奇妙なテクスト群の読解を目的としたものである。

    東は論理的-存在論的脱構築は、ゲーデルの不完全性

    定理と形式的には等しいとする柄谷行人の指摘に

    基づき、その数学的成果を援用し、デリダを論じている。

    しかし、東はその論理的-存在論的脱構築を完全に退け、

    複数的な超越論性へと至るフロイトの精神分析を援用する。

    そして、東は否定神学への抵抗としての精神分析的-

    郵便的脱構築を評価し、デリダの思想の可能性を探る。

    この本の魅力は、作者の瑞々しい感性がフランスの

    現代思想の第一人者と格闘するところにあるのであって

    その詳細な分析に対し、正誤の判断をしようと思って

    読むと、あまり面白いと感じられないかもしれない。

    しかし、この本が出版された当時は、私も柄谷ファンであり

    現代思想についていきたい気持ちがまだあった頃なので

    とても楽しく読めたし、今読み返してみても一級品である。

    その後の東さんの活動には、必ずしも全てに賛成しないが

    最近になってまた気になる存在になりつつある。

    【目次】(「BOOK」データベースより)
    第1章 幽霊に憑かれた哲学/第2章 二つの手紙、二つの脱構築/第3章 郵便、リズム、亡霊化/第4章 存在論的、郵便的(論理的/存在論的/精神分析的/郵便的)

    存在論的、...

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    2010年12月25日 (土)

    小宮一慶さんの『「会社を経営する」ということ』を読んでみた

    小宮さんの『「会社を経営する」ということ
    チョッとだけ立ち止まって考える!』を読んでみた

     (5つが最高)

    この本は、古くなって使えなくなってしまった部分と、

    今でも充分有用な部分が混在している本です。

    私の勝手な判断では、序章の「経営について」、

    第1章の「ビジョン・理念を確立する」、第2章の

    「戦略を立案する」は、ぜひ読んでおくべき有用な箇所。

    第3章の「財務会計を知る」と第4章の「ファイナンスを

    学ぶ」については、商法時代のもので古すぎる。

    第5章の「マーケティングを実践する」と第6章の

    「ヒューマンリソース・マネジメントを考える」、及び

    終章の「経営の本質」は、新しい考え方ではないが、

    ここもぜひ読んでおくべき有用な箇所である。

    「経営」という独立した仕事を理解するために必要な

    ことをいつもどおり分かりやすく解説してくれている。

    特に重要な点は、第2章中の「ビジネス成功のための

    9つのキーワード」であると思う。

    簡単に要約してみると以下のようになる。

    ①スピード経営
     自社が他社に対して優位に立てるプロセスの段階
     において、スピードが他社より早い。(例:インテル)
    ②ボーダレスマインド
     日本国内の急激な国際化に勝てるだけの世界で
     実践できる経営能力、商品、サービスを持つ。
    ③事業ドメイン
     得意な事業領域で勝負する。
    ④イノベーション
     小さなリスクは恐れずに新しいことへの挑戦(革新)
     をする一方で、大きなリスクは取らない。 
    ⑤ネットワーク
     人的ネットワークの確立。
     アンテナは高く、腰は低くして多くの人から情報得る。
    ⑥環境
     「コンプライアンス」の重要性を認識。
    ⑦キャッシュフロー経営
     現金をいかに「稼ぐ」か、いかに有効に「使う」か。
    ⑧ビジョン・理念
     理念はビジョン追求における行動規範。
    ⑨リレーションシップマーケティング
     コツは、「一番は偉い」と「あなたは特別」。
     お客を6段階に分け、「潜在客」・「顧客」・「得意客」
     ・「支持者」・「代弁者」・「パートナー」へと関係を
     「深化」させていくことが重要。

    これらのことは、経営者だけが知っていればいい

    ということでは、もちろんない。

    ヒューマンリソース・マネジメントなどでも

    成果主義人事制度運用で重要なのは
    ①各人の目標設定を能力や性格に合わせて適切
    かつ具体的に行えるか、
    ②その成果を客観的に評価できるか、
    という2点だと指摘した後で、適切に行われないと
    混乱を引き起こすことになると書かれている。

    また、成果主義を導入すると視点が短期的になり、
    長期的な視点が忘れられがちだと指摘した後、
    成果についても利益やキャッシュフローといった
    数値的なものだけでなく、信頼向上、チームワーク
    などの質的な成果も対象にする必要があると
    私のいる会社の経営陣に聞かせてあげたいような
    適切な指摘まできちんとされている。

    私のいる会社の利益が、ほとんど毎期マイナスなのにも

    かかわらず、事業以外で特別利益を手にする幸運に

    恵まれて、短期的な視点に立った失敗を繰り返し、

    信頼向上やチームワークなどの質的な成果は数値化

    することができないとの理由から、全て切り捨ててきたため

    チームのまとめ役をリストラし、営業成績の良い者から順に

    転職する状況を見ると、本当にこの本を読んでもらいたい。

    なお、経営者でなくともマネジメントに関わるビジネスマン

    であれば知っておいて損はない事柄が多いので、

    安く手に入れられるのであれば、今でもお奨めである。

    【目次】
    序章  経営について
    第1章 ビジョン・理念を確立する
    第2章 戦略を立案する
    第3章 財務会計を知る
    第4章 ファイナンスを学ぶ
    第5章 マーケティングを実践する
    第6章 ヒューマンリソース・マネジメントを考える
    終章  経営の本質

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    2010年12月24日 (金)

    本田健さんの『スイス人銀行家の教え』を読んでみた

    本田さんの『スイス人銀行家の教え
    お金と幸せの知恵を学ぶ12のレッスン』を読んでみた

     (5つが最高)

    この本は、2003年に単行本としてベストセラーとなった

    『ユダヤ人大富豪の教え』の続編として、2004年に

    単行本として発売されたときは『スイス人銀行家の教え』

    というタイトルであったものである。

    だから、私にとってはこの本はあくまでもケンが、

    その後、どうなったのかという物語というよりは、

    スイス人銀行家からケンが教えられたことをまとめた

    ユダヤ人大富豪からの教えとは異なる話である。

    なぜこのような前置きをするかというと、

    この本がのちに2006年に文庫化されたときに

    『ユダヤ人大富豪の教えⅡ さらに幸せな金持ちになる

    12のレッスン』改題されて出版されているからである。

    そして、私はこの改題には正直不満なのである。

    この本の話はどう考えても『スイス人銀行家の教え』

    であって、私の中では大切な作品だったからだ。
    (アフィリエイトのリンクはだから単行本にしている)

    スイス人銀行家のホフマン氏の話で印象に残った

    ものをいくつか書かせてもらうと次のとおり。

    『ほとんどの人は、自分の時間をいかに効率よく使うか
    にしか意識を向けない。手帳の書き方を工夫したり、
    細切れの時間をどう使うかしか考えない。それでは
    忙しいのは少しも変わらず、かえって大きなものを
    取り逃がしてしまう。時間を有効に使うには、もっと
    大きい視点からものを見なくてはいけないのだよ。
     人生で最も時間を効率よく使いたければ、自分の
    いちばん得意で好きなこと以外は、ほかの人にやって
    もらうことだ。そのためには任せる天才にならなければ
    いけない。こういうと、自分だけ好きなことをやって、嫌いな
    ことを人に押しつけるというように考えるかもしれない。
     世の中には、たくさんの種類の人間がいる。何かを
    任せる時には、いちばんそれを楽しんでやれる人を
    見つければいいのだ。任せる人を選ぶのが九割の仕事で、
    あとは、何をどのように任せるのかを考えればいい。』

    長く引用させてもらったが、勝間さんの「断る力」も

    このような発想なのかと思いながら読んだ。

    『お金から解放されるには、八つのステップがある
    ①お金に支配されていることを知ること
    ②お金との関係を見極めること
    ③お金との過去に向き合うこと
    ④お金の知性を身につけること
    ⑤お金の感性を高めること
    ⑥お金とのつきあい方を日常レベルで変えること
    ⑦ビジネスと投資をマスターすること
    ⑧お金の意味を知ること』

    『富を引き寄せる人間になるための4原則
    ①毎日を充実させて生きる
    ②富を蓄積させる
    ③お金の流れを生む
    ④つきあう人すべてを味方にする』

    『稼ぐ力を高める―――お金の知性
    ①お金の特性を知る
    ②お金の得方を知る
    ③収入のチャンネルを増やす
    ④収入を増やす
    ⑤システムをつくる
    ⑥人を豊かにすること
    ⑦時代の流れを読むこと
    ⑧法律、税務に詳しくなること』

    『満足する力を高める―――お金の感性
    ①受け取ること
    ②楽しむこと
    ③感謝すること
    ④喜ばせること
    ⑤流れに身を任せること
    ⑥信頼すること
    ⑦分かち合うこと
    ⑧癒すこと』

    今回も学べることはとても多かった。

    【目次】(「BOOK」データベースより)
    新たな出会いと人生の始まり/お金のメンターと出会う/お金の支配から抜け出る/お金との関係を知る/お金との過去と向き合う/お金と家族関係の関連を探る/ミリオネアという生き方を見る/お金の知性と感性を高める/プライベートバンカーの仕事を知る/人生を変える知恵を学ぶ/ビジネスをマスターする/幸せなパートナーシップがお金を呼び込む/お金と幸せな人生を考える/自分と向き合う試練を経て

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    2010年12月23日 (木)

    城繁幸さんの『7割は課長にさえなれません 終身雇用の幻想』を読んでみた

    城さんの『7割は課長にさえなれません 終身雇用の幻想』を読んでみた

     (5つが最高)

    この本は、話題になった『若者はなぜ3年で辞めるのか?』

    と『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか』に続く、

    若者をテーマとして描いた新書の3部作の最終作という

    位置づけになっているようである。

    そして、もしかしたら私は前の2作を読み間違えていた

    のかもしれないと思う記述にいくつかでくわした。

    最も象徴的だったのが勝間和代さんも指摘していることだが

    「終身雇用」が問題の元凶だという指摘であるが、

    これに対し私はずっと、すでに「終身雇用」など存在しない

    幻想だと感じ続けていたのでそのように記載してきた。

    そしてどちらかといえば「終身雇用」が続けられるなら

    それは日本的な活力を再び生み出す動力源になる

    のではないかという思い違いが有ったようである。

    簡単に言ってしまえば、他人がどうなろうが自分は

    「終身雇用」で守ってもらいたかったのである。

    しかし、この本にある次のような記述は考えさせられる。

    『日本型雇用は、文字どおり終身雇用などのメリットが
    保証される二階部分と、それを可能とするために
    下支えさせられる一階部分とから成る』

    ここで二階部分とされているのは1部上場企業などの

    大手企業のことであり、一階部分とされているのが

    その他大勢の中小零細企業のことである。

    『一階部分の企業には、もともと終身雇用や年功序列
    といったカルチャーは薄く、非正規雇用労働者と大きな
    待遇差はない』

    確かに私が転職で経験してきた企業の全てが

    この一階部分の企業であったため「終身雇用」という

    ことの意味を本当には実感できていなかったらしい。

    正直なところ、私の現在勤めている会社は

    契約社員には契約期間までの仕事が保障されるが

    正社員は1ヶ月前の予告で簡単に解雇されている。

    『よく「正社員も苦しい」と言われる場合、引用されて
    いるのは一階部分の企業である』

    『大企業の終身雇用は守りましょう。そして、
    そのために派遣でもなんでも使いましょう』

    私が願っていたことは、私を終身雇用してもらいたいという

    幻想のために、非正規雇用という階級を生み出す手助けを

    知らないままに行ってきたということなのだろうか。

    本当は知っていて、非正規社員は能力や努力が足りないと

    下に見ることによって、かろうじて正社員でいられる自分の

    不安を誤魔化してきたのではあるまいか。

    この本は前2作を身近ではあるがどこか他人事として

    読んできた私に対して、問題の本質を突きつけてくる。

    私にもし社会に対して出来ることがあるとするならば

    それは現状を正しく理解するということだろう。

    このことは、あまりにも微力で不安になるが、

    とりあえずそこからスタートする以外にはない。

    出来ることなら自分の子供たちの世代に、非正規社員や

    無職の人による無差別殺人が起こらない社会を

    作っていってあげたいと心の底から思う。

    タイトルよりも副題の「終身雇用の幻想」ということが

    この本の核心であると感じるのは私だけではないと思う。

    もっと心に刺さるタイトルであれば満点でも良い。

    作者の言うとおり、「なんでこんなに生きにくいんだろう」

    と感じている人にぜひ読んでもらいたい。

    【目次】(「BOOK」データベースより)
    第1章 年齢で人の価値が決まってしまう国/第2章 優秀な若者が離れていく国/第3章 弱者が食い物にされる国/第4章 雇用問題の正しいとらえ方/第5章 日本をあきらめる前に/エピローグ 二〇一X年・明るい未来

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    2010年12月22日 (水)

    FXトレーディング研究会の『FXで儲ける21の差 勝ってる人はここが違う』を読んでみた

    FXトレーディング研究会の『FXで儲ける21の差
    勝ってる人はここが違う!!』を読んでみた

     (5つが最高)

    井上さんの『FXチャートリーディングマスターブック』

    と比較するとはっきりするが、この本はとても内容は

    豊富であるが、参考になる点は少ない。

    誰に向けて書かれている情報かもまったく分からない。

    情報量だけは多いが、前半は、初心者向けの

    FXはコストが低くてすむので気軽に投資できて

    24時間可能なのでいつでも取り組めるという紹介。

    売りからもできるという説明も株をやったことのある人

    向けの説明なのか何だか中途半端な説明。

    チャートが読めるようになるというのでもなければ

    「選りすぐりの戦略カタログでトレード法を確立しよう」

    という、様々な手法の紹介で終わってしまう。

    この本を読んではっきりとすることは、とにかくFXで

    儲けることは大変だということくらいか。

    特別な取引手法やFXで勝つための必勝法などは

    書いてあるわけではないので、そういったものを

    期待した人には、まったくもって残念な本。

    ただ、何も知らないFXの初心者であれば情報量の

    多さにだけは満足するのではないだろうか。

    けれど、本当の初心者なら後半の戦略カタログ

    には付いて行けないかもしれない。

    【目次】(「BOOK」データベースより)
    prologue 資産運用の強い味方FXで外資投資!/1 スッキリわかる!FXの仕組みと魅力/2 FXで勝負するなら外国為替市場の特徴を知ろう!/3 マーケット分析手法とこれまでの取引方法/4 FXで勝つための心構えと必勝法/5 選りすぐりの戦略カタログでトレード法を確立しよう!

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    2010年12月21日 (火)

    横須賀てるひささんの『行列のできる行政書士事務所の作り方』を読んでみた

    横須賀さんの『行列のできる行政書士事務所の作り方
    開業1年目で年収1000万円、3年目で3000万円』を読んでみた

     (5つが最高)

    この本は、行政書士事務所をやっていく上での

    「考え方」や「営業のノウハウ」などを紹介している。

    この手の本としては、印象的な本がかつてあった。

    2002年に当時としては画期的なアイデアを満載した

    丸山学さんの『行政書士になって年収1000万円稼ぐ法』

    を読んだとき、すでに行政書士の資格を持っていた

    私としては、すごい人が現れたものだと関心をした。

    けれど、そのアイデアをまねた多くの人がネットに

    安い価格を表示したホームページを作成し、

    「値切られない」、「ダンピングしない」が高額報酬への道

    という丸山さんのメッセージの方は無視されてしまった。

    しかも行政書士は最近では少し合格率も上がってきたが

    一時期は合格率だけを見ると恐ろしい難関資格であった。

    しかし、ようやく正常な行政書士試験になりつつなる中で

    この本は、とてもオーソドックスな事務所経営の本である。

    仮に私が行政書士の登録をして開業するとするなら

    この本を参考に開業準備をしようとするであろう。

    この本には成功するための考え方から開業前の準備、

    最適営業の方法から、商談力の重要性までが、

    とても分かりやすく具体的に書かれている。

    しかも、行政書士資格での開業、事務所の経営は

    積極的に売りにいける商品がほとんどないことから

    軌道に乗せるまでに時間がかかり難しいということを

    自ら認め、「資格起業家理論」というものを提唱している。

    これは、まずお客になるであろう企業家に直接

    営業するのではなく、「企業家向けセミナー」などを

    実施してお金をいただき、その上で行政書士としての

    自分を知ってもらおうという戦略だ。

    これが出来るなら行政書士業務で上手くいかなくても

    いいのではないかと思ってしまうし、かなり難易度が

    高い戦略だと思うが、楽して稼げる商売はない。

    私は行政書士資格も持っているし、法律に携わることが

    好きなので、もってこいの商売のように思えるが、

    実際にやってみようと考えたことは一度もない。

    それは作者の言うように、まさに起業家マインドが

    私にはなかったからである。

    ではなぜこの本を手にしたのかと言えば、簡単である。

    ただ単にいま勤めている会社のリストラの対象に

    名前が挙がってきたからという、それだけの理由だ。

    そして、だからこそメチャクチャ真剣に読んだ。

    その結果、私には行政書士事務所をやっていくだけの

    バイタリティが絶対的に足りないと感じた。

    私には営業力や価格交渉力は欠如している。

    正確な仕事だけではリストラされてしまうのと同じで

    厳しさを増している士業の世界に踏み込む勇気はない。

    けれど、もしそれ以外に生きていく道がないとしたら

    誰よりも成功して本を書くのも良いかもしれない。

    そのときの参考にするという意味でも良い本だ。

    【目次】(「BOOK」データベースより)
    第1章 新しい時代に生き残る行政書士になる
    第2章 行政書士で成功するための考え方
    第3章 行政書士になるには
    第4章 開業前の具体的な準備と知識武装
    第5章 最適営業で効率良い営業をしよう
    第6章 商談力の重要性(第二段階)
    第7章 行政書士のビジネスの性質
    第8章 事例紹介

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    2010年12月20日 (月)

    本田健さんの『ユダヤ人大富豪の教え』を読んでみた

    本田さんの『ユダヤ人大富豪の教え
    幸せな金持ちになる17の秘訣』を読んでみた

     (5つが最高)

    この本は、2006年に文庫化されているので

    これから購入する人は、そちらで構わないと思う。

    ただ、私は古い2003年の単行本しか持っていない

    ので、内容はそちらを読んだ感想である。
    (アフィリエイトのリンクは文庫版にしてみた)

    本田さんの代表作ともいえるこの作品は

    やはり今読んでも古さを感じさせない良書である。

    2000年に出た『金持ち父さん貧乏父さん』と

    教えをこうスタイルは似ているが、それを差し引いても

    充分に読む価値がある1冊だと思う。

    ユダヤ人大富豪のゲラー氏の話で印象に残った

    ものをいくつか書かせてもらうと次のとおり。

    ①世の中には、2通りの人間しかいない。
     自由な人と不自由な人だ。
    ②大多数の人間は、いまいるところで頑張れば
     道は開けると考えてしまう。そこで、無駄な戦いを
     やって、ボロボロになって力尽きてしまうのだ。
    ③自分で商売をやることは、辛く苦しい生き方になる。
     医者や弁護士は収入の多い不自由人。
    ④ビジネスシステムを作るかどうか、これが成功の鍵。
    ⑤夢を追いかけるのを忘れて、安定した人生を選んだ
     人間は、言ってみれば『退屈な人生を生きる終身刑』
     を自らに課しているのに等しい。
    ⑥幸せな金持ちになるための秘訣は、
     自分の大好きなことを仕事にすることだ。
    ⑦現在の世の中は、経済価値や喜びを与えた人間が
     豊かになるようになっているんだ。

    また、お金には次の5原則があるそうだ。

    ①たくさん稼ぐ
    ②賢く使う(節約)
    ③がっちり守る
    ④投資する
    ⑤分かち合う

    このうち、最後の「分かち合う」というのは日本人には

    あまり馴染みのない発想かもしれない。

    そして、ゲラー氏の「ビジネス成功5原則」

    ①好きなことを見つける(見つけたら成功者を探す)
    ②そのビジネスで成功に必要なことはすべて学ぶ
    ③小さくスタート、短期間で大きくしない
    ④儲かるシステムをつくる(マーケティングが大事)
    ⑤自分がいなくてもまわるシステムをつくる

    当たり前のこともたくさん書いてある。

    矛盾しているように思うこともたくさん書いてある。

    けれど、それでも学べることは多かった。

    それで充分、私にとってこの本には価値がある。

    【目次】(「BOOK」データベースより)
    衝撃的な出会いと最初の試練/社会の成り立ちを知る/自分を知り、大好きなことをやる/ものや人を見る目を養い、直観力を高める/思考と感情の力を知る/セールスの達人になる/スピーチの天才になる/人脈を使いこなす/お金の法則を学ぶ/自分のビジネスをもつ/アラジンの魔法のランプの使い方をマスターする/多くの人に気持ちよく助けてもらう/パートナーシップの力を知る/ミリオネア・メンタリティを身につける/勇気をもって決断し、情熱的に行動すること/失敗とうまくつき合う/夢を見ること

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    2010年12月19日 (日)

    ジョン・C・ボーグルさんの『インデックス・ファンドの時代』を読んでみた

    J・C・ボーグルさんの『インデックス・ファンドの時代
    アメリカにおける資産運用の新潮流』を読んでみた

     (5つが最高)

    この本は、さすがアメリカと思わせられるくらい

    驚くことが、詳細な資料により論証されている。

    簡単に言ってしまえば、アクティブ運用より

    パッシブ運用の一種であるインデックス・ファンド

    のほうが長期運用では収益性が高いということだ。

    こんな本が、成功したファンドマネージャーに

    数億円も支払ったりするアメリカで出版されており、

    あのインデックス・ファンドとは真逆の投資手法とも

    思われるバフェットまでもが絶賛しているという。

    これは単にインデックスに勝る運用が難しい

    ということだけを言っているのではない。

    投資戦略にとって重要なことは、「資産配分」なのか

    「コスト」なのかという問いに対し、この本は明確に

    両方だと、「常識」どおりの答えを出している。

    一般にアクティブ運用は、ベンチマークとなる市場

    インデックス(日経平均株価やTOPIXなど)に対し、

    相対的に高いパフォーマンスを出すことを目的に、

    インデックスとは異なるポートフォリオを優秀とされる

    プロの運用担当者を付けて、その分の高いコストを

    払ってファンドを構築する運用手法のことである。

    アクティブ運用には、トップダウンアプローチと

    ボトムアップアプローチがあるのはご存知のとおりだ。

    しかし、このアクティブ運用では、とにかくコストが

    高くついてしまいパッシブ運用には勝てない。

    しかも、長期の運用では市場インデックスといった

    指標の動きに連動する運用成果を目標とする

    運用戦略の方が売買回数が少ないため手数料や

    税金の負担ということがない分、有利になる。

    ここでは、優れたりターンを生み出すインデックス運用の

    恩恵をフルに活用するために役立つ8つの基本ルールを

    紹介させてもらうこととする。

    ①低コストのファンドを選択せよ
    ②専門サービスの追加コストをよく吟味せよ
    ③過去のパフォーマンスを過大評価すべからず
    ④一貫性とリスクの判断に過去のパフォーマンスを活用すべし
    ⑤スターマネジャーは要注意
    ⑥資産規模(大きくなりすぎ)に注意すべし
    ⑦多くのファンドを持つべからず
    ⑧いったん購入したポートフォリオを持ち続けるべし

    ただし、これは当然のことだが指標が下がり続ける

    異常な日経平均株価やTOPIXなどでは通用しない。

    この本に書かれていることが成り立つのは、

    アメリカのように暴落はあるものの必ずその対策が

    効くような健全な一般の市場についてである。

    あるいは金融政策などが効かないかに見える

    新興国市場でも長期で見れば成立つということだ。

    むしろ非効率な市場の方が有効に機能するらしい。

    また、この本の作者のジョン・C・ボーグルは、

    世界最大のノーロード(販売手数料なし)の

    ミューチャル・ファンド・グループである

    バンガード・グループの創始者でもある。

    もちろん日本の証券会社でも買うことが出来る。
    (買うことを推奨しないが、私は積立を始めた)

    最後に、インデックス・ファンドが良いと言うなら

    それにレバレッジをかけたファンドならもっと

    儲かるのではないかと考える人もいると思うが、

    これはこの本に書いてあったこととは関係なく

    私の20年近い投資経験から言わせてもらうなら、

    日本の株価指数を対象とした先物取引を積極的に

    活用することで、日々の基準価額の値動きが

    日本の株式市場の値動きに対して概ね3倍程度と

    なることを目指して運用を行うというようなファンドが

    期待通りの結果を残したのを見たことがない。

    ちなみにある運用会社が2009年の6月に同時に

    設定して売り出した2つのファンドの成績は、

    日本株トリプル・ブルは1万円を割っており

    日本株トリプル・ベアは6千円を割っている。

    TOPIXは設定当時も今日現在もほぼ同じ

    900円近辺であることは事実であるが、

    その間のファンドの値動きを調べていただければ

    買うべき商品かどうかは、はっきりする。

    【目次】(「BOOK」データベースより)
    第1部 投資戦略(長期投資とは―チャンス氏の庭造り/リターン性質―「オッカム」のカミソリ ほか)
    第2部 投資選択について(インデックス運用について―経験が希望に勝る/株式の運用スタイル―三目並べ ほか)
    第3部 投資パフォーマンスについて(平均への回帰―ニュートンの復讐/相対パフォーマンス主義―幸せと不幸せの違い ほか)
    第4部 ファンド運用について(基本原則―重要な原則は曲げてはならない/マーケティングについて―メッセージは手段である ほか)
    第5部 基本精神(起業家精神―創造の喜び/リーダーシップについて―目的意識ほか)

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    2010年12月18日 (土)

    石川臨太郎さんの『副業はサラリーマン』を読んでみた

    石川さんの『副業はサラリーマン
    年収3000万円資産1億円超を実現した私の投資法』を読んでみた

     (5つが最高)

    この本は、何よりもタイトルに惹かれて手に取ったのだが

    サラリーマンであれば誰でも考えることではないだろうか。

    週末起業なども流行らしく副業に手を出す人は多くなって

    きていると思うが、なんとそれを逆転させてサラリーマンを

    副業としてしまおうというのだから恐れ入る。

    この本にも書いてあるとおり「できないと思ったら絶対に

    できない」ことなのだと思うが、「できたらいいな」という

    くらいの気持ちで簡単にできるわけではなさそうだ。

    この本の作者は全収入のうち給料の占める割合が30%、

    株と賃貸用の中古ワンルームマンションの投資による

    収入が70%だということで、先見の明があったのだろう。

    金持ち父さんシリーズのヒット以来、日本でも不動産投資

    というものが、株式への投資に次いで注目されるように

    なったようだが、こればっかりは誰でも勉強すれば

    成功できるというたぐいのもではないような気がする。

    私も興味があるので、周りの人にも色々と話を聞くが

    完全に自分一人でやろうとすると本業に悪影響が

    出てしまうらしく、営業職や管理職で成果さえ出せば

    ある程度自由な時間が持てるような人向きらしい。

    ただ、この手の本の中では面白く読ませてくれた。

    株投資で得た利益を賃貸用のワンルームマンション

    購入につぎ込み、安定的家賃収入を得ながら株式への

    再投資を行ない、年収3000万円、所有資産1億円を

    実現したという作者のサクセスストーリーは楽しい。

    不動産投資の時期が良かっただけという批判もできるが、

    株式投資も含めて、その投資時期を見極めるのも本人の

    大切な能力と考えれば、見習う点は少なくない。

    作者の石川さんの本業は、「自分だけが顧客の資産運用者

    でありコラムニスト」ということらしい。

    【目次】(「BOOK」データベースより)
    プロローグ 日本的サラリーマン人生にさようなら/第1章 サラリーマン事業収入30%、投資運用収入70%/第2章 加速度錬金術、株式投資を考える/第3章 私のお薦めはバリュー株投資/第4章 今すぐできる!カンニング投資法のすすめ/第5章 株の利益は中古ワンルームマンションへ/エピローグ セミリタイアも夢じゃない

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    2010年12月17日 (金)

    親野智可等さんの『「叱らない」しつけ 子どもがグングン成長する親になる本』を読んでみた

    親野さんの『「叱らない」しつけ
    子どもがグングン成長する親になる本』を読んでみた

     (5つが最高)

    子供を褒めて育てるというのは実は簡単なようで

    いてとても難しいということを私は日々実感していた。

    自分の子供なのだから愛情を持って接すれば

    自然といいところが目に入ってくると漠然と考えていたが、

    そんな生易しいものではないことを知った。

    なぜなら、自分の子には過剰な期待をしてしまうので

    2番になったときもどうして、1番になれなかったのかと

    責める言葉が先に出てしまいがちだ。

    これは自分の学生時代を振り返れば、簡単に分かる

    ことだが、当の自分は2番にさえなったこともないのである。

    それを自分の子供をまず褒めずに叱ってしまったら

    親子といえども良い関係が継続できるわけがない。

    この本を読むと、子供に対して親が身をもって示すことの

    大切さということを本当に考えさせられる。

    まず親が変わらなければ、子供は良くならない。

    当たり前のことだが、そのことを気づかせてくれる

    とても良い実践的な教育書である。

    私たち親にも色々厳しい現実が突きつけられている

    今の時代だからこそ、叱ってばかりの躾から卒業する

    ために、ぜひ読んでもらいたい1冊である。

    【目次】(「BOOK」データベースより)
    第1章 「叱る親」をやめよう(しつけより愛情/しつけに厳しすぎるとどうなるか/親子の触れ合いが、子どもを落ち着かせる ほか)/第2章 しつけで大事な五つのこと(厳しさとは、「継続性」「一貫性」「身をもって示す」の三つ/まず冷静になり、原因を調べて、具体的な手立てを実行する/趣旨や理由を正しく教える ほか)/第3章 いい話が、子どもの心を成長させる(人間関係についての話/生活習慣についての話/その他のいろいろな話)

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    2010年12月16日 (木)

    勝間和代さんの『10年後あなたの本棚に残るビジネス書100』を読んでみた

    神田昌典/勝間和代さんの
    『10年後あなたの本棚に残るビジネス書100』を読んでみた

     (5つが最高)

    私がブログを再開したきっかけとなった記念碑的1冊。

    それまでは文学・評論・思想・哲学などを中心に

    読書を進めていた私であったが、この本をきっかけに

    ビジネス書なども敬遠せずに読んでみようと思い立ち

    とりあえずそのとき人気が出始めていた勝間さんの

    薦めている本を片っ端から読んでやろうということで

    このブログはその記録のために再開されたのである。

    しかし、神田さんや勝間さんの薦めている100冊の

    ビジネス書たちは、そう簡単に読み切れる訳もなく。

    また、ビジネス書なんて文芸評論に比べたら絶対に

    つまらなくて投げ出してしまうと思っていたものの

    これが見事にどっぷりとハマリ、とにかく一人の本を

    読んで面白かったら、その人の別の本も読むという

    芋づる式読書術なので、なかなかゴールが見えて

    こないが、これはこれで楽しいので、良しとしよう。

    本の内容としては、各本の読みどころの解説に

    はじまり、フォトリーディングの実践法や勝間式読書

    投資法など、巻末の両氏の「年齢別」読書遍歴と

    ともにとても興味深く面白い内容になっている。

    神田さんは「ビジネスで劇的な効果を挙げる50冊」を、

    勝間さんは「プロフェッショナルの基礎体力を作る50冊」を

    それぞれ厳選して紹介してくれている。

    たとえば、神田さんは「リアルなビジネスの教科書」として

    『ナニワ金融道』を紹介していたり、勝間さんは

    「自分自身のブルー・オーシャンを見つけよう」として

    『ブルー・オーシャン戦略』を紹介するなど興味深い。

    最後に、神田さんは本の中でこんなこと述べている。
    「1番やってはいけないことは、本書に掲載された本を
    順番に1冊ずつ読破しようとすることです。
    自分の頭で考えることなく同じ本を読破したならば、
    勝間さんや私と同じような人ができてしまいます。
    そうしたら将来、あなたとお会いするときが訪れたとき、
    私たちの出会いを活かしながら世の中のために
    提供できるものがなくなってしまいます。むしろ、あなたの
    身体が衝動を感じる本を買ってください。 頭ではなく、
    身体で感じること。それが良書を選ぶためのコツ。」

    私は神田さんや勝間さんとはもともと読んできた本の

    種類が違うので、もし実際に本人と会える機会があれば

    どんな本を紹介しようかと、夢だけは大きく持っています。

    【目次】(「BOOK」データベースより)
    巻頭対談 神田昌典・勝間和代 いかにして、10年後あなたの本棚に残る本を選んだのか?/巻頭インタビュー 神田昌典 ビジネス書を読む意義と“スピード情報編集法”としてのフォトリーディングの実践/巻頭インタビュー 勝間和代 1か月に100冊読む勝間式読書投資法/神読昌典が初公開!この本だけは絶対読もう!究極の10冊/勝間和代が厳選!この本だけは絶対読もう!至高の10冊/神田昌典が語る「10年後あなたの本棚に残る40冊」はこれだ!/勝間和代が語る「10年後あなたの本棚に残る40冊」はこれだ!/巻末付録1 全国カリスマ書店員9名が語る!私の思い入れのある1冊/巻未付録2 神田昌典・勝間和代が明かす「年齢別」読書年表/巻未付録3 神田昌典・勝間和代の厳選オーディオブック37+DVD3選

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    2010年12月15日 (水)

    岩田規久男さんの『経済学を学ぶ』を読んでみた

    岩田さんの『経済学を学ぶ』を読んでみた

     (5つが最高)

    この本は、新書ということもあって1つ1つの話題を

    深く掘り下げるたぐいのものではないが、

    経済学の考え方に始まり、ミクロ経済学の基礎や

    マクロ経済学の基礎まできちんと網羅してくれている。

    交換換と市場、需要と供給、企業や政府などの

    私たちの身近なミクロ経済学の基本の基本から、

    国民所得、財政金融政策などマクロ経済学の基礎までを、

    これほど分かりやすく明快に記述している入門書は

    他にはあまり見かけないくらいの良書である。

    もちろんこの1冊のみで経済学が理解できるわけではない。

    その端的な表れとして、岩田さん自身も同じちくま新書から

    『マクロ経済学を学ぶ』という本を出してもいる。

    ただ、この本の親切なところは第8章に「経済学の学び方」

    という1章を設けており、更に経済学を学びたい人のために

    経済学の学び方や分野ごとの参考文献を挙げてくれている。

    【参考文献】(一部抜粋、岩田さんのものは除く)
    『図説日本の財政』 東洋経済新報社
    『図説日本の税制』 財経詳報社
    『ビジネスマンなら知っておきたい金融の基礎テキスト』
    住友新託銀行・運用企画部調査課編 日本能率協会
    『図説日本の証券市場』 財経詳報社
    『図説国際金融』 財経詳報社
    『年金入門』 島田とみ子 岩波新書

    『価格と市場』 ドーフマン 東洋経済新報社
    『マクロ経済学第2版』 新開陽一 東洋経済新報社
    『入門マクロ経済学』 中谷巌 日本評論社
     (3版が紹介されているが2007年に5版が出ている)

    『財政学』 貝塚啓明 東京大学出版会
    『公共経済学』 野口悠紀雄 日本評論社
    『国際マクロ経済学』 W・M・コーデン 東洋経済新報社
    『ゼミナール日本経済入門』 日本経済新聞社編 日本経済新聞社

    【目次】(「BOOK」データベースより)
    第1章 経済学の考え方/第2章 市場経済とは何か/第3章 ミクロ経済学の基礎/第4章 現代企業の行動/第5章 市場と政府/第6章 マクロ経済学の基礎/第7章 マクロ経済の安定と変動/第8章 経済学の学び方

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    2010年12月14日 (火)

    ジェームズ・パードウさんの『株でお金持ちになる!バフェットの教え』を読んでみた

    ジェームズ・パードウさんの
    『株でお金持ちになる!バフェットの教え』を読んでみた

     (5つが最高)

    この本は、バフェットが特に軽蔑している理論として

    「効率的市場理論(EMT)」だという事を明確にしている。

    もしEMTが本当なら、事業分析など時間の無駄でしか

    なくなってしまうし、唯一正しい評価である市場の評価を

    受け入れるしかなくなってしまう。

    バフェットは、そのようなことに常に抗うことにより

    巨万の富を得たのであり、わずか一万ドルの元手を

    株式への投資で増やし、ウォール街のNo.1の

    大富豪となった生きた証明なのである。

    この書は、バフェットの投資哲学や手法について、

    本当に大事なポイントを抽出し、分かりやすくまとめた

    恰好の入門書であると同時にとても深い掘り下げも

    してくれていて、何度も読むに耐えるものである。

    この本を読むとバフェットの投資スタイルは非常に

    堅実で、目先の利益に動かされず、長期的な視野で

    投資を行っていることがよく分かる。

    会計の専門知識を使ってはいるものの、常識や倫理を

    とても重視し自分が理解できる銘柄に絞り込む

    手法はとても参考になるものばかりである。

    株の初心者はもちろん、ベテラン投資家でも、

    私のようにやられてばかりの人には恰好の再入門書として

    学ぶところは非常に多いと思う。

    いくつか具体的に私にとって参考になった点を抜粋してみる。

    ①将来の予測ができる単純なビジネスモデルを買う。
    ②シンプルに考える。単純な尺度を利用。
    ③投資決定は自分で行う。
    ④ベンジャミン・グレアム、チャーリー・マンガーを読む。
    ⑤会計と金融市場について基礎知識を得る。
    ⑥半値に下がったら不安になって手放すような株は買わない。
    ⑦優良企業の株は手放さない。
    ⑧5年以上寝かすつもりの株しか買わない。忍耐、我慢。
    ⑨株を買う前にファンタメンタルズを把握する。
    ⑩インターネットを活用する。ティッカーは見ない。
    ⑪ポートフォリオには10銘柄以上組み込まない。
    ⑫誰もが買わないときに勇気を持って買う。
    ⑬競争優位、優秀な経営者、割安な株価が揃うまで待つ。
    ⑭安直に逆行投資を行ってはならない。
    ⑮チャンスが来たときに動けるようにしておく。
    ⑯バフェットの年次報告と手紙を読む。
    ⑰常にコストを監視する。

    【目次】(「BOOK」データベースより)
    複雑な投資より、単純な投資を/自分の投資は自分で決める/常に冷静さを失わない/一に忍耐、二に忍耐/株ではなく、企業を買う/「特権」企業を探す/ハイテクではなく、ローテクを買う/投資対象を絞る/動きすぎない。動かない/ティッカーを見ない〔ほか〕

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    2010年12月13日 (月)

    陰山英男さんの『学力は家庭で伸びる 今すぐ親ができること41』を読んでみた

    陰山さんの『学力は家庭で伸びる 今すぐ親ができること41』を読んでみた

     (5つが最高)

    この本は2003年の本であるが、その後2007年に

    文庫化もされている陰山先生の初期の頃の名著。

    生活習慣を含めた基礎基本の繰り返しによる指導は

    小学生はもちろん、幼稚園でも早すぎないくらい。

    子供たちの「力」が、こうすれば引き出せるという

    陰山先生らしいアイデアも満載で、誰でもすぐできる、

    手軽さもやる気にさせてくれる。

    これだけ手をかければ大抵の子供は必ず伸びる。

    子供の学力低下が叫ばれ、ゆとり教育から

    ようやく方向転換した文科省だが、その流れを作った

    1冊ともいえる本書は、では親は何をしたらいいのか

    という質問に丁寧に答えてくれている。

    「生活改善なくして学力向上なし」という陰山先生の

    持論に子供の学力を伸ばしてきた自信がうかがえる。

    陰山先生が学校ではできない「今すぐ親ができること」を

    まとめた家庭教育論にもなっており、子を持つ親は

    なるべくは役目を通しておくことをお薦めしたい。

    リビングに図鑑を置こうや机の上を親が片付けないなど、

    基本的な細かいことから、宿題は食卓でさせよう、

    朝食は必ず食べさせようなど、一ひねりのあるものや

    親にとっても頑張らなければならないようなことまで

    すぐに実践できて効果抜群のノウハウが満載です。

    【目次】(「BOOK」データベースより)
    第1章 ジワジワ効いて結局「学力」が上がる16か条(翌日の時間割は自分でそろえさせる/宿題は食卓でさせよう/宿題を親がやらない ほか)/第2章 毎日の生活で「会話力」がつく13か条(食事のときはテレビを消す/ゴミ出しは子供にやらせる/今日あったことをお風呂で聞いてあげる ほか)/第3章 「自分でできる力」を育てる12か条(机の上を親が片づけない/サッカーの応援に毎回行かない/説教は「誉める」「叱る」「誉める」のサンドイッチで ほか)

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    2010年12月12日 (日)

    藤本壱さんの『いますぐ始める割安株投資 このチャンスを逃すな!』を読んでみた

    藤本さんの『いますぐ始める割安株投資 このチャンスを逃すな!』を読んでみた

     (5つが最高)

    最近またバフェットの本をいくつか読んでみて

    やっぱり株式投資のほうが、才能のない人にも

    資産運用として適しているのではないかと

    考えるようになり、日本人の書いた割安株投資の

    本を読んでみることにした。

    今年の8月の出版の本だけあって景気回復期の

    割安株の仕込み時と考えての記述になっているが、

    実際には回復には程遠く、日経平均株価も1万円を

    割り込み、2番底を心配する声や民主党の無策を

    嘆く声があちこちで聞こえるような状況になっている。

    この一つをとっても景気の先行きを占うことは難しい

    のであるが、割安株を上手く見つけることができれば

    それほどのリスクを取らずに株式投資が楽しめる

    状況になってきていると多くの人が感じているらしい。

    また、割安株投資は、銘柄選びとリスク管理を

    しっかりやれば、後は手間いらずで値上がりを

    気長に待つだけである点もFXの短期売買よりは良い。

    今この時期なら優良な割安株も豊富に市場に

    放置されている可能性も高い。

    株式投資暦だけは長いオジサンとしては基本的には

    書かれていることは復習の面が多かったが、

    特に参考になったことを記せば、

    株価とキャッシュフローの関係を表す指標として

    「PCFR」というものが紹介されていたこと。

    これは株価を1株当たり営業キャッシュフローで

    割って求めるもので、「PCFR」が低いほど株価は

    割安となり、株価上昇率は高くなる傾向がある。

    この指標の欠点は予想値が求めにくいことだが、

    とりあえず5大ネット証券の中では楽天証券が

    スクリーニングの条件にできるようなので

    一度試しに使ってみようと思う。

    最後に残念な点を一つ書くと、スクリーニングの実際例で

    P128の表4.2は、株価上昇重視型の条件例でいいが、

    P129の表4.3も、株価上昇重視型の条件例となっており、

    正しくは「安全性重視型の条件例」とすべきだったのでは

    ないかということ。

    (条件は個人の状況にもよるので本を読んでください)

    【目次】(「BOOK」データベースより)
    第1章 割安株投資の始め方/第2章 割安で値上がりしやすい銘柄を見つける/第3章 効率性と安全性から割安株候補を選別する/第4章 スクリーニングで銘柄を探す/第5章 上手な投資法と買い方をマスターする/第6章 売り時と売り方を考える/第7章 これから狙える割安株銘柄

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    2010年12月11日 (土)

    勝間和代さんの『伝説の教授に学べ!』を読んでみた

    浜田宏一/若田部昌澄/勝間和代さんの
    『伝説の教授に学べ! 本当の経済学がわかる本』を読んでみた

     (5つが最高)

    これを勝間さんの本とすることには抵抗感があるが、

    浜田さんが勝間さんに触発されてこのような本が

    出来たというのであれば、やっぱり勝間さんの

    本の1冊とすべきなのだろう。

    勝間さんの主張は、一貫してデフレ解消であり、

    それこそがボウリングに1番ピンだという主張には

    基本的に賛成なので、その線に沿った経済学の知見は

    とても興味深く、世界にも通用する理論が確かに

    あることが分かって、とても良かった。

    私個人に限れば、デフレが終わりインフレになれば

    住宅ローンだけとっても資産価値の低下が止まる反面

    変動のローン金利が上がり、給料の上昇は一番遅れて

    くるから、生活が苦しくなることは目に見えている。

    しかも唯一の資産も住宅や車である人は、

    デフレで価値が目減りしても売却を考えないのであれば

    個人の場合バランスシートが痛むということもない。

    けれどもデフレが続けば職がなくなることは明白である。

    私の会社の管理部も3分の1の人員がリストラされた。

    しかも残った人が必ずしも優秀というわけでもないので

    仕事が集中する人は会社に泊まり込んだり

    見るからに体調の悪そうな人がフラフラしながら仕事を

    しているような、悲惨な現実がある。

    これは明らかに商品価格を上げられず、

    コスト削減のみで競争力を出さなければならない

    サービス業に共通の問題だと思う。

    この本の中にも日本ではシュンペーターの言う、

    不況を通じてこそイノベーションが生まれるという

    「創造的破壊」も人気があるが、需給ギャップの

    急激な縮小が起きているのにイノベーションを

    要求するのは、無茶だとされている(P111~112)。

    まさにそのとおりで、イノベーションが生まれるまで

    待っていたらみんな死んでしまうのが現実である。

    このブログは本を実際に読んでもらうことが主眼だが、

    とても参考になったので以下の2点については

    簡単に抜粋させていただくことにする。
    (詳しくは実際に本をご購入し、熟読ください)

    【経済学のカンドコロ】
    ①身の回り(ミクロ)では正しいことでも、国全体
     (マクロ)で考えるとおかしくなることがある。
     ミクロとマクロを区別しよう。
    ②名目と実質を区別しよう。
    ③フローとストックを区別しよう。
     フローは、一定期間に「流れる」経済活動の量。
     ストックは、一定時点で「貯まっている」経済量。
    ④部分均衡と一般均衡を区別しよう。
     「デフレでモノの値段が下がるから、デフレは有難い」
     というのは、部分均衡的な考え。
    ⑤固定相場制と変動相場制を区別しよう。
    ⑥民間銀行と中央銀行を区別しよう。

    【間違った経済論議を見抜く方法】(駄目な例)
    ①論理の筋道に飛躍がある。
    ②言っていることが矛盾している。
     「日銀がいくらおカネを刷ってもインフレにならない」
     と「日銀が金融緩和をしすぎるとハイパーインフレ
     が起きる」とは完全に矛盾する。
    ③政策の政治的・実務的困難を協調する。
    ④政策の現状バイアス。
     当局が行っている政策に無批判に同調する。
    ⑤ビッグワードで語ろうとする。
     「歴史の必然」、「歴史的転換点」、「資本主義の終焉」
    ⑥可能性の低いリスクを針小棒大に強調する。
    ⑦違う物差しを持ち出す。
     「経済停滞からの脱出には何をすべきか」に対し
     「経済的な豊かさだけが本当の豊かさなのか」と言う

    【参考文献】(一部抜粋)
    『経済成長と国際資本移動――資本自由化の経済学』
    浜田宏一 東洋経済新報社, 1967年
    『損害賠償の経済分析』
    浜田宏一 東京大学出版会, 1977年
    『国際金融の政治経済学』
    浜田宏一 創文社,1982年

    『経済学者たちの闘い エコノミックスの考古学』
    若田部昌澄 東洋経済新報社, 2003年
    『改革の経済学 回復をもたらす経済政策の条件』
    若田部昌澄 ダイヤモンド社,2005年
    『危機の経済政策 なぜ起きたのか、何を学ぶのか』
    若田部昌澄 日本評論社,2009年

    『デフレと円高の何が「悪」か』
    上念司 光文社新書 2010年
    『この金融政策が日本経済を救う』
    高橋洋一 光文社新書 2008年
    『デフレの経済学』
    岩田規久男 東洋経済新報社 2001年
    『円の足枷―――日本経済「完全復活」への道筋』
    安達誠司 東洋経済新報社 2007年
    『日銀はだれのものか』
    中原伸之 中央公論社 2006年
    『日本銀行は信用できるか』
    岩田規久男 講談社現代新書 2009年
    『日本の「失われた二十年」――デフレを超える経済政策に向けて』
    片岡剛士 藤原書店 2010年
    『経済論戦は甦る』
    竹森俊平 日経ビジネス人文庫 2007年
    『構造改革論の誤解』
    野口旭・田中秀臣 東洋経済新報社 2001年
    『ミクロ経済学』Ⅰ/Ⅱ 東洋経済新報社

    【目次】(「BOOK」データベースより)
    第1章 デフレって何だろう/第2章 こうすればデフレは止められる/第3章 なぜインフレターゲットが必要なのか/第4章 「伝説の教授」はこうして経済学を学んだ/第5章 歴史に学ぶ「反デフレ」の闘い─大不況・昭和恐慌の教訓/第6章 デフレ脱却後、日本経済はこうなる/終章 これが「本当の経済学」だ!

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    2010年12月10日 (金)

    勝間和代さんの『女に生まれたら、コレを読め 〇活必勝法』を読んでみた

    勝間さんの『女に生まれたら、コレを読め 〇活必勝法』を読んでみた

     (5つが最高)

    これまで勝間さんの本を何冊も読んでいたにもかかわらず

    この本を読んで初めて勝間さんが恋愛至上主義者だ

    ということを知ってとても驚いた。

    私はてっきり勝間さんという人は効率重視で恋愛なんて

    あまり関係ないと思っているのかと勘違いをしていた。

    この本は特に若い女性向けに書かれているようなので

    男性である自分が読むときには当然その分を割り引いて

    読む必要があるが、とても面白いくくり方が多かった。

    恋や仕事など、がんばる女性が幸せをつかむための

    「10個の○活」を想定し、どうすればより幸せになれるの

    かという視点から少し先を行く先輩としてのアドバイスが

    頼もしく感じられた。

    とくに「婚活」の章では、婚活は合コンじゃない!

    きちんと自分のことは自分でできる自走式の男を選ぼう

    という呼びかけには、まるっきり何もできない粗大ごみと

    化したオジサンにはとても耳の痛い話であった。

    うちのかみさんが「離活」(離婚に向けた準備)を

    始めていないことをただ祈るのみである。
    (ちなみに「離活」は、今回の10のテーマにはない)

    勝間さんの本にはいつも書かれていることではあるが、

    品質管理の手法として「PDCAサイクル」について

    この本では「計画(P)」を立てて終わりにならないように

    何度でも励ましてくれる構成になっているが、

    うちのかみさんが「実行(D)」に移さないうちに

    私も自己変革をしなければならない。

    ちなみにPDCAとは、次の4段階の頭文字のこと。

    ①Plan (計画)
    ②Do (実行)
    ③Check (評価)
    ④Action (改善)

    早速、風呂でも洗うことにしよう。

    【目次】(「BOOK」データベースより)
    1 人活/2 美活/3 就活/4 恋活/5 婚活/
    6 産活/7 住活/8 エコ活/9 財活/10 日本活

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    2010年12月 9日 (木)

    親野智可等さんの『「否定しない」子育て』を読んでみた

    親野さんの『「否定しない」子育て 親の「話す技術」「聞く技術」21』を読んでみた

     (5つが最高)

    この本は、短期間に2度読んだほど今の私の悩みに

    ジャストミートしていたので、子育てに悩んでいる人には

    ぜひとも読んでもらいたい1冊です。

    特に褒めて育てることの難しさを実感しているような

    親にはお奨めです。

    作者が現役教師ということで、多くの子供と接してきて

    得られた情報を惜しみなく披露してくれている感じが

    とても好感が持てる本に仕上がっています。

    「人に迷惑をかけてはいけない」など、

    普段何気なく言ってしまう一言が、親のマイナスからの

    発想なのだと反省させられたりもします。

    子供と一緒に悩みながら成長していくことが

    本来の子育てなのだと考えられれば、

    意外と悩みの解決の糸口が見えたりもします。

    Q&A方式でまとめられているので、いろいろな場面で

    どのように子供と接すれば良いのか、不安になった

    ようなときには、すぐに取り入れることが出来ます。

    本当に参考になる意見が多く、私がもう一人

    良く参考にさせていただいている陰山先生の

    厳しさに対し、褒めること重視という姿勢の方です。

    【目次】(「BOOK」データベースより)
    「しつけ」のつもりが「過干渉」に!?/子どもに命令口調で接していいの?/人前ではっきりものを言える子にするには?/優しさや思いやり、気配りの心を育てたい/言葉がきつく他人に厳しい性格を改善させたい/家でダラダラするのをやめさせるには?/マイペースすぎてイライラする!/ものごとに熱中できる子にしたい/「だらしがない子」を立ち直らせる方法/「ごまかし」「うそ」「ずる」を注意するには?/ひらがなばかりで漢字が使えない!/実力テストで点が取れないのはなぜ?/嫌がる習い事、続けさせるべき?/楽しみながら運動を好きになるには?/両親の帰宅を待つ一人の時間をどうしたら?/甘えん坊の子どもを早く自立させたい/いつまでも親子いっしょに寝てたらおかしい?/お金や物を盗ってきてしまう、どうすれば?/皆が大切に育てている金魚を殺してしまった!/いじめ?どう声をかけたら……/わが子を「かわいい」と思えない!

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    2010年12月 8日 (水)

    川島和正さんの『働かないで年収5160万円稼ぐ方法』を読んでみた

    川島さんの『働かないで年収5160万円稼ぐ方法』を読んでみた

     (5つが最高)

    会社が嫌になってしまうと時折こんなタイトルの本を

    手にとってしまうが、読み終わってみるとやっぱり当分は

    会社で頑張るしかないんだなと感じさせてくれる、

    まさに現実の厳しさを教えてくれるための1冊。

    この手の本の悪いところを書きたてても仕方がないことは

    読み終わった普通の人であればみんな一様に感じること

    なので、とくに何が悪いかを書くことはしないが、

    内容としてはネットで検索できること以上のものはない。

    週末起業という視点を教えてくれた藤井さんの本に比べ

    新たな視点の提供ということもないのが残念。

    ただ、この本は作者の意図に反し逆説的にではあるが、

    働くことの大切さを教えてくれる点では良いと思う。

    まず、この本で紹介されている稼ぐ方法は3つである。

    ①ヤフーオークションなどで物を売ること
      但し、仕入れや販売は大変で働く必要がある
    ②アフィリエイトを上手く利用すること
      但し、集客にはとても大変な努力を必要とする
    ③情報商材を作って売ること
      但し、買ってくれる馬鹿を取り込む必要がある

    これらの方法が紹介された後、結局はネットで検索するか

    情報商材を買って勉強するかしなければならない。

    そして、何よりも一生懸命働いて仕組みを作り、

    それを維持するために様々な努力をしなければならない。

    仮に好きなことをやっているなら働いてるとはみなさない

    というような解釈をしても、かかる時間は半端ではない。

    これは月収24万円の平社員だったからこそ飛び込めた

    世界であり、早く始めた者にのみ許されることだと思う。

    【目次】
    はじめに 月収500万円生活のススメ!
    第1章 今なぜ副業が注目されるのか?
    第2章 楽しく稼げる副業選びのポイント
    第3章 楽々簡単! オークションで月30万円稼ぐ方法
    第4章 アフィリエイトで月100万円生む仕組みを作る
    第5章 情報ビジネスならノーリスクで月300万円稼げる
    第6章 副業から起業、そして年収1億円への道
    おわりに

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    2010年12月 7日 (火)

    藤井孝一さんの『学びを稼ぎに変える技術』を読んでみた

    藤井孝一/森英樹さんの『学びを稼ぎに変える技術』を読んでみた

     (5つが最高)

    この本は、学んだことを稼ぎに変える「考え方」と

    「実戦的ノウハウ」を週末起業という視点から

    二人の独立・起業コンサルタントが教えてくれる

    というものである。

    私としては 「“学び”だけでは十分ではない」と

    言われても、その学びさえ中途半端なので

    耳に痛いところもあるが、とにかく学ぶだけでは

    もったいないのでそれを“稼ぎ”に変えるように

    自分の「立ち位置」を変えてみようという提案は

    今すぐにでも実践したいところである。

    ただ、私の専門が法律関係なので弁護士法との

    絡みもあるので、ひと工夫必要ではある。

    まあ、行政書士でも、結構きわどいことをしている

    人はいるので、やり方しだいなのだと思うが。

    とりあえず今は、このブログが本を選ぶ人の

    少しでも助けになって喜んでもらえれば

    こちらとしては嬉しい限りである。

    けれど、私もこの本を読んで学びっぱなしじゃ

    いけないということを痛感した。

    学ぶ目的は色々だと思うが、稼ぐというのは

    その学んだものにお金を出しても良いという人と

    めぐり合うことであり、喜んでもらうことでもあるのだ。

    週末企業のノウハウもさることながら、

    稼ぐことが悪いことではないという当たり前のことに

    気づかせてくれる、とてもポジティブになれる1冊。

    会社を辞めたい人も、とりあえずこの本を読んで

    稼ぐ準備をしてからでも遅くはないはず。

    この本の良い所は、答えが出せるようになるまで

    学ぶことを続けるのではなく、とにかくやり始めてみて

    その質問されていく中で調べながらでも答えを

    出すうちに自分の学びも鍛えられていくということを

    はっきりと伝えてくれている点である。

    とかく学ぶことに熱心な人は見切り発車になることを

    嫌いがちであるが、そこをあえて進んでみることで

    見えてくるものがあることを教えてくれている。

    何事もやってみないと分からないことというのは

    あるものなのである。

    【目次】
    はじめに 学びっぱなしじゃ、もったいないと思いませんか?
    第1部 “学び”を“稼ぎ”に変える思考力を身につける
    PART1 なにごとも、はじめの一歩は”学び”から
    PART2 “学び”だけでは十分ではない!
    PART3 「“学び”で“稼ぎ”」を取巻く誤解
    PART4 “学び”を“稼ぎ”に変えた私の方法
    PART5 “学んだ”あなたはここから!
    第2部 “学び”を“稼ぎ”に変える実践力を身につける
    PART1 自分の「立ち位置」を変えてみよう!
    PART2 堂々と「専門家」を名乗ろう!
    PART3 情報発信が最初のステップ
    PART4 商材をみつける4つの切り口
    PART5 「オンリーワン」になろう!
    おわりに あなたにもきっとできる!

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    2010年12月 6日 (月)

    高安秀樹さんの『経済物理学の発見』を読んでみた

    高安さんの『経済物理学の発見』を読んでみた

     (5つが最高)

    この本は、前半の3章までは経済物理学の紹介で

    とても期待させてくれる内容になっているが

    後半の4章以降は単なる物理学者の経済もどきである。

    経済物理学の発想自体がすばらしいだけに残念な1冊。

    1章から3章で経済物理学の目指していることを

    大体理解したら、4章以降の記述がいかに無関係なこと

    であるか楽しむことも勉強にはなるだろう。

    また、4章のハンガリーのハイパーインフレは知識として

    知っておくことは面白いと思うが、そこからインフレ誘導

    政策は危険すぎると言う提言に持っていくことは

    あまりにも強引過ぎるし、それが経済物理学から導かれる

    結論であるのかがまったく分からない。

    「インフレはパニック的な集団心理で起こるものですから、
    一度起こりだすと止めることは非常に困難です」

    との記述も見られるが、その少し前に4かける10の29乗

    ペンゴ(旧通貨)を1フォリントとするという兌換通貨(金と

    一定の割合で交換できる通貨)を導入したらインフレが

    ぴたりと止まりました、とも書かれている。

    要するにハイパーインフレであっても止めることは

    可能であり、デフレで苦しむ人がいる状況にあって

    まだ起きてもいないインフレを心配することは

    どのような経済学にとっても無駄であるということだ。

    なお、5章の消費税よりも相続制度を見直せという

    作者の提言は、経済学でさえないように感じるのは

    知識のない私だけだろうか。

    また、企業通貨システムについても現在のポイントと

    比較して、将来の支払いに対する積立などの会計上の

    問題をどのように処理する考えなのか理解できなかった。

    経済学を科学のように見せるのは、本当に慎重に

    進めなければならないという好例に思えて仕方がない。

    【参考文献】(一部抜粋)
    『金融リスクの理論―――経済物理からのアプローチ』
    ファイナンス・ライブラリー(6) 朝倉書店 2003年
    J・P・ブショー、M・ポッター
    『経済物理学入門―――ファイナンスにおける相関と複雑性』
    エコノミスト社 2000年 R・N・マンテーニャ、H・E・スタンレー
    『入門経済物理学―――暴落はなぜ起こるのか?』
    PHP研究所 2004年 D・ソネット
    『人工市場 市場分析の複雑系アプローチ』
    相互作用科学シリーズ 森北出版 2003年 和泉潔
    『金融時系列データのフラクタル解析』
    多賀出版 2002年 熊谷善彰

    【目次】(「BOOK」データベースより)
    1章 エコノフィジックスの誕生/2章 エコノフィジックスのツール/3章 市場原理/4章 市場の臨界的性質/5章 所得の変動と分布/6章 お金の特性/7章 企業通貨システム/8章 今後の展望

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    2010年12月 5日 (日)

    林總(ハヤシアツム)さんの『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』を読んでみた

    林さんの『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?
    読むだけで「経営に必要な会計センス」が身につく本!』を読んでみた

     (5つが最高)

    この本は、単なる会計の入門書ではなく

    いちおう小説仕立ての形式を取っている。

    ストーリーとしては、父の急死で、

    経営不振のアパレル会社「ハンナ」の社長に

    突然就任することになった由紀が、

    上場会社の社長もした大学院で会計を

    教えている安曇教授のアドバイスで

    見事に会社の建て直しに成功するというもの。

    ただ、設定としてはありうる話かもしれないが

    それだけに細部の現実離れした点が気になった。

    たとえば小説の冒頭で株主総会で新社長に

    選任されたとあるが、通常は取締役会で

    社長(代表取締役)は選任されるものである。

    仮に定款で株主総会で代表取締役も

    選任することにしている会社だったとしても

    そのときの株主は誰なのだろうか。

    遺書一つでデザイナーの娘に経営不振の

    アパレル会社を経営させられるようにできる

    株主構成とはどういうものか。

    経営不振の会社役員がこんなに新社長に

    非協力的なことがあるだろうか。

    最大の疑問は安曇教授のアドバイスが

    月1回しか受けられないという設定は

    必要だったのだろうかということ。

    これは『ザ・ゴール』のパクリで、全てのことを

    短期間で教授から教えてもらえないという

    意味を持っているのだろうが、いかがなものか。

    ただ、ここまで批判的な感想を書いてきたが、

    やはり読む価値は充分にあると思う。

    章ごとの解説は図表も分かりやすく

    会計や経営について知らない人でも

    すんなりと入っていけるように工夫されている。

    餃子屋と高級フレンチだけではなく

    多くの興味深い比較などにより、

    最後まで飽きずに読める、楽しい1冊です。

    【目次】(「BOOK」データベースより)
    突然の社長就任/会計はだまし絵、隠し絵だ―会計の本質と損益計算書のしくみ/現金製造機の効率を上げよ―バランスシートを理解する/大トロはなぜ儲からないか?―キャッシュフロー経営とは何か/テストの見直しをしない子は成績が悪い―経営計画と月次決算のPDCAサイクル/餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?―利益構造と損益分岐点分析/シャネルはなぜ高い?―見えない現金製造機とコーポレートブランド経営/整形美人にご用心―粉飾決算の見破り方/殺風景な工場ほど儲かっている―原価管理と活動基準原価計算/決断 進むか、退くか―機会損失と意思決定/シャーロック・ホームズの目と行動力を持て!―異常点に着眼し、原因を究明する/会計のトリックに騙されるな!―逆粉飾を見破る/夢に向かって―紀尾井町のフランスレストラン

    餃子屋と高級フレンチでは、ど...

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    価格:1,575円(税込、送料別)

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    2010年12月 4日 (土)

    メアリー・バフェットさんの『億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術』を読んでみた

    メアリー・バフェット/デビッド・クラークさんの
    『億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術』を読んでみた

     (5つが最高)

    この本は、バフェットの銘柄選びという最も知りたい

    ポイントを詳しく解説してくれている。

    該当例として紹介される企業の中に

    あまり日本では馴染みのないアメリカの会社も

    含まれているということを除けば、満点をつけても良い。

    詳細は実際に本を読んでいただくとして、

    大まかな銘柄選択の基準を以下に抜き出してみる。

    大半の投資家が短期指向なのに対し、

    バフェットは優良企業の長期的な投資価値に注目する。

    企業をコモディティ型の企業と消費者独占型の企業に

    分けて考え、消費者独占型企業に投資する。

    値段が唯一の選択基準となるコモディティ型企業の

    例としては、航空会社、鉄鋼製品、石油・天然ガス、

    林業・製材、紙・パルプ、自動車などである。

    コカ・コーラに代表されるような消費者独占型企業を

    見分ける8つの基準は次のとおり。

    ①消費者独占力のある製品・サービスを持つ
    ②1株あたり利益(EPS)が力強い増加基調にある
    ③多額の負債を抱えていない
    ④株主資本利益率(ROE)が充分高い
    ⑤現状維持に内部留保利益を再投資しない
    ⑥内部留保利益を利益を生む新規事業や
     自社株買いに自由に使える
    ⑦インフレを価格に転嫁できる
    ⑧内部留保利益の再投資が株価上昇につながる

    また、高収益を生む消費関連事業を4つに分類する。

    ①長期使用や保存が難しく、強いブランド力を持ち
     販売業者が扱わざるを得ないような製品を作る事業
    ②他の企業が事業を続けていくために、持続的に
     使用せざるを得ないコミュニケーション関連事業
    ③企業や個人が日常的に使用し続けせざるを得ない
     サービスを提供する事業
    ④宝石・装飾品や家具などの分野で、事実上
     地域独占販売力を持っている小売事業

    絶好の買い場が訪れる4つのケースとしては次のとおり。

    ①相場全体の調整や暴落
    ②全般的な景気後退
    ③個別企業の特殊要因
    ④企業の構造変化

    投資収益率を高めるために注意する点は次のとおり。

    ①可能な限り安値で買うこと
    ②過去10年のEPSを見て、利益成長を続けていること
    ③長期の複利効果を生かす高いROEを実現できること
    ④内部留保利益を上手く再投資する経営陣がいること

    これだけの充実した内容を他に探すのは

    かなり困難であると思われる。

    とにかく一度読んでいただき、内容を吟味してもらいたい。

    【目次】(「BOOK」データベースより)
    基礎編 バフェットの銘柄選択(市場からの永遠の贈り物―短期指向と悪材料現象/バフェットが重視する優良企業とは/コモディティ型企業は避けよう/消費者独占型企業とは―バフェットの富の源/消費者独占型企業を見分ける8つの基準 ほか)/応用編 バフェットの方程式(なぜ安値で買うことが大切なのか/利益は安定して成長しているか/買値こそ投資収益率の鍵を握る/利益成長率から見た企業の実力/国債利回り以下では投資と呼べない ほか)

    億万長者をめざすバフェッ...

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    2010年12月 3日 (金)

    陰山英男さんの『本当の学力をつける本』を読んでみた

    陰山さんの『本当の学力をつける本  学校でできること家庭でできること』を読んでみた

     (5つが最高)

    この本を読むと、生活習慣を含めた基礎基本の

    大切さをあらためて実感させられる。

    ある意味で子供に良い生活習慣を身につけさせる

    ことは、親が子供のためにやってあげられる

    最大のことなのかもしれないと思う。

    陰山さんは百マス計算で有名になった感じがするが

    百マス計算自体は、陰山さんの恩師が始めたもので

    陰山さんの真骨頂は、「生活習慣の確立」や

    「読み書き計算の反復練習」などの基礎基本を大切に

    独自の実践を継続することによって学力の向上を図る

    スタイルにあると思う。

    塾もないような山間の公立小学校で続けてきた

    10年にわたる実践の結果から、家庭学習にも

    応用できるようにした取り組みの数々を

    「陰山メソッド」として紹介している。

    しかし、私はここに紹介されているようなことを

    決してユニークなものだとは思わない。

    学校でできることと家庭でできることを

    双方が頑張ってやっていきましょうというのは

    ゆとり教育が失敗に終わった今、とても重要で

    親の一人ひとりが考えていかなければならない

    大きな問題である。

    どちらか一方では子供は良くならないのである。

    親はもっと家庭でできることをやらなければ

    子供にとっても不幸な結末を迎えてしまうだろう。

    学校に文句を言う前に、まず家庭でできることから

    見直してみようと強く思った。

    【目次】(「BOOK」データベースより)
    第1章 学校でできること(公立高校入試結果への不信から/少人数学級が学力向上の第一歩 ほか)/第2章 家庭でできること(生活アンケートから教えられたこと/二度夕食を用意する母親 ほか)/第3章 新学習指導要領でできること(新学習指導要領、何が問題か/授業時間数が絶対的に足りない ほか)/第4章 社会でできること(赤ペンを握りながら死んでいった池野先生/組合の研究会では“管理教育”と批判される ほか)

    本当の学力を...

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    価格:560円(税込、送料別)

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    2010年12月 2日 (木)

    小宮一慶さんの『「1秒!」で財務諸表を読む方法』【実践編】を読んでみた

    小宮さんの『「1秒!」で財務諸表を読む方法』【実践編】を読んでみた

     (5つが最高)

    1秒で財務諸表を読むには、流動負債と流動資産を見る

    というのが、前作の『「1秒!」で財務諸表を読む方法』で

    説明されていたが、今回はその続編となる実践編。

    企業の実力を見抜くための「財務分析」の手法が

    分かりやすく解説されている。

    ビジネスで数字を扱う人だけでなく、株式投資を

    している人も、これを読んでおくと勘所が押さえられる。

    また、何よりも企業を分析することが楽しくなってくる。

    第5章の資金繰り分析がやや駆け足な気がするが、

    それ以外は興味ある企業例が出てきて参考になる。

    特に参考になったところを挙げておくと、

    会社の実力を「安全性→収益性→成長性」の

    順に見るということ。そして、「安全性」は

    貸借対照表で見るということ。

    また、実践編らしく一般論だけで片付けてしまう

    危険性にも触れていて、注意すべき場合を

    指摘してくれているところは有難い。

    騙されるポイントは①売掛金、②たな卸資産、

    ③長期借入金としている。

    損益計算書の見方の第1のポイントは

    売上高「および」利益が伸びているかどうか。

    これは、どちらかが伸びていれば良いという

    ものではないことを示している。

    収益性分析では全体とセグメントを分析する

    重要性を個別の企業を見ながら解説している。

    これで第5章のキャッシュフロー計算書の

    解説がもっと充実していれば言うことなしだった。

    とにかく参考になることが多くお薦めの1冊。

    【目次】
    第1章 貸借対照表の見方・読み方[基礎編]
        ──安全性分析1
    第2章 貸借対照表の見方・読み方[実践編]
        ──安全性分析2
    第3章 損益計算書の見方・読み方[基礎編]
        ──収益性分析1
    第4章 損益計算書の見方・読み方[実践編]
        ──収益性分析2
    第5章 キャッシュフロー計算書の見方・読み方
        ──資金繰り分析

    「1秒!」で財務諸表を読む...

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    2010年12月 1日 (水)

    親野智可等さんの『「親力」で決まる!』を読んでみた

    親野さんの『「親力」で決まる! 子供を伸ばすために親にできること』を読んでみた

     (5つが最高)

    この本の作者は、静岡県の公立小学校で教鞭をとる

    現役教師ということだが、とても子供と上手く向き合って

    ともに成長してきた良い先生なのだろうと感じる。

    本の内容は、教師として21年間、教育現場の最前線に

    立つ中で感じてきたという、親が子供に与える影響力の

    大きさについて、「親力」としてより良いものになるよう

    にと、考え抜かれた実践的アドバイスに満ちている。

    私自身も気が付けば、もう長いこと教育業界にいるが

    肝心の自分の子供について疎かになってしまっていた

    ことを反省させられる内容でもあった。

    さすがにベテラン教師として経験・知識・理解・技術を

    少しでも家庭で役立ててもらいたいということで

    書かれているため、1つ1つのアドバイスが

    実践してみたくなるようにまとめられている。

    たとえば子供に歴史を学ばせるきっかけとして

    歴史漫画を薦めているが、これなどは

    うちの下の子には少しずつだが効果が出てきている。

    漫画だから駄目ということではなく、いい効果が

    生まれるなら何でも使えばよいというスタンスは

    とても好感が持てるし、納得がいく。

    とにかく子供に良さそうなことは実践してみて

    それで子供たちが楽しそうにしていなかったら

    すぐ次のものを試してみるという繰り返しで

    いくつか成功したものが残っていく。

    我が家では子供を連れて美術館や博物館に行ったり

    したことも、この夏のいい思い出になった。

    気合を入れてやったことでもまったく見向きもされない

    ことも当然あるが、それでもやらないよりはいい。

    この本に触発され、これ以降かなりの数の

    教育関係の本を読んだが、この本を超える本には

    まだ出会っていないというほどの良書。

    子供が小学生くらいまでなら必ず1度は読んでみて

    欲しいというくらいのお勧めの1冊です。

    【目次】(「BOOK」データベースより)
    第1章 子供の「楽勉」をプロデュースする(トイレに地図を張ると地理が得意になる/テレビの横に地図帳を置くと地理が好きになる/4、5年生から歴史漫画を読ませると歴史に強くなる ほか)/第2章 学力・人間力を伸ばす習慣(子供の頃の熱中体験がとても大切。その二つの理由とは?/自分の仕事をやっている子は、学力が伸びる/早寝の子は、学力が伸びる ほか)/第3章 幸せな親子関係の作り方(「一会入魂」で、今このときを大切にする/「一会入魂」で、子供をやる気にさせる/子供を伸ばすコツは褒めることに尽きる ほか)/対談 重松清×親野智可等「親が“楽”になれば子は伸びる」

    「親力」で決...

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