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2010年12月 6日 (月)

高安秀樹さんの『経済物理学の発見』を読んでみた

高安さんの『経済物理学の発見』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、前半の3章までは経済物理学の紹介で

とても期待させてくれる内容になっているが

後半の4章以降は単なる物理学者の経済もどきである。

経済物理学の発想自体がすばらしいだけに残念な1冊。

1章から3章で経済物理学の目指していることを

大体理解したら、4章以降の記述がいかに無関係なこと

であるか楽しむことも勉強にはなるだろう。

また、4章のハンガリーのハイパーインフレは知識として

知っておくことは面白いと思うが、そこからインフレ誘導

政策は危険すぎると言う提言に持っていくことは

あまりにも強引過ぎるし、それが経済物理学から導かれる

結論であるのかがまったく分からない。

「インフレはパニック的な集団心理で起こるものですから、
一度起こりだすと止めることは非常に困難です」

との記述も見られるが、その少し前に4かける10の29乗

ペンゴ(旧通貨)を1フォリントとするという兌換通貨(金と

一定の割合で交換できる通貨)を導入したらインフレが

ぴたりと止まりました、とも書かれている。

要するにハイパーインフレであっても止めることは

可能であり、デフレで苦しむ人がいる状況にあって

まだ起きてもいないインフレを心配することは

どのような経済学にとっても無駄であるということだ。

なお、5章の消費税よりも相続制度を見直せという

作者の提言は、経済学でさえないように感じるのは

知識のない私だけだろうか。

また、企業通貨システムについても現在のポイントと

比較して、将来の支払いに対する積立などの会計上の

問題をどのように処理する考えなのか理解できなかった。

経済学を科学のように見せるのは、本当に慎重に

進めなければならないという好例に思えて仕方がない。

【参考文献】(一部抜粋)
『金融リスクの理論―――経済物理からのアプローチ』
ファイナンス・ライブラリー(6) 朝倉書店 2003年
J・P・ブショー、M・ポッター
『経済物理学入門―――ファイナンスにおける相関と複雑性』
エコノミスト社 2000年 R・N・マンテーニャ、H・E・スタンレー
『入門経済物理学―――暴落はなぜ起こるのか?』
PHP研究所 2004年 D・ソネット
『人工市場 市場分析の複雑系アプローチ』
相互作用科学シリーズ 森北出版 2003年 和泉潔
『金融時系列データのフラクタル解析』
多賀出版 2002年 熊谷善彰

【目次】(「BOOK」データベースより)
1章 エコノフィジックスの誕生/2章 エコノフィジックスのツール/3章 市場原理/4章 市場の臨界的性質/5章 所得の変動と分布/6章 お金の特性/7章 企業通貨システム/8章 今後の展望

経済物理学...

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