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2011年1月26日 (水)

パンカジ・ゲマワットさんの『コークの味は国ごとに違うべきか』を読んでみた

ゲマワットさんの『コークの味は国ごとに違うべきか
ゲマワット教授の経営教室』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、世界がグローバル化し、フラットで国境に

意味なんてなくなったのだという昨今の主張に対して、

そんな「常識」を信じると痛い目にあうということを

「セミ・グローバリゼーション」という概念を用いて

詳しく説明してくれている。

この本を読むと、いまでも世界の国々のあちこちに

厳然と「違い」は生き残っているということを思い知る。

タイトルにもなっているコカ・コーラ社の世界戦略など

日本企業を含む世界の一流企業の成功と失敗から

ほんとうに役に立つ経営学を学ぶことができる。

ただ、少し難点を挙げれば、私の企業に関する

知識不足から、セメント業界の分析は飽きてしまった。

それ以外は、とても面白く、バフェットもお気に入りの

コカ・コーラ社のCEOだったゴイズエタが海外戦略と

いうことでは、規模の経済を過信し、あまり成功して

いなかった事実など、新たな発見も多かった。

まず第1部では、「フラット化しない世界」として、

日本コカ・コーラの多種多様な缶コーヒーの数々は、

本社の反対を押し切って日本で開発した商品で、

非協力的なアメリカ本社へのあてつけのため

本社のあるジョージア州から「ジョージア」と命名された

とか、ウォルマートは外国ではあまり儲けられず

本社からの距離が離れるほど苦戦しているとか、

ローカルな戦略が意外に成功している例を紹介する。

そして、グローバル化しない要因を、文化的(Cultural)、

制度的/政治的(Administrative/political)、地理的

(Geographical)、経済的(Economic)という4つの要因

に分類して、CAGEというモデル化により分析している。

さらに、ある戦略的行動が合理的かどうかの判断の

基礎を提供するものとしてADDING価値スコアカード

を用い、企業ごとの問題を明らかにしている。

ADDINGとは、販売数量向上(Adding volume)、

コスト削減(Decreasing cost)、差別化(Differentiating)、

業界の魅力向上(Improving industry attractiveness)、

リスク平準化(Normalizing risk)、知識の創造と応用

(Gererating knowledge)という6つの構成要素のこと

であり、その分解・数量化・比較・評価が重要である。

また、第2部では「国ごとの違いを成功につなぐ」として、

インドのマクドナルドに羊バーガーがあるとか、

トヨタの生産ネットワークがいかに優れていたかとか、

レゴがデンマークとスイスで生産を続け、カナダを

本拠地とするメガブランズの中国製メガブロックと

厳しい競争にさらされているなどの例を紹介する。

そして、国ごとに存在する差異の中で付加価値を生み

出す戦略として、適応(Adaptation)、集約(Aggregation)、

裁定(Arbitrage)から成るAAA戦略を紹介している。

全体として、とても読み応えのある分析である。

序文で、ゲマワットさんは最年少でハーバード・ビジネス

スクール教授になった男と紹介されているが、やはり

アメリカは様々な主張を展開するタレントが豊富で

うらやましい限りである。

日本の学者も、もっと一般向けの分かりやすい本を

書いてもらいたいものである。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1部 フラット化しない世界(コークの味は国ごとに違うべきか/ウォルマートは外国であまり儲けていない/ハーゲンダッツはヨーロッパの会社ではない)/第2部 国ごとの違いを成功につなぐ(インドのマクドナルドには羊バーガーがある/トヨタの生産ネットワークはここがすごい/だからレゴは後発メーカーの追随を許した/IBMはなぜ新興国の社員を3倍にしたか/世界で成功するための5つのステップ)

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