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2011年1月 7日 (金)

池田信夫さんの『過剰と破壊の経済学』を読んでみた

池田さんの『過剰と破壊の経済学
「ムーアの法則」で何が変わるのか?』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、「ムーアの法則」が成り立っている時代の

経済学というものは、ほかの時代と比較してどのような

変化をみせるものなのかということを紹介している。

ここで言う「ムーアの法則」とは、「半導体の集積度は

18カ月で2倍になる」というもので、この半世紀に

起こったイノベーションの数々が、「ムーアの法則」に

支配されたものであったことを明らかにしてくれる。

(2007年の9月時点でチップの線幅が45ナノメートル
と、線と線の間が分子5個分というところまで来たので、
あと10年か15年で限界だとムーア自身は言っている)

特に面白いのは、多くの企業がこの法則を利用して

急成長していく様と、この法則の威力を見誤って

消えていく運命をたどった企業のコントラストである。

中でも、日本の電卓メーカーであったビジコン社の話は

とても興味深かった。

ビジコン社は電卓用のチップの開発に取り組む際に、

その年当時はまだ新興企業であったインテルと

マイクロプロセッサ「4004」の開発に関する契約を結ぶ。

当初は開発費用をビジコン社がインテルに支払うことと

なっていたようだが、開発に予想以上の時間がかかった

ために、ビジコン社は経営危機に直面し、インテルから

開発費の一部を返却してもらう代わりに著作権を

わずか6万ドルで売却してしまう。

そして、ビジコン社は結局いきづまり倒産してしまう。

その後のインテルの発展は、誰でも知っていると思うが、

このことがなかったら今のインテルは、どうなっていたの

だろうかと思うと、日本にとって、とても残念な話である。

また、NHKの元職員である池田さんらしい、デジタル

放送についての分析も知らないことばかりで面白かった。

純粋に経済学の本として手に取ると、違和感を覚える

かもしれないが、私にとってはとても興味深い話が

たくさん詰まっていて、読みごたえがあった。

特に小型化と高性能化の進み方がスパイラルに

垂直統合→モジュール化→水平分業→コモディティ化

→世代交代→垂直統合→・・・・・・となっていくことは

様々な問題と示唆を含んでいると思う。

パソコンは使えるけど、どんな仕組みなのかは

まったく分からないというような人でも、

何とかついていけるのではないかと思う。

出版が2007年なので、少し古くなってしまったが

いま読んでも十分に楽しめる良書である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
序章 ビッグ・ブラザーの死(オーウェルの予言/1984年のコマーシャル/中央集権システムの終焉)/第1章 ムーアの法則とは何か(トランジスタからICへ/ゴードン・ムーアの予言/コンピュータという万能機械)/第2章 ムーアの法則で何が変わるか(情報インフラはコモディティ化する/問題はボトルネックだ/人間がボトルネックになる/情報は個人化する/垂直統合から水平分業へ/業界の境界はなくなる/中央集権かた自律分散へ/系列関係から資本の論理へ/国際化からグローバル化へ)/第3章 ムーアの法則にどう対応すべきか(情報コスト1/100の世界を想定する/水平分業で生き残るには/ものづくりからサービスへ/産業政策から資本市場へ)/終章 孤独な世界の中で(ITは格差を拡大する/放たれた魔物)

過剰と破壊の...

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