邱永漢(キュウエイカン)さんの『起業の着眼点』を読んでみた
邱さんの『起業の着眼点』を読んでみた
(5つが最高)
この本は、邱永漢お金儲けシリーズ全6巻の3冊目らしい。
1冊目が『お金持ちになれる人』、2冊目が『損をして覚える
株式投資』というように、脱サラを試みる人たちのためへの
アドバイスという形になっている。
私は今でこそ起業ということに興味があるが、若い頃は
まったくそんなものには興味がなく、出来ればずっと
サラリーマンでいたいタイプであった。
その昔、私が株式投資を始めたばかりのとき、邱さんの
本を見つけては、手当たりしだいに買い集め読み込んだ。
その頃は、株式評論家の北浜流一郎さんと経済評論家の
三原淳雄、邱さんの3人くらいしか株式投資に関して
まとまった著作がなく、バフェットやピーター・リンチを
紹介する翻訳本とともに楽しく読ませてもらった。
もう20年くらい昔の話で、株式手数料など今では
考えられないくらい、バカ高いものだった。
その懐かしい邱さんの起業本ということで手が伸びた。
内容は、邱さんらしく単純明快で分かりやすいが
ところどころに現実の厳しさに目を向けさせる辛口の
コメントがある、昔ながらのスタイルで楽しかった。
印象的な箇所を少し引用させてもらうと次のとおり。
『勤勉さが成功の要因の中で占めるパーセンテージは
残念ながら、そんなに大きいものではありません。』
『汗水たらして一生懸命働くよりも、お金の儲かる確率の
高い仕事を見つけることの方がずっとうまくいくことが
多いのです。』
『私に言わせれば、人のフランチャイジーをやることは
サラリーマンから足を洗って起業家になったわけでは
ありません。お金を払って他人の家来になっただけの
ことです。失敗して事業の後片づけをする時にそのことを
はっきりと認識させられる仕組みになっているのです。』
邱さんいわく、起業を成功させるには、努力することも
必要だが、それ以上に大切なポイントは、新しい
「お金の通り路」を発見することだということである。
アンテナを張って時代の流れを読む、のんびり屋だった
私にとって、非常に難しい課題である。
けれど、何もしないより、いろいろな本に接するだけでも
意識が変わり、情報が活きたものになっている。
邱さんの本を、また読みたくなった1冊である。
【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 サラリーをもらって金持ちにはなれない(イージーすぎる日本人の職業選び/会社人間は会社に飼い殺される ほか)/第2章 最初の一歩は資本づくり(脱サラとは働く世界を拡げること/最初の一歩は資本づくり ほか)/第3章 小さな魚が大きな魚を食い潰す(次は個性のある小さな商売の時代/デパートの一階と衣料品売場を見よ ほか)/第4章 雨の日は銀行に傘を借りるな(無理するな、手にあまる仕事に手を出すな/思い立ったらすぐやる習慣を身につけよう ほか)/第5章 周囲に反対されることをやれ(創業の土俵は大きく拡がっている/まず成熟社会のスキマの勉強から ほか)
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