« 池田信夫さんの『過剰と破壊の経済学』を読んでみた | トップページ | マーク・ティアーさんの『バフェットとソロス勝利の投資学』を読んでみた »

2011年1月 8日 (土)

勝間和代さんの『勝間・藤巻に聞け!「仕事学のすすめ」』を読んでみた

勝間和代/藤巻幸夫さんの『勝間・藤巻に聞け!「仕事学のすすめ」
自分ブランドで課題克服』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、2009年10月に発行されているが、

読んでいちばん良かったと思ったことは

「断る力」についての理解が深まったこと。

2009年2月に出た『断る力』で疑問に思っていた

ことが、この本を読むとすっきりとする。

本の実際に作られた前後関係は分からないが、

『断る力』の出版後、勝間さんなりにリサーチし、

どのような誤解が生じているかを把握したようだ。

この本では、その誤解を解くかのように、

仕事の現場で実際に「断る力」をどのように

発揮していくかということが、とても具体的に

書かれている気がする。

私は、『断る力』という本が誤解を与えていることを

勝間さんの基本的姿勢から来るものであり、

生産性重視、効率重視(経済合理性)だけでは

仕事そのものに適用することは問題を生じなくとも

人間関係にあっては通用しないと書いた。

『断る力』の目次から拾うだけでも「断る力」には

圧倒的な効用があり、自分の揺るぎない軸を持って、

「断る力」で、自分と周囲の好循環を作るというように

とにかく「自分」が中心なのが気になった。

しかし、この本では藤巻幸夫さんの人を巻き込んで

仕事をすることの大切さと対になるようにして

「断る力」を発揮することが周囲の人のためにも

なることが強調されている。

また、頑張ることが幸せになるための唯一の条件である

と主張しているかのような勝間さんのイメージに対して

闇雲に頑張る精神論ではなく、「仕組み作り」で

頑張らなくてもできるようにしていく仕事術を伝え

これまでの主張どおり、ぶれない姿勢も好印象だった。

情報整理の基本として、「空・雨・傘」理論の紹介も、

私に欠けている点でもあるので興味深かった。

『あらゆる情報は、この「空が曇ってきた(客観的事実の
認識)」「雨が降りそうだ(事実に対する解釈)」「傘を持
っていこう(解釈に対する行動)」の3段階に整理できる』

一方、為替のトレーダーの藤巻健史さんを兄に持つ

藤巻幸夫さんについては、福助を再生した人という

知識しかなかったので、それ以前の伊勢丹時代の話や

イトーヨーカ堂衣料部の再生を心臓病のために

道半ばで諦めざるを得なくなる話などは初めて知った。

また、藤巻さんの言う「自分ブランド」の確立については

私のサラリーマン根性にはない部分で、参考になった。

『・フィロソフィー(哲学)・・・・・信念を持って行動し、
 ・ヒストリー(歴史)・・・・・自分がどのような軌跡をたどって
 なぜここにいるのか、なぜコレにこだわるのかという目的
 や使命を自覚して、
 ・ストーリー(物語)・・・・・自分の言葉で周囲の人々に語り
 かけ、人の心を巻き込みながら、より大きな仕事を実現
 していくこと』

一流のブランドの目利きというものは、応用もきいて

人脈の作り方なども行動的でぶれないものなのだと

あらためて藤巻さんの凄さを知ることが出来た。

NHKの番組を本にしただけという批判もあるのだろうが

物事を考えるときのアプローチの仕方が異なる個性的な

自分ブランドを確立している2人の組み合わせは、

仕事学を考えてみるときにとても有用であると思う。

番組を見た人も含めて、ぜひ仕事に携わる多くの人に

読んでみていただきたい1冊である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 藤巻幸夫の仕事学─自分ブランドで人を巻き込め(自分ブランドを構築せよ/人心を巻き込め/志をつなげ)/第2章 勝間和代の仕事学─課題を克服し、小さな前進を重ねよう(自分を見つめ、問題を解決する/優先順位を見きわめる/行動は、着実に自分と社会を変える)/第3章 幸福度10倍アップ仕事学(勝間和代×藤巻幸夫 トランスレーター対談)

【送料無料】勝間・藤巻に聞け!「...

【送料無料】勝間・藤巻に聞け!「...

価格:735円(税込、送料別)

|

« 池田信夫さんの『過剰と破壊の経済学』を読んでみた | トップページ | マーク・ティアーさんの『バフェットとソロス勝利の投資学』を読んでみた »

勝間和代」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 勝間和代さんの『勝間・藤巻に聞け!「仕事学のすすめ」』を読んでみた:

« 池田信夫さんの『過剰と破壊の経済学』を読んでみた | トップページ | マーク・ティアーさんの『バフェットとソロス勝利の投資学』を読んでみた »