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2011年2月28日 (月)

小山龍介さんの『STUDY HACKS!』を読んでみた

小山さんの『STUDY HACKS!スタディ ハック!
楽しみながら成果が上がるスキルアップのコツと習慣』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、勝間和代さんの勉強本+αといった感じで

ひとつひとつのHACKは目にしたことがあるものだが、

数多くのHACKが体系的にまとめられている点では

なかなか良い本ではないかと思う。

ただ、ツールハックに紹介されているものは2008年の

ものなので、今現在はここに書かれているものが

ベストなツールではなくなってしまっているだろう。

あえて勉強の7つ道具を紹介するとラク耳勉強のための

iPod、ノイズキャンセリング機能付のBoseのヘッドフォン、

ICレコーダ、人に教えるためのモバイルPC(レッツノート)、

自分辞書のモレスキン、切り貼りするためのはさみとのり、

「超メモ術」のための100円ノートとなる。

また、社会人ならではの勉強の機能は次のとおり。

①知識のインプットメソッドの多様化(ラク耳勉強法)
②知識の構造化(メタ知識の活用)
③知識のネットワーク化(他人との知識の共有)

最も興味深かったのは大胆に「ヤマを張る」という方法論。

作者はここに勉強に限らない人生の真理が隠されている

と書いているが、HACKというものの本質でもある。

費用対効果を考えて大胆に捨てることもコツなのである。

最後に英語学習に何度も躓いている私向けのHACK。

ペーパーバックやDVDで英語を学習する際のHACK。

①辞書は使わない。辞書を使わなくてもわかる易しい
 ものからやり始める
②わからなかったら飛ばす。100%理解できなくても
 気にしない
③つまらなくなったら止めて、別のものに移る

この本は、勉強を始める際に「楽しみながら成果が

上がるスキルアップのコツと習慣」を先に知ってから

勉強に取り組みたい人向けであり、1つでも2つでも

何か参考になるHACKを見つけることができたら

1500円のもとが取れてしまうと考えられる人に

とってはお得な本だと思います。

【目次】(「BOOK」データベースより)
1 ツールハック―機能と形態/2 環境ハック―身体と環境/3 時間ハック―すきまとながら/4 習慣ハック―愛着と定着/5 試験ハック―選択と集中/6 語学ハック―リズムとゆらぎ/7 キャリアハック―STUDYとSTUDIOUS

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2011年2月27日 (日)

田中秀臣さんの『AKB48の経済学』を読んでみた

田中さんの『AKB48の経済学』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、経済思想史・日本経済論の専門家であり

「リフレ派」経済学の代表的な論客でもある田中さんが

今話題のAKB48を経済学的な側面から分析している。

たとえば、AKB48の人気はデフレ不況が生み出した

ものであるとか、「おニャン子クラブ」や「モーニング娘。」

などのビジネスモデルとは何が違うかとか、芸能界と

日本型雇用システムの関係は逆転していて、アイドルは

今や終身雇用に近くなっているなど、面白い考察が並ぶ。

そして、最も面白かったのは大相撲とAKB48の比較から

日本の雇用制度や人事制度、リスク分散などを論じて

いる部分である。

ただ、全体としてはAKB48を経済学でどうとらえるか

の試みの域を出ていない感じがした。

著者は「AKB48は秋葉原というおたく文化の聖地、

デフレカルチャーの権化のような貧乏な若者たちに

ターゲットを合わせてきたわけですが、その一方で

絶えず秋葉原の外、さらに日本の外、グローバルな

市場も意識している」と書いているが、これは著者の

見方であって、AKB48の理解の仕方の1つだ。

私はAKB48が48人組みではないということも

つい最近知ったくらいで、この見方を否定する

独自の資料を持ち合わせているわけではないが、

それでもこの本の中に書かれていることからしても

疑問なしとしない点が多い。

たとえば、秋葉原を選んだ理由も、この本の中で

最初は別の場所を考えていたと書かれているし

おたくの若者たちが全て貧乏であるわけではなく

さらに言えば可処分所得ということに限れば

私のような所帯持ちよりもずっと自由になる

お金が多い人もいるはずである。

貧乏な人のデフレ下の「心の消費」というとらえ方も

可能だと思うが、メジャーになった現在では価格も

上がり、単なる消費の問題になっている気がする。

また、グローバルな市場を意識しているかどうかは

後付の感がしないでもない。

ピンク・レディーが最初から世界を意識していたという

話とは少し性質が違うような気がする。

けれど、AKB48の人気に便乗して即席で出した本と

いう感じは持たなかったし、分析としては面白い視点を

提供してくれていると思う。

AKB48のファンが読むような本ではないのだろうが、

AKB48が気になりだしてきたオジサンが読むには

ちょうどいい感じの本である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 不況に強いビジネスモデル/第2章 デフレ不況で増殖する「心の消費」/第3章 全国的に認知された「おたく市場」/第4章 大相撲とAKB48と日本型雇用/第5章 アイドルグループの経済分析/第6章 「ローカル」か「グローバル」か/第7章 アイドル高年齢化のその後─

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2011年2月25日 (金)

中村博行さんの『練習ゼロで完走できる非常識フルマラソン術』を読んでみた

中村さんの『練習ゼロで完走できる非常識フルマラソン術
準備は3日間だけ!』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、日本テレビの『24時間テレビ』でマラソン

ランナーの伴走業務についている中村さんの

たった3日間の準備だけでフルマラソンを完走して

しまおうという非常識なマラソン走法の本です。

走ることが好きでもなんでもない未経験者のテレビ

ディレクターが、100Kmをなんとか完走する経験を

10年以上して得てきたノウハウが詰まっています。

とにかく、やるべきことは2つだけという手軽さ。

1つ目が頭=「理論」を勉強をすること。

2つ目が財布=「道具」で何とかしてしまうこと。

これだけでフルマラソンを完走するというもの。

完走に必要な時間は、たった3日間。

3日間あれば6時間でフルマラソンを完走できる。

そのスケジュールは、
1日目(大会3日前) 必要な道具を買いに行く!
2日目(大会2日前) 理論の勉強+シミュレーション
3日目(大会前日) 休養&栄養補給 そして、本番!

ただし、この走法ではフルマラソン以上の距離は無理。

もちろん、5時間を切ることも出来ない。

あくまでフルマラソンを6時間以内で走るためのみ。

しかも、フルマラソンを完走して快感を知ったら

この非常識なマラソン術からは卒業して、

より良いタイムを求めて普通のセオリー通りの

練習を中村さんもコツコツと続けているとのこと。

大切なことは、とにかく筋肉を使わないように

「すり足走法」で体力を温存し、様々な道具で

鎧のように筋力を補強して走りきってしまうこと。

このことは、普通の練習法でフルマラソンに挑む

多くの人にとっても非常に参考になるはず。

便利な道具の数々の紹介だけでなく、テーピングの

仕方やレース後のアイシングの重要性など、

非常識でない知識も満載なのも嬉しい。

私も道具を全部そろえるほどのお金はないけれど

いくつか試してみています。

それに比べて、理論は1260円だから安いものです。

【目次】(「BOOK」データベースより)
0 ケニアにて/1 “非常識フルマラソン術”とは/2 “非常識フルマラソン術”誕生まで/3 “非常識フルマラソン術”実践編(大会数カ月前 フルマラソン大会にエントリーしましょう!/大会3日前 お買い物に行きましょう!/大会2日前 「すり足走法」と理論を確認してみましょう!/大会前日 なるべく身体を動かさず(筋肉を使わず)、炭水化物ばかりをたくさん食べましょう!/大会当日 スタート3時間半前には起きましょう!/当日ゴール後 完走した感動を味わいましょう!/大会翌日 体のケアを忘れずに!)/最後に注意 絶対に余計な練習はしないでください/追記─その後、サンフランシスコマラソンにて/坂本雄次氏が「非常識フルマラソン術」を斬る!

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2011年2月24日 (木)

坪井ひろみさんの『グラミン銀行を知っていますか』を読んでみた

坪井さんの『グラミン銀行を知っていますか
貧困女性の開発と自立支援』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、マイクロクレジットという貧困女性向け金融に

かかわることで、生活の質を高めようと懸命に生き、

自分の置かれた境遇に必死で挑戦する女性たちの姿を

年齢や固有名詞まで含めて具体的に伝えている。

この本で紹介されている成功しているマイクロクレジット・

プログラムの特徴は次のとおり。

・最貧困層が対象である
・プログラムは女性が融資を受けやすいように
 運営されている
・融資の審査と承認の手続きが容易である
・融資や関連サービスを便利で友好的に、
 近隣・村レベルで提供している
・融資は少額で、短期間(3ヶ月から1年)である
・貸付けの回収方法がわかりやすい
・貸付けの返済が終わると同時に、より多額の
 融資を提供している
・開発途上国では運営コストをまかなえるほどの
 利子率を、先進国では少なくとも一般の銀行と
 同水準の利子率を設定している
・貯蓄を奨励している
・ビジネスに関する情報や専門知識をもち、
 零細起業家に助言を行っている

また、グラミン銀行の大きな特徴は以下の6つ。

①貧しい人びとしか融資を受けられないこと
②メンバーになるためには自分たちで5人
 グループをつくること
③担保はいらないが5人で連帯して返済に責任を持つこと
④毎週集会所で開かれる集会に参加すること
⑤支店の行員が集会場に来ること
⑥自分たちで考えて経済活動に融資を活用すること

この本が出版された2006年当時はまだ日本の貧困問題

については、あまり取上げられていなかったのだろうが、

世界中の貧困問題を抱える国々にとって、マイクロ

クレジットの成功の意義はきわめて大きいのだろう。

銀行の利子率とは比べ物にならないくらいの高利貸し

しか存在しない日本の貧困問題がこれ以上深刻な

ものにならないことを祈るばかりである。

そして、この本を読むと、ただ単にお金を与える援助では

なく、少額ではあるが利子をとって貸し付けることにより

女性を社会にかかわらせる仕組みは、貧困地域の女性の

生活ぶりを知ると、とても重要なことであることが分かる。

日本の都市銀行やアメリカの投資銀行のあり方に

うんざりしている人は、ぜひ銀行の別のあり方を

知るために読んでみて欲しい1冊である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 マイクロクレジットとは何か(融資は少額で貧しい人だけに/マイクロクレジットは貧困を緩和するためのもの ほか)/第2章 グラミン銀行とは何か(グラミン銀行誕生と貧しさの基本的な考え方/グラミン銀行の仕組みと女性のかかわり方)/第3章 グラミン銀行の活動(集会は「私の学校」/「私」が所有する家 ほか)/第4章 フィールド・レポート―また女性たちに会いたくて(グラミン銀行2の女性たち/物乞自立支援プログラムの女性たち ほか)

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2011年2月23日 (水)

小出義雄さんの『愛のコムスメ操縦術』を読んでみた

小出さんの『愛のコムスメ操縦術』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、有森裕子さんや高橋尚子さんといった五輪の

メダリストをはじめ、数々の有名女性ランナーを育てた

小出さんの女性との接し方に関するノウハウ集である。

小出さんは、マラソンや駅伝などの女子選手の指導者で

豪放磊落な性格という面ばかり取上げられているが、

本当のところは選手を良く見て、選手ごとに接し方を

上手く変えている、実に神経の細やかな名指導である。

そんな小出さん流の女性操縦法は、世界に通用する

名選手を数多く輩出しているにもかかわらず実に謙虚だ。

まず、プライドを捨てることから始め、相手を褒める。

とにかく言葉をかけてあげて、きちんと見ているという

ことを伝え続ける。

女子選手は弱いときには「お願いします」と頭を下げる

けれど、ちょっと力をつけてくると自分の方が上だと

錯覚して、自分で動き出してしまうらしいが、それでも

小出さんは根気良く付き合ってあげてから納得させる。

実に手間隙かけた気の長い育成法である。

走ることが好きで、それを教えることを仕事にしている

からこそ出来るという面もあるのだろうが、人間に対する

接し方としても見習うべき点が多い。

小出さんは、たとえ袂を分かつことになった選手でも

悪くは言わず、戻って来たときは優しく迎えてあげる。

簡単そうに見えて実際にやるとなると難しい。

そういったことを意識してやっているからこそ世界に

通用する名選手を数多く輩出することが出来るのだろう。

「女性社員の力を伸ばすためには?」「若いコとは何を

話したらいい?」「職場の上司に女性がやってきたら?」

「彼女がいきなりキレたら?」「娘が言うことを聞かない

ときは?」など、女性に関する問題に、小出さんが答えて

くれる、とても楽しいエッセイ集になっている。

自分を見つめなおすという意味でも参考になるし、

女性と接する場面で違和感を感じている人には

特にオススメの1冊である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 女性の気持ち、分かります?/第2章 男女関係はこれでばっちり/第3章 結婚とはなんでしょう/第4章 ステキな娘の育て方/第5章 職場の女性に立ち向かう/第6章 人生相談

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2011年2月22日 (火)

ジェフリー・ムーアさんの『キャズム』を読んでみた

ジェフリー・ムーアさんの『キャズム
ハイテクをブレイクさせる「超」マーケティング理論』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、ハイテクをブレイクさせるマーケティング理論

について詳しく教えてくれている。

もうすでに古典と言ってもいいくらいの代表的理論だ。

あの勝間和代さんも何度もこの「キャズム」ということを

著書の中などで言っている。

まず、このマーケティング・モデルはベル・カーブに

よって表され、カーブの下のそれぞれの領域は、

概ね標準偏差にしたがって区分される。

左から技術感応度の高い順に「イノベーター」、

「アーリー・アドプター」、「アーリー・マジョリティー」、

「レイト・マジョリティー」、「ラガード」となっている。

「イノベーター」は、新しいテクノロジーに基づく製品を

追い求める人たち。

「アーリー・アドプター」は、早い時期に新製品を購入

するが、技術指向ではない人たち。

「アーリー・マジョリティー」は、他社の動向を窺がい

実用性を重んじる人たち。

「レイト・マジョリティー」は、ハイテク製品の購入が

決まっても、自分で使うことに多少抵抗を感じる人たち。

「ラガード」は、ハイテク製品に見向きもしない人たち。

徐々に左から右へと攻略していくわけだが、

テクノロジーが受け入れられるこのプロセスは、

いくつかの段階を連続的に経ながら進行していく。

それぞれの段階の特質はあらかじめ予測可能

であり、それぞれの段階に固有の顧客グループの

性向や規模についても予測可能である。

そして、それぞれの間にクラックという溝があるが、

「アーリー・アドプター」と「アーリー・マジョリティー」の

間を分かつ深く大きな溝が「キャズム」である。

ここを超えられると少数のビジョナリー(進歩派)で

構成される初期市場から、多数の実利主義者で構成

されるメインストリーム市場へと移ることができる。

では、最適なマーケティング戦略によってキャズムを

超えるとして、そもそもマーケットの定義とは何か。

それは、ハイテク分野に限って言えば次のようになる。

実存する製品やサービスに対して、
ニーズや欲求を抱えていて、
購買を決定する際に先行事例について知りたがる、
既存の、あるいは将来的に見込まれる顧客

このマーケットを攻略するための作戦は、1944年の

6月6日に連合軍がノルマンディーに上陸したDデー

作戦に倣って行うべきであるとされる。

それはまず、支配できそうなニッチ市場をターゲット

とし、そこからライバルを追い払い、そこを起点として

さらに戦線を拡大するというものである。

その詳細は、第4章「攻略地点の決定」以下、第5章

「部隊の集結」、第6章「戦線の見定め」、第7章「作戦

の実行」というように、この本の後半にまとめられている。

事例が少し古くなっている点と、私があまりハイテク

分野に詳しくないため海外の事例ではぴんと来ない

ものもあったが、言われていることは理解できた。

マーケティング理論に興味のある人は、ぜひ早い

段階で読んでおくことをオススメします。

【目次】(「BOOK」データベースより)
ビル・ゲイツが億万長者になれるなら/ハイテク・マーケティング 錯覚/ハイテク・マーケティング 悟り/Dデー/攻略地点の決定/部隊の集結/戦線の見定め/作戦の実行/キャズムを越えて

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2011年2月21日 (月)

柳井正さんの『一勝九敗』を読んでみた

柳井さんの『一勝九敗』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、ユニクロの柳井さんが2002年の11月に

社長を玉塚さんに代わって、ちょうど1年後の

2003年の11月に出版した本である。

経営者としては、後継者も選び集団指導体制を

確立したとの想いから本を出版したのであろうか。

最後のほうには引退宣言として60歳から65歳で

経営の第一線から引退し、投資家として一生を

送るつもりである旨が記載されているが、

実際には2005年7月に玉塚さんを解任し、再び

柳井さんが社長に復帰して現在に至っている。

また、この本では2010年に売上高1兆円という

目標も掲げているが、実際には8,000億円超と

3倍強に増やす計画は達成されなかったようだ。

この本では、タイトルのとおり、フリースのブームに

より、大成功を収めたユニクロも実際は一勝九敗

というくらい、失敗ばかりであったという展開だが

よく読むとほとんどの失敗を次の成功に生かして

ただ単なる失敗に終わらせてはいない。

それが柳井さんのユニクロの凄いところなのだ。

また、面白い話も満載で、たとえば「ユニクロ」の

呼称はカジュアル衣料品店「ユニーク・クロージング・

ウエアハウス」(UNIQUE CLOTHING WAREHOUSE)

1号店の店舗名の略称が元になっているが、

当初のロゴはそのまま「UNICLO」であった。

それが1988年に香港で現地法人を設立した際、

会社登記を「UNIQLO」と間違えてしまったのを

字体を見たらQのほうが格好がいいという理由で

日本の店名も全部「UNIQLO」に変更してしまった。

ここら辺の感覚は私には分からないが、やっぱり

かっこよさについて、ある種の感覚があるのだろう。

ほかにも、洋服はファッション性のある工業製品

なので、機能とファッションのせめぎあいがユニクロの

原動力になればよいと考えているということ。

郊外店を出してみて分かった3つのこととして、

1.カジュアルは年齢も性別も関係なく需要がある
2.トレンドものよりベーシックなものに大きな需要がある
3.「買おう」という目的を持ったお客が来るので
  買い上げ率が高い

ということを挙げている。

また、私には印象的だったCMについての話もあった。

「購入後の商品の返品・交換が可能」であることを

アピールするために、中年の女性がレジカウンターの

前で着用していたユニクロ製品を突然脱ぎ出すという

奇抜なCMを放映したことがあったが、これは知名度を

上げるという意味では大成功だったようだが、

売上向上にはすぐに結びつかなかったらしい。

そして、売上高1,000億円の壁を越えるために行った

オール・ベター・チェンジ(ABC)改革も興味深い。

1.中国の委託生産工場の集約
2.専門経営者グループへの移行
3.店舗運営思想の大転換
4.ニュープロトタイプの構築
5.デザインオフィスを1ヶ所に統合
6.業績にリンクした給与体系の整備
7.宣伝政策の展開
8.1週間単位の会議体を確立

全てがお客様の視点での改革であり、本部が偉い

のではなく、現場こそが重要という発想である。

また、社名のファースト(早い)とリテイリング(小売)の

組み合わせも経営にはスピードが大事という発想を

対外的な意味だけでなく、社内にも発信している。

最後にユニクロの23ある経営理念のうち前半の

9つについて、紹介しておく。

第1条 顧客の要望に答え、顧客を創造する経営
第2条 良いアイデアを実行し、世の中を動かし、
     社会を変革し、社会に貢献する経営
第3条 いかなる企業の傘の中にも入らない
     自主独立の経営
第4条 現実を直視し、時代に適応し、自ら能動的に
     変化する経営
第5条 社員ひとりひとりが自活し、自省し、柔軟な
     組織の中で個人ひとりひとりの尊重とチーム
     ワークを最重視する経営
第6条 世界中の才能を活用し、自社独自のID
     (アイデンティティ)を確立し、若者支持率
     No.1の商品、業態を開発する、真に国際化
     できる経営
第7条 唯一、顧客との直接接点が商品と売場である
     ことを徹底認識した、商品・売場中心の経営
第8条 全社最適、全社員一致協力、全部門連動
     体制の経営
第9条 スピード、やる気、革新、実行力の経営

このほかにも、起業家十戒や経営者十戒なども

柳井さんの考え方が分かってとても面白いが、

それは本を読んでいただくのがいいと思う。

経営者でなくても参考になることが多い良書である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
1 家業からの脱皮(会社とは?/ユニクロの急成長とは? ほか)/2 挑戦と試行錯誤(商売人から経営者へ/経営計画を作る ほか)/3 急成長からの転換(ブランド確立の夢を果たすため原宿出店/フリースを手がける ほか)/4 働く人のための組織(マニュアル人間の限界/店長は会社の主役だ ほか)/5 失敗から育てる次の芽(フリースのインターネット販売/フリースの成功につながる「失敗に学んだこと」 ほか)

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2011年2月20日 (日)

三橋貴明さんの『経済ニュースが10倍よくわかる日本経済のカラクリ』を読んでみた

三橋さんの『経済ニュースが10倍よくわかる日本経済のカラクリ
円高がわかれば日本経済がわかる』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、1日4万ユーザーを集めるといわれる

スーパーブロガーにして、経済評論家でもある

三橋さんが統計資料などを基に日本経済について

大胆な解説を行っている。

三橋さんの主張で印象に残ったのは次のとおり。

『結局のところ、政府は借金をして需要を呼び起こし、
インフレにしてごまかし続けるのが仕事だと言ってもよい』

『為替介入をして米国債を買うことは国のためではない』

『3~4%の経済成長が実現できれば、国の借金も、
デフレも、少子化も、社会保障問題も、そして円高も
解消できる』

『海の向こう側で、じゃぶじゃぶに金融緩和をしている
以上、日本が手をこまねいていれば円高にならない
はずがない』

『(国際)競争力ランキングに根本的に疑問を感じる
のは、政府が借金を増やすとランクが下がることと、
外国から直接投資が増えるほど、言い換えれば
外国に経済を依存すればするほど順位が上がることだ』

『要するに国同士のモデルが違うのだから、比較など
そもそも不可能だし、無意味だということである』

『利権をむさぼるのは悪事である。利権と結びついた
公共事業はいけない。しかし、公共事業そのものは
悪でも何でもない』

『日本が経常収支の黒字国である以上、外国人が
国債を買っても対外純負債は増えない』

『(日本企業は)むしろガラパゴス化を進めるべきなのだ』

『企業の儲けの源泉は差別化であって、標準化ではない』

『最近は楽天をはじめとして、社員に英語を要求する
会社が出始めている。あんなことは、ほとんど意味がない。
日本の企業の強みは、同じ言語、同じ価値観で社員が密な
コミュニケーションを取れることなのだ』

『都市部に製造業が残る国は繁栄し、都市部から製造業
が逃げた国は衰退する』

どれも分かりやすいが、世間で言われていることと

違うこともあるので、自分できちんと考える必要がある。

三橋さんの主張は、経済成長のために財政出動すべき

ということであり、財政赤字はインフレによって解消できる

ということである。

そして、日本はまだまだ大丈夫ということである。

韓国については、知らないことが多く、サムスンなどを

持ち上げる人が日本にも多いが、本当のところは

どうなのだろうかと興味をもった。

もう少し色々な本を読んでみたくなる良い本である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 なぜ、今日本は円高なのか?/第2章 日本の競争力は落ちているのか?/第3章 グローバル化は歴史の必然か?/第4章 本当にサムスン、現代に学ぶべきか?/第5章 日本の生産性は低いのか?/第6章 なぜ、人民元は買えないのか?

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2011年2月19日 (土)

スティーヴン・D・レヴィットさんの『超ヤバい経済学』を読んでみた

スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナーさんの
『超ヤバい経済学』を読んでみた

 (5つが最高)

経済学者のスティーヴン・D・レヴィットさんと

ジャーナリストのスティーヴン・J・ダブナーさんの

あまりにも有名な『ヤバい経済学』の続編。

今回も前作同様いろいろな雑多な話題から

意外な結論を導き出してくれているが

そのどれもが今まで読んだ経済学が扱う事象とは

まるっきり異なっていて、面白いだけでなく、

もし全てが本当のことなら、この世界はやはりどこか

間違っているのかもしれないと考えさせられた。

特に気になった話は、医者の能力を評価する難しさ。

理由の1つ目は選択バイアスで、症状の重い患者ほど

腕のいい医者を探すため、医者がいい治療をしても

患者が亡くなる可能性は高くなってしまうこと。

理由の2つ目は医者の診断の影響は患者が

治療を受けてからずいぶん経たないと現れないこと。

仮に医者がきちんと診断していても患者が

その指示を守ってくれないことまで考えると、

良い医者を選ぶというのは本当に難しい。

また、マルコム・グラッドウェルさんの作品に出てくる

プロスポーツ選手の生まれ月の偏りに代表される

「相対年齢効果」の話が、実は独創的なものではなく

この作者2人の影響によって書かれたものであったり、

38人もの人が殺人事件を目撃していたのに通報も

せずにやり過ごしてしまったことを題材にした

「傍観者効果」の話が、実はそれほど多くの目撃者が

いたわけでもなく、目撃していたことも殺人の

一部始終ではなく、通報した者もあったのかも

しれないという後日談などはグラッドウェルさんの

ファンとしては少し複雑な気持ちになった。

内容的には、とても満足しているが、経済学の

標準的なテキストとはまったく違い、その扱う事象も

語られる言葉遣いもわざと悪ガキ教授風にしてある点は

後半のチャイルドシートや環境問題については

少し面白みを欠いた格好になっているように感じた。

次はスティーヴン・D・レヴィットさんの学生向けの

経済学のテキストなんかが出版されたら嬉しいと

贅沢な望みを抱いたのは私だけではない気がする。

前作の『ヤバい経済学』同様、オススメである。

【目次】(「BOOK」データベースより)
序章 経済学が「ヤバい」とは/第1章 立ちんぼやってる売春婦、デパートのサンタとどうしておんなじ?/第2章 自爆テロやるなら生命保険に入ったほうがいいのはどうして?/第3章 身勝手と思いやりの信じられない話/第4章 お悩み解決いたします─安く簡単に/第5章 アル・ゴアとかけてピナトゥボ火山と解く。そのこころは?/終章 サルだってひとだもの

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2011年2月18日 (金)

ジェフ・マシューズさんの『バフェットの株主総会』を読んでみた

ジェフ・マシューズさんの『バフェットの株主総会』を読んでみた

 (5つが最高)

この本はバフェットが「質の高い株主」を得るために

毎年大規模に開催しているバークシャー・ハサウェイの

2007年と2008年の株主総会の様子を飛行機に乗って

著者がオマハに向かうところから詳細に伝えている。

内容としては、バークシャーの総会の名物となっている

質疑応答セッションで、株主からの質問にバフェットと

マンガーのコンビがジョークを交えながらも誠実に

答えていく様子を臨場感たっぷりに楽しめる構成で、

どちらかというと細かい投資手法は出てこない。

しかしながら、じっくり読み込んでいくと少ないながらも

投資手法についても書かれており、それが厳選された

投資手法のエッセンスであるようにも思える。

たとえば、「第一の原則は、損をしないこと。第二の原則

は、第一の原則を忘れないこと」や、投資対象としては

「長期的な競争力があり、経営陣が信頼でき、納得できる

値段で買える会社」などは、バフェットを知る上では

欠かせない重要事項である。

ただ、すでにバフェットの関連本を何冊か読んで

バフェットの投資手法についてはある程度理解している

という人にこそ、よりバフェットのことを知るためのテキスト

になる本であることは間違いない。

また、バフェットがバークシャー・ハサウェイをどのように

経営しているのかということがうかがい知れるという意味

でも、貴重な1冊である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
1 とても合理的な会社 2007(生まれながらにして/一大イベント/なぜオマハなのか?/新聞世代/オマハの賢人 ほか)/2 オマハ再訪 2008(ファミリーの再会―2008年5月3日土曜日、ネブラスカ州オマハ/回避された世界の終末/1パーセント/ビューティフル・デイ/例年どおりの進めかた ほか)

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2011年2月17日 (木)

マッテオ・モッテルリーニさんの『経済は感情で動く』を読んでみた

マッテオ・モッテルリーニさんの『経済は感情で動く
はじめての行動経済学』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、行動経済学と神経経済学について

いくつもの問いに答える形で学ばせてくれる。

たとえば、「お金の価値は一定」ということは

幻想であって、ギャンブルで得たお金と

汗水流して稼いだお金は同じではないとか。

あるいは、3つあると真ん中を選ぶので

売りたい値段より高い価格帯を用意しておくと

真ん中が最も売れて効果的とか。

選択肢が多すぎると選択を遅らせるか

選択しないという結果をもたらすとか。

「時間的な選好の逆転」の話や、自分のものに

なると値が上がる「保有効果」について、

過去の投資が将来の投資を左右することを

「コンコルドの誤謬」あるいは「サンクコスト

(効果)の過大視」と呼んだりすること。

中でも面白い話は、人が意思決定をしたり判断を

下すときには、厳密な論理で一歩一歩答えに

迫るアルゴリズムとは別に直感で素早く解に到達

する方法である「ヒューリスティクス」があること。

また、行動経済学の最大の発見でもある

プロスペクト理論は、人間は利得の場面では

確実性を好み、損失の場面では賭けを好むことや

利得・損失が小さい場合は変化に敏感で、

大きくなると感応度が鈍くなることを教えてくれる。

さらに、同額であれば、利得獲得による満足度より、

損失負担による悔しさの方が大きいことも

グラフで示されていて非常に納得がいく。

数多くの問いの中には、これまで読んできた

別の本にも載っていたような類似のものがあり

論理的な回答ができたものも多かったが、

161ページから164ページにかけての

問37と問38は完全に引っかかってしまった。

数学には自信があったので、これはショックだった。

まあ、自信過剰になってしまうことも人間の特性で

あると、この本の中でも指摘されているけれど。

最後に、人間の特性で気をつけたいと思ったことに

ピーク・エンドの法則というのと、アンカリング効果、

プラシーボ効果やフレーミング効果がある。

特に経験の快苦の記憶は、ほぼ完全にピーク時と

終了時の快苦の度合いで決まるというピーク・

エンドの法則には惑わされないようにしたいものだ。

前半の行動経済学と後半の神経経済学の両方に

とても参考になるものが多く、行動経済学に興味の

ある人には絶対にはずせない1冊である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
1 日常のなかの非合理(頭はこう計算する/矛盾した結論を出す/錯覚、罠、呪い/「先入観」という魔物/見方によっては得/どうして損ばかりしているのか/お金についての錯覚)/2 自分自身を知れ(リスクの感じ方はこんなに違う/リスクとの駆け引き/知ってるつもり/経験がじゃまをする/投資の心理学/将来を読む)/3 判断するのは感情か理性か(人が相手の損得ゲーム/怒れるニューロン/心を読むミラーゲーム/理性より感情がものを言う/人間的な、あまりに人間的なわれわれの脳)

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2011年2月16日 (水)

陰山英男さんの『陰山メソッド家族の学習奮闘記』を読んでみた

陰山さんの『陰山メソッド家族の学習奮闘記
30家族の成功例』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、陰山さんが開設している『陰山学級物語』と

いうホームページの掲示板に投稿してきた30家族の

例と、陰山さんのアドバイスから構成されている

2003年の本ということで少し古いが、各家族の

取り組みが紹介されていて参考になる。

陰山さんの考えをもとにした様々な家庭が、さらに工夫を

凝らした家庭学習を実践している様子は、読んでいて

とても刺激を受けるものである。

学習法や教材については、陰山さんのもの以外も含めて

たくさん紹介されていて、とても参考になる。

「陰山メソッド」と言われているものは、それぞれの家庭の

工夫によってさらに進化し続けているのだと思う。

参考資料として、各学年の「基礎学力作りの手引き」と

「漢字、計算チェックリスト」や、「漢字の音読」と「熟語の

音読」の例、「漢字の書き順」と「漢字の書き取り問題」の

例、「百ます計算」と「エレベータ計算」の例など、

もっと詳しく知りたいと思わせる教材例も紹介されている。

ここに紹介されている成功例に触発されて、私も子供に

いくつか教材を買い与えたが、親子で取り組むには

この本がとても良い入門書の役割を果たしてくれる。

「陰山メソッド」を取り入れたいという人は、ぜひ読んで

みて、刺激を受けてもらいたい。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 「学年別」家族の学習奮闘記(小学校低学年/小学校中学年 ほか)/第2章 「課題別」家族の学習奮闘記(読み/書き ほか)/第3章 「学びの土台」家族の学習奮闘記(学習習慣/家庭生活 ほか)/第4章 家族の学習奮闘記ショートレポート集(ハンドルネーム長島真弓さんの場合―「午後5時半の夕食」で勉強と生活のリズムをつくった/ハンドルネームさくらさんの場合―きょうだいが互いに学習意欲を高め合った ほか)

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2011年2月15日 (火)

親野智可等さんの『親力革命』を読んでみた

親野さんの『親力革命 「親」であることに
ふと迷ったときに読む本
』を読んでみた

 (5つが最高)

この本の作者は、公立小学校の教師ということで、

日々、教育現場の最前線に立つ中で、親が子どもに

与える影響力の大きさを痛感し、その経験や知識を

少しでも子育てに役立ててもらいたいという思いから、

2003年よりメールマガジンの発行をしている。

そして、そこから発展する形で色々な場面で

親の大切さということを中心に様々な人に

実に分かりやすいアドバイスをし続けている。

この本のもとになっているものも、ベネッセの

教育情報サイトにある親野さんのコーナーであり

そこに掲載されたものに加筆・改筆したものを

編集しなおして1冊の本になっている。

私も子育てをする中で、どうしても分からない問題に

出くわすことがあり、その時々に色々な教育者の

本を読んだが、親野さんのアドバイスが一番気軽に

取り組めて効果があるように思う。

この気軽に取り組めることが実は大切で、

そうでなければ毎日のしつけなどは正直続かない。

この本は、そんな迷える親に対して、親野さんが

「親力」実践アドバイスとして、35の質問に

丁寧に回答してくれている。

たとえば、学校の悩みや勉強嫌いなどは教師らしい

きちんとしたアドバイスであることはもちろんのこと、

家庭での悩みや子供の性格なども誰かに相談したい

と思う人はきっと多くいるはずで、そんな学校以外の

ことに対しても実に暖かいまなざしで子供を見ている

親野さんらしい的確なアドバイスはさすがである。

自由放任主義という言葉があるが、私などは

どちらかというと自由に育てられてきたほうなので

自分の人生を振り返ったときに本当にそのような

教育で良かったのかと疑問に思うこともある。

ただ、そのようにしか育てられていないので

それ以外の方法や自分の子供とのかかわり方と

言っても、なかなか自信を持って取り組めない。

そんな時、親野さんのアドバイスは実に的確。

「その気になるまで放っておいたほうがいいの

でしょうか?」という疑問に対し、はっきりと

「いいえ、放っておいてはいけません」と回答している。

子供は放っておいたら、いつまでたっても勉強を

やる気になどならないので、親の側からの適切な

働きかけが絶対に必要だと断言している。

そう言われてみれば、私も自由にさせてもらっていた

ように思うが、実際は小さかった頃のことをそんなに

はっきりと覚えているわけではないし、本当は

親からの働きかけによって勉強に取り組み始めた

ことを忘れてしまっただけなのかもしれない。

自分が昔は子供であったという理由だけで、

親になれば自然と子育てができるようになる

わけではない。

地域や祖父母といった色々な人に育てられるわけ

ではない最近の子供には、やはり適切なアドバイス

をくれる、このような本はなくてはならないものだ。

悩みながらの子育てほど大変なものもない。

もし周りに相談する人がいないなどで、悩みを抱えた

まま子供と向き合っている人がいるなら、ぜひこの本を

手にとってみることをオススメしたい。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 小学校入学前後は不安がいっぱい/第2章 私の子育て、これでいいの?/第3章 友達関係はトラブルだらけ/第4章 学校の悩みは、貴重な体験をしているからこそ/第5章 勉強嫌いは「楽勉」で/第6章 新たな悩みは「成長」のあかし

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2011年2月14日 (月)

神田昌典さんの『お金と英語の非常識な関係』(下)を読んでみた

神田さんの『お金と英語の非常識な関係』(下)を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、お金と英語というビジネスマンにとって

重要視する人の多い2つの関係についての下巻

上巻に比べると、非常識さが薄い気がするが、

それは上巻で慣れてしまったからなのかもしれない。

下巻では、神田流の非常識英語の全5ステップの

②~⑤までが中心に展開されている。

①未来先取りのイメージ化
②英語情報の大量インプット
③英語世界へのワープ
④ビジネス交渉の成立
⑤新しい人間関係の構築

下巻を読み進めていく上で重要なのは、

上巻にあった目標を実現しやすくするための

原理原則である、SMARTの原則。

Sは、Specific 「具体的である」
Mは、Measurable 「計測できる」
Aは、Agreed upon 「同意している」
Rは、Realistic 「現実的である」
Tは、Timely 「期日が明確」

このような目標を設定すると、途中で挫折する

ことがなく達成しやすいとのこと。

また、洋書攻略法としては、フォトリーディングが

その中心をなしているが、そこでのポイントの1つは

本から得たい情報を引き出すための質問を

あらかじめ決めておくということ。

これは、その本について説明できるようになる

魔法の質問であり、次のようになる。

①ズバリ著者はこの本で何が言いたいのか?
②なぜ著者はこの考えをもつに至ったのか?
③著者がその考えをもった背景は?
④著者の考えの根拠にはどんなものがあるのか?
⑤著者の結論は?
⑥私にとっての重要な気づきは?
⑦はじめの第一歩は?

下巻末では、著者が実践してきた、ビジネスで成功する

ための情報源を「神田昌典の全情報ソース」として、

公開してくれていて、これから英文の情報に当たろうと

している人には、とても便利である。

【参考文献】
『経済の法則』 ハリー・S・デント・ジュニア イースト・プレス
『ネクスト・ソサエティ』 ピーター・F・ドラッカー ダイヤモンド社
『これからの10年』 三浦展 中経出版
『ハイテクバブルとローテク投資』 大竹愼一 フォレスト出版
『デカい態度で渡り合え!』 近藤藤太 フォレスト出版
『売り込まなくても売れる!』 ジャック・ワース フォレスト出版

【目次】(「BOOK」データベースより)
第4章 3時間洋書攻略法(英語の本は読めないのではなく、読まなかっただけ/母国語じゃないから、英語が読めないという誤解/フォトリーディングの現場を、実況中継する ほか)/第5章 国際ビジネスで活躍するワープの入口(レストランでの出来事/機長からのアナウンス/清水の舞台から飛び降りると、そこは… ほか)/第6章 未来への帰還(三〇秒で苦手な相手と、打ち解ける方法/一五分で、旧知の友人になる方法/英語がヘタでも、会話につまらず、永遠に続かせる法)

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2011年2月13日 (日)

神田昌典さんの『お金と英語の非常識な関係』(上)を読んでみた

神田さんの『お金と英語の非常識な関係』(上)を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、お金と英語というビジネスマンにとって

重要視する人の多い2つの関係において本当に

非常識な関係を明らかにしている面白い本である

通常、お金を得るために英語の勉強をまずじっくり

時間をかけてやってしまうのが普通である。

しかし、この本ではそのような常識的やり方では

効率が悪いだけでなく、英語さえも大して身に

付かないままに何年も無駄に過ごしてしまうという。

では、そのような方法のどこがいけないのだろうか。

それは、2つの目標をそれぞれ別に設定する点だ。

本当にお金と英語力を身に付けたいなら

英語の勉強に時間などかけず、日常会話から

入るような通常の学習方法をやめ、簡単なビジネス

英語から入り、すぐにでもビジネスを始めること。

これがこの本の最も大切な部分だろう。

そして、英語によりチャンスを広げるためには

時代の先を読むことも大事なことであり、

そのための2つの説が紹介されている。

1つが、ハリー・S・デントさんの人口動態による

経済予測理論であり、もう1つが、大竹愼一さんの

70年間サイクル説である。

また、英語学習が飛躍的に楽しくなる方法として

6つの常識を捨て去ることが推奨されている。

①日常会話を捨てる
②専門外のトピックを捨てる
③単語力を増やすことを捨てる
④文法的に正しく話すことを捨てる
⑤ペラペラしゃべることを捨てる
⑥キレイな発音を捨てる

また、最も効率的な英語の学習法としては、

自分の専門分野の関連テープ(できれば対談モノ

で60分)を3本暗証すること。

そして、発音よりも大きな声でしゃべることや

声のトーンをオクターブ落とすことが重要とのこと。

さらには、自分に英語名をつけて、セルフイメージを

英語ペラペラ人間に変えるという方法も。

最後に、神田流の非常識英語の全5ステップ。

①未来先取りのイメージ化
②英語情報の大量インプット
③英語世界へのワープ
④ビジネス交渉の成立
⑤新しい人間関係の構築

とにかく、収入アップのために英語の勉強に

苦労している人はぜひ読んでみるべきである。

特に上巻はCDも付いていてお買い得です。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 お金になる英語の学び方(「金のなる木」の種子は、どこにある?/愚鈍なカメが、ガメラになれた理由/カギは、ほんの少しの英語力 ほか)/第2章 勉強しなくても、なぜか英語が使える人の秘密(なぜ松田聖子は英語が使えるのか?/この六つの常識を捨て去れば、英語学習は飛躍的に楽しくなる/複雑に見えるものほど、習得しやすい ほか)/第3章 新しい現実を生み出すファースト・ステップ(新しい現実を創るメカニズム/世間の常識に浸かっていると、迷路にはまる/最短最速ルートで行こう ほか)

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2011年2月12日 (土)

小宮一慶さんの『一流になる力』を読んでみた

小宮さんの『一流になる力
ビジネスで勝ち残るための教科書』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、現在が残念ながら優勝劣敗の二極化の

世界になっていることを告げている。

ビジネスではスキルを磨いて自らの価値を高めた人

だけが抜擢され、高給を得るようになる。

勉強していない人、有用な人脈を持たない人、

「そこそこにいよう」と考える向上心のない人は、

二極化時代には底辺に留まってしまう。

これは私に向けて書かれた本であるかと思うほど

痛いところをついていると思わせられた。

なぜなら、私こそがつい最近まで「そこそこにいよう」と

考える人の典型であったからである。

しかし、この本を読むともうそのような考え方では

生き残れないことがはっきりと分かってくる。

まず取り組むべきなのは、優れた経営者の本から、

「考え方」を学ぶこと。

たとえば、松下幸之助さんや稲盛和夫さんは、

「正しい考え方」を持っていたからこそ、

日本を代表する事業家になれたという。

私は、恥ずかしながら二人の著作を読んだことがない。

私には何となくビジネスの成功者を大したことがない

人と思いたがる傾向が今まではあった気がする。

しかし、この本には、その考えは間違いであると

はっきりと書かれている。

仕事や報酬をもらうということは、悪いことではない。

「お金が欲しい、お金が欲しい」と思ってお金を得る

ことは、私利私欲であるが、逆に人々を幸せにしようと

考え、よい仕事をした結果としてお金を得ることは、

私利私欲ではないという。

お金は良い仕事をしたことの「ごほうび」なのだ。

お金は目的ではなく、良い仕事をした結果なのだ。

このことは会社でも同様で、利益は「目標」であっても

「目的」ではないということ。

「目標」とは、そこに至るまでの通過点であり、

単なる評価ポイントである。

それに対して、「目的」とは、存在意義なのだ。

では、良い仕事をするためにはどうしたらよいのか。

ビジネスパーソンが30代半ばまでにやっておくべき

準備は、「正しい考え方を確立しておく」ことと、

「生きてゆくための技を磨いておく」ことだという。

そして、二極分化の時代にビジネスパーソンが

身につけておくべき「技」とは、順番に次のとおり。

①今の自分の仕事に関係すること
②会計や会社法など、会社に関係すること
③マクロ経済など、世の中全体に関係すること

この順番に勉強してゆくのが良いということ。

昔は一人前を目指せばそれで良かったが、

現在では一流を目指さなければ落ちていく。

このことは一見すると不幸なようにも思えるが

実は早くからそのことに気づいた人にとっては

意外とチャンスなのかもしれない。

なぜなら、マジメにやっているだけの人は

残念ながら落ちていかざるを得ないからだ。

若いビジネスマン、それもマジメなビジネスマンに

ぜひ読んでもらいたい1冊である。

なお、第1刷のP188の誤植は、講談社の本でも

こんなことがあるのかとビックリしたのは、蛇足。

【目次】(「BOOK」データベースより)
プロローグ “二極化”時代をあなたは勝ち残れるか?/第1部 一流になる力1・環境を正しく読み解く(プロの時代)/第2部 一流になる力2・正しい考え方を持つ(“仕事についての正しい考え方”「考え方」が誤っていると成功しない/“会社についての正しい考え方”会社と自分を正しく見極める)/第3部 一流になる力3・正しく行動する(「一流」をめざして勉強する/自立して生きる)/エピローグ 天職を見つけるために/特別付録 統計数値からマクロ経済とビジネス環境を「読み解く」

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2011年2月11日 (金)

吉野貴晶さんの『サザエさんと株価の関係』を読んでみた

吉野さんの『サザエさんと株価の関係
行動ファイナンス入門』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、世の中の様々な数字と株価に関係があるか

ないかということを行動ファイナンスとして分析している。

たとえば、TVアニメの『サザエさん』の視聴率が上がると

株価は下がるだとか、ペットのイヌの人気が高まると

株価も上がるだとか、観覧車が増えると地域経済は

活性化するなどといった、一見何の関係性もない

物事のあいだの相関係数を取上げている。

これは、経済の分析にも人間の心理が深くかかわって

いることを前提にした、「行動ファイナンス」という手法

によるものであるが、意外な法則の数々が興味深い。

経済学にはあまり興味がない人でも楽しめると思う。

私が興味をもった関係性は次のとおり。

①女性労働者の能力発揮を促進するための積極的
 取り組みを推進している企業として厚生労働省に
 均等・両立推進企業として表彰された企業の1年後と
 5年後の株式パフォーマンスがともに好調である。 
 ちなみに、平成22年度の表彰企業としては、
 厚生労働大臣最優良賞は、日本アイ・ビー・エム
 株式会社。均等推進企業部門厚生労働大臣優良
 賞は、朝日生命保険相互会社、住友生命保険相互
 会社、東京電力株式会社、三菱UFJ信託銀行株式
 会社、株式会社りそな銀行、株式会社広島銀行。

②東証にディスクロージャーとして表彰された会社は
 株式パフォーマンスが好調である。
 ちなみに平成22年度の表彰企業としては、
 花王株式会社、株式会社オリエンタルランド、
 株式会社資生堂、 日本電産株式会社、
 株式会社ワコム、三井物産株式会社、三菱商事
 株式会社、株式会社ベネッセホールディングス、
 ソフトバンク株式会社。

③オリンピック関連銘柄は3ヵ月前で間に合う。

④映画マニアでない投資家にとって無難なのは、
 映画評論家の意見等を参考に公開前々月の
 終値で投資する方法。

全体的に面白い内容ではあるが、時折、当たらなかった

ときのための言い訳のように、株価の変動要因は1つ

ではないという注釈が入るのには、少し興ざめがした。

そんなことは、この本を読む誰もが知っていることである。

大切なのは、あとがきにもあるとおり、自分でも色々な

情報の中から投資に使えそうなものを選び出し、

経済を体感する意識を強めることなのだろう。

2006年の本なので、データ自体は古くなってしまって

いるが、ものの見方はいまだに有効なものだと思う。

この本を読んで興味をもったら、実際に自分で株価の

データにあたって最近の動向を調べてみるといいだろう。

意外なお宝株にめぐり合えるかもしれない。

【目次】(「BOOK」データベースより)
「サザエさん」の視聴率で景気がわかる/インフルエンザと花粉症/景気を引っ張るイヌ/観覧車と楽天が地域経済を活性化する/優等生企業は市場に愛されるのか/何でも話す子も市場で愛される/ご成婚とオリンピックの効用/宝くじ・競馬と株ではどちらが儲かるか/「運動部の廃止」は企業に利益をもたらすのか/大作映画の経済効果/満月で興奮し、梅雨で消沈す/猛暑、体臭、クールビズ…夏の三題噺/社名は株価を左右する

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2011年2月10日 (木)

小宮一慶さんの『小宮式知的アウトプット術』を読んでみた

小宮さんの『小宮式知的アウトプット術
一瞬でまとめて、書く力』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、ビジネスの肝である「書く力」をつける方法

について、丁寧に説明し、基礎を教えてくれている。

まずは、小宮式文章作成術8つのポイント。

①「起承転結」を考えない
  まず考えるのは「何を伝えたいか」
  読み手にとってのバリュー(価値)を考える
②「インパクト」でひきつける
  相手にとって読みやすい書き方
  「見出し」で興味をもってもらう
③心理バリアを下げる
  導入部はとっつきやすく
  親和性をつくる
④相手の目線に立つ
  理解度を合わせる
  知識レベルを合わせる
⑤論理的に書く
  論理的思考力を見につける
  音読して確認する
⑥文章の間違いをなくす
  読み返して推敲する
  自分を疑うことも必要
⑦良い文章をまねる
  見せ方を工夫する
  新聞を参考にする
⑧仕事がはかどる時間に仕事する
  やる気が出る時間にアウトプット
  環境を整える

また、すばやくアウトプットするために必要なことは、

①書く前の段取りをしっかり行う
②書くときは集中して全力で書く
③書くことに慣れる

ということだが、良い文章を書くためにはさらに

インプットを意識することが大切で、そのためには

「関心」と「仮説」を持つことが重要とのこと。

そして、コミュニケーションには「意味」と「意識」の

双方が大きく関係しているが、「意識」をきちんと

伝えることがより重要になってくる。

私などは、どうしても「意味」を伝えることに偏り

説明がくどく長くなってしまう傾向があるが、

分かりやすい文章が第一で、そのためには

難しい言葉を避けたり、一文を短くしたりすることが

大切になってくるということだ。

また、自分にとってこれ以上よいものはつくれない

という精一杯のものをアウトプットするように心がけ、

いい加減なものなら提出しないほうがいいと考え

ようとまで言っている。

さらにアウトプットを効率的に行うための

「小宮式資料整理術」も紹介させてもらうと次のとおり。

①資料の取り出し時間を減らす
②いらないものは、置かない
③年中見る資料は机の上に
④インターネットで保存する
⑤人の手を借りる
⑥切り取った情報はクリアファイルに

ほかの人も挙げている重要なこととしては、

とにかくメモやノートを取る習慣が大事だということ。

そして、観察する癖をつけ、インプットが自然に

できるようにする。

インプットには当然、良い本をたくさん読むことも入る。

アウトプットの一工夫は、具体的な数字を入れること。

そうすることで論理的な思考を磨く訓練にもなる。

長くてだらだらとした文章になりがちな私には

非常に教えられることが多い1冊だった。

【目次】(「BOOK」データベースより)
はじめに ビジネスの肝「書く力」をつけるために─「若い人に刺激を与えたANA機長」/第1章 仕事を速くする小宮式「書く力」/第2章 書く能力を高めるインプットの力/第3章 インプットをアウトプットに生かす/第4章 アウトプットを高めるために学ぶこと/第5章 小宮式文章作成術8つのポイント

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2011年2月 9日 (水)

本田直之さんの『レバレッジ・リーディング』を読んでみた

本田さんの『レバレッジ・リーディング 100倍の利益を
稼ぎ出すビジネス書「多読」のすすめ
』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、ビジネス書を多読することを投資と位置づけ

100倍のリターンを達成するために、いかに本を利用する

かということが語られていて、とても参考になる。

1日1冊で年400冊を読破するという著者の速読とは違う

レバレッジをきかせた読書術の紹介である。

特に参考になった考え方などは次のとおり。

①「本を読む時間がない」は言い訳、本当は
 「本を読まないから時間がない」
②本には他人の数十年分の経験や知恵が詰まっている
③読書をしない一流のビジネスパーソンは存在しない
④読めば読むほど累積効果で「パーソナルキャピタル

 の「含み資産」が増える
⑤自分にとってやさしくて値段の安い本のほうが
 すぐに役立つことが多い
⑥学者や研究者が書いた「教養型」の本より、
 著者が自分の経験から得てノウハウを述べた
 「経験型」の本を選ぶ
⑦本を読む前に「この本から何を学ぶか」を
 はっきりさせておく
⑧読む前に「何時間以内で読む」と決める
⑨ダメ本は、さっさと読むのをやめる
⑩ポイントに線を引き、ページの角を折る
⑪読書後のフォローは絶対必要
⑫線を引いたところを抜粋した「レバレッジメモ」を作る
⑬メモはテーマ別、データ別、引用文に分類する
⑭メモの内容を実践で活用し、条件反射的に
 行動できるようにする

この本のポイントは、とにかく多読すること。

投資活動なので単に本を多く読みこなすのではなく

自分の課題や目的・目標にとって必要な情報だけが

得られれば、それで十分と考える。

また、「本はボロボロになるまで使い倒すべし」

というのが、もうひとつのポイント。

そして、とにかく大事なことは、本から得たノウハウを

レバレッジメモにまとめ、繰り返し読んで条件反射的に

行動できるようにし、どんどん実践で活用していくこと。

行動にまで結び付けなければ読書の意味がない

ということがビジネスマンの大前提なのだ。

私も「多読」に挑戦し、行動を続けてみようと思う。

普段時間がないと考えている人にこそオススメな1冊。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 ビジネス書の多読とは何か?―100倍のリターンをもたらす究極の読書術(一五〇〇円が一五万円になる!/ビジネススクールで発見した「多読術」 ほか)/第2章 本探しは投資物件選び―ビジネス書の効率的スクリーニング術(投資の手法を本選びに応用する/目的を明確にする ほか)/第3章 一日一冊、ビジネス書を戦略的に読破する―訓練不要であなたの読み方が劇的に変わる(本を読む目的を明確化する/カラーバス効果とは? ほか)/第4章 読んだままで終わらせるな!―反復と実践によって一〇〇倍のリターンを獲得せよ(最重要な読書後のフォロー/読後フォローをシステム化する ほか)

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2011年2月 8日 (火)

葉玉匡美さんの『論点解説新・会社法 千問の道標』を読んでみた

葉玉匡美/相澤哲/郡谷大輔さんの
論点解説新・会社法 千問の道標』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、2006年の本ではあるが、とてもいい本なので

ぜひ紹介したくて、再度読み直してみた。

とにかく紙が裏面が透けるくらい薄いので厚みに比べて

かなり量があるから、なかなか骨が折れる本である。

この本は、会社法制の現代化を図るために制定された

新会社法のQ&A集であるが、その数はなんと千問。

よく商法が会社法に改正されたと勘違いしている人が

いるが、商法の一部が会社法に置き換わったのであって

商法自体は、まだちゃんと残っている。

内容としては、法務省民事局の会社法の立案担当者の

手によって書かれているので、解説が論理的で矛盾が

ないのでとても分かりやすい。

編著者の一人である葉玉さんは、「会社法であそぼ。」

というブログも開設していて、いつも参考にさせて

もらっているが、こういう人がブログに無料であれだけの

内容を書き続けられたら、素人は太刀打ちできない。

今は弁護士の業務が忙しいようだが、葉玉さんのような

人がたくさん現れてくれると法律をメシの種にしている

ようなものにとっては喜ばしい限りである。

葉玉さんの他の本もいいものなので、いずれ紹介したい

と思うが、みっちり勉強するなら、この本が最適である。

実務で会社法を扱う者には本当にありがたい本である。

初心者のためにあえて補足するなら、この本を読むとき

は必ず条文に当たる必要があるので、条文が見られる

環境で、この本を読み込むことをオススメします。

私は外で歩きながら読んだりもしたが、ちょっと重い。

また、紙が薄いので風に弱いことと、条文を見たい

ときに見れないのは、かなりストレスがたまった。

やっぱり室内できちんと読むのがいちばん良い。

簡単な入門書に飽きた人は、ぜひ挑戦してみて下さい。

【目次】(「BOOK」データベースより)
株式会社の設立/株式/新株予約権/機関/計算書類等の監査と定時株主総会/剰余金の配当/会計帳簿/資本金・準備金・剰余金の減少/定款の変更/解散・清算/持株会社/社債/組織変更/事業譲渡・組織再編行為/外国会社/訴訟・非訟

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2011年2月 7日 (月)

勝間和代さんの『勝間和代・脳力UP』を読んでみた

勝間さんの『勝間和代・脳力UP 一日5分!
「携帯パズル」でみるみる頭がよくなる!!
』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、小さい頃からパズルが大好きだったという

勝間さんのエンタテインメントなビジネス書である。

内容としては、前半に変化が激しく厳しい経済環境を

生き抜くために必須の思考法として立体思考力を挙げ

それを論理思考力と水平思考力として分解し、数々の

ヒット商品や実例をもとに、その必要性と有効性を

分かりやすく解説している。

後半では、 論理思考力パズルと水平思考力パズルが

実際に用意されていて、勝間さんの立体的な思考法が

これ一冊で、身につくように工夫されている。

また、それぞれの思考法に対して解説もなされており

論理的思考力を構成する3つの思考力は、

「法則力」「当てはめ力」「数字力」となっている。

「法則力」とは具体的には帰納法のことであり、

「当てはめ力」とは演繹法のことであり、「数字力」とは

数字の分析力(小学生レベルの計算力)のことである。

さらに、水平思考力も「否定力」「展開力」「試行力」の

3つの思考力に分けることができる。

「否定力」とは常識を疑い、それを否定することであり、

「展開力」とは常識を否定した上で新しい思考を広げる

ことであり、「試行力」とは無関係に見える物事を

組み合わせて考えることである。

この中でも、普段使うことを意識していない水平思考力

については、創始者といわれるエドワード・デボノが

その身につく方法を紹介しているということで

勝間さんも4つ紹介してくれている。

①意識して複数の見方をするように心がけること
②物事の関係を意識的にひっくり返すようにする
③抽象的になりやすい問題は、より具体的な、
 類似した状況に置き換えて考えてみる
④重要な問題点となっている部分から、意識的に
 注意をそらし、あまり重要でないと思われる部分に
 注意を向ける

最後に、問題で1つ分からないものがあった。

133ページの「正直者の部屋とウソツキの部屋」と

いう問題だが、ウソつきは必ずウソをつくという場合

2番の女性は「1と3はどちらも○」と言っているが、

これがウソだとすると3は×となる気がするが

答えでは3は○であり、そうしないと矛盾が生じる。

ちなみに1は×であり、確かに「1と3はどちらも○」

というのは1についてはウソなので、2番の女性は

ウソをついているには違いないが、必ずウソをつく

という問題としては、何となく腑に落ちない。

面白い問題が多かっただけに、妙にここだけ

気になってしまった。

アマゾンなどでは、あまり評価が高くなかったので

読むかどうか迷ったが、やっぱり読んでみてよかった。

脳力がUPするかは分からないけど、いろいろな考え方

に触れられる点と、パズルそのものが楽しいので

私としては満足の1冊だった。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 青山のあるフレンチレストランの秘密
第2章 「立体思考力」を身につけると仕事が楽しくなる
第3章 勝間和代の立体思考力が出来上がるまで
第4章 論理思考力パズル─法則力、当てはめ力、数字力を鍛えるトレーニング
第5章 水平思考力パズル─否定力、展開力、試行力を鍛えるトレーニング

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2011年2月 6日 (日)

鳥居万友美さんの『FXで月100万円儲ける私の方法』(実践編)を読んでみた

鳥居さんの『FXで月100万円儲ける私の方法
(実践編) NTTスマートトレードofficical』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、A4版と大き目のサイズに、主婦トレーダー

鳥居さんの使用している勝ちパターン30として、

チャート上の12のロングとショートのエントリーポイント

と、それぞれ3つの決済ポイントが紹介されている。

「FXで月100万円儲ける私の方法」の第2弾という

こともあり、具体的な売買の方法も紹介されていて

初心者には分かりやすい。

また、オールカラーで実際のチャートが紹介されており、

考え方を学ぶには最適だと思う。

ただ、チャートにはダマシが多いので、注意が必要。

『FXで勝つために最も必要なことは、「大負けしない」
こと。それには、注文を出すときに「ストップ」を毎回、
必ず入れることです』

鳥居さんの考えるFXで損する人・失敗する人の共通点。

①損切りができない。
②「過去にうまくいったから今回もうまくいく」と
 思い込んでいる。』
③「ポジポジ病」(ポジション持ちたい病)に
 かかっている。
④「勝率」と「仕掛け」にこだわりすぎる。
⑤自分以外のものに頼りすぎる。
⑥自分なりのルールがない。
⑦感情に負けてしまう。
⑧簡単に勝てる、特別な方法があると思っている。
⑨都合が悪くなるとすぐ「塩漬け」「ナンピン」に走る。
⑩こつこつ勝って、大きく負ける。

また、FXでハッピーになるための万友美流10か条。

①余裕資金で行う。
②最初は小さく、だんだん大きく。
③自分の得意なパターンを見つける。
④やるときやらないときをハッキリ分ける。
⑤必ず取引の記録を残す。
⑥「たら・れば」星人にならない。
  いつまでも思い悩むのはやめる。
⑦謙虚な気持ちを忘れず投資する。
⑧人に頼らず、自分の頭で考える。
⑨FX仲間をつくる。
⑩幸せの上昇スパイラルを目指す。

考え方には学ぶところが多く、たとえば移動平均線には

単純移動平均線(SMA)と平滑移動平均線(EMA)があり、

EMAの方がより直近の動きを反映するので鳥居さんは

基本的にEMAのほうを使っているというようなことは、

初心者には参考になると思う。

ただ、実践編としては第1章の「FXの基本をマスター

する」や第5章の「FXをはじめよう 口座開設編」などは

必要ないと思う。

NTTスマートトレードofficicalということで、第5章は

仕方のないところなのだと思うけれど、全5章のうち

2章が実践というにはあまりにも初歩的過ぎて

内容を薄くしてしまっていることは事実。

けれども、チャートを使ったトレードをこれから実践して

みようという人にはおススメの1冊。

1500円が高いと感じる人は、アマゾンの中古で。

【オススメ本リスト】
『「株」のステップアップ講座』 渋谷高雄 ダイヤモンド社
『デイトレード大学』 岡本治郎 パンローリング
『外国為替トレード勝利の方程式』 今井雅人 日本実業出版
『投資苑』 アレキサンダー・エルダー パンローリング

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 FXの基本をマスターする(「外国為替市場」って一体どこにあるの?/「円高」「円安」ってどういうこと? ほか)/第2章 チャートの見方・使い方を覚えよう(相場を読むための不可欠ツール「ローソク足」って何?/強い上昇エネルギーを表す「陽の丸坊主」 ほか)/第3章 万友美式勝ちパターン30(買い(ロング)エントリーのタイミング/売り(ショート)エントリーのタイミング ほか)/第4章 FXに役立つ情報収集術(FXで勝ち続けるために、情報を上手に活用しよう/情報交換や気晴らしに気の合うFX仲間を見つけよう ほか)/第5章 FXをはじめよう 口座開設編(自分に合った取引会社を選ぼう/取引口座を開こう(口座開設までの流れと口座の種類) ほか)

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2011年2月 5日 (土)

神谷秀樹(ミタニヒデキ)さんの『ゴールドマン・サックス研究』を読んでみた

神谷さんの『ゴールドマン・サックス研究
世界経済崩壊の真相』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、ゴールドマン・サックスの研究本ではない。

最近のゴールドマン・サックスの悪辣ぶりに呆れている

私としては以前に読んだ野村證券の暴露本のような

ものを想像していたのだが、まったく違っていた。

内容としては、序章を含めた全14章のうちゴールドマン・

サックスに関する記述は、序章の「ゴールドマンとは

何か」と第3章の「古き良きゴールドマン」くらいである。

では、それ以外は何について書かれているかというと

ゴールドマン・サックスを含む金融機関を野放しにして

きたためサブプライム問題のような深刻な金融不況を

引き起こした世界経済をまずは振り返ってみる。

そして、大きくて潰せないという理由で金融機関を

救済したことにより当面の大恐慌は免れたが

今現在のデトロイトの惨状が将来の日本の姿になる

かもしれないという警鐘を鳴らしている。

デトロイトは多いときで人口が200万人もいたにも

かかわらず、今では80万人にまで減ってしまい

不動産などは驚くべき安さでも買い手がつかず、

産業が壊滅的なダメージを受けてしまったという。

さらに、金融機関を救済したことでアメリカの

財政が悪化し、行政のサービスが低下していることや、

今後、「二番底」が来る恐れがあることなどを指摘する。

それでは、アメリカの景気が回復しないまま、

最悪の場合は、経済危機が政治(戦争)の危機となる

そういった厳しい現実の中で、日本はさらに沈んで

いってしまうのだろうか。

そこでキーワードは、「イノベーション・エコシステム

(技術革新を生む生態系)」ということになる。

日本は「技術は一流、経営は二流」というような

考えを捨て、本当の技術革新を目指すべきだという。

そして、その革新的な技術を生み続けているのが

イスラエルであり、ブラジルなども「実業の国」として

労働集約型ではない現代的な大規模農業を

実践していることを紹介している。

金融立国を目指すというような寝ぼけたことを

言っていた日本は「虚業の国」になり下がり、

20年前と同じ水準のGDPにもかかわらず

借金はなんとGDPの2倍を超えてしまった。

この本は、元ゴールドマン・サックスのバンカーだった

神谷さんの「若い世代」に対するメッセージである。

我々は「二番底」に備えつつ、ルネサンスを起こす

子供たちに期待しつつ、「土と水と光」を残して

あげなければならない。

けっして、借金だけを後世に残す存在になっては

いけないのである。

ゴールドマン・サックスの研究ではないが

この本の評価を甘くした理由は、やはり私が知らな

かったアメリカの暗部やイスラエル、ブラジルの

現状を断片的にせよ伝えてくれた切り口の

新鮮さに興味が持てたからである。

ゴールドマン・サックスについて読みたい方は

別の本に当たるほうがよいだろう。

【目次】(「BOOK」データベースより)
ゴールドマンとは何か/強欲資本主義は死なず/怒る庶民/古き良きゴールドマン/オバマとの戦い/怒る企業/怒る政府と「封じ込め政策」/財政破綻の行きつく先/迫り来る危機「慢性病」と「急性病」/真のバンカーが求められる時代/デトロイトの没落と希望/イノベーション・エコシステム(技術革新を生む生態系)/実業の時代へ/「二番底」に備えよ

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2011年2月 4日 (金)

ベノワ・B・マンデルブロさんの『禁断の市場』を読んでみた

ベノワ・B・マンデルブロ/リチャード・L・ハドソンさんの
『禁断の市場 フラクタルでみるリスクとリターン』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、市場価格の変化がランダムウォークなどで

はなく、変動の分布も正規分布にはなっていないし、

効率的市場仮説はまったく間違っているということを

はっきりと分からせてくれる良書である。

このことは私のこれまでの投資経験からも明らかで

そもそも私のような素人までもが参加できる市場が

効率的であるはずがないのである。

情報や取引手法だって投資銀行やヘッジファンドと

比べものにならないことくらい誰にだって分かる。

ただ、正規分布より裾野がずっと長いべき分布に

市場の価格変化が近い動きをすることまでは

何となく理解できるが、その先の「マルチフラクタル・

モデル」が現実を模倣したものになるというところは

正直言ってよく分からないとしか言えない。

著者のマンデルブロさんはイェール大学数学科名誉

教授(スターリング・プロフェッサー)で、IBMトーマス・

J・ワトソン研究所名誉フェローでもあり、何と言っても

フラクタル幾何学の創設者である。

そのため「マルチフラクタル・モデル」の有用性を

主張するのは分かるが、まだこのモデルでは

上昇する可能性のある株式を選び出したり、デリバティブ

取引やオプションの評価には利用できていないという。

なので、ブラック=ショールズの公式が正規分布を

前提にしているため、明らかに間違っていると分かって

いても使われ続けているような状況である。

ただ、「マルチフラクタル・モデル」が市場の動きと近い

ことから、市場がどのように動くかということについて

予言する力は持っているということで、その5つの

ルールはとても興味深い。

1.安全な市場はない
2.トラブルは続いて起こる
3.市場には個性がある
4.チャートは人を欺く
5.市場の時間は相対的である

ここら辺のマンデルブロさんの主張にナシーム・ニコラス・

タレブさんも共感しているのではないかと思う。

ほかにも興味深い点はいくつもあるが、中でも大会社の

CFOが好んで用いているというCAPMについて、

まったく理論どおりにいかないか、悪くすると正反対の

結果が出てしまうアノマリーとして次の3つがある。

1.株価収益率(PER)効果
   正統派金融理論によれば無意味とされるが
   実際には割高で買えば利益は得にくい
2.1月の小企業効果
   毎年1月に株価が上がる傾向があり
   小企業は大企業よりもさらに顕著
3.時価簿価比率効果
   1株当たりの資産価値で株価を割った値が
   小さい割安株は時期が来れば収益が得られる

どれも面白いが、最後に禁断の金融10ヵ条。

1.市場価格とは乱高下するものである
2.市場とは、きわめてリスクが高いものである
  既存の金融理論ではけっして起こるはずのない
  リスクが現実には起こる
3.市場のタイミングはきわめて重要である
  巨額の利益と損失は短期間に集中して起こる
4.価格はしばしば不連続にジャンプする
  そして、それがリスクを高くする
5.市場での時間は、人によって進み方が違う
6.いつでもどこでも市場は同じように振るまう
7.市場は本来不確実であり、バブルは避けることが
  できない
8.市場は人をだます
9.価格の予想は無理と思え
  しかし、ボラティリティなら予測可能だ
10.市場における価値は、限定された価値である

感覚で分かることを数式を用いて証明しなければ

ならない経済学の世界、そして証明されても簡便だから

と間違った理論を使い続ける金融業界。

とても恐ろしいところでマンデルブロさんが奮闘している

様子が勇気を与えてくれる、良い本である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1部 たどってきた道(リスクとリターン―金融工学は、リスクを過小評価するような都合の良い仮定に基づいて構築されている!/運を決めるのは、サイコロか、弓矢か?―金融市場における例外的な事象を確率的に正しく扱う方法/バシェリエの功績―100年前、運を逃した天才フランス人数学者によって金融市場の研究は始まった ほか)/第2部 新たな道(市場の乱流 はじめに―フラクタルの視点で見る市場 金融市場は水や空気の乱流と似ている/凸凹の研究 フラクタル入門―フラクタル幾何学の視点 市場価格変動のチャートと羊歯の葉の類似性/綿花価格のミステリー―フラクタルの概念はマンデルブロによる綿花価格の解析から生まれた ほか)/第3部 これからの道(禁断の金融10ヵ条―市場の本当の姿 フラクタルの視点からの教訓/実験室にて―フラクタルは、金融の世界をこれからどのように変えていくのか?)

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2011年2月 3日 (木)

照屋華子さんの『ロジカル・シンキング』を読んでみた

照屋華子/岡田恵子さんの『ロジカル・シンキング
論理的な思考と構成のスキル』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、体系立った思考に基づき、シンプルで実践的な

ロジカル・コミュニケーションの技術が習得できるように

具体的な例題などが出題されていてとても学びやすい。

タイトルは「ロジカル・シンキング」だが、この本の中では

一貫して「ロジカル・コミュニケーション」のための考え方

ということで、その「技術」が紹介されている。

これを「技術」として取り扱っている理由は、訓練を積めば

誰でも身に付けられるものという位置づけのためである。

では、その「技術」の内容はというと、まず論理的に思考を

整理する技術として2つあって、その1つ目としてMECE

(ミッシー)が紹介されている。

これはよく勝間さんがマッキンゼーで学んだこととして

紹介している話の重複・漏れ・ズレを防ぐものである。

MECE自体にはズレがないという概念は含まれていない

ようであるが、この本の中では3つの誤りを防ぐために

用いるものとされている。

MECEの代表的なものとして次の例が載っている。

①戦略の3C/4C
 【自社、競合、顧客・市場それにチャンネル】
②マーケティングの4P
 【価格、製品、チャネル、訴求方法】
③組織の7S
 【戦略、共通するミッション、構造、制度、社員、
 技術、組織風土のバランス】
④効率・効果
⑤質・量
⑥事実・判断
⑦短期・中期・長期
⑧過去・現在・未来
⑨事業システム

そしてこれらを上手くグルーピングして部分集合を作ると

分かりやすい説明ができるということである。

2つ目としてSo What?/Why So?というものが

紹介されている。

これは、結局どういうことなのか?/なぜそのようなこと

が言えるのか?という関係で階層化するものである。

ここでMECEとSo What?/Why So?の関係を

論理の基本構造ということでまとめると次のように

3つの要件を満たすようになっている。

要件1 結論が課題(テーマ)の「答え」になっている
要件2 縦方向に結論を頂点としてSo What?/
     Why So?の関係が成り立つ
要件3 横方向に同一階層内の複数の要素が
     MECEな関係にある

また、論理パターンの基本は「並列型」と「解説型」の

2つであり、これを上手く組み合わせて使う。

要するに与えられた課題に対して、自分が言いたい

ことではなく、「答え」を納得してもらえる形で提示する

ためにツリー状の論理構成をとるということである。

これが上手く使えるようになれば、かなり説得的な

議論が可能となると思うが、実際にこれだけの論理

構成を仕事時間内に上手く組み込むことは難しい

かもしれない。

しかし、私の場合はコンサルタントではないので

完全な形でないにせよ、このようなことを意識して

文章を構成していくだけでも、かなり今までと違うものが

できる気がする。

何でも取り入れてみるのが、このブログを始めた

目的でもあるので、いずれ使ってみたいと思う。

2つの「技術」に絞り込まれているので、導入しやすい

という意味では、とても上手くまとめられている。

「何が言いたいのか分からない」と上司から言われて

論理的な思考の必要性を感じているような人には

とても参考になる本だと思います。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1部 書いたり話したりする前に(相手に「伝える」ということ/説得力のない「答え」に共通する欠陥)/第2部 論理的に思考を整理する技術(重複・漏れ・ずれを防ぐ/話の飛びをなくす)/第3部 論理的に構成する技術(So What?/Why So?とMECEで「論理」を作る/論理パターンをマスターする/論理パターンを使いこなす)

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2011年2月 1日 (火)

ナシーム・ニコラス・タレブさんの『まぐれ』を読んでみた

タレブさんの『まぐれ 投資家はなぜ、
運を実力と勘違いするのか』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、投資の成績や人生における様々なことが

実際にはどれほど「運(まぐれ)」と「実力」の区別が

難しいのかということが数学(統計学)、経済学、

歴史、哲学、心理学、生物学(進化論)などを参考に

具体例を交えて詳細に語られている。

そして、それは「まぐれ」と気付かずにいるとどれほど

ひどい目に遭うことになるかについて語るための

用意周到な前段に過ぎない。

著者のタレブさんは大学で数学(不確実論)を教える

オプションのスペシャリストでもあるが、この本を

出版したことにより、『ブラック・スワン』などを書く作家

となり、洞察の鋭さは哲学者のようでもある。

人はどうして、投資で儲かると自分の実力だと思い込み、

損をすると運が悪かったと思うのかということを20年以上

にわたるトレーダーとしての経験をもとに語るさまは

多少皮肉交じりではあるもののスッキリする。

けれど、実際に儲け続けているバフェットのような人も

いるわけで、それはどう説明するのかというとこんな感じ。

『ウォーレン・バフェットなんか能力があるわけじゃない
とは言わない。ただ、投資家をでたらめにたくさん集め
れば、ほとんど必ず誰かは、運だけでバフェット並の
成績を上げると言っているだけだ』

そして、たまたまなのにその気になる連中の特徴として

次のようなことが語られている。

『経済学的な方法にせよ統計的な方法にせよ、何かの
方法で得た信念の正確さを過大に評価している』

『自分のポジションと結婚する。下手なトレーダーは
ポジションよりも先に奥さんと離婚するということわざが
ある。いったん抱いた考えに忠節を尽くすのは、
トレーダーにとっても科学者にとっても、誰にとっても
よくないことだ』

『シナリオを変える。損をしているときは「長期的には」
などと言いつつ投資家になる。直近の運の向き方で
トレーダーになったり投資家になったりする。
トレーダーと投資家の違いは、賭けの結果が出るまで
の時間の長さと掛け金の大きさだ』

『損をしたらどうするかというゲーム・プランを
事前にちゃんと決めていない』

『自分の考えを批判的に検討することがない。
「ストップロス」を置いてスタンスを変更するなんて
ことがないのに、それが表れている』

『現実逃避。損が出ても、実際に起きたことを
はっきりと受け入れることができない』

華やかなトレーダーではないけれど私にも身に覚えのある

特徴の数々で、まったく嫌になる。

それにしても、『となりの億万長者』という本に対する

批判は、あまりにも痛烈で、いい本だと思っていただけに

結構ショックだった。

投資するために出費を抑える「蓄財優等生」という

億万長者に対して、その投資先の資産が運よく

増えた人たちでしかなく、リターンが永久に続くのでない

限り、良くないものを溜め込んでしまった人たちになって

いたかもしれないというのである。

けれど、ここまでくると運も実力のうちということでは

ないのだろうか。

それとも、全ての投資家がタレブの運用している

ヘッジファンドに投資しなければならないのだろうか。

この本は、オプションの利用の仕方については

とても上手いやり方を教えてくれていると思うが、

それ以外の投資において、どのような戦略が良いのか

その部分が欠けているような気がする。

もちろん、投資の戦略本ではないので、それで本の

価値が下がるわけではないけれど。

自分があまりにもものを知らないということを知ること、

そして、あまりにもだまされやすいということを知ること、

それだけでも充分読む価値がある貴重な1冊。

【目次】(「BOOK」データベースより)
雲に浮かんだモスク/第1部 ソロンの戒め―歪み、非対称性、帰納法(そんなに金持ちなら頭が悪いのはどうしてだ?/奇妙な会計方法/歴史を数学的に考える ほか)/第2部 タイプの前に座ったサル―生存バイアスとその他のバイアス(あるいはとなりの億万長者でいっぱいの世界/卵を焼くより売り買いするほうが簡単/敗者総取りの法則―日常の非線形性 ほか)/第3部 耳には蝋を―偶然という病とともに生きる(ギャンブラーのゲンかつぎと箱の中のハト/カルネアデス、ローマへきたる―確率論と懐疑主義/バッカスがアントニウスを見捨てる)/ソロンの言うとおり

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