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2011年2月21日 (月)

柳井正さんの『一勝九敗』を読んでみた

柳井さんの『一勝九敗』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、ユニクロの柳井さんが2002年の11月に

社長を玉塚さんに代わって、ちょうど1年後の

2003年の11月に出版した本である。

経営者としては、後継者も選び集団指導体制を

確立したとの想いから本を出版したのであろうか。

最後のほうには引退宣言として60歳から65歳で

経営の第一線から引退し、投資家として一生を

送るつもりである旨が記載されているが、

実際には2005年7月に玉塚さんを解任し、再び

柳井さんが社長に復帰して現在に至っている。

また、この本では2010年に売上高1兆円という

目標も掲げているが、実際には8,000億円超と

3倍強に増やす計画は達成されなかったようだ。

この本では、タイトルのとおり、フリースのブームに

より、大成功を収めたユニクロも実際は一勝九敗

というくらい、失敗ばかりであったという展開だが

よく読むとほとんどの失敗を次の成功に生かして

ただ単なる失敗に終わらせてはいない。

それが柳井さんのユニクロの凄いところなのだ。

また、面白い話も満載で、たとえば「ユニクロ」の

呼称はカジュアル衣料品店「ユニーク・クロージング・

ウエアハウス」(UNIQUE CLOTHING WAREHOUSE)

1号店の店舗名の略称が元になっているが、

当初のロゴはそのまま「UNICLO」であった。

それが1988年に香港で現地法人を設立した際、

会社登記を「UNIQLO」と間違えてしまったのを

字体を見たらQのほうが格好がいいという理由で

日本の店名も全部「UNIQLO」に変更してしまった。

ここら辺の感覚は私には分からないが、やっぱり

かっこよさについて、ある種の感覚があるのだろう。

ほかにも、洋服はファッション性のある工業製品

なので、機能とファッションのせめぎあいがユニクロの

原動力になればよいと考えているということ。

郊外店を出してみて分かった3つのこととして、

1.カジュアルは年齢も性別も関係なく需要がある
2.トレンドものよりベーシックなものに大きな需要がある
3.「買おう」という目的を持ったお客が来るので
  買い上げ率が高い

ということを挙げている。

また、私には印象的だったCMについての話もあった。

「購入後の商品の返品・交換が可能」であることを

アピールするために、中年の女性がレジカウンターの

前で着用していたユニクロ製品を突然脱ぎ出すという

奇抜なCMを放映したことがあったが、これは知名度を

上げるという意味では大成功だったようだが、

売上向上にはすぐに結びつかなかったらしい。

そして、売上高1,000億円の壁を越えるために行った

オール・ベター・チェンジ(ABC)改革も興味深い。

1.中国の委託生産工場の集約
2.専門経営者グループへの移行
3.店舗運営思想の大転換
4.ニュープロトタイプの構築
5.デザインオフィスを1ヶ所に統合
6.業績にリンクした給与体系の整備
7.宣伝政策の展開
8.1週間単位の会議体を確立

全てがお客様の視点での改革であり、本部が偉い

のではなく、現場こそが重要という発想である。

また、社名のファースト(早い)とリテイリング(小売)の

組み合わせも経営にはスピードが大事という発想を

対外的な意味だけでなく、社内にも発信している。

最後にユニクロの23ある経営理念のうち前半の

9つについて、紹介しておく。

第1条 顧客の要望に答え、顧客を創造する経営
第2条 良いアイデアを実行し、世の中を動かし、
     社会を変革し、社会に貢献する経営
第3条 いかなる企業の傘の中にも入らない
     自主独立の経営
第4条 現実を直視し、時代に適応し、自ら能動的に
     変化する経営
第5条 社員ひとりひとりが自活し、自省し、柔軟な
     組織の中で個人ひとりひとりの尊重とチーム
     ワークを最重視する経営
第6条 世界中の才能を活用し、自社独自のID
     (アイデンティティ)を確立し、若者支持率
     No.1の商品、業態を開発する、真に国際化
     できる経営
第7条 唯一、顧客との直接接点が商品と売場である
     ことを徹底認識した、商品・売場中心の経営
第8条 全社最適、全社員一致協力、全部門連動
     体制の経営
第9条 スピード、やる気、革新、実行力の経営

このほかにも、起業家十戒や経営者十戒なども

柳井さんの考え方が分かってとても面白いが、

それは本を読んでいただくのがいいと思う。

経営者でなくても参考になることが多い良書である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
1 家業からの脱皮(会社とは?/ユニクロの急成長とは? ほか)/2 挑戦と試行錯誤(商売人から経営者へ/経営計画を作る ほか)/3 急成長からの転換(ブランド確立の夢を果たすため原宿出店/フリースを手がける ほか)/4 働く人のための組織(マニュアル人間の限界/店長は会社の主役だ ほか)/5 失敗から育てる次の芽(フリースのインターネット販売/フリースの成功につながる「失敗に学んだこと」 ほか)

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