スティーヴン・D・レヴィットさんの『超ヤバい経済学』を読んでみた
スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナーさんの
『超ヤバい経済学』を読んでみた
(5つが最高)
経済学者のスティーヴン・D・レヴィットさんと
ジャーナリストのスティーヴン・J・ダブナーさんの
あまりにも有名な『ヤバい経済学』の続編。
今回も前作同様いろいろな雑多な話題から
意外な結論を導き出してくれているが
そのどれもが今まで読んだ経済学が扱う事象とは
まるっきり異なっていて、面白いだけでなく、
もし全てが本当のことなら、この世界はやはりどこか
間違っているのかもしれないと考えさせられた。
特に気になった話は、医者の能力を評価する難しさ。
理由の1つ目は選択バイアスで、症状の重い患者ほど
腕のいい医者を探すため、医者がいい治療をしても
患者が亡くなる可能性は高くなってしまうこと。
理由の2つ目は医者の診断の影響は患者が
治療を受けてからずいぶん経たないと現れないこと。
仮に医者がきちんと診断していても患者が
その指示を守ってくれないことまで考えると、
良い医者を選ぶというのは本当に難しい。
また、マルコム・グラッドウェルさんの作品に出てくる
プロスポーツ選手の生まれ月の偏りに代表される
「相対年齢効果」の話が、実は独創的なものではなく
この作者2人の影響によって書かれたものであったり、
38人もの人が殺人事件を目撃していたのに通報も
せずにやり過ごしてしまったことを題材にした
「傍観者効果」の話が、実はそれほど多くの目撃者が
いたわけでもなく、目撃していたことも殺人の
一部始終ではなく、通報した者もあったのかも
しれないという後日談などはグラッドウェルさんの
ファンとしては少し複雑な気持ちになった。
内容的には、とても満足しているが、経済学の
標準的なテキストとはまったく違い、その扱う事象も
語られる言葉遣いもわざと悪ガキ教授風にしてある点は
後半のチャイルドシートや環境問題については
少し面白みを欠いた格好になっているように感じた。
次はスティーヴン・D・レヴィットさんの学生向けの
経済学のテキストなんかが出版されたら嬉しいと
贅沢な望みを抱いたのは私だけではない気がする。
前作の『ヤバい経済学』同様、オススメである。
【目次】(「BOOK」データベースより)
序章 経済学が「ヤバい」とは/第1章 立ちんぼやってる売春婦、デパートのサンタとどうしておんなじ?/第2章 自爆テロやるなら生命保険に入ったほうがいいのはどうして?/第3章 身勝手と思いやりの信じられない話/第4章 お悩み解決いたします─安く簡単に/第5章 アル・ゴアとかけてピナトゥボ火山と解く。そのこころは?/終章 サルだってひとだもの
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