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2011年3月21日 (月)

橘玲さんの『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』を読んでみた

橘さんの『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』を読んでみた

 (5つが最高)

この本の結論は、「伽藍を捨ててバザールへ向かえ」

「恐竜の尻尾の中に頭を見つけろ」ということ。

つまりは、会社のような閉鎖空間を出てグローバル

市場に行き、ロングテールのような、細分化された

ニッチを見つけて、そこでわずかばかりの比較優位を

頼りに生き延びることが、この残酷な世界の中で

取り得る唯一の戦略だということだ。

しかし、この結論には、はっきり言って賛成できない。

正直なところ、橘さんの想定している残酷な世界が

あまりにものんびりとした平和な世界で、

本当の現実をとらえ切れていないからだ。

ただ、私を含めて、この本を読めるくらいに余裕のある

人たちには、この本の内容には満足してしまう。

問題なのは、この本を読むことさえできないような

本当に残酷な世界で生き延びることができなくなった

人たちをどうするかということである。

その人たちにはそもそも比較優位もなければ、

ニッチを見つける能力も戦略も何もない。

けれど、そのことをこの本に対する批判とすることは

妥当性を欠くこともまた事実である。

この本は、残酷な世界で生き延びる方法が

最後のたったひとつになってしまった人に向けて

書かれているのではないことは明らかだ。

私はこの本を読むことにより視野を開かれ

考え方を柔軟にすることができたし、

私にとっての生き延びる方法を考える契機を得た。

また、橘さんの自己啓発書への違和感という

問題提起にまっすぐ向き合う姿勢は好感が持てる。

そして、数多くの書籍の中から、この世界への

違和感に対して理解の糸口を見出そうという点も

とても参考になった。

広範な知識を集めることが、どこか自己啓発に

似ているとしても、出された結論に賛成できない

としても、この本から得たものは大きかった。

真剣に自己啓発に取り組んでいる人にこそ

読んでもらいたい良書である。

【参考文献】
スティーブン・ピンカー 『人間の本性を考える』
安藤寿康 『心はどのように遺伝するか』
リチャード・ドーキンス 『利己的遺伝子』
ハワード・ガードナー 『MI:個性を生かす多重知能の理論』
ロバート・ライシュ 『ザ・ワーク・オブ・ネーションズ』
デル・カーネギー 『道は開ける』 『人を動かす』
ナポレオン・ヒル 『思考は現実化する』
山岸俊男 『信頼の構造』
ダニエル・ピンク 『フリーエージェント社会の到来』
ロバート・チャルディーニ 『影響力の武器』
小池和男 『日本産業社会の「神話」』
ジョン・カートライト 『進化心理学入門』

【目次】(「BOOK」データベースより)
序章 「やってもできない」ひとのための成功哲学/第1章 能力は向上するか?/第2章 自分は変えられるか?/第3章 他人を支配できるか?/第4章 幸福になれるか?/終章 恐竜の尻尾のなかに頭を探せ!

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