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2011年4月23日 (土)

三浦展さんの『これからの10年団塊ジュニア1400万人がコア市場になる!』を読んでみた

三浦さんの『これからの10年団塊ジュニア
1400万人がコア市場になる!
マーケティング戦略の狙い目はここだ!』を読んでみた

 (5つが最高)

勝間和代さんが紹介していたので読んでみたが、

2002年12月発売のこの本は、明らかにその後の

不景気の影響で価値を半減させてしまっている。

書かれていることは、当時は正しかったのだろう。

たとえば、狙い目の市場は団塊ジュニアくらいしか

世代単位では思いつかないのは当然のことだ。

「家族中心」から「個人中心」の消費に変わるという

視点までは、受け入れられる。

しかしながら、「ライフスタイルケア市場」などは

生まれなかったし、仮にそのようにくくれる分野を

認めるとしても、急成長などはしなかった。

これはマーケティングの失敗というよりは

それ以上に景気の悪化が深刻だったということだ。

三浦さんの言うとおり、ケアを必要としている人は

確実に増加したが、それ以上に自分で何とか工夫し

節約することを考えた人が圧倒的多数であった。

簡単に言えば、奥さんにマッサージを頼めない人は

他人にお金を払ったり、マッサージ器を買うことよりも

自分でマッサージをするか、100円ショップでツボ

押しの道具でも買って間に合わせるか、ただ我慢して

終わったのである。

また、ウォーキングする高齢者は増えたが、60万円

もするライカのカメラなど買う人はなく、自販機で

飲み物を買うのも控えて、家から飲み物をもって出る

そういうスタイルが一般的になったのである。

しかし、これは三浦さんの考えが間違っていたという

よりは、その後の社会の変化が大きかっただけだ。

その証拠に三浦さんが挙げている統計などの数字は

その後の実感のない景気回復を示唆するような

バブル崩壊後の若干の反発の域を出ないものばかりだ。

まるで株式投資のチャートなどで現れるダマシのようだ。

10年以上続いた下り坂が上向くと誰もが思ったときに

少しだけ消費が上向いたのであり、その後、底が抜けた

ように、増加していた中流の多くが下流化していく。

そのことは2005年09月発売の『下流社会』で三浦さん

自身が克明に描写して見せている。

この本は、世代という単位で市場をくくることの限界を

伝えている。

そして、三浦さんがこの後出す『シンプル族の反乱』

という、どうやって物を売るかというよりは、モノを

買わない消費者をどう捕らえるかという作品の方が

読みごたえがあるように思う。

もちろん同一の作者であるから、この本の「無印プラス」

というコンセプトを捨てきれず、『シンプル族の反乱』の

中でも、ユニクロを「無印良品プラス」としている強引さ

はご愛嬌である。

この本を読む価値は、『シンプル族の反乱』を読む前に

その前段階ではどのようなことが起きていたのかを

知ることができる点かもしれない。

たとえば、この本では「シンプル」にデザインをプラスして

高付加価値化を図ろうと提案されているが、それは

企業側から見れば、そのような戦略で消費を促進したい

ところであろうが、経済的困窮により消費そのものが

停滞する中ではデザインよりも「シンプル」で安いもの

に人が向かうのは当然である。

ユニクロは「シンプル」だけで売れたのではないけれど

高価格であったなら売れていなかっただろう。

デザインや機能も求めるが、高ければ手を出さない

のである。

今後のマーケティングの難しさを考えると、この本は

「これからの10年」などという長期予測を掲げることが

できた最後の本でもあるかもしれないと思う。

【目次】(「BOOK」データベースより)
これからの10年、新しい消費社会が誕生する!/新しい市場を読む(「ライフスタイルケア市場」が生まれ、急成長する/躍進する4つの新市場も見逃すな!)/二大世代の攻略法(団塊世代1000万人はこうやってつかめ!/団塊ジュニア世代がこれからの市場をリードする!/団塊ジュニア世代1400万人はこうやってつかめ!)/これからの10年、生き残る企業の戦略はこれだ!

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