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2011年4月30日 (土)

ケント・M・キースさんの『それでもなお、人を愛しなさい』を読んでみた

ケント・M・キースさんの『それでもなお、人を愛しなさい
人生の意味を見つけるための逆説の10カ条』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、より良く、より深く、最高の人生を送る

ための逆説の10カ条が中心である。

内容としては、『この世界は狂っているということを

まず認める、そこから始めるのが最善です。』という

前提で、「それでもなお」やるべきことがあるという。

1.人は不合理で、わからず屋で、わがままな存在だ。
  それでもなお、人を愛しなさい。
2.何か良いことをすれば、隠された利己的な動機が
  あるはずだと人に責められるだろう。
  それでもなお、良いことをしなさい。
3.成功すれば、うその友だちと本物の敵を得ることに
  なる。
  それでもなお、成功しなさい。
4.今日の善行は明日になれば忘れられてしまうだろう。
  それでもなお、良いことをしなさい。
5.正直で率直なあり方はあなたを無防備にするだろう。
  それでもなお、正直で率直なあなたでいなさい。
6.最大の考えをもった最も大きな男女は、
  最小の心をもった最も小さな男女によって
  撃ち落されるかもしれない。
  それでもなお、大きな考えをもちなさい。
7.人は弱者をひいきにはするが、勝者の後にしか
  ついていかない。
  それでもなお、弱者のために戦いなさい。
8.何年もかけて築いたものが一夜にして崩れ去る
  かもしれない。
  それでもなお、築きあげなさい。
9.人が本当に助けを必要としていても、実際に助けの
  手を差し伸べると攻撃されるかもしれない。
  それでもなお、人を助けなさい。
10.世界のために最善を尽くしても、
  その見返りにひどい仕打ちを受けるかもしれない。
  それでもなお、世界のために最善を尽くしなさい。

この逆説の10カ条は、富や権力や名声といった

一般的な成功の象徴に的を絞ったものでないことは

明らかで、とにかくこの狂った世界で人として生きる

意味を見出すことに的が絞られている。

バブル時代から続いた拝金主義が人を狂わせたことは

明らかだが、長く続く不況によっても人々の心は他人を

思いやる気持ちの余裕を失ってしまった。

人生の本当の意味とは何だろうかと考えるとき、

どうしてもこの狂った世界に流されてしまいそうになり、

諦めそうになることは多いけれど、それでもなお

この本を読んで頑張りなさい、というところか。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1部 おかしな世界/第2部 逆説の10カ条/第3部 逆説的な人生

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2011年4月29日 (金)

小林恭子さんの『日本人が知らないウィキリークス』を読んでみた

小林恭子/白井聡/塚越健司/津田大介
/八田真行/浜野喬士/孫崎享さんの
『日本人が知らないウィキリークス』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、ウィキリークスについて7人の執筆人が

それぞれの立場で執筆していて自分なりの考え方を

持つ手助けをしてくれる。

たとえば、塚越さんは『抽象的な「公益」や「善悪論」

の議論に意義を見出さない。簡単なことである。

国家にとっての善と、国民にとっての善は異なる。

同様に、日本国民の善とアメリカ国民のそれも異なる。

すなわち、論者の立場によってウィキリークスは

善にも悪にもなり得る。』と、善悪論を否定している。

また、小林さんもウィキリークスの評価が、その人の

「立ち位置」によって変わるとしながらも、ウィキリークス

時代のジャーナリズム空間は、多彩で知的な刺激に

満ちた場所であろうと考えている。

そして、これだけウィキリークスが注目を集めた

最大の事件である米公電暴露の衝撃とその後の

外交に関する執筆人それぞれの評価も興味深い。

特に第5章の「米公電暴露の衝撃と外交」にある

暴露された内容についての記述と米政府の対応は、

外交について考える資料として優れている。

私は個人的には、日本にはジャーナリズムが

育っていないと考えているが、これを機会に

マスコミがくだらないことに関してばかり、

知る権利や報道の自由などという権利を主張せず、

そのあり方などを真剣に考えてもらえたらいいと思う。

とにかく、ウィキリークスについて何も分からないと

いう人でも気軽に読めて、知っておくべき情報が

まとめられるという点で、とてもお得な1冊である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 ウィキリークスとは何か-加速するリーク社会化/第2章 ウィキリークス時代のジャーナリズム/第3章 「ウィキリークス以後」のメディアの10年に向けて/第4章 ウィキリークスを支えた技術と思想/第5章 米公電暴露の衝撃と外交/第6章 「正義はなされよ、世界は滅びよ」-ウィキリークスにとって「公益」とは何か/第7章 主権の溶解の時代に-ウィキリークスは革命か?

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2011年4月28日 (木)

井上理(イノウエオサム)さんの『任天堂“驚き”を生む方程式』を読んでみた

井上さんの『任天堂“驚き”を生む方程式』を読んでみた

 (5つが最高)

この本では、任天堂の成功を語るときに欠かせない

人達の考え方をとても分かりやすくまとめている。

そして、紹介されている人物も多様で、たとえば

ハード開発のトップの竹田玄洋、社長の山内に

請われて任天堂に来たプログラマーの岩田聡、

マリオの生みの親であるクリエイターの宮本茂。

何と言っても任天堂の躍進の原動力となった

遊びの天才、横井軍平の早すぎる死が惜しまれる。

それぞれがゲームへ情熱を傾け、アイデアを

出し合い、協力して仕事を進めていく。

もちろんゲームの開発は困難も数多くあるのだろうが

サービス業ばかり渡り歩いてきた私にとっては

製造業のモノづくりをしている人たちがうらやましい。

そして、この本を読むと任天堂の本質がソフト志向であり

ハードの性能を競うのではなく、ローテクの組み合わせで

どこまでも娯楽を追求していく姿勢が鮮明になる。

それは、どの登場人物にも多かれ少なかれ共通する。

その中で、最もソフト体質で任天堂らしい人物が

外様社長の岩田さんなのだと思う。

岩田さんは初の創業家以外の社長であるだけでなく

2000年に入社し、2002年に社長に就任している。

その岩田さんがやったことは、ごく簡単なことだが

とても普通の社長ではやらないことである。

まず、紹介されているのが「個人面談」である。

従業員3000人以上の会社の社長が、全ての部長、

40人と個人面談を行い、自分が担当する開発部門の

社員、150人とも個人面談を行うという愚直ぶり。

私のいる会社なんて従業員は100人程度なのに

親会社からやって来た社長が個人面談などする

ことは考えもつかないだけでなく、たまにやってくる

メールは、現場のやる気を削ぐものばかり。

まあ、世界の任天堂の社長と比べるのは可哀相だ。

次に岩田さんのやったことは、プレゼンでのデータの

多用という、伝統に「サイエンス」を加えること。

これでもかというくらいグラフや表、数字が出てくる。

私のいる会社なんて毎年適当に作った予算が

2か月後には達成できないから修正するありさまで

社長以下、経営陣の誰ひとり数字が読めない。

まあ、世界の任天堂の社長と比べたら笑われるだけだ。

そして、そんな会社にしがみついている自分は

もっと情けないが、今は修行の身と考え、勉強あるのみ。

この手の本を読むと、今の自分の置かれた状況を

考えずにはいられないが、成功者の考えを学べるのは

本当に有難い限りだ。

また、成功している企業にも様々な敵がいることを

知ることができるのも有難い。

任天堂にとっては、『ソニーやマイクロソフト、あるいは

アップルが敵なのではない。最も恐れるべき敵は、

飽きであることを、岩田は自覚している。自らが生んだ

過去の驚きが、次なる敵となることを』。

どんな優良企業も、どんなダメ企業も数々の敵と戦う

ために日々努力を重ねている。

自分も頑張ろうと思えるようになる1冊である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
プロローグ 「100年に1度」に揺らがず/第1章 ゲーム旋風と危機感/第2章 DSとWii誕生秘話/第3章 岩田と宮本、禁欲の経営/第4章 笑顔創造企業の哲学/第5章 ゲーム&ウオッチに宿る原点/第6章 「ソフト体質」で生き残る/第7章 花札屋から世界企業へ/第8章 新たな驚きの種/エピローグ 続く“飽きとの戦い”

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2011年4月27日 (水)

小飼弾さんの『弾言』を読んでみた

小飼さんの『弾言
成功する人生とバランスシートの使い方』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、自分自身ができることから始めて、

「なぜ」自分がうまくいっていないのかを、真剣に

問うことから思考を始めています。

そして、考えるためのヒントとして会計で使われる

バランスシート(貸借対照表)の考え方が非常に

役立つということです。

この本では、まずバランスシートに基づいて世界を

ヒト、モノ、カネという3つの要素に分けて考えます。

実体のあるモノを、人間の知恵(ヒト)によって活かし、

カネという価値を生み出しているという考えです。

これは、世界を定量的に捉えることで、自分の問題

点や取るべき行動がすっきりと見えてくるということ。

考えさせられた点は次のとおり。

『利己的の対義語は「利他的」ではなく、「自虐的」』

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 ヒトpart1-自分の価値を「見える化」してレベルアップ(自分で打てる手はいくらでもある/暮らしがキツいのは、モノ扱いされているから ほか)/第2章 カネ-相互理解のツールとして戦略的に使いこなす(カネの誕生/カネは相互理解のためのツール ほか)/第3章 ヒトpart2-ネットワークにおける自分の価値をアップする(コネの価値はいくら?/コネを「見える化」するのが会社 ほか)/第4章 モノ-「本当は所有できない」ということを理解する(増やせないのがモノ/石油がなくても自然破壊は起こる ほか)

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2011年4月26日 (火)

小宮一慶さんの『リーダーのための実践する経営』を読んでみた

小宮さんの『リーダーのための実践する経営
「経営」というオンリーワンの仕事を体系的に
理解する』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、『「会社を経営する」ということ』をベースに

その後の環境変化や小宮さんなりに深く考えたことを

付け加えて再構成されている。

タイトルが違うので、まったく別物だと思って手に

取ったが、結果的には小宮さんの作品の中でも特に

良いものにめぐり合えて良かったという感じがした。

まず、経営とは何だろうか。

①「企業の方向付け」をし、
②「資源を最適に配分する」ことをした上で
③「人を動かす」ことが、経営である。

では、強い会社の3つの条件は何だろうか。

①商品、サービスで他社との違いがはっきりしていること
②自分が戦おうとしている市場で必要な財務力がある
③ビジョン、理念がしっかりしている

そうだとするなら、強い会社になるための戦略立案には

何が必要かと言えば、内部環境と外部環境の分析である。

内部環境には、ヒト、モノ、カネ、情報、ノウハウ、時間など

外部環境には、市場、競争、法律、人口変化、景気など。

中でも、21世紀の日本の外部環境で、どの企業にも

関係のある重要なものは、次の4つ。

①少子超高齢社会
②加速するハイテク情報社会
③日本国内の国際化
④規制緩和

そして、日本企業が行うべき国際標準の経営とは

①「お客様第一」であり、
②「キャッシュフロー経営」である。

また、戦略策定に必要な9つのキーワードを

簡単に要約してみると以下のようになる。

①スピード経営
 自社が他社に対して優位に立てるプロセス
 におけるスピードが、他社より早い。
②事業ドメイン
 得意な事業領域で勝負する。
③イノベーション
 小さなリスクは恐れずに新しいことへの挑戦(革新)
 をする一方で、大きなリスクは取らない。
④ボーダレスマインド
 日本国内の急激な国際化に勝てるだけの世界で
 実践できる経営能力、商品、サービスを持つ。
⑤ネットワーク
 人的ネットワークの確立。
 アンテナは高く、腰は低くして多くの人から情報得る。
⑥環境
 「コンプライアンス」の重要性を認識。
⑦キャッシュフロー経営
 現金をいかに「稼ぐ」か、いかに有効に「使う」か。
⑧ビジョン・理念
 理念はビジョン追求における行動規範。
⑨リレーションシップ・マーケティング
 コツは、「一番は偉い」と「あなたは特別」。
 お客を6段階に分け、「潜在客」・「顧客」・「得意客」
 ・「支持者」・「代弁者」・「パートナー」へと関係を
 「深化」させていくことが重要。

さらに、財務会計の経営的な考え方では、経営の安定性を

表す指標として次の4つを挙げている。

①株主資本比率=株主資本÷資産
②流動比率=流動資産÷流動負債
③当座比率=当座資産÷流動負債
④固定長期適合率=固定資産÷(固定負債+株主資本)

また、マーケティングのアプローチ(方法論)で役に立つ

ものとして、2つの手法が紹介されている。

①QPSC
 QはQuality(クォリティ)、PはPrice(プライス)、
 SはService(サービス)、CはCost(コスト)であり、
 お客様はQPSの組み合わせで商品を買う

②AIDMA
 Attention(注意)・Interest(興味)・Desire(欲求)・
 Motive(欲求の高まり)・Action(行動)の頭文字を
 とったもので、人が商品やサービスを買うときには、
 このプロセスをたどって、買うといわれている。
 このプロセスのどこで途切れているのかを考え、
 それをどう解決するかが重要。

そして、最も大切にすべき、お客様第一とは幸せの順番の

ことであり、幸せの大きさのことではないことに注意。

最後に幸せになる従業員や株主が大きな幸せを得ること

ができることも少なくない。

この場合の従業員の幸せには、当然のことながら、

仕事を通じた自己実現ということも入ってくる。

そのときの、自己実現というのは、その人が持っている

能力を最大限に出すことである。

そして、そのために会社の方向付けをしっかりすることも

経営の大切な仕事である。

いままで、あまり経営ということに興味がなかったが、

この本を読むと、経営という仕事もいいものだと思う。

これから経営という視点を身に付けたいと思う人は

ぜひ読んでみることをオススメする。

【目次】(「BOOK」データベースより)
序章 「経営」という独立した仕事がある/第1章 ビジョン・理念の確立と徹底/第2章 戦略立案/第3章 財務会計の経営的考え方/第4章 ファイナンス/第5章 マーケティング/第6章 人を動かす、組織を動かす/終章 経営の本質を考える

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2011年4月24日 (日)

三浦展さんの『シンプル族の反乱』を読んでみた

三浦さんの『シンプル族の反乱
モノを買わない消費者の登場』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、『下流社会』を書いた三浦さんが新しい

消費者像を克明に描写して見せている。

内容としては、どうやってモノを売るかというより、

モノを買わない消費者をどう捕らえるかという

コンセプトで読みごたえがある。

特に冒頭のシンプル族がモノを買わない理由は

様々な社会現象を考えるときのヒントになる。

①すでに生活が豊かであり、物が豊富にあるので、
 急いで買う必要がない
②所得が低下しているので、物を買いたくても買えない
③将来に不安があるので、貯蓄に励み、物を買わない
④所得が低いから結婚できず、子供を産まず、
 家も買わないので、消費全体が減少する
⑤インターネットが発達したので、情報だけで満足する
 ようになり、物は買わなくなった
⑥環境意識が強まったので、無駄な消費をしなくなった。
 物を買うことに罪悪感すら感じることが増えた
⑦社会意識が強まったので、消費よりも他にするべき
 ことに目覚めた

この中で、②から④は、深刻な問題である。

これは好みとしてシンプルさを追求していることと

まったく意味が異なる。

けれど、これが失われた20年の現実なのである。

三浦さんのマーケティングは感覚的には鋭さを

感じさせるが、いつもどこか根拠が希薄で

本当に現実をとらえているのか不安を抱かせる

ところがあったが、この本は妙に納得させられた。

40代の私自身にも起きている変化だからだろう。

ネットでポイントを貯めて本を買い、アマゾンで

売って、そのお金でブックオフの古本を買う。

なんとシンプルな生活であろうか。

趣味のマラソンも大会参加料が年間1万円くらい

シューズとウエアーで同じく年間1万円くらい。

もちろん、こういう生活になった理由は②から④が

大きいことは言うまでもない。

ネットバブルの頃までは、株で大損したりしていたが

いまやFXで遊ぶための10万がなかなか難しい。

そして、給料は下がらないと嬉しくなってしまうくらい。

時代は変わったと言うべきなのだろうか。

この本に書かれていることが、いちいち自分に

当てはまって、いろいろと考えさせられる。

今のところ、三浦さんの本の中では最上位。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 シンプル族とは何か?(自動車離れが進んでいる/自転車の人気が上昇 ほか)/第2章 シンプル族の価値観とライフスタイル(シンプル族の生活原理/シンプル族の志向性 ほか)/第3章 シンプル族の衣食住遊(シンプル族の特徴/シンプル族の「衣」 ほか)/結 シンプル族がつくる社会(シンプル族は中流の質的変化/シンプル族がつくる「共費社会」 ほか)

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2011年4月23日 (土)

三浦展さんの『これからの10年団塊ジュニア1400万人がコア市場になる!』を読んでみた

三浦さんの『これからの10年団塊ジュニア
1400万人がコア市場になる!
マーケティング戦略の狙い目はここだ!』を読んでみた

 (5つが最高)

勝間和代さんが紹介していたので読んでみたが、

2002年12月発売のこの本は、明らかにその後の

不景気の影響で価値を半減させてしまっている。

書かれていることは、当時は正しかったのだろう。

たとえば、狙い目の市場は団塊ジュニアくらいしか

世代単位では思いつかないのは当然のことだ。

「家族中心」から「個人中心」の消費に変わるという

視点までは、受け入れられる。

しかしながら、「ライフスタイルケア市場」などは

生まれなかったし、仮にそのようにくくれる分野を

認めるとしても、急成長などはしなかった。

これはマーケティングの失敗というよりは

それ以上に景気の悪化が深刻だったということだ。

三浦さんの言うとおり、ケアを必要としている人は

確実に増加したが、それ以上に自分で何とか工夫し

節約することを考えた人が圧倒的多数であった。

簡単に言えば、奥さんにマッサージを頼めない人は

他人にお金を払ったり、マッサージ器を買うことよりも

自分でマッサージをするか、100円ショップでツボ

押しの道具でも買って間に合わせるか、ただ我慢して

終わったのである。

また、ウォーキングする高齢者は増えたが、60万円

もするライカのカメラなど買う人はなく、自販機で

飲み物を買うのも控えて、家から飲み物をもって出る

そういうスタイルが一般的になったのである。

しかし、これは三浦さんの考えが間違っていたという

よりは、その後の社会の変化が大きかっただけだ。

その証拠に三浦さんが挙げている統計などの数字は

その後の実感のない景気回復を示唆するような

バブル崩壊後の若干の反発の域を出ないものばかりだ。

まるで株式投資のチャートなどで現れるダマシのようだ。

10年以上続いた下り坂が上向くと誰もが思ったときに

少しだけ消費が上向いたのであり、その後、底が抜けた

ように、増加していた中流の多くが下流化していく。

そのことは2005年09月発売の『下流社会』で三浦さん

自身が克明に描写して見せている。

この本は、世代という単位で市場をくくることの限界を

伝えている。

そして、三浦さんがこの後出す『シンプル族の反乱』

という、どうやって物を売るかというよりは、モノを

買わない消費者をどう捕らえるかという作品の方が

読みごたえがあるように思う。

もちろん同一の作者であるから、この本の「無印プラス」

というコンセプトを捨てきれず、『シンプル族の反乱』の

中でも、ユニクロを「無印良品プラス」としている強引さ

はご愛嬌である。

この本を読む価値は、『シンプル族の反乱』を読む前に

その前段階ではどのようなことが起きていたのかを

知ることができる点かもしれない。

たとえば、この本では「シンプル」にデザインをプラスして

高付加価値化を図ろうと提案されているが、それは

企業側から見れば、そのような戦略で消費を促進したい

ところであろうが、経済的困窮により消費そのものが

停滞する中ではデザインよりも「シンプル」で安いもの

に人が向かうのは当然である。

ユニクロは「シンプル」だけで売れたのではないけれど

高価格であったなら売れていなかっただろう。

デザインや機能も求めるが、高ければ手を出さない

のである。

今後のマーケティングの難しさを考えると、この本は

「これからの10年」などという長期予測を掲げることが

できた最後の本でもあるかもしれないと思う。

【目次】(「BOOK」データベースより)
これからの10年、新しい消費社会が誕生する!/新しい市場を読む(「ライフスタイルケア市場」が生まれ、急成長する/躍進する4つの新市場も見逃すな!)/二大世代の攻略法(団塊世代1000万人はこうやってつかめ!/団塊ジュニア世代がこれからの市場をリードする!/団塊ジュニア世代1400万人はこうやってつかめ!)/これからの10年、生き残る企業の戦略はこれだ!

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2011年4月22日 (金)

小島寛之さんの『容疑者ケインズ』を読んでみた

小島さんの『容疑者ケインズ 不況、バブル、格差。
すべてはこの男のアタマの中にある。』を読んでみた

 (5つが最高)

私はこの本を読むまで、小島さんのことを数学者だと

ばかり思っていたが、実は経済学博士であり、

年季の入った経済学者だったのである。

若い頃、小島さんの数学に関するエッセイを

熱心に読んでいた者として、そんなことも知らなかった

なんて、誠にお恥ずかしい話だ。

そして、今回のケインズに関する著書は小島さんの

思い入れたっぷりのものようである。

タイトルからは、ケインズ論のような印象を受けるが、

この本の成立過程が別の主題に関するブログから

ケインズに関する箇所を抜き出してきたものであるため

ケインズについてというよりは、ケインズに起源を持つ

最近の研究に関する小島さんのまとめ的な本である。

そのため、この本のみでケインズの経済理論を理解

することはまったくできない。

ケインズの理論を知らなくても読めるようにはなって

いるが、できれば入門書などを読んでからの方が

より楽しめるような気がする。

私はケインズの理論を知らないままにこの本を読んだ

ので、たとえば次のような指摘はとても参考になった。

『ケインズは、実は、「価格」のことをロジックの外に
置いてしまっているのだ。そして、実際の供給量が
有効需要を上回った場合、価格による調整ではなく、
「生産調整」が行われるのが一般的だと考えている。
つまり、現実に売れ残りが生じた場合には、価格を
下げたりせず、在庫が消滅するまで生産を抑制し、
長引くなら労働者をレイオフしたりパートタイマーを
解雇したりする、と考えるのである。逆にそう考え
なければ「不完全均衡」がなぜ起こるのか、説明が
つかない。』

『ケインズの見方が正しいなら、不安定に上下する
のは価格や賃金のほうではなく、むしろ、生産量や
雇用量のほうになるはずだ。私たちの生活実感でも、
一部の生鮮食品などを除けば、商品価格や家賃が
場当たり的に乱高下する、などということはほとんど
なく、それに比べて、景気と不景気はあんがい細かい
時間間隔で交互するようにも感じられる。』

新古典派経済学は、価格変化による速やかな調整

により、フルに財を生産しても余剰は生じないという

立場なのに対し、ケインズは、価格は硬直的であり

財の余剰は次期の生産の手控えによるしかなく、

労働力や設備は使用されなくなるという立場である。

私は価格調整と雇用調整の両方が現実には起きる

ように思うが、それは当然これらの理論を知ったから

そう思うだけであって、単なる後知恵に過ぎない。

また、ケインズは「有効需要の原理」を論証するために

次の3つの重要な仮定を置いているという指摘も

とても参考になった。

①国全体で集計した企業部門の設備投資は、
 利子率(金利)だけで決定される
②家計部門における消費・貯蓄の関係は、
 国全体で集計するなら、はっきりと決まってしまう
③投資水準を決定する利子率は、貨幣の総量に
 よって決定される

ただ、あまりに簡略化された説明のため疑問の残る

点もあったことは事実である。

たとえば、公共投資による乗数効果が誤謬である

という説明の中で、増税した分を政府が直接使用

すると、企業部門とお金の流れが逆になると

書かれているが、政府が企業に仕事を発注すると

本当に乗数効果がないと言えるのか分からない。

また、公共投資の実質的効果は政府が投じた金額

ではなく、作られた公共物の価値に依存するという

のも、結論だけ書かれており、納得するに至らない。

これが本当ならば、価値あるものを作るなら公共

投資は有効ということになるが、現状では増税する

にしても国債を発行するにしても、心理的な不安から

景気は上向かないと思うのだが、どうだろうか。

良書の定義を「良質の知識を提供してくれる」ものと

「良質の思考の機会を提供してくれる」ものとに

分割するなら、この本は明らかに後者に属する。

小島さんらしい数学を取り入れた経済の本を

次には読んでみたいと思った。

【目次】(「BOOK」データベースより)
1 公共事業はなぜ効かないのか―「一般理論」の先見と誤謬(そもそも不況とはどういうことか/どうしてモノや人が余るのか/ケインズは貨幣に注目していた ほか)/2 バブルの何がまずいのか―不確実性と均衡(確率論が通じないサブプライムの泥沼/アブナイとワカラナイは違う―「ナイトの不確実性理論」/人は最も悪い可能性を気にする―「エルスバーグのパラドックス」 ほか)/3 人はどのように「誘惑」されるのか―選好と意思決定のメカニズム(経済活動は「推論」と「決断」の繰り返し/「行動の好み」を再現する選好理論/「誘惑」のメカニズムが解明された ほか)

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2011年4月21日 (木)

稲盛和夫さんの『ど真剣に生きる』を読んでみた

稲盛さんの『ど真剣に生きる』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、挫折の連続で病気に苦しみ、やっとの思いで

就職した会社も倒産寸前だったという稲盛さんが研究に

打ち込み小さな町工場から世界的企業へと京セラを

育て上げる中で培った様々なことを飾らない言葉で

分かりやすく語っている。

その語りの中には、自らの経験から導き出された

人生論や経営哲学が織り込まれていて興味深い。

特に印象的なのは、企業理念に関するインタビュー

において、「理念を曲げるくらいなら、従業員ごと

会社がつぶれなければいけませんね」と答えている

ところであり、さらに続けて「会社が理念を曲げて

まで生き延びても、意味がないんです」と言い切る

ゆるぎない態度には感心させられる。

まさに「ど真剣」な生き様には教えられるところが多い。

また、最近読んだヤマト運輸の小倉昌男さんとも

その考えのぶれないところは共通していると感じた。

やはり名経営者は人間的にも素晴らしい人が多い。

小宮一慶さんが稲盛さんを評して「正しい考え方」を

持っていたからこそ、日本を代表する事業家になれた

と言っている意味がよく理解できる一冊。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 リーダーの条件(日本経済を支える中小企業のために/経営の心をたたき込む ほか)/第2章 挫折だらけの青春(何をやってもうまくいかない/受験失敗、就職失敗 ほか)/第3章 会社は誰のものか(夢は大きく世界一!/“経営マラソン”を百メートルダッシュで駆け抜ける ほか)/第4章 何のために生きるのか(苦労は生きている証/六十歳からは「魂の旅立ち」への準備期間 ほか)/寄稿 心に沁みた稲盛さんの言葉(藤井彩子(NHKアナウンサー))

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2011年4月20日 (水)

マーカス・バッキンガムさんの『まず、ルールを破れ』を読んでみた

マーカス・バッキンガム/カート・コフマンさんの
『まず、ルールを破れ すぐれたマネジャーはここが違う』
を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、アメリカの8万人のマネジャーと100万人の

従業員のインタビュー調査から導き出された世界中の

傑出したマネジャーに共通する常識破りの考え方に

ついて書かれている。

しかし、正直言って私はこのように私の考えから大きく

かけ離れた主張をする本を素直に読み進めることに

激しい抵抗感を感じた。

このブログを再開するに当たって、なるべく幅広く

ビジネス本を読んで、いろいろな考え方があることを

知ろうという目標を掲げたのだが、この本に対しては

とにかく批判的な読み方しかできなかった。

まず、並外れて優秀なマネジャーには共通点があり

それは伝統的常識であるはずのルールをことごとく

打ち破っていることだと書かれている。

では、どんなルールを打ち破っているのかというと、

人は自ら決心したことなら間違いなく実行できる

などという常識を信じることはない。

また、弱点を克服しようとしている人に力を貸そう

という気持ちもない。

一貫して黄金律(「己の欲するところ人にもこれを

施せ」)を無視し続けている。

しかも、周りの人間に対するひいきさえいとわない。

これが優れたマネジャー像だというのである。

これは本当のことだろうか。

少なくとも私はこんな人の下では働きたくない。

ではなぜ、こんな間違った調査結果が出てくるかと

言えば、理由は簡単である。

自分の部下の才能を仕事の成果として開花させるのに

秀でたマネジャーを分析の対象としたからである。

これだと因果関係が分からないままになり、たとえば

本当は才能のある従業員のいるところに、たまたま

弱点の克服をさせることを試みないマネジャーが

やって来て、ひいきをして周囲の顰蹙を買っていても

まるで分からないままになってしまう。

また、人はそんなに変わりようがないということを

大前提に話を進めているが、人はなかなか変われない

ものであるが、それを変えようと努力しないマネジャーを

日本の従業員は受け入れないのは確実である。

実際には弱点はなかなか克服できないものだが

それを放置するようではマネジャーは務まらない。

さらに、優れたマネジャ-だけが知っていることとして

次のようなカギ(基準)をあげているが、いかがなものか。

経験や知識、意志の強さではなく「才能で人を選ぶ」
適切な手順を定義するのではなく「成果を定義する」
弱点を克服するように手助けをせず「強みを活かす」
昇進を後押しせず「強みが活きる場所を探す」

1つずつ反論するのもバカバカしいが、人の才能なんて

簡単には見抜けないし、そもそも中小企業に才能のある

人がそんなにたくさん入ってくるとも思えない。

もちろん人間誰にでも何かしらの才能があり、優れた

マネジャーであればそれを見抜けるということはある。

また、成果主義の弊害は語られて久しい。

適切な手順と適切な成果の両方の定義が必要である。

さらに、強みを活かすといえば聞こえはいいが、

組織の中で各自が強みのみ主張し、弱点を放置すれば

組織自体が立ち行かなくなるのは目に見えている。

英語の得意な従業員が権利ばかり主張して、周囲と

上手くいっていないような会社は意外に多いのである。

最後の昇進の後押しをしないのは、才能ある従業員を

昇進させて他部署に行かれたり、自分のライバルに

でもなったら困るからというところだろうか。

とにかくこの本を読んだマネジャーが自分の教育の

スキルがないことを棚に上げて、従業員の賃金を

カットしたり、クビにすることがないことを願いたい。

そして、この本の中にもうなずけることは書いてある。

たとえば、「従業員の立場から見ると、企業を衰退

させるのはマネジャーだ、という結論が引き出せる」

などは当然の結論である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 マネジャーにとって最も大切な物差し/第2章 すぐれたマネジャーだけが知っていること/第3章 第一のカギ-才能に恵まれた人材を選び出す/第4章 第二のカギ-目標とする成果をはっきりと示す/第5章 第三のカギ-部下の強みを徹底的に活かす/第6章 第四のカギ-部下の強みが活きる場所を探り当てる/第7章 四つのカギを使いこなすための実践ガイド/フォースを束ねよ/参考資料(ギャラップが描く企業業績向上の道筋-企業価値を持続的に上昇させるには/すぐれたマネジャーの発言集-第2章で紹介した三つの質問に、すぐれたマネジャーはどう答えたか ほか)

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2011年4月19日 (火)

トニー・ブザンさんの『頭がよくなる本』を読んでみた

トニー・ブザンさんの『頭がよくなる本』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、速読術と記憶術に思考技術を磨く

マインドマップを組み合わせて脳の活性化を

図るための本である。

マインドマップの開発者であるトニー・ブザンの著作

だけあって、その活用方法が詳しく書かれている。

また、ブザン流「正しい脳の使い方」も参考になる。

脳の働きや仕組み、そのもっとも効果的な

働かせ方など、脳そのものに関する幅広い

知識が得られる一冊。

最も印象に残ったところは、記憶について。

『記憶力―――復習の技術と理論

たとえば1時間学習したあとで、1回目の復習は
10分後に10分間行う。これによってほぼ1日は
記憶力が高く保たれる。そして1日後に2回目の
復習を行う。これは2分から4分間でよい。記憶力
はその後1週間ほどにわたって維持される。
ここでまた2分間の復習を行い、さらに1か月後に
もう1度復習すれば完璧だ。これ以降は、知識は
長期記憶に貯蔵される。つまり、知識が自分の
電話番号と同じくらい身近なものとなり、時折
ちょっと突いてやるだけで記憶を保持できるように
なったわけだ。』

『ことばを結びつける要素と記憶術

1.共感覚/感覚的なもの
  記憶力を高めるには、ものごとを敏感に感じ
  とれるようになることが絶対不可欠
2.動きのあるもの
  動きがあれば、脳がそれを「結びつける」
  範囲が広がる
3.関連のあるもの
  必ず自分の頭のなかで定着しているものと
  関連ずけたり結びつけたりする
4.性的なもの
  性に関するものはほぼ完璧に覚えている
5.こっけいなもの
  楽しみながら記憶する
6.想像力をかきたてるもの
  想像力をふくらませて記憶すれば覚えやすい
7.数字を使ったもの
  番号を振ることによって順序と並び方に
  具体性を持たせれば効果的
8.記号を使ったもの
  退屈なイメージに置き換えることで思い出す
  可能性もある
9.色彩の豊かなもの
  アイデアを「カラフル」にして記憶に残るようにする
10.順序/並べ方
  すばやく参照できるという利点もあるし、脳の
  「順不同に思い出す」
11.前向きなもの
12.誇張されたもの』

マインドマップについては、他の著作の方がまとまって

いるように思うが、「正しい脳の使い方」については

参考になる点が多かった。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 『トニー・ブザン 頭がよくなる本』の話―不可能な夢、エドワード・ヒューの逸話/第2章 すばらしい頭脳/第3章 人間の脳はどのように抑制されてきたか/第4章 もっと速く能率よく読む方法/第5章 記憶/第6章 マインドマップ―ことばと思考の性質についての序論/第7章 マインドマップ―自然の法則/第8章 マインドマップ―高度な作成法と利用法/第9章 マインドマップによる有機的学習法/第10章 新たな方向性

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2011年4月18日 (月)

トニー・シェイさんの『ザッポス伝説』を読んでみた

トニー・シェイさんの『ザッポス伝説
顧客が熱狂するネット靴店』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、アメリカのオンライン靴小売企業ザッポス・

ドットコムの成功物語であり、他社にはないマネジメント

手法について書かれている。

作者のトニー・シェイは、台湾からの移民の両親を持ち

アメリカで生まれ、幼い頃から何度もビジネスを立ち

上げるような人物である。

トニー・シェイは、ハーバード大学でコンピュータ・

サイエンスを学び、オラクルに入社し、自ら起業した

インターネット広告ネットワーク会社のリンクエクス

チェンジを1999年にマイクロソフトに2億6500万

ドルで売却した経験を持つ。

その後、その資金をもとにザッポス創業に投資家として

関わり、やがてCEO(最高経営責任者)としてほぼゼロ

から売上高10億ドルを超える企業にまで成長させた。

そんな作者が、ポーカーから学んだビジネスにも

生かせることのリストは次のとおり。(一部抜粋)

『・市場機会を評価する
着くテーブルを選ぶのは、自分で決められる
最も重要なこと
着いたテーブルで勝ち目がないとわかったら、
テーブルを替わっても構わない
・ファイナンス
想定できる最悪のシナリオに対して常に準備しておく
勝ったゲーム数の多い人が最終的に一番多く儲ける
わけではない
リスクが最小のものでなく、期待値が大きいものを選ぶ
負けても差し支えない範囲でのみプレイする
・戦略
ゲームの仕方を理解しないでゲームをしないこと、
たとえ大勢がそのゲームで儲けていても
いかさまをしない。いかさまをしても結局勝てはしない
自分のやり方を貫くこと
辛抱強く、長期的に考えること
希望を抱くのは、よい策とはならない
・継続的に学習する
みずから学ぶこと。本を読み、経験者から学ぶこと
実践により学ぶ。理論は魅力的だが、実際の経験に
勝るものはない
ゲームに一回勝ったというのは、自分が上手いという
ことでも、もう勉強しなくていいということでもない。
ただ単にツイていただけかもしれない
アドバイスを求めることを怖れないこと
・カルチャー
ゲームが好きであること。本当に上達するためには、
寝ても覚めてもゲームと共にあることが必要
自分が学んだことを他人とシェアする
楽しむこと。単なる金儲け以上のことをしようとする
なら、ゲームは何倍も楽しくなる』

また、ザッポスの文化を10のコアバリューとして

まとめると以下のとおりになるとしている。

1.サービスを通して、「ワオ!」という驚きの体験を届ける
2.変化を受け入れ、変化を推進する
3.楽しさとちょっと変なものを創造する
4.冒険好きで、創造的で、オープン・マインドであれ
5.成長と学びを追求する
6.コミュニケーションにより、オープンで誠実な人間関係を築く
7.ポジティブなチームとファミリー精神を築く
8.より少ないものからより多くの成果を
9.情熱と強い意思を持て
10.謙虚であれ

このコアバリューにザッポスはまじめに取り組んでいる。

これがお題目だけの企業理念を掲げる会社と

伝説となるザッポスの一番の違いであろう。

とにかく一気に読み通すほど薄い本ではないけれど

そのエッセンスはとても魅力的で参考になる。

【目次】(「BOOK」データベースより
イントロダクション-目的を探して/1 利益を求めて-ザッポスへたどり着くまで(ただ、利益を追い求める日々/うまくいくこともあれば、いかないこともある ほか)/2 情熱をかけて-成長の設計図(自分の役割に集中する/成長へのプラットフォーム-ブランド、企業文化、パイプライン)/3 人生の目的にたどり着く-幸せを届ける会社に(次のレベルへの進化/エンド・ゲーム)/エピローグ ムーブメントに参加しよう

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2011年4月17日 (日)

水野俊哉さんの『お金持ちになるマネー本厳選「50冊」』を読んでみた

水野さんの『お金持ちになるマネー本厳選「50冊」』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、投資の本を探している人のための本です。

著者の水野さんが数百冊のマネー・投資本を読み、

さらにその中から厳選された50冊を細部まで読み込み

一冊一冊に「読みやすさ」、「信用度」、「知識習得度」、

「実用度」、「コストパフォーマンス」を5段階で評価。

私が読んだことのある本に関しては、水野さんが

どんな評価をしているかを楽しみ、私がまだ読んだ

ことがない本に関しては、水野さんのオススメにより

これから読むべき本を見つけて楽しむといった感じ。

とにかく、今後読んでみたいと思った本は次のとおり。

①『お金をふやす本当の常識』
 山崎元 日本経済新聞出版社

②『なぜ株式投資はもうからないのか』
 保田隆明 ソフトバンククリエイティブ

③『サブプライム後の新資産運用』
 中原圭介 フォレスト出版

④『冒険投資家ジム・ロジャーズ世界大発見』
 ジム・ロジャーズ 日本経済新聞出版社

⑤『ジム・クレイマーの株式投資大作戦』
 ジム・クレイマー 日本経済新聞出版社

⑥『貧乏人のデイトレ 金持ちのインベストメント』
 北村慶 PHP研究所

⑦『めちゃくちゃわかるよ!経済学』
 坪井賢一 ダイヤモンド社

⑧『〔新版〕あなたを変える「稼ぎ力」養成講座』
 渋井真帆 ダイヤモンド社

⑨『敗者のゲーム 〔新版〕』
 チャールズ・エリス 日本経済新聞出版社

⑩『天才数学者はこう賭ける』
 ウィリアム・パウンドストーン 青土社

⑪『最強ヘッジファンド LTCMの興亡』
 ロジャー・ローウェンスタイン 日本経済新聞社

⑫『ETF投資入門』
 太田創 日経BP社

⑬『世界をよくする簡単な100の方法』
 斎藤槙 講談社

水野さんの巻末のまとめは参考になるが、

個人的にはお金を失くしてしまうだけの

ダメ本のたぐいも読んで夢を見たいときもある。

ただ、それは私が何百万と損をして、本当に

危険な投資がどのようなものか分かっている

からということもある。

初心者はまず、ダメ本を読まないように

このような道案内の本から入ることをオススメする。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 投資の世界の羅針盤/第2章 伝説の海外投資家たちから学ぶ/第3章 だまされない知識をつけるための本/第4章 より確実に儲けるために読む本/第5章 お金持ちになるための下準備/第6章 投資の世界を解剖する/第7章 投資ジャンルあれこれ

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2011年4月15日 (金)

鈴木亘さんの『財政危機と社会保障』を読んでみた

鈴木亘さんの『財政危機と社会保障』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、深刻な問題であり続ける年金・医療・

介護・育児といった社会保障の入門書である。

内容は、元日銀マンであり、現在は学習院大学

の経済学部教授として社会保障論、医療経済学、

福祉経済学を専門としている鈴木さんが国家財政と

社会保障の問題を詳しく論じている。

特に印象的なところは、単純で分かりやすい

「菅流経済学」がまったくの間違いであるという指摘。

「強い経済、強い財政、強い社会保障」のスローガン

のもとに、増税を行い、社会保障の拡充を図って

雇用を創出するという考えはどこかがおかしい。

また、社会保障費を拡充することにより、高齢者

などが貯蓄を取り崩すということもないと指摘。

鈴木さんの論点は明快で、本来成長戦略とは

「潜在成長率」を高める政策を指すが、

「護送船団方式」の産業に投資をしても将来の

潜在成長力を押し上げる「社会資本整備」という

側面がないため、浪費行為に過ぎないという。

しかも、浪費をしてみたところで貯蓄の取り崩しは

次の3つの理由により、ほとんど起きないという。

①日本の高齢者は、非常に安全志向が強いため
 多少の社会保障の充実くらいでは簡単に貯蓄行動を
 変えることはないため
②社会保障費拡大で安心する高齢者は、そもそも
 あまり貯蓄をもっていないため
③社会保障費拡大に伴う増税や国債増発が、
 将来の不安を増加させる可能性が高いため

さらに、「産業連関表」による医療・福祉産業の

波及効果についても、雇用創出数が多いということは、

①この分野で非正規労働者や短時間労働者が多く、

②彼らの賃金が低いことを意味しているに過ぎない

とバッサリと切って捨てている。

鈴木さんの提言は、結局は「強い社会保障」ではなく、

「身の丈に合った社会保障」を目指せというものだ。

人間誰しも社会保障の充実には異を唱えないだろう。

しかも既得権益者は利益が減ることに抵抗するから

社会保障費の抑制には強力な政治力が欠かせない。

「強い社会保障」ではなく、社会保障改革を目指し

国民に説明責任を果たしてくれる政治家が望まれる。

高齢者の中にも、自分たちが年金を貰い過ぎている

ことが、若者の負担になっていることを感じている人は

少なからずいるのである。

一生懸命働いた若者の手取りの収入が、年金生活者の

それよりも少ないことが何を意味するかということ。

高齢者が頑張ってくれたからこそ今この国があることは

充分承知しているが、それでもなお考えるときなのだ。

少なくとも鈴木さんも指摘しているとおり、負担能力の

高い人にまで公費の恩恵を与えなくても良いと思う。

たしかに、負担能力の高い人は他の人より頑張った

ということが事実であるにしてもである。

新書版であるが、内容は充実していて良書である。

社会保障を考える手がかりが満載の一冊である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 「日本の借金」はどのくらい危機的なのか?/第2章 「強い社会保障」は実現可能か?/第3章 世界最速で進む少子高齢化、人口減少のインパクト/第4章 年金改革は、第二の普天間基地問題になるか/第5章 医療保険財政の危機と医師不足問題/第6章 介護保険財政の危機と待機老人問題/第7章 待機児童問題が解決しない本当の理由/第8章 「強い社会保障」ではなく「身の丈に合った社会保障」へ

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2011年4月14日 (木)

加藤昌治さんの『考具』を読んでみた

加藤さんの『考具』を読んでみた

 (5つが最高)

この本では、考えるための道具を「考具」と呼んでいる。

そして、何を考えるかと言えば「アイデア」をである。

毎日何かアイデアを考え、企画にして、実行することで

対価を得てるのが著者の仕事だということだ。

ここで言う、「アイデア」とは既存の要素の新しい組み

合わせ以外の何ものでもない。

また、「アイデア」は企画の素である。

これはいいぞ、と判断できるアイデアに実現性を

持たせると「企画」になる。

このアイデアから企画までを4段階に分けて

それぞれの段階で具体的な考具が紹介されている。

紹介されている考具の数は21にもなる。

その中には、フォトリーディングやマインドマップなど

という有名どころもあれば、マンダラートや

オズボーンのチェックリストなどという私には聞いた

ことのないものまで、実に様々なものが含まれている。

面白かったのは、アイデアを生み出すための要素の

組み合わせ方として、その基本パターンを網羅して

いる「オズボーンのチェックリスト」だ。

『転用したら? 現在のままでの新しい使い道は?
応用したら? 似たものはないか? 真似はできないか?
変更したら? 意味、色、動きや臭い、
         形を変えたらどうなる?
拡大したら? 大きくする、長くする、頻度を増やす
         時間を延ばすとどうなる?
縮小したら? 小さくする、短くする、軽くする、
         圧縮する、短時間にするとどうなる?
代用したら? 代わりになる人や物は?
         材料、場所などを代えられないか?
置換したら? 入れ替えたら、順番を変えたらどうなる?
逆転したら? 逆さまにしたら?
         上下左右・役割を反対にしたら?
結合したら? 合体、混ぜる、合わせたらどうなる?』

この本の終章のメッセージは実に秀逸だ。

『自分自身をアイデア・企画を考え出せる人、と定義
した瞬間からあなたが変わり始めます。
そして、ここまでこの本を読み進めてくれたあなたに
とっての最大の問題は、「読んで、分かって、やらない
こと」。』

『考具はあくまで道具で、肝心なのは考具を使い
こなそうとする頭の働き。おそらく本当の考具の
達人は、全く手ぶらなのかもしれない・・・・・ですね。』

とりあえず、実際にどんどんやってみたくなる考具が

紹介されているので、早速手を動かしてみよう。

まずは、マンダラートやオズボーンのチェックリストを

会議中に手帳に書いてみるなんていうのが面白そう。

【参考文献】(一部抜粋)
『アイデアのおもちゃ箱』 マイケル・マハルコ ダイヤモンド社
『アイデアのつくり方』 ジェームス・W・ヤング TBSブリタニカ
『アイデアのヒント』 ジャックフォスター TBSブリタニカ
『アイデア発想が湧き出る本』 樋口健夫 ダイヤモンド社
『1分間顧客サービス』 K・ブランチャード/S・ボウルズ ダイヤモンド社
『インタビュー術!』 永江朗 講談社現代新書
『お客さまがまた来たくなるブーメランの法則』 ファーガル・クイン かんき出版
『海馬』 池谷裕二/糸井重里 朝日出版
『「仕事ごころ」にスイッチを!』 小阪裕司 フォレスト出版
『なぜこの店で買ってしまうのか』 パコ・アンダーヒル 早川書房
『発想する会社!』 トム・ケリー/ジョナサン・リットマン 早川書房
『マンダラMEMO学』 今泉浩晃 オーエス出版

【目次】(「BOOK」データベースより)
序章 広告会社でも最初は「ただの人」。今からでも全く遅くない!/第1章 「アイデア」「企画」を考えるとは、何をすることなんだろうか?/第2章 どうしたら“必要な情報”が入ってくるのか?―情報が頭に入ってくる考具/第3章 展開・展開・展開!―アイデアが拡がる考具/第4章 企画=アイデアの四則演算!―アイデアを企画に収束させる考具/第5章 時にはスパイスを効かす!―行き詰まったときのアドバイス/第6章 あなただけの『考具』を見つけよう!/終章 頭の動き方がシステム化することこそ、本当の『考具』かもしれない

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2011年4月13日 (水)

小宮一慶さんの『結果的に幸せをつかむ人の「正しい考え方」』を読んでみた

小宮さんの『結果的に幸せをつかむ人の「正しい考え方」
あなたを支える36の言葉』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、『ぶれない人』と似た系統の本である。

内容としては、小宮さんが読んだ本や、賢人たち

の教えなどの紹介が中心だが、ときには友人の

言葉など、とにかく小宮さんが大切にしている言葉

たちがその時々の状況を交えてまとめられている。

小宮さんが選んだ言葉は、実際に本を読んで

いただくとして、解説として書かれている小宮さんの

言葉で特に印象に残ったものは次のとおり。

『素直の3ステップ
①「聞くこと」、受け入れること
②良いなと思ったら「とにかくやってみること」
③良いと思って始めたことを続けること』

『成功する人の5つの特長
①明日延ばしの習慣を持たない
②人を心から褒めることができる
③他人のことでも自分のことのように考えられる
④怖いけど優しさは失わない
⑤素直さ、謙虚さを持つ』

『「ギブアンドテイク」と言う人は、常に見返りがないと
付き合わないと言っているのと同じです。まだ、
「ウィン-ウィン」と言うほうがマシかもしれませんが、
私はこの言葉もあまり好きではありません。もちろん、
相手にも何かを差し上げたいし、自分だけがそのため
に犠牲になるというのも好きではありませんが、やはり、
この言葉にも何かを求めているニュアンスがあるから
です。もらうならもらう、差し上げるなら差し上げるので
良いのではないでしょうか。特に世代を超えた場合には
そのほうが良いと考えています。』

特に「ウィン-ウィン」という言葉に対する感覚は

小宮さんのセンスが活きていて、秀逸です。

私が小宮さんの本を信頼して読み続けているのも

まさにこの感覚の的確さによるところ大です。

小宮さんのファンでない方も、どんな言葉が紹介されて

いるか、読んでみると何か感じるものがあるはずです。

【目次】(「BOOK」データベースより)
自分の道を気づかせてくれる言葉/恐れや迷いから救い出してくれる言葉/つらいときに支えてくれる言葉/目標達成への力となってくれる言葉/目の前のことに全力を尽くすために/正しい努力でチャンスをつかむために/仕事の目的を教えてくれる言葉/自分の強みを活かすために/順調なときこそ、謙虚であるために/人間関係のコツを教えてくれる言葉/リーダーとしての心構えを知るために

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2011年4月12日 (火)

辛坊治郎さんの『日本経済の不都合な真実』を読んでみた

辛坊治郎/辛坊正記さんの『日本経済の不都合な真実
生き残り7つの提言』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、テレビでお馴染みの辛坊治郎さんと

そのお兄さんの共著の『日本経済の真実』に続く

第2弾ということで期待どおりの面白さだった。

とても軽やかな語り口は前作のまま、普通の

ビジネス書には見られないような表現も健在だ。

ただ、前作に対する批判を意識して、より分かり

やすく、根拠を示した上で論を展開している。

前作が第1章で「日本経済入門」という形をとり

考え方を整理してくれた後で、第2章で「歴史」

を扱うというように日本経済の全体を扱っていた

のに対し、今回はデフレの状況下で積みあがった

「日本国債」に焦点を当てて日本経済を論じている。

特に分かりやすかったのは、著名人が展開する

3つの暴論に対する辛坊さんの批判の部分。

「日本政府は赤字だが、日本国は黒字だから大丈夫」

これに対しては、民間の「対外債権」は政府に何の

権利もないので増税などが上手くいかないなら

大丈夫とは言えないと明確に否定。

「政府紙幣を発行すれば万事解決」

これに対しては、財政は一定の制度的な歯止めが

必要であり、デフレより怖いインフレを招くので、

まったく話にならないと明確に否定。

しかも、政治家の務めは、どのくらい税金が必要か、

それを説明することであり、国民も自ら価値を作り

出すことなく、国に施しを求めるべきではないと

政府紙幣という発想自体、日本の政治と国民の劣化

の象徴であると、バッサリ切っている。

「国債発行は子や孫への負担の先送りではない」

これに対しては、国債を相続した子や孫からだけ

増税して償還資金を調達するなら数学的思考としては

間違いではないが、相続を受けていない人も全て

増税の対象となるので、国民一人ひとりの生活レベル

では「トンデモ理論」だと、これまた厳しい。

では、どうやって財政を健全化し、社会保障やインフラを

整備するための財源を安定的に確保するかということに

なるが、これには7つの提言が用意されている。

①供給サイドを強くせよ
②法人税を抜本的に引き下げよ
③日本的雇用慣行を根本から変えよ
④内需重視!の掛け声に騙されるな
⑤FTAを推進せよ
⑥規制緩和を強力に進めよ
⑦不透明な日本流規制をやめさせよ

理論としては、7つとも良く分かるが、実現するための

実際の手順となると、かなり厳しいものとなる気がする。

自分で色々なことを調べてみたくなる良書。

できれば第3弾もお願いしたいところである。

【目次】
第1章 日本国債はなぜ暴落しないのか
1.日本の低金利の根本原因
2.日本政府の財政状態を知る ほか
第2章 君には破綻の足音が聞こえないか
1.破綻は突然にやって来る
2.このまま無事に続くわけがない ほか
第3章 20世紀の二大経済学者に学ぶ不況の原因と対策
1.ケインズ&シュンペーター先生登場
2.需要不足って何だ? ほか
第4章 日本を強くする7つの提言
1.供給サイドを強くせよ
2.法人税を抜本的に引き下げよ ほか

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2011年4月11日 (月)

小山龍介さんの『TOOL HACKS!』を読んでみた

小山さんの『TOOL HACKS!最強ツール活用術全70』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、正直言って私には難しすぎた。

内容は、最大の効果を上げるためのライフハックという

ことをキーワードに、各種のツールの紹介となっている。

TOOL HACKS!ということであるし、最近の情報機器の

目覚しい発達ということを考えればペンやノートといった

アナログツールだけでなく、iPhoneやスキャナといった

デジタルツールの紹介が多くなるのは仕方のないところ。

さらにSugarSyncやTwitterといったクラウドツールなどは

使いこなせないと取り残されてしまう恐怖さえある。

しかしながら、現状では私には導入の難しいものばかり。

スマートフォンの導入でさえ、その機器の値段の高さと

毎月の通信費の負担を考えると二の足を踏んでしまう。

今回はとりあえず、情報機器の現状把握まで。

どんなことがやれるのか、ということを知ることで満足。

ただ、それぞれの「Hacks」のポイントは押さえたい。

「整理Hacks!」
① インターネットは「整理テクノロジー」。
   データ整理より、置く場所を考える時代に。
② 整理せずに取り出せるデジタルデータ。
   ワンポケット原則が誰でも簡単に実現。
③ 「過去」はデジタルツールで整理する。
   アナログツールは「未来」を創造する。
④ 「どこでもオフィス」を実現するクラウドツール。
   場所を選ばない仕事術で成果が上がる。

「時間Hacks!」
① 他人のために時間を使うのではなく、
   自分のために使う時間を最優先する。
② 時間を切り売りするのではなく
   経験に変換してからリターンを受ける。
③ 「時間の質感」をあげて24時間を
   2倍3倍に活用する。
④ スケジュールは1ヵ所で管理する。
   情報をGoogleカレンダーに集約する。

「思考Hacks!」
① 思考をする上で重要なのは、
   正解ではなく「楽しいこと」を考える。
② 心のハードルを下げて発想する。
   良いか悪いかは「後で検証」する。
③ 「五感」を刺激するツールで思考の
   環境を整える。
④ 「自分の世界観」を構築すれば
   最大のアドバンテージになる。

アナログツールやデジタルツールのベストバイの紹介は

情報機器に苦手意識のある人の参考にはなると思う。

ただ、より良いものが出てきて、より使いやすくなるのを

待ちたい人は世の中の流れだけつかめれば充分。

ツールに振り回されることや、ツールを使っているだけで

仕事をした気になってしまうことだけは避けたい。

【参考図書】
『考具』 加藤昌治 阪急コミュニケーション
『「朝4時起き」で、すべてがうまく回りだす!』 池田千恵 マガジンハウス
『iPhone情報整理術』 堀正岳 佐々木正悟 技術評論社
『「紙」と「ペン」だけで1億稼ぐ仕事術』 鬼塚俊宏 講談社
『フェラーリと鉄瓶』 奥山清行 PHP研究所
『ビジョナリー・カンパニー』 ジェームズ・C・コリンズ ジェリー・I・ポラス 日経BP社

【目次】
01 知的生産性は「意味の検索力」
   にかかっている! 野口悠紀雄×小山龍介
整理Hacks!
時間Hacks!
02 Twitterが変える!新時代のアイデア思考法
   川井拓也×小山龍介
思考Hacks!
03 プロフェッショナルになりたければ
   1次情報にこだわれ! 高橋洋一×小山龍介

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2011年4月10日 (日)

齋藤嘉則さんの『問題解決プロフェッショナル』を読んでみた

齋藤さんの『問題解決プロフェッショナル
「思考と技術」新版』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、マッキンゼー・アンド・カンパニーの経営

コンサルタントとして活躍された齋藤さんの問題解決

理論をまとめたものである。

良くも悪くも、この分野の本はマッキンゼー出身者が

書いたものが多く、どれも似たようなところがあるのは

仕方のないところだが、この本はよくまとまっている。

内容としては、まず「ゼロベース思考」と「仮説思考」が

問題解決に当たっての重要な基本的思考として紹介

されている。

『「ゼロベース思考」のポイント
 ・自分の狭い枠の中で否定に走らない
 ・顧客にとっての価値を考える

 「仮説思考」のポイント
 ・アクションに結びつく結論を常に持つ
  ―――結論の仮説
 ・結論に導く背後の理由やメカニズムを考える
  ―――理由の仮説
 ・「ベスト」を考えるよりも「ベター」を実行する
  ―――スピードを重視』

次に、「MECE(ミッシー)」と「ロジックツリー」が

問題を解決する過程で問題の原因を追究したり、

解決策を考えるときの基本的な技術として紹介

されている。

『「MECE(ミッシー)」のポイント
 ・モレによって的を外していないか?
 ・ダブリによって効率を阻害していないか?
 ・MECEでとらえ、最後に優先順位を付けているか?

 「ロジックツリー」のポイント
 ・モレやダブリを未然にチェックできる
 ・原因・解決策を具体的に落とし込める
 ・各内容の因果関係を明らかにできる

 「ロジックツリー」の作り方のコツ
 ・各レベルができるだけMECEか
 ・ツリーの右側が具体的な原因や解決策になっているか
 ・具体的な原因や解決策がロジックの因果関係で
  主要課題にリンクしているか』

そして、これらの2つの思考と2つの技術を駆使して

効率的に問題を解決する実践的なプロセスとして

「ソリューション・システム」が紹介されている。

『3つのプロセス
 ステップ1
 課題の設定
 ―――主要課題と個別課題
 
 ステップ2
 解決策の仮説
 ―――個別解決策と総合解決策
 
 ステップ3
 解決策の検証・評価
 ―――解決策の検証と総合解決策評価』

齋藤さんの問題解決に関する基本的な考え方は、

自己誘導型ミサイルのように「走りながら解決する」

ことが最短でかつ最善であるというもの。

とかく考えすぎて動けなくなる傾向がある私には

行動を促してくれる良書である。

なお、本書は1997年の旧版のシンプルで明快な

問題解決理論はそのままに、企業事例や演習課題を

刷新した新版となっている。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 思考編-“ゼロベース思考”“仮説思考”(“ゼロベース思考”-「既成の枠」を取り外す/“仮説思考”-常にその時点での結論を持ってアクションを起こす)/第2章 技術編-“MECE(ミッシー)”“ロジックツリー”(“MECE”-モレはないかダブリはないかをチェックする/“ロジックツリー”-限られた時間の中で広がりと深さを押さえる)/第3章 プロセス編-“ソリューション・システム”(課題を設定する/解決策の仮説を立てる ほか)/第4章 実践編-“ソリューション・システム”活用の現場(事業課題を設定する/“ソリューション・システム”で新商品の導入を図る ほか)

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2011年4月 9日 (土)

小出義雄さんの『マラソンは毎日走っても完走できない』を読んでみた

小出さんの『マラソンは毎日走っても完走できない
「ゆっくり」「速く」「長く」で目指す42.195キロ』を読んでみた

 (5つが最高)

この本には、マラソンを完走するための練習

方法が段階別に詳しく書かれている。

マラソンが途中で走れなくなってしまう理由は、

ただ毎日走っているだけではマラソンの練習に

なっていないからという実に単純な結論。

とにかくゆっくり距離を稼ぐだけの練習では

マラソン用の足ができないらしい。

昨今のマラソンブームのおかげで、マラソン関連の

本は書店でも数多く見ることができるようになったが

多くの本は、マラソンは楽しいということに力点を

置くあまり、ウォーキングの延長にフルマラソンの

完走があるかのような書き方が多い。

しかし、この本はオリンピックのメダリストを生み出す

ほどの練習まで紹介する、本当に鍛えてマラソンを

制するための本である。

また、理論が明快なうえに、独特の小出節も

さえわたっている。

たとえば、「フォームで気をつけるのはひとつだけ」

ということで、「背筋は伸びていたほうがいい」と

あまりにもシンプルすぎる断言の後、理由と

背筋を伸ばすために必要なことを教えてくれる。

とにかく重要なことをまず先に印象付けてから

丁寧に周辺の情報を補ってくれる。

なんでも重要そうに羅列されると、うんざりだが

さすが小出さんは指導者としても超一流。

そこらへんのことは、しっかりと心得ていてくれる。

小出流のマラソン練習法を知りたい人は、

初心者から上級者まで買って損のない1冊。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 走るための準備を整える-まずは「ゆっくり走る」ことから(走れる体をつくる/走れる脚をつくる ほか)/第2章 脚と心肺に負荷をかける-「速く」走るために(負荷をかけたトレーニング/フォーム ほか)/第3章 レース出場に向けた練習メニューづくり-「長い距離」を走りぬくために(スピードトレーニング/練習スケジュールを組む)/第4章 メダリストたちのコンディショニング-フルマラソンを「もっと速く」走るために/第5章 マラソン大会を走る-レースの流れを知る(レースの走り方/アクシデントの予防&対応 ほか)

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2011年4月 8日 (金)

園善博さんの『本当に考える力がつく多読術』を読んでみた

園さんの『本当に考える力がつく多読術』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、単なる速読のススメではない自己投資としての

多読のススメということであるが、最近読んだ鹿田さんの

『10分間リーディング』の方が内容が充実している。

この作者の方が、この分野の先輩なのかもしれないが、

少し繰り返しが多く、同じことを言い方を変えているだけ

というように感じる場面が多かった。

主張していることは悪くないのだが、1冊の本にするほど

多くの情報を提供してくれているとは思えなかった。

ただ、どのような工夫をすれば、本から情報を抽出でき

るかということに焦点を絞っていて参考にはなった。

『私は、人生の成否は読書によって決まると信じています。
 それは、読書によって知識や情報が増えるということ
 だけでなく、考える力がつくからなのです。

 本で得た知識は自分の財産となります。
 知識という財産は、すぐには役立たないかも
 しれませんが、コツコツ貯めればいつかお金という
 財産に結びつく可能性大なのです。』

『本を大量に読む―――7つのメリット
 ①人間力がアップする
   どんな相手にも好印象を与えられる
 ②問題解決力がつく
   知識が増えると、選択肢も増える
 ③表現力が豊かになる
   自分の考えを的確に述べられる
 ④論理力が向上する
   感情的にならない、「頭のいい人」になれる
 ⑤アイデア力がつく
   関連づけで無限に発想を生み出せる
 ⑥好奇心がよみがえる
   新しい発見が得られると、人生が豊かになる
 ⑦マネーメーカーになる
   「お金持ち」になれる可能性が飛躍的に高まる』

『多読のコツとして「本を読む目的」を設定する方法
 ①目次を最初から最後まで読む
 ②その本からどんな情報を得られるのかを想像する
 ③②の情報を得ることによってどんなメリットが
  あるかを書き出す
 ④本を読み終えた後の自分はどうなっているのか
  イメージして書き出す』

『「パラパラ読み」で読書効果を高める
 ①まず目次を読み、気になる章を1つ選ぶ
 ②1.何のためにその章を読みたいのか、
   目的を設定する
   2.その章を読めばどんな知識が得られるかを
   推測する
  3.読み終えたとき、どんなメリットが得られる
   のかをイメージする
 ③自分の目的に合うキーワードを1つ選ぶ
 ④本をパラパラめくりながら、③で選んだ
  キーワードが載っている箇所を探し出す
 ⑤最初から通して読む』

『「批判的読書」の進め方
 ①テーマを決める
 ②目次を読む
 ③パラパラ読みをしながら本の内容や
  著者の考えをまとめる
 ④本を読みながら疑問点を書き留める
 ⑤自分が同意する点、できない点を書き留める
 ⑥本の内容や著者の考えについてコメントする
 ⑦自分の考えを箇条書きする
 ⑧キーワードや重要語彙のリストをつくる』

あの勝間和代さんも通ったというセミナーの

著者によるものだけあって考え方はしっかりしている。

読書の経験が浅い人や小説などにジャンルが偏って

いる人が、本から知識を得ようとする際には参考になる。

【参考図書】(一部抜粋)
『9つの性格』 鈴木秀子 PHP研究所
『コンサルタントの秘密』 G・M・ワインバーグ 共立出版
『心理学を変えた40の研究』 R・R・ホック ピアソン・エデュケーション
『人間性の心理学』 A・H・マズロー 産業能率大学出版部
『発想法』 川喜田二郎 中央公論社
『パフォーマンス・マネジメント』 島宗理 米田出版
『記憶と情動の脳科学』 J・L・マッガウ 講談社
『考えることの科学』 市川伸一 中央公論社
『はじめの一歩を踏み出そう』 M・E・ガーバー 世界文化社
『コーチングの技術』 菅原裕子 講談社

【目次】(「BOOK」データベースより)
1章 生き方に“圧倒的な差”がつく!読めば読むほど脳が働く多読術/2章 役に立つ読書とは、役に立たない読書とは?頭のいい人が実践している「多読のコツ」/3章 読後の「結果」が大きく変わる!本を速く、効果的に読む方法/4章 実感、脳がどんどん活性化!記憶術-本と対話をしながら読む!/5章 「読解力」をさらに高める!「本当に考える力をつける」批判的読書法/6章 ページをめくるたびに人生が変わる!毎日が「いいことづくめ」になる多読生活

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2011年4月 6日 (水)

ダニエル・ピンクさんの『フリーエージェント社会の到来』を読んでみた

ダニエル・ピンクさんの『フリーエージェント社会の到来
「雇われない生き方」は何を変えるか』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、いまやアメリカの労働人口の4人に1人が、

「フリーエージェント」という働き方を選んでいるという

ことから、雇われないという新しい生き方について

様々な角度から詳細に語られている。

フリーエージェントとは、これまでの企業組織に属した

オーガニゼーション・マンではないインターネットを

使って、自宅でひとりで働き、自分の知恵だけを頼りに、

独立していると同時に社会とつながっているような

ビジネスを築き上げた人々のことである。

フリーエージェントという働き方が登場した背景には、

4つの重要な変化があったとされる。

①従来の労使間の社会的契約関係が崩壊した
②生産手段が小型で安価になって個人で所有できる
③生活の糧を稼ぐことだけが仕事の目的でなくなった
④企業の寿命が人間の寿命よりもはるかに短くなった

フリーエージェントたちが、そういった働き方を選んだ

理由やその生活と仕事の実態も詳しく紹介されている。

こういった状況の中で日々問題にぶつかりながらも、

自分らしい働き方を模索しているフリーエージェントは、

私がこれから目指すべきものなのかもしれないと

思いながら興味深く読み進むことができた。

そして、フリーエージェントの労働倫理を構成するもの

は「安定より自由」、「自分らしさ」、「仕事への責任」、

「自分なりの成功」の4つであるという。

また、成功しているフリーエージェントだけではなく、

万年臨時社員として不当に搾取されている層についても

詳しく語られている。

この本は、新しい生き方を模索している人に具体的な道を

示すものではないが、どのような方向性がありうるかという

ことは明確にしてくれると思う。

オーガニゼーション・マンが無理やりフリーエージェントへ

転換させられることも、これからは出てくるはずである。

そのようなときにフリーエージェントについて知っておく

ことはとても大きな意味がある。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1部 フリーエージェント時代の幕開け(組織人間の時代の終わり/三三〇〇万人のフリーエージェントたち ほか)/第2部 働き方の新たな常識(新しい労働倫理/仕事のポートフォリオと分散投資 ほか)/第3部 組織に縛られない生き方(人と人の新しい結びつき/互恵的な利他主義 ほか)/第4部 フリーエージェントを妨げるもの(古い制度と現実のギャップ/万年臨時社員と新しい労働運動)/第5部 未来の社会はこう変わる(リタイヤからeリタイヤへ/テイラーメード主義の教育 ほか)

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2011年4月 5日 (火)

友野典男さんの『行動経済学』を読んでみた

友野さんの『行動経済学
経済は「感情」で動いている』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、新書としてはかなりのボリュームがあるが

「行動経済学」の基礎を数式も交えて網羅的に詳しく

解説してくれている。

内容としては、これまでの経済学が扱っていた完全に

合理的な「経済人」という特別の人々の話ではなく、

感情や直感、記憶など、心のはたらきを重視し、

私たちの現実により即した新しい経済学としての

行動経済学を様々な理論とともに紹介している。

特徴的なのは、これまでの行動経済学の本が

どちらかというと人間の非合理的な側面の強調に

あったのに対して、この本は人間の予測可能な

「限定合理的」な側面に着目して話を展開している。

要するに、人間を非合理的な存在としてのみとらえる

のではないということである。

これは「ヒューリスティクス」の紹介の場面に特によく

現れており、「不完全ではあるが役に立つ方法」や

「発見に役立つ」ものとして扱われている。

もちろん、「ヒューリスティクス」が完全な解法ではない

ので、時にとんでもない間違いを生み出す原因と

なってしまう点も指摘しているが、他の本ほどには

人間が合理的でないことを強調していない。

これから行動経済学の入門書を手にしようという人には

とてもいい1冊だと思う。

日本人の書いたものだけあって次のような記述もあって

外国人による行動経済学の解説本にはない楽しさもある。

『経済人は感情に左右されず、もっぱら勘定で動く人々
である。経済人は市場は重視するが、私情や詩情には
無縁である。金銭に触れるのは好きだが、人の琴線に
触れることには興味がないような人なのだ』

できればもう少しコンパクトであれば、文句なしである。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 経済学と心理学の復縁―行動経済学の誕生/第2章 人は限定合理的に行動する―合理的決定の難しさ/第3章 ヒューリスティクスとバイアス―「直感」のはたらき/第4章 プロスペクト理論(1)理論―リスクのもとでの判断/第5章 プロスペクト理論(2)応用―「持っているもの」へのこだわり/第6章 フレーミング効果と選好の形成―選好はうつろいやすい/第7章 近視眼的な心―時間選好/第8章 他者を顧みる心―社会的選好/第9章 理性と感情のダンス―行動経済学最前線

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2011年4月 4日 (月)

中野明さんの『17歳からのドラッカー』を読んでみた

中野さんの『17歳からのドラッカー』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、ドラッカーを題材にした17歳の若者への

人生の指南書という体裁をとっているが、40代の

私が読んでもいろいろと考えさせられることが多く

とても参考になる本である。

まず、結論としては、ドラッカーからのメッセージは

次の2点に集約できるという。

「できないことではなく、できることに注目せよ」
「目標管理(目標によるマネジメント)を実践せよ」

このことを前提に「何のために勉強するのか」という

問には「知識が資本や労働をさしおいて、最大の

生産要素となった知識社会では、勉強すること

こそが社会で生きていくための武器である」と

分かりやすい回答がなされている。

書かれていること自体に奇抜さはもちろんないが、

分かっているようで実行できていないことは

実は意外に多かったりする。

本当に分かっているとは、実行できているということ

だとすると、まだまだ分かっていないことは多い。

もちろん、ドラッカーの言ったことに対して

全てを肯定的に受け止めるだけということでは

この歳になってしまえば、あまりに情けない。

たとえば、異を唱えるとすれば次のようなところか。

ドラッカーは、知識社会は高度な専門知識をもつ人が

増え、組織社会となるとしているが、この組織を

従来の会社という意味でとらえる必要はないだろう。

情報通信技術の発展によって、個人がそれぞれの

専門知識を持ち寄って、従来の組織に依存しない

仕事の形態が進んできていることは事実である。

ただ、これにしても私自身がサラリーマンでしかない

のだから、自分では実行できていないのだけれど。

もし私がこの本に何かを付け足すとすれば、

若い人は知識を身に付けて独立して生きていくことも

組織に属して仕事をすることも目指せるということだ。

そして、もう若くはない人がこの本を手にするなら

気をつけてもらいたいことが1つだけある。

それは、17歳の若者を中心に語りかけるスタイルが

とられているので、もう若くない人には厳しいことが

書かれているように受け取れる点があることだ。

たとえば、18歳のドラッカーは何の経験も実績も

なかったと過去を振り返った後で次のような言葉を

綴っている。

「私が何を得意とし、何をすべきであるかを知ったのは、
その15年も後の30代初めになってからのことです。」

この本の冒頭のこの箇所は、17歳の若者に対し

焦る必要などないと励ましているものだが、

では40代になってもまだ何をすべきであるか迷っている

私はどうしたらいいのだろうか。

答えを見つけるためにも、やはりドラッカーの言う

「継続学習」が必要なのだろう。

結局、分かったようなフリをして会社勤めをし、

定年後に本当に自分がやりたかったことを

探し始めている男性は意外に多いのかもしれない。

それが私への慰めになったりはしないのだけれど。

充実した40代を送るために、ドラッカーを読んでみるか

と思わせてくれる、そんな一冊であった。

【目次】
Chapter1 勉強は君の未来にどうつながるか
Chapter2 仕事の目的は「お金」か、「やりがい」か
Chapter3 「目標をもって生きること」は、なぜ大切か
Chapter4 成果を上げるにはどうしたらよいか
Chapter5 日本と世界の未来は、これからどう変わるのか

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2011年4月 3日 (日)

ジェームズ・アレンさんの『「原因」と「結果」の法則』を読んでみた

ジェームズ・アレンさんの『「原因」と「結果」の法則』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、1902年に英国の哲学者ジェームス・アレンに

よって書かれ、現代成功哲学の祖として知られる

ナポレオン・ヒル、デール・カーネギー、アール・ナイチン

ゲールらに影響を与えた『AS A MAN THINKETH』の

日本語訳である。

印象に残ったところは、次のとおり。

『環境は人間を創りません。私たちの環境は、私たち
自身のことを外側に漏らすのみです。気高い思い
ばかりをめぐらしている人が、邪悪な道に落ち、
苦悩する、などということはけっして起こりません。
同様に、邪悪な思いばかりをめぐらしている人が、
気高い目標を達成して真の幸せを感じる、などと
いうことも絶対に起こりません。』

だからこそ、人は気高い思いをめぐらせる必要がある。

これはこの本の中では、揺らぐことがない信念である。

『人間は、もし成功をめざすならば、自分の欲望の
(すべては無理でも)かなりの部分を犠牲にしなくては
ならないのです。』

けっして成功することはたやすくないが、成功を目指さ

ないのであれば、人生が味気ないものになってしまう。

『人間は誰しも、願望を抱き、その達成を目指します。
しかし、身勝手な願望を達成したとき、人間は真の
喜びを手にできるでしょうか。また、清らかな願望の
達成をめざしている人が、生活に困ったりすることが
あるでしょうか。いや、そんなことは絶対にありえません。
「原因と結果の法則」は、けっしてそのようには機能
しないのです。』

よい原因は良い結果を生むということこそが、

「原因と結果の法則」の真に重要なメッセージである。

薄い本だし、内容的に難しいところは、まったくない。

いま、努力が報われずに失意の中にある人にこそ

ぜひ読んで欲しい1冊である。

【著者情報】(「BOOK」データベースより)
ジェームズ・アレン(Allen,James)
1864年、英国生まれ。父親の事業の破綻と死から15歳で学校を退学。以後、さまざまな仕事に就きながら独学で学び、38歳で執筆活動に専念する。作家としてのキャリアは他界した1912年までの9年間と短いが、執筆された19冊の著書は世界中で愛読され、とくに1902年に書かれた『AS A MAN THINKETH』は、現代成功哲学の祖として知られるナポレオン・ヒル、デール・カーネギー、アール・ナイチンゲールなどに強い影響を与えた。いまなお、自己啓発のバイブルとして、世界中で読まれつづけている

【目次】(「BOOK」データベースより)
思いと人格/思いと環境/思いと健康/思いと目標/思いと成功/ビジョン/穏やかな心

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2011年4月 2日 (土)

内田樹(ウチダタツル)さんの『日本辺境論』を読んでみた

内田さんの『日本辺境論』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、辺境性を軸にした内田流の日本論であるが

本人も認めているとおり先賢の知恵の焼き直しでもある。

たとえば、「辺境人の性格論」は丸山眞男から、

「辺境人の時間論」は澤庵禅師から、「辺境人の

言語論」は養老孟司からの受け売りであると認め

本人も新味がないと冒頭に書いている。

それでもこの本を書いたことには意味があり、

私にとっては読んだ意味があったと言っていい。

この本は、お客さん(他者)を家に迎え入れるための

お掃除のようなものであるということなので

ある程度片付いていればそれでよいのであり

もっと言えば、他人様の家がどのような掃除のされ方を

していようとも、それに対して文句を言う筋合いはない。

気に入らなければ、自分の家は自分で好きなように

掃除をすればいいだけのことである。

最も印象に残った箇所は、「学び」に関する次の点。

『努力とその報酬の間の相関を予見しないこと。
努力を始める前に、その報酬についての一覧的
開示を要求しないこと。こういう努力をしたら、
その引き換えに、どういう「いいこと」があるの
ですかと訊ねないこと。これはこれまでの著書でも
繰り返し申し上げてきた通り、「学び」の基本です』

ここには『年収10倍アップ勉強法』などに見られる

努力をすれば報酬が得られるという発想に対して

違和感を持つ人に根拠を与える視点がある。

そしてこのことはビジネスマンと学者の間の

考え方の違いだけでは済まされない。

私にとって、このブログを始めた当初は自己啓発とは

教養を身に付けることを意味していたが、それでは

この長期にわたる不況を乗り切ることができないことが

はっきりとするに従い、経済学や会計の知識の習得に

軸足を移さざるをえなくなった。

しかし、それではいつまでたっても辺境の人のままで

キャッチアップすることができるかどうかさえ不明だ。

仮にキャッチアップできたとして、どれほどの価値が

あるかを考えれば、実は答えは出ている。

読むべき本は教養書かビジネス書かという問には

あえて両方だと答えたい。

そして、努力とその報酬の間の相関を予見することなく

読書を続ければいいだけのことだ。

内田さんも次のように言っている。

『私たちは辺境性という宿命に打ち勝つことはできま
せんが、なんとか五分の勝負に持ち込むことはできる』

この本の示唆するところを好きなように汲み取って

楽しむことができれば充分である。

日本人論というお掃除をしてみたい人は入門書として

この本から入って、とりあえずここで紹介されている人の

本などを読んで頭の中を掃除してみてはどうだろうか。

きっとその後には、新しくいろいろなものが詰め込める

ようになっているはずである。

【目次】(「BOOK」データベースより)
1 日本人は辺境人である(「大きな物語」が消えてしまった/日本人はきょろきょろする ほか)/2 辺境人の「学び」は効率がいい(「アメリカの司馬遼太郎」/君が代と日の丸の根拠 ほか)/3 「機」の思想(どこか遠くにあるはずの叡智/極楽でも地獄でもよい ほか)/4 辺境人は日本語と共に(「ぼく」がなぜこの本を書けなかったのか/「もしもし」が伝わること ほか)

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2011年4月 1日 (金)

須田慎一郎さんの『内需衰退』を読んでみた

須田さんの『内需衰退
百貨店、総合スーパー、ファミレスが
日本から消え去る』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、デフレに苦しむ日本の内需について

私たち下流層の大幅な増加に焦点を当てて

丁寧に解説してくれている。

特に百貨店、総合スーパー、ファミレスに対しては

辛口のコメントでその理由も分かりやすい。

まずは百貨店について、「デパクロ」という言葉を

取上げて、百貨店がユニクロを招致することに

活路を見出そうとするのは、かつての過ちを繰り返す

もので、夢を売る商売からの転落を意味するという。

また、総合スーパーについては、高利益率の衣料品

の不振が悩みの種であり、頼みのプライベートブランドも

売れているのは食品だけということらしい。

さらに、ファミレスは料理が客に飽きられただけでなく

ドリンクバーの導入により接客サービスが極端に劣化し

高齢者のたまり場くらいでしか生き残れないようだ。

逆に上手く生き残っている企業として個別に名前が

挙がっている企業は、牛丼以外にも様々なメニューを

工夫している「すき家」や「松屋」、マーケティングと

マネジメントに優れていて高い値段設定でも買わせる

「マクドナルド」、デフレの犯人などではなく商品開発力

の高い「ユニクロ」、徹底したマーケティングで成功して

いるアパレルの「アーバンリサーチ」などだ。

この本を読んでいて思ったことは、かつてユニクロは

安くてもダサいというイメージだったが、今では

私にとってはブランド物で、高くて手が出ないことだ。

そして、売れていないとされる総合スーパーの

値下げされた洋服を黙って着るしかないことだ。

さらに言えば、マクドナルドの高額商品には手が出ない。

100円マックの組み合わせで、昼を安くあげている。

下流層の更なる増加が、この本で紹介されている

勝ち組さえも負け組にしてしまわないことをせつに祈る。

【目次】(「BOOK」データベースより)
序章 「新・下流層」の消費マインドをとらえろ!(もう給料が上がらない時代の消費マインド/ユニクロが刺激する「すさまじいお買い得感」 ほか)/第1章 百貨店が日本から消滅する日(世界で最も銀聯カードが使える街・銀座/銀座を席巻するファストファッション ほか)/第2章 総合スーパーの衰退とコンビニの憂鬱(新たなる主役交代の予兆/「総合」とは名ばかりのGMSのアキレス腱 ほか)/第3章 デフレ地獄に苦しむ外食産業(デフレ地獄の共犯者は誰だ?/吉野家の値下げは終わりの始まり ほか)/第4章 勝ち組と負け組の決定的な違い(米国バブル崩壊で発生したミスマッチ/合併破談で露呈した飲料業界の前途 ほか)

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