« ジェームズ・アレンさんの『「原因」と「結果」の法則』を読んでみた | トップページ | 友野典男さんの『行動経済学』を読んでみた »

2011年4月 4日 (月)

中野明さんの『17歳からのドラッカー』を読んでみた

中野さんの『17歳からのドラッカー』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、ドラッカーを題材にした17歳の若者への

人生の指南書という体裁をとっているが、40代の

私が読んでもいろいろと考えさせられることが多く

とても参考になる本である。

まず、結論としては、ドラッカーからのメッセージは

次の2点に集約できるという。

「できないことではなく、できることに注目せよ」
「目標管理(目標によるマネジメント)を実践せよ」

このことを前提に「何のために勉強するのか」という

問には「知識が資本や労働をさしおいて、最大の

生産要素となった知識社会では、勉強すること

こそが社会で生きていくための武器である」と

分かりやすい回答がなされている。

書かれていること自体に奇抜さはもちろんないが、

分かっているようで実行できていないことは

実は意外に多かったりする。

本当に分かっているとは、実行できているということ

だとすると、まだまだ分かっていないことは多い。

もちろん、ドラッカーの言ったことに対して

全てを肯定的に受け止めるだけということでは

この歳になってしまえば、あまりに情けない。

たとえば、異を唱えるとすれば次のようなところか。

ドラッカーは、知識社会は高度な専門知識をもつ人が

増え、組織社会となるとしているが、この組織を

従来の会社という意味でとらえる必要はないだろう。

情報通信技術の発展によって、個人がそれぞれの

専門知識を持ち寄って、従来の組織に依存しない

仕事の形態が進んできていることは事実である。

ただ、これにしても私自身がサラリーマンでしかない

のだから、自分では実行できていないのだけれど。

もし私がこの本に何かを付け足すとすれば、

若い人は知識を身に付けて独立して生きていくことも

組織に属して仕事をすることも目指せるということだ。

そして、もう若くはない人がこの本を手にするなら

気をつけてもらいたいことが1つだけある。

それは、17歳の若者を中心に語りかけるスタイルが

とられているので、もう若くない人には厳しいことが

書かれているように受け取れる点があることだ。

たとえば、18歳のドラッカーは何の経験も実績も

なかったと過去を振り返った後で次のような言葉を

綴っている。

「私が何を得意とし、何をすべきであるかを知ったのは、
その15年も後の30代初めになってからのことです。」

この本の冒頭のこの箇所は、17歳の若者に対し

焦る必要などないと励ましているものだが、

では40代になってもまだ何をすべきであるか迷っている

私はどうしたらいいのだろうか。

答えを見つけるためにも、やはりドラッカーの言う

「継続学習」が必要なのだろう。

結局、分かったようなフリをして会社勤めをし、

定年後に本当に自分がやりたかったことを

探し始めている男性は意外に多いのかもしれない。

それが私への慰めになったりはしないのだけれど。

充実した40代を送るために、ドラッカーを読んでみるか

と思わせてくれる、そんな一冊であった。

【目次】
Chapter1 勉強は君の未来にどうつながるか
Chapter2 仕事の目的は「お金」か、「やりがい」か
Chapter3 「目標をもって生きること」は、なぜ大切か
Chapter4 成果を上げるにはどうしたらよいか
Chapter5 日本と世界の未来は、これからどう変わるのか

【送料無料】17歳から...

【送料無料】17歳から...
価格:1,470円(税込、送料別)

|

« ジェームズ・アレンさんの『「原因」と「結果」の法則』を読んでみた | トップページ | 友野典男さんの『行動経済学』を読んでみた »

ドラッカー」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 中野明さんの『17歳からのドラッカー』を読んでみた:

« ジェームズ・アレンさんの『「原因」と「結果」の法則』を読んでみた | トップページ | 友野典男さんの『行動経済学』を読んでみた »