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2011年5月31日 (火)

午堂登紀雄さんの『33歳で資産3億円をつくった私の方法』を読んでみた

午堂さんの『33歳で資産3億円をつくった私の方法』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、たった1年間で資産3億円を作った33歳の

元サラリーマンが書いた本である。

米国公認会計士という肩書きは、この本を読む限り

特に資産運用には関係がないようだ。

では、その資産形成の実際はというと、特に何か秘密の

やり方が書いてあるというわけではない。

むしろ何も具体的なことは書いてないと言っていい。

あえて何か資産運用について抜き出そうとすれば

わずかに次のようなことくらい。

①不動産投資(これが中心)
・新築ワンルームマンション投資は、大多数の
 サラリーマン投資家には向かないのは事実。
 新築マンションは車と同じで、買ったときが1番高く、
 買ったらすぐに何割か下がります。そして数年くらい
 急激に下がり続け、それ以降は価格の下落スピードは
 なだらかになります。「節税」というメリットは確かにあり
 ますが、しょせんは還付ですので、給与から引かれた
 源泉所得税の金額以上には戻ってきません。
・競売物件は時間と資金に余裕がある人向け
 今は多くの人が競売に参加しているため、入札価格が
 つりあがり、一般市場で買うのと同じ価格になっている。
・平凡物件をお宝物件に変える手腕が必要
 本当に価値ある情報は、やはり自分の足で集める
 ほとんどの人が見向きもしない物件に手間をかける
②株式投資
 1.時流を読む
 2.投資対象がキャッシュを生むメカニズムを理解する
 3.自分の性格を知る
 4.投資の原則を疑う
 5.仮説検証を繰り返す
・小難しい分析手法より常識的な視点
 勉強しすぎないことと、のめりこみすぎないこと
 破綻寸前の企業や不祥事を発生させた企業、その他
 決算で赤字に陥った企業、業績予想を下方修正した
 企業の株価がドーンと下げたところを狙う
③ベンチャーキャピタルファンド
 実績のあるファンドを選ぶこと
④外国為替証拠金取引
 株式投資より「レバレッジ」を効かせられるので、
 短期間で儲けることができる
⑤起業
 投資の魅力がかすむほど楽しさにハマル
 ローリスク&ローコストでできる
 スキルが備わってからではなくスグ始める

そこで、この本の結論は、スグ起業しましょうということ

なのだが、そのためのお金持ちプロジェクトの進め方は

非常にシンプルで、次のとおり。

・具体的な夢と目標を立てる
・自分の状況を把握する
・節約プランを立てる
・給与増額プランを立てる
・投資プランを立てる
・ビジネスプランを立てる
・詳細ToDoに落とし込む
・実行に移す

何も具体的なことは書いていないと言ったが、

読み取るべきメッセージは、とにかく始めろということ。

この本が、午堂さんの最初の本であるのが

スグ始めることの重要性をよく示している。

投資や起業の実際の具体的な方法は、

他の本を読めば書いてあるので、

そちらで学べばいいということなのだろう。

この本に読みやすいという感想はふさわしくない。

ヒントを得てやる気にさせてくれたら儲けもの。

実際に何か始めたときに、高い評価を付けられる、

そんな感じの本である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
1章 サラリーマンの僕が「金持ちになる!」と決意した日/2章 これが金持ちの「常識」だ!/3章 “節約・節税・レバレッジ”こそ、金持ちへの近道/4章 不動産投資でアーリーリタイアも夢ではない!/5章 株、投信、為替…この「儲けの絶対法則」に学べ/6章 サラリーマンが“ローリスク&ローコスト”で起業する賢い方法

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2011年5月30日 (月)

三浦展さんの『団塊格差』を読んでみた

三浦さんの『団塊格差』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、『下流社会』の著者である三浦さんが

月刊「文藝春秋」と共同で行った団塊世代2000人の

全国調査によって得られたデータを分析している。

一塊とされる世代の中にも当然格差はあるという

分かりきったことではあるが、その差の開き具合は

意外なほどに大きいものである。

特に意外だったのは、団塊の世代でも退職金を

もらえない人が意外に多いということ。

そして、「塾経営者、塾講師、コンサルタント」という

分類の人たちが、以外に裕福な分類に登場してくること。

これは何か共通点があって、1つにまとめられたので

あろうが、塾の経営者と講師が同じような所得で

あるはずがなく、コンサルタントの内訳はかなり

ばらつきがあるはずである。

塾に関わったことがある人間としては、この分類には

かなりの違和感を覚えた。

それ以外でも、面白い調査結果は随所に見られたが

後は本を読んで見ていただきたい。

相変わらず、少しのサンプルからでも、大胆に分析を

試みる三浦流は健在であるが、今回はあまり私の

認識と異なるところがなく、物足りなさもあるが、

そもそも団塊の世代がそれほど変わった人たちの

集まりではないということなのかもしれない。

世代間格差に興味のある人には、団塊の世代を知る

ためにも、ぜひ読んで見て欲しい1冊である。

現代の若者を理解するヒントが、団塊の世代を知る

ことにあるような気が、この本を読むとしてくる。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 所得格差 所得150万円未満10%。1000万円以上13%。/第2章 資産格差 退職金なし35%。年金が不安。/第3章 仕事格差 学歴がなくても、階層上昇できた。/第4章 結婚格差 熟年離婚か、夫婦別室か。/第5章 定年格差 65歳まで働きたいが、仕事が足りない。/第6章 子育て格差 子どもの3割が非正規雇用者。/番外編 団塊世代人間図鑑

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2011年5月29日 (日)

山田昌弘さんの『ワーキングプア時代』を読んでみた

山田さんの『ワーキングプア時代
底抜けセーフティーネットを再構築せよ』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、読んでいて正直なところ、胸が痛くなる。

それは日本の社会がこれほどまでに劣化して

しまったのかというような、他人事の感想を持つ

からではもちろんない。

私自身が、かつてはワーキングプアであったのであり、

今後も今の職を失えばワーキングプアになることは

目に見えているからである。

また、私がかつてあこがれた職業の多くが、

現在ではワーキングプアの人たちに占められている

という悲しい現実もある。

実際には、次のような高学歴のワーキングプアである。

①オーバードクター
 大学院博士課程修了者のことである
②非常勤司書・学芸員、学校非常勤講師
③獣医師、歯科医師
 中でも非常勤で働いている人は開業資金も貯まらない
④ピアノ教師など
 芸術系大学の卒業者

これらはいずれも、私が昔あこがれた職業なのである。

今でも大学院に通いたいと思うし、本が好きなので

司書はあこがれであったし、獣医になりたくて実際に

獣医学部を受験して浪人までした。

美術系の大学は才能がなかったので受験こそ

しなかったが、今でも美術館にはよく行く。

それが何と、いずれもワーキングプアになってしまう

可能性の高い職業として書かれている。

何だか自分の志向がワーキングプアに向かっている

ようで、悲しくなってくる。

今現在、ワーキングプアに苦しむ人は多いのだろう。

私は家族を食べさせるために、あこがれの職業に

見切りを付けて、今は企業の法務担当になっている。

しかし、年齢的に次の転職先は見つけにくい。

書類選考さえ通らず、面接に呼ばれることもない。

そんな日々に読むには、辛い本であった。

遺族年金の問題や高齢者の生活保障の問題など

学べることも多いが、雇用不安のない人が世の中の

動きを知るための本といったところだろうか。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1部 ここがおかしい社会保障(生活保護給付より低い最低賃金額-最低賃金の意味変化/壮年・親同居未婚者の今後-親による社会保障の限界/高学歴ワーキングプア-勉強が報われないという現実/年金保険料を払う専業主婦-年金負担の不公平/遺族年金を利用して一生楽に暮らす方法-遺族年金の矛盾/孫の年金保険料を払う年金受給者-国民年金の矛盾/高齢者の生活保障-拡大する高齢者の生活格差/雲の上の少子化対策-夫婦とも正社員前提の育児休業/十八歳で追い出される児童養護施設-若者の社会保障がない国)/第2部 社会保障制度の構造改革(ワーキングプア出現の意味-社会保障・福祉制度の前提の崩壊/ワーキングプア増大の原因と意味/ライフコースの不確実化/社会保障・福祉制度の構造転換を目指して)

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2011年5月26日 (木)

斉藤徹さんの『新ソーシャルメディア完全読本』を読んでみた

斉藤さんの『新ソーシャルメディア完全読本』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、これからの時代は「信頼できる人」による

推薦や評判が、商品やサービスの購入の意志決定を

左右することになるという考えを軸に、今いろいろと

話題のソーシャルメディアについて詳しく解説して

くれている。

また、有名人の多くがやっているツイッターや爆発的に

ユーザーを獲得しているフェイスブックなど、日本でも

続々とサービスが展開され始めたフラッシュマーケ

ティングについても、うまくまとめられている。

特に気になったところを抜き出してみると以下のとおり。

まず、ベースになっているマーケティングについての

考え方は、コトラーによる、マーケティングにおける

目的の変遷ごとの次のような考え方である。

マーケティング1.0
 企業側が一方的に「どのようにして販売するか?」
マーケティング2.0
 企業が顧客に「どのように継続購入してもらうか?」
マーケティング3.0
 企業は生活者に「どのように(製品開発や販売などに)
 協力してもらうか?」

そして、その前提の上に、企業はどう行動するか。

米リサーチ会社のガートナー社が発表したソーシャル

メディアを含む企業のコミュニティサイト活用に関する

調査結果は次のとおり。

・2012年には、顧客売り上げの50%にインターネット
 が関与するだろう
・フォーチュン1000社のうち75%がソーシャルメディア
 により、顧客との関係強化を図るだろう
・そのうち50%は失敗するだろう。その最大の理由は
 企業とユーザーの「共通の目的」がないからだ
・企業ごとにビジネスが異なるため、普遍的な解決策
 は存在し得ないだろう
・それでも多くの企業は、不況下、顧客との交流維持
 のため、ウェブへの投資をやめないだろう

これに対して、斉藤さんは明確な目的が見つから

なければ、まずは「モニタリング(傾聴)」から始める

のがいいと提案している。

また、生活者に共感される会社になるために必要な

5つの課題をまとめると次のとおり。

1.自社の価値を見直す
2.顧客に対する貢献姿勢を明確にする
3.社会に対する貢献姿勢を明確にする
4.信頼される企業になる
5.生活者と対話・交流する

では、生活者に共感されるためにコラボレーション型

の商品企画・開発ではどのようなことに気をつけなけ

ればならないかというポイントは次の3つ。

1.全く知識や経験のない生活者を
 対象にしても失敗する
2.生活者はボランティア精神で参加する
3.知識集約のメカニズムを最適に使い分ける

もう少し踏み込んだ解説があってもいいと思うところも

あるが、新書としてはうまくまとまっているほうだろう。

フェイスブックと同様、ユーザーの獲得速度の早い

グルーポンなどの問題もあったりするが、この勢いは

簡単には止まりそうもない。

個人的には、ブログまででツイッターもフェイスブック

もやる気はないし、個人情報をさらすことには抵抗が

あることも事実だが、動向には注目をしている。

全体をつかむ初めの1冊としてお手ごろである。

【目次】(「BOOK」データベースより)
ソーシャルメディアが変える「明日の商い」/ユーザー数だけではない-フェイスブックの本当の凄さ/効率的な顧客導線のカギとなる“ソーシャルグラフ”/企業がコントロール不可能なマーケティング新時代/生活者を味方につけることがビジネス活用のカギ/“商品開発”は「コラボレーション」がキーワードに/生活者同士の「共有」が重視される“ソーシャルコマース”/「同時性」と「先回り」を実現する“顧客サポート”/ソーシャルメディア時代の“企業ブランディング”/グルーポンが火をつけた“フラッシュマーケティング”〔ほか〕

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2011年5月24日 (火)

マーカス・バッキンガムさんの『さあ、才能に目覚めよう』を読んでみた

マーカス・バッキンガム/ドナルド・O・クリフトンさんの
『さあ、才能に目覚めよう
あなたの5つの強みを見出し、活かす』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、成功を収めたすべての人に共通するのは、

才能とその活かし方を知っていることであるという。

運や環境、時代などということは抜きにして、純粋に

才能のみに焦点を当てている。

そして、自分にどのような才能があるかが分かれば、

欠点さえ強みに変えることができるという。

議論の前提となるのは、『まず、ルールを破れ』で、

マーカス・バッキンガムが主張していた、人間に対する

2つの誤った認識であり、それは次のとおり。

1.人はだれでもほとんどすべてのことにおいて、
 能力を発揮することができる
2.だれにとっても最も成長の余地があるのは、
 その人の一番弱い分野である

これらのことは、完全な誤りであるという。

では、どのような認識が正しいのであろうか。

1.人の才能は一人ひとり独自のものであり、
 永続的なものである
2.成長の可能性を最も多く秘めているのは、
 一人ひとりが一番の強みとして持っている
 分野である

すぐれたマネジャーはこの2つの認識に基づいて

さまざまな業務に当たっているという。

そもそも才能とは、何を指しているかと言えば、

「繰り返し現れる思考、感情および行動パターン
であり、何かを生み出す力を持つ資質」

という定義になる。

そして、この才能が強みを作るうえで大切になる。

さらに「強みとは常に完璧に近い成果を生み出す

能力」という定義に従い、強固な人生を築くのに最も

大切な3つの原則も紹介されている。

1.強みは首尾一貫することができて初めて、
  真の強みになる
2.満足のいく成果を得るには、自らの職務に関わる
  すべての業務に適した強みを持つ必要はない
3.傑出した存在になるには強みを最大限に活かせ

これらのことを踏まえて、ストレングス・ファインダーを

やると、自分の才能に気づくことができ、強みを

見出すことができるようになる仕組みだ。

このストレングス・ファインダーをやってみると

私の場合、特に驚くべき指摘があるわけではない。

ただ、自分が認識している強みを言葉で再認識

させてくれるので、それを才能として今後も強みを

さらに伸ばしていけばいいのだという方向性の

確認にはなった。

また、自分の中では、それらの自分の特長を

才能としては捉えていなかったので、

良いこととして捉えてもいいんだという、

新たな認識を持つことができたのは良かった。

まあ、ストレングス・ファインダーのような診断も

一つのアイテムとしては面白いので、自分を知る

ためにやってみる価値はあると思う。

その上で、自分の弱いところとうまく折り合いを

つけながら、強みを発揮できるようにしていく道を

探ると、自己啓発としては上出来なのかもしれない。

自分の才能を知り、強みを見出したい人は

ぜひストレングス・ファインダーをやってみてください。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1部 強みを解剖する(強固な人生を築く/強みを築く)/第2部 強みの源泉を探る(強みを見つける/34の強み)/第3部 強みをビジネスに活かす(疑問を解く/強みを活用する/強みを土台にした企業を築く)

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2011年5月23日 (月)

柳井正さんの『この国を出よ』を読んでみた

柳井正/大前研一さんの『この国を出よを読んでみた

 (5つが最高)

この本は、ユニクロの柳井さんが「政治大嫌い」にも

かかわらず、日本の危機的状況を見かねて大前さん

との対話形式で、その考えを表明するために出版した

本である。

ただ、正直言って、まだまだ認識が甘いと思う。

影響力を心配して今までこの手の発言を控えてきた

柳井さんが、何かしらの影響を与えたいからこそ本に

したのだと考えると、若干不安でもある。

特にビジネスでの成功者は、数多くの失敗者がいる

ことを忘れ、自分の能力を過信してしまう。

「まぐれ」とまでは言わないが、再現性はない。

絶望的なのに能天気な日本人を嘆いているが、

すでに能天気ではいられず絶望してしまった人たちは

この国に多くいるのが現実だ。

ユニクロを高級ブランドと感じて手が出ない層は

確実に広がっている。

デフレの張本人と名指しされても、バカバカしい意見

として、明確に否定してこなかった柳井さんだが、

この国を出て商売をするのに、今後もそれでいいのか。

と、ここまでは批判的な意見を並べてみたが、

やっぱり柳井さんの影響力は、すごいと思う。

何と言っても、これまで何度も英語を勉強しては

簡単に挫折してきた私が、この本を読んで、また

英語の勉強の必要性を感じ、取り組むことにした。

そして、世界の状況、特にアジアの変化にまったく

考えが及んでいなかったことを知らされた。

英語は手段であり、目的ではないと多くの人が

言うけれど、とりあえず英語でコミュニケーションを

とってみることは、世界に通じる近道だ。

人間の能力が一定だとすると、英語ができる人は

そのぶん何かができないという考えは、英語が

できない私の負け惜しみに過ぎない。

確かに、私のいる会社の英語ができる部長は、

仕事ができないが、そんな奴のことは放っておこう。

社内の英語公用化を発表したユニクロと楽天は

就職したい企業のランキング100位以内からは

ともに姿を消してしまうことになったが、それも

一過性のことだと信じたい。

若者の中にも世界で活躍したいという人はきっといる

はずだし、優秀な人は必ず英語の重要性に気づくはず

である。

ユニクロは今までがそうであったように、今後も失敗は

するだろうが、そのつど立ち上がって強くなると思う。

少なくとも柳井さんの考えが、ユニクロに浸透している

間は大丈夫だという気がする。

すっかり柳井ファンになってしまったが、大前さんの本も

また読みたいと思わせられるいい本であった。

その昔、『企業参謀』を読み熱い思いを抱いた若者は

もうすっかりオジサンになってしまったが、まだまだ

頑張らなければならない。

成功者2人が語る日本は、まだまだ再生が可能である

かのように描かれているが、現状はより厳しいことを

肌で実感している、これからを生き抜いていかなければ

いけない人たちに、ぜひおススメの1冊です。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 現状分析-絶望的状況なのに能天気な日本人/第2章 政治家と官僚の罪-誰がこの国をダメにしたのか?/第3章 企業と個人の“失敗”-変化を嫌う若者だらけの国を「日本病」と呼ぶ/第4章 ビジネスマンの「稼ぐ力」-「理想の仕事」探しより「自力で食える」人間になれ/第5章 企業の「稼ぐ力」-21世紀のビジネスに「ホーム」も「アウェー」もない/第6章 国家の「稼ぐ力」-日本再生のための“経営改革案”を提示する

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2011年5月22日 (日)

野口智雄さんの『一冊でわかる!マーケティング』を読んでみた

野口さんの『一冊でわかる!マーケティング』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、マーケティングはあらゆるビジネスの基本で

あるという考えのもと、その基本をしっかり理解するため

の「使える」マーケティング知識を厳選してわかりやすく

まとめてくれている。

そして、全体の印象は、細かい用語の解説よりは、

大枠でのマーケティングをつかみ、考え方をしっかり

持つことの大切さを教えてくれているといったところ。

たとえば、成果の上がるマーケティングを実行するため

の「マーケティング計画」の6つのステップは次のとおり。

①状況分析
②目標設定
③マーケティング戦略の策定
④行動計画の立案
⑤予算配分
⑥コントロール方法の設定

そして、マーケティング戦略の基本はやっぱり

次の4つのPをいかに組み合わせるかということ。

・製品戦略(Product)
 ターゲット顧客を確定し、ニーズに適合する
 製品にかかわる諸々の手段を決定
・価格戦略(Price)
 顧客にとっての製品の価値など、価格水準を決定
・プロモーション戦略(Promotion)
 顧客に製品を知ってもらい、関心をもって購買に
 向かってもらえるように情報伝達手段や販売促進
 手段を決定
・チャネル戦略(Place)
 顧客が容易にアクセスできるルートの確保・開拓

これらの基本に従って、後半はより具体的な各論へ

話は進んでいくが、いずれも参考になる。

どちらかというと、これからマーケティングを勉強しよう

としている私のような初心者の入門書として最適。

まず、1冊目としては手ごろな新書であった。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 マーケティング・マインドを身につける/第2章 マーケットをつかむ方法/第3章 製品を魅力的に見せる戦略/第4章 価格をどのように決定するか/第5章 効果的なプロモーションの方法/第6章 顧客のアクセスを最適にするチャネル戦略

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2011年5月21日 (土)

ダニエル・ピンクさんの『モチベーション3.0』を読んでみた

ダニエル・ピンクさんの『モチベーション3.0
持続する「やる気!」をいかに引き出すか』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、人間の「やる気!」について、現在広く一般に

語られていることには重大な間違いがあるのではないか

ということを丁寧に解説してくれている。

そして、それをコンピューター同様に社会にも人を動かす

ための基本ソフト(OS)があるとして、モチベーションの

バージョンの違いで分かりやすく表してくれている。

〈モチベーション1・0〉…生存(サバイバル)を目的と
 していた人類最初のOS 。
〈モチベーション2・0〉…アメとムチ=信賞必罰に基づく
 与えられた動機づけによるOS。ルーチンワーク中心の
 時代には有効だったが、21世紀には機能不全に陥る。
〈モチベーション3・0〉…自分の内面から湧き出る
 「やる気!=ドライブ!」に基づくOS。活気ある社会や
 組織をつくるための新しい「やる気!」の基本形。

私たちは、人間の可能性や個人の成果について、実は

時代遅れで検証されていない、まったく科学的ではない

俗信に根ざした仮定に基づき運営してきたということを

この本を読むと、とても納得させられる。

確かに目先の報酬に釣られて動く人間はいる。

しかし、それではどうしてこれほどまでに成果主義に

基づく給与体系は機能せず、悪影響を撒き散らして

いるのだろうか。

ダニエル・ピンクはこのアメとムチの成果報酬性の

欠点を次の7つにまとめている。

アメとムチの致命的な7つの欠陥
1.内発的動機づけを失わせる
2.かえって成果が上がらなくなる
3.創造性を蝕む
4.好ましい言動への意欲を失わせる
5.ごまかしや近道、倫理に反する行動を助長する
6.依存性がある
7.短絡的思考を助長する

これに対し、内発的動機づけの3つの構成要素として

次の3つを挙げている。

1.自律性(オートノミー)
 次の4つのTについて自律性を得たときに満足する。
 課題(Task)、時間(Time)、手法(Technique)、
 チーム(Team)
2.熟達(マスタリー)
 何か価値あることを上達させたいという欲求。
 これこそが、問題に対する積極的関与を求め、
 熟達を可能にする。
3.目的
 人生の意義こそが問われる時代。
 利益を否定しないが「目的の最大化」を同じくらい
 重要視する。
 目標・言葉・指針という組織における3つの領域で
 目的という新しい動機の兆候を見て取ることができる。

そして、マスタリーに近づくためには次に挙げる5つの

ステップを10年にわたって何度も何度も繰り返し実践

するしかないという。

1.意図的な訓練には、実力を挙げるという1つの
 目的しかない
2.とにかく反復する
3.批判的なフィードバックを絶えず求める
4.改善すべき点に厳しく焦点を合わせる
5.訓練の過程の精神的、肉体的疲労を覚悟する

特徴的なのは、上達しようと意識して毎回全力を

注ぐだけではなく、弱点の克服に取り組むことである。

これは成功本の中でも、長所を伸ばせというものと

意見が分かれるところである。

どちらが正しいということは、正直分からないが、

どちらかに成功した人が、成功者とされている。

しかし、私がこれからの10年を考えるとき、

自分自身だけでなく、子供にも何か好きなことを

見つけて、その道のマスタリーに近づいて

もらいたいと思う。

そのためのアイデアもこの本には用意されている。

1.お小遣いと家事の手伝いを結び付けない
2.正しい方法で褒める
 ・頭がよいと褒めるのではなく、努力や
  取り組み方を褒める
 ・具体的に褒める
 ・人前で褒めない
 ・きちんとした理由があるときだけ褒める
3.大局的な見地を与える
 ・どうしてこの勉強をしているのか?
  自分が生きている現代世界に、
  これはどのように関連しているのだろうか?
  という問に、子供が必ず答えられるようにする
4.生徒を先生に変える
 ・内容をしっかり把握したか確認するために
  他人にそれを教えさせてみる

この本のいいところは、とにかく自発的に

何かに取り組んでみたくなる「やる気」を

引き出してくれること。

たいした報酬も与えられず、成果ばかり求められる

仕事に疲れている人にこそ、読んでもらいたい。

会社を変えることは難しくても、自分を変えることは

自分だけでできるのだから。

【必読の15冊】(そのうち邦訳のあるもののみ)
『究極の鍛錬 天才はこうしてつくられる』 ジョセフ・コルヴァン サンマーク出版
『フロー体験』 ミハイ・チクセントミハイ 世界思想社
『人を伸ばす力』 エドワード・L・デシ、リチャード・フラスト 新曜社
『「やればできる!」の研究』 キャロル・S・ドゥエック 草思社
『天才!』 マルコム・グラッドウェル 講談社
『栄光と狂気』 ディヴィッド・ハルバースタム TBSブリタニカ
『報酬主義をこえて』 アルフィ・コーン 法政大学出版局
『やりとげる力』 スティーブン・プレスフィールド 筑摩書房
『セムラーイズム』 リカルド・セムラー ソフトバンククリエイティブ
『最強組織の法則』 ピーター・M・センゲ 徳間書店

【参考図書】
『楽しみの社会学』 ミハイ・チクセントミハイ 新思索社
『軌跡の経営』 リカルド・セムラー 総合法令出版
『企業の人間的側面』 ダグラス・マグレガー 産能大学出版部
『ドラッカー365の金言』 ピーター・F・ドラッカー ダイヤモンド社
『経営の未来』 ゲイリー・ハメル、ビル・ブリーン 日本経済新聞出版社
『コア・コンピタンス経営』 ゲイリー・ハメル 日経ビジネス人文庫
『幸福の政治経済学』 ブルーノ・S・フライ、アロイス・スタッツァー ダイヤモンド社
『世界でひとつだけの幸せ』 マーティン・セリグマン アスペクト 

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1部 新しいオペレーティング・システム(“モチベーション2・0”の盛衰/アメとムチが(たいてい)うまくいかない7つの理由/アメとムチがうまくいく特殊な状況 ほか)/第2部 “モチベーション3・0”3つの要素(自律性/マスタリー(熟達)/目的)/第3部 タイプ1のツールキット(個人用ツールキット-モチベーションを目覚めさせる9つの戦略/組織用ツールキット-会社、職場、グループ能力を向上させる9つの方法/報酬の禅的技法-タイプ1式の報酬 ほか)

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2011年5月20日 (金)

辛坊治郎さんの『日本の恐ろしい真実』を読んでみた

辛坊さんの『日本の恐ろしい真実
財政、年金、医療の破綻は防げるか?』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、最近では何がしたいのかよく分からなく

なってきた橋下大阪府知事からも一緒にやりたいと

言われる辛坊治郎さんが2010年現在において、

日本の恐ろしい真実を詳しく説明してくれている。

たとえば、格差社会は小泉・竹中コンビのせいでは

ないということに始まり、大阪市の約20人に一人が

生活保護費で生活している現状を憂いている。

そして、若者と高齢者の格差が最も酷い格差問題だ

とする一方で、日本全体が急速に貧困化している

現状も浮き彫りにしている。

さらには、財政赤字を埋めるためにだらだら税率を

アップすることには断固反対だとしながらも、社会

保障の制度設計をきちんとした上で、納得できる

使い道を探るなら、消費税増税こそが日本の未来を

開く切り札になるとしている。

私のように「まず、無駄を排除するまで、消費税を

一切上げるべきでない」という主張に対しては、

警戒心が必要だとして、退けられている。

国民感情からすれば、無駄の排除より先に消費税

増税の論議はしたくないと思うが、それでも現在の

社会保障制度を何とか存続させようとするなら

増税は早い段階でやったほうが効果的なのも事実だ。

もし、リーダーシップのある政治家が出てきて、

国民に説明責任を果たすなら、増税を受け入れても

いいという国民はある程度の数はいると思う。

できれば、公務員の給与を大企業並ではなく、

労働者の平均を基準にしてもらい、現在の年金受給

者に少し額を下げることを承諾してもらえるなら、

なお受け入れられやすいと思うが、そこまでは無理か。

この本に書かれている恐ろしい真実が、そのまま

もっと恐ろしい未来に通じていないことを祈りつつ、

「騙されないための知恵」を皆が共有してくれることを

信じたいと思う。

なお、この本は今回の東日本大震災以前に出版された

ものであるが、「不作為の殺人」として日本政府の震災

対策の遅れをきちんと指摘している。

阪神淡路大震災を経験しているからとはいえ、やはり

その慧眼には感服させられる。

【目次】(「BOOK」データベースより)
序章 ここが恐ろしい日本の真実・総論/第1章 日本は破綻するのか/第2章 日本の崩壊は年金・医療から始まる/第3章 騙されないための知恵/第4章 政治家という人種/第5章 日本政府は命を守れるか/第6章 不思議な不思議な日本の情景/第7章 日本の教育を考える/最終章 破綻を免れるヒント

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2011年5月19日 (木)

和田裕美さんの『世界No.2セールスウーマンの「売れる営業」に変わる本』を読んでみた

和田さんの『世界No.2セールスウーマンの「売れる営業」に変わる本
営業に向かない人はいない』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、日本ブリタニカ時代に圧倒的な営業力で

世界2位の成績を収めた営業ウーマンの和田さんの

原点が分かる「売れる営業」になるための本です。

ただ、営業と言っても一般に流布されているような

泥臭いイメージの営業とは違っています。

和田さん流の「営業はクリエイティブな仕事」という

メッセージがとても納得のいく、しなやかな営業の

心構えが書かれている本です。

まずは、営業に教科書はないという前提で、

表面的なノウハウに走る前に「自分を知る」ことから

始めることが大切だということ。

そして、「個性」だったら何でもいいわけではなく、

その人の好感度アップに必要なキャラの素を探す。

どうすればいいかをまとめると次のとおり。

①売れるベースをつくるためには、お客さんに
 不快感を与える部分はアレンジ、更正する
②それぞれに学び方、今の改善点も違うので、
 その人に合ったやり方でもっていく
③本人の先天的な要素はキャラの素
 好感度のひとつとして引き出す

そのためには、まず外見から作ることが大事。

外見ができたら、YESを引き出すポイント。

①聞く力
②分析する力
③問題を見つける力
④観察する力
⑤ボキャブラリーの力(言語能力)
⑥負けず嫌いであること
⑦決断する力
⑧表情の力
⑨気持ちの伝わる表現
⑩「相手がどうありたいか」に気づく想像力

そして、個性がないことも個性の1つ。

さらに、重要なことは、どんな人にとっても必要な

人間力を高める6つの条件を磨くこと。

①礼儀正しい人であれ
②謙虚な人であれ
③優しい人であれ
④熱心で前向きであれ
⑤伝えることに自信のある人であれ
⑥信用される人であれ

最後に、和田さんの「営業」とは、人にしかできない、

「人を動かす」素晴らしい仕事であるということ。

私は営業職に応募したことがあるが、そのときは

どこにも受からなかった。

いま思うと、そのときの自分に欠けていたものが

分かる気がする。

もし、あのとき営業職についていたら、この本を

もっと実感を持って読めたのにと残念でならない。

【目次】(「BOOK」データベースより)
プロローグ どうして私が営業で成功したのか?/第1章 ダメダメ営業がデキル営業に大変身!-実況中継・和田式営業マン養成講座/第2章 「キャラ」で売るための処方箋/第3章 今どき「売れる営業」の条件/第4章 営業ほどクリエイティブな仕事はない!/第5章 営業のカウンセリングルーム/エピローグ 誰にでもある五つの財産を活かそう

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2011年5月18日 (水)

美崎栄一郎さんの『「結果を出す人」はノートに何を書いているのか』を読んでみた

美崎さんの『「結果を出す人」はノートに何を書いているのか』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、社会人のノートは「忘れる」ために使うという

コンセプトのもとに書かれている。

また、結果を出せる人と出せない人の違いは、ずばり

「ノートの使い方」にあるというのです。

そして、学んだことを確実に成果へとつなげるためには、

ノートに「経験」を積極的に「記録」し、ためていくことが

大切だというのです。

そこで紹介されているのが、メモノート、母艦ノート、

スケジュールノートを組み合わせた「3冊ノート術」です。

これは私などにはかなりの手間のように思いますが、

この手間をかけている人こそできる人なのでしょう。

さらに美崎さんの工夫している点は、付箋「超」活用術

として、「インデックス」と「メモノート」という付箋の使い

方にあります。

そして、インデックスとしての使い方は3つです。

①日付付箋
②しおり付箋
③インデックス付箋

このうち②と③を、私は読書の際に利用しようと思う。

今までは、しおりをたくさん用意して、それを重要だと

思うところに挟んでいたが、これだとしおりが抜けて

しまうことが多かったので、付箋を利用しようと思う。

この方法は、ほかの人もやっていたが、今回、

美崎さんがノートに付箋を使っていることを知って

やっぱり読書の際にも付箋の方が効率的だと思った。

今回、最も印象的だったのは自己投資のためのノート術。

とにかく、何をいつまでにということを明確にすること。

そして、自己投資は1年程度の短期で運用するべきだと

いう意見はとても参考になる。

社会人が資格試験の勉強をするときに大切なことは

次の3つである。

①何のために資格を取るのかを考える
②取ったあとの自分の姿をイメージする
③資格取得までの期間とプランを立てる

私などは、法律に関することならいずれ仕事の役に立つ

からと、漫然と取組んでいることが多いので、これからは

しっかりと形に残るような自己投資にしていきたいと思う。

非常に気づきの多い良書なので、自己啓発を意識して

いる人はぜひ読んでみてください。

【参考図書】
『マインドマップ資格試験勉強法』 萩原京二・近藤哲生 ディスカヴァー・トゥエンティワン
『資格試験の合格技術』 多田健次 マガジンハウス

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 ノートは仕事でどう使うのか?/第2章 仕事ノートの選び方・使い方/第3章 ノートを使った仕事術/第4章 ノートを使った時間管理術/第5章 自己投資のためのノート術/第6章 デジタルを使ったノート術/第7章 仕事ノートに使うお勧め文房具

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2011年5月16日 (月)

辛坊治郎さんの『あいまいな日本の問題点がスッキリわかる』を読んでみた

辛坊さんの『あいまいな日本の問題点がスッキリわかる
本辛坊のニュ-スななめ読み』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、日本テレビでお馴染みの辛坊治郎さんが

2007年現在において、日本で生活していく上で知って

おくべきニュースのトピックを軽やかに論じている。

まず、第1部が「日本がかかえる問題」であり、第2部が

「ニュースがわかる新聞のことば」という二部構成である。

どちらも、1つの項目は、2ページから3ページの解説で

分かりやすい言葉で表現したあとに、しっかりと資料と

いう形で法律の条文などを載せてくれている。

辛坊さんの少し過激な例え話が、実は問題の本質を

明確にしてくれていることは、これまで読んだ辛坊さんの

どの本とも共通するところである。

本当にタイトルのとおり、何が問題点であるかをスッキリ

させてくれるので、後は自分で考えるだけである。

ただ、少し内容的に古いものがあるのは仕方がないが、

その問題がいまだに片付いていない日本という国は

本当にどうかしてしまったとしか思えない。

法律や教育に携わってきた人間としては、集団的自衛権

から派生する憲法改正や、個性尊重から協調性へと舵を

切った教育基本法など考えさせられる問題が多い。

憲法や教育基本法に、個人の尊厳や権利、個性の尊重

などが明記されていたことと、日本の教育が衰退したこと

には、何ら関係はないと個人的には思っているが、

色々なことを言って、自分の責任を逃れたり、自分に

都合のいい法律を作ったりする悪いやつはいるものだ。

テレビではなかなか伝えられないことをこのような本で

何度でも取上げてくれる人がいることは、本当に有難い。

2007年当時の問題が、いまだに様々な形で影響を

及ぼしていることを理解するためにも、良い1冊である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1部 日本がかかえる問題(2007年問題/国民年金/年金改革(共済年金と厚生年金の一元化)/自治体破産 ほか)/第2部 ニュースがわかる新聞のことば(自民党総裁/党議拘束/独立行政法人/特殊法人 ほか)

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2011年5月15日 (日)

クリス・アンダーソンさんの『フリー』を読んでみた

クリス・アンダーソンさんの『フリー
〈無料〉からお金を生みだす新戦略』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、全てのものが無料になるという話でもないし、

無料にすれば利益が得られるという話でもない。

副題にもあるとおり、無料からいかに利益を生み出すか

ということについて書かれた本である。

けれど、現状の様々なビジネスモデルに感心がある人

であれば、書いてあることのほとんどを知っている。

しかも、誰もが知っている、ラジオやテレビが無料である

理由と同じ広告料によって無料化を実現している話や、

携帯電話を無料にして通話料で利益を上げる話など

つまらない話が多すぎる。

できれば、無料の理由がプライバシーを犠牲にしている

とか、心理学的に人間の欲求に働きかけていることで

無料が実現されているという例を多くして、「新戦略」と

誰もが感じられるようなものにして欲しかった。

また、この本には他人の意見の引用があまりにも多い。

たとえば、様々な問題を起こすことで有名な、けっして

先進的なだけではないグーグルの戦略について。

『どうしてグーグルではフリーがあたりまえなのだろう。
なぜなら、それが最大の市場にリーチして、大量の
顧客をつかまえる最良の方法だからだ。シュミットは
これをグーグルの「最大化戦略」と呼び、そのような
戦略が情報市場の特徴になるだろうと考えている。
その戦略はとても単純だ。「何をするにしても、分配が
最大になるようにするのです。言いかえると、分配の
限界費用はゼロなので、どこにでもものを配れると
いうことです」』

また、有料コンテンツが無料化する6つの理由も

ジョナサン・ハンデルの意見の要約である。

理由のタイトルだけを並べると次のとおり。

『1.供給と需要
 2.物質的形状の消滅
 3.入手しやすさ
 4.広告収入で運営するコンテンツへの移行
 5.コンピュータ業界は無料にしたがっている
 6.フリー世代』

長ったらしいところは一部抜粋しているが、

このことからも分かるとおり、とにかく重要な考察は

他人の借りものなのである。

他にも事実の説明については、ウィキペディアを

引用しているという手の抜きよう。

この本が売れた理由は、私にはよく分からないが

現実に起きていることの確認としてなのだろうか。

それでは、次の無料のルールを吟味していただきたい。

『無料のルール
1.デジタルのものは、遅かれ早かれ無料になる
2.アトムも無料になりたがるが、力強い足取りではない
3.フリーは止まらない
4.フリーからもお金儲けはできる
5.市場を再評価する
6.ゼロにする
7.遅かれ早かれフリーと競いあうことになる
8.ムダを受け入れよう
9.フリーは別のものの価値を高める
10.稀少なものではなく、潤沢なものを管理しよう』

私にとっては、あまり参考にならなかったが、

最後に感じたことを書くと、この本自体、アメリカでは

無料で読むことができたらしいが、日本では有料で

しかもその出版社がテレビ局としては無料化を拒み

続けているNHK関係のNHK出版なのは不思議だ。

現状の無料化の流れを大枠で捉えたい人向けの1冊。

【目次】(「BOOK」データベースより)
フリーの誕生/無料とは何か?(「フリー」入門-非常に誤解されている言葉の早わかり講座/フリーの歴史-ゼロ、ランチ、資本主義の敵/フリーの心理学-気分はいいけど、よすぎないか?)/デジタル世界のフリー(安すぎて気にならない-ウェブの教訓=毎年価格が半分になるものは、かならず無料になる/「情報はフリーになりたがる」-デジタル時代を定義づけた言葉の歴史/フリーと競争する-その方法を学ぶのにマイクロソフトは数十年かかったのに、ヤフーは数カ月ですんだ/非収益化-グーグルと二一世紀型経済モデルの誕生/新しいメディアのビジネスモデル-無料メディア自体は新しくない。そのモデルがオンライン上のあらゆるものへと拡大していることが新しいのだ/無料経済はどのくらいの規模なのか?-小さいものではない)/無料経済とフリーの世界(ゼロの経済学-一世紀前に一蹴された理論がデジタル経済の法則になったわけ/非貨幣経済-金銭が支配しない場所では、何が支配するのか/(ときには)ムダもいい-潤沢さの持つ可能性をとことんまで追究するためには、コントロールしないことだ/フリー・ワールド-中国とブラジルは、フリーの最先端を進んでいる。そこから何が学べるだろうか?/潤沢さを想像する-SFや宗教から、“ポスト稀少”社会を考える/「お金を払わなければ価値のあるものは手に入らない」-その他、フリーに対する疑念あれこれ)/結び-経済危機とフリー

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2011年5月14日 (土)

本田直之さんの『レバレッジ・マネジメント』を読んでみた

本田さんの『レバレッジ・マネジメント』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、経営者がレバレッジをかける対象は全部で

6つあると主張している。

①経営者(自身)
②戦略
③営業
④ブランド
⑤仕組み化
⑥組織

そして、それぞれについて、質問形式で合計68問の

問と解説を用意してくれている。

とても基本的なことを、では実際にやれているかという

厳しい態度で問うてくるあたりに真剣さがうかがえる。

大企業のマネジメント層ではなく、ベンチャーや

起業家の経営者に向けた本であるように思う。

たとえば、「事業はフォーカスしているか?」という問。

答えの中には次のように、「多角経営は一見リスク

ヘッジに見えるが、ベンチャー企業の場合、リソースが

分散するため、せっかく伸びて主要になりそうな事業

まで中途半端に終わらせてしまう」と書かれている。

「大企業の多角経営とベンチャーのそれは、全く違う」

というように、明確に区別している。

その上で、1つの事業にフォーカスした場合の利点を

5つ挙げている。

①経営資源を集中できる
②時間に余裕ができる
③社員が何に力を注げばいいか分かりやすくなる
④優秀な人材が育つ
⑤会社がブランド化しやすくなる

解説のポイントがつかみやすいのは、本田さんの

他の本と同様である。

そして、経営者がこれを読めば元気が出るはずである。

もちろん、平社員の私が読んでもためになったが

できれば会社を経営して、色々なことに悩みながら

この本を手にしたかった。

もし、独立するようなことがあったら、今度は経営者

として、再度この本を手にしてみたいと思う。

【参考図書】(一部抜粋)
『経営者の条件』 P・F・ドラッカー ダイヤモンド社
『ハーバードでは教えない実践経営学』 マーク・マコーマック 日本経済新聞出版社
『よみがえる商人道』 藤本義一 日刊工業新聞社
『Den Fujitaの商法② 天下取りの商法』 藤田田 ベストセラーズ
『客家大富豪 18の金言』 甘粕正 講談社
『中国商人 儲けの知恵』 欧陽居正 総合法令出版
『Hot Pepper ミラクル・ストーリー』 平尾勇司 東洋経済新報社
『最少の時間と労力で最大の成果を出す「仕組み」仕事術』
 泉正人 ディスカヴァー・トゥエンティワン
『何故あの会社はメディアで紹介されるのか?』 西江肇司 アメーバブックス新社
『人生は勉強より「世渡り力」だ!』 岡野雅行 青春出版社

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 経営者のレバレッジ/第2章 戦略のレバレッジ/第3章 営業のレバレッジ/第4章 ブランドのレバレッジ/第5章 仕組み化のレバレッジ/第6章 組織のレバレッジ

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2011年5月13日 (金)

リチャード・セイラーさんの『実践行動経済学』を読んでみた

リチャード・セイラー/キャス・サンスティーンさんの
『実践行動経済学 健康、富、幸福への聡明な選択』
を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、行動経済学を実際に健康、富、幸福へと

その適用の範囲を広げて論じているところに特色がある。

重要な用語は「リバタリアン・パターナリズム」と「ナッジ」。

どちらかというと経済学ではインセンティブということで

全てが処理されてしまっていたが、原著のタイトルでも

ある「ナッジ」は、「他人に注意を喚起させたり、気づか

せたり、控えめに警告したりする」ことである。

また、「リバタリアン・パターナリズム」は、「選択の自由が

妨げられているわけでも、選択肢が制限されているわけ

でも、選択が大きな負担になるわけでもない」が、より

良い暮らしへの緩やかな「誘導」として意味づけられる。

これらのキーワードを行動経済学が明らかにした

バイアスにからめながら、だんだんと経済学から話が

拡散していくように感じられる。

「誘惑」や「心の会計」は、まだ経済学的話題で収まって

いるが、「結婚を民営化する」というところまで来ると

政策提言であるのかさえ私には判断がつかない。

経済的効果というよりも社会的効用というほうが近い。

経済学としてこんなことまで語れてしまうのかという意味

では、とても刺激的な作品である。

行動経済学が既存の経済学だけでなく、あらゆる学問の

中に入っていって、いろいろと面白い発見をさせてくれる

ことは、とても愉快である。

経済学の狭い枠にとらわれている人は、ぜひ行動経済学の

実践編として、この本を呼んでみることをおススメする。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1部 ヒューマンの世界とエコノの世界(バイアスと誤謬/「誘惑」の先回りをする ほか)/第2部 個人における貯蓄、投資、借金(意志力を問わない貯蓄戦略/オメデタ過ぎる投資法 ほか)/第3部 社会における医療、環境、婚姻制度(社会保障制度の民営化-ビュッフェ方式/複雑きわまりない薬剤給付プログラム ほか)/第4部 ナッジの拡張と想定される異論(一二のミニナッジ/異論に答えよう ほか)

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2011年5月12日 (木)

北村慶さんの『大人の投資入門』を読んでみた

北村さんの『大人の投資入門』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、公的年金を補完するための私的年金づくりの

ための本である。

つまり、ここで言う私的年金とは、公的年金と必要資金の

差額である「年金ギャップ」を埋めるためのものである。

そのため、まず日本の年金の運用方法について見た後

その運用方法がアメリカの最先端のものに較べて、

債券での運用比率が高いことから、私的年金は債券以外

のものをいかに組み合わせるかということになる。

その際に注意すべき点は、まず「短期の株式投資とは

ギャンブルであり、損をするか得をするかはイーブン・

チャンスの危険なものである」ということから、当然

長期の株式投資を中心にすべきということである。

そして、年金性資金のような長期投資においては、

①「銘柄の選択」や「売買タイミングの選択」がパフォー

マンス(運用成績)に与える影響はわずかであり、

②アセット・アロケーション(資産配分)がパフォーマンス

のほとんどを決めるということである。

また、その際には「ポートフォリオ理論」に従うべきであり、

投資のリスクとリターンを改善するために、相関の少ない

資産間のアセット・アロケーションを追求することが有効

であり、互いに相関のない資産を組み合わせると、

「収益は足し算で増えていくが、ボラティリティは(二乗和

の)平方根でしか増加しない」ため、1つの投資だけでは

実現不可能な「リスクを抑えた負けない投資」が可能と

なるということである。

しかし、ここで大切なことは、この運用をプロに任せると

手数料分だけ市場平均に較べ損をするということである。

では、どのように私たちは運用すればよいのかというと、

それには「私的年金」運用における4つの前提がある。

①運用対象には、価格の透明性と流動性が必須
②「値下がりリスク」は許容可能
③運用成績は、市場の平均で十分
④少額だが継続的な投資が可能

では、ここに不動産投資を加えるかどうかについてである

が、すでに自宅を持っている人は不動産への投資は

まったく不要である。

そして、やるべきことはいたってシンプルで、ただ定めら

れたアセット・アロケーションをきっちりと守った「定時

定額運用」を行い、定められたアセット・アロケーション

に戻すためのりバランスを定期的に行うことだけである。

この「定時定額運用」の優れた点は投資の時間的分散

効果を得ることにある。

この本は、私的年金づくりのためとうたっているが、

確かにタイトルどおりに投資入門にもなっている。

個別銘柄への投資も楽しいが、確実に利益を積み

重ねたい人には、長期のインデックス型投資について

この本で学んでみるのもいいと思う。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 あなたは年金をいくらもらえるのか?/第2章 あなたの年金はこうやって運用されている/第3章 世界の年金基金の最先端運用法はこれだ!/第4章 “私的年金ファンド”を作ろう!/第5章 こうやって運用すれば年金不安も怖くない/第6章 明るい未来のために

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2011年5月11日 (水)

石井裕之さんの『損する生き方」のススメ』を読んでみた

石井裕之/ひろさちやさんの『損する生き方」のススメ』を読んでみた

 (5つが最高)

正直なところ、この本に書かれているような損をする

生き方は嫌いである。

少なくとも、子供がこのような悟った生き方を望んだら

間違っているから、競争社会の中でもまれて強くなり

「成功」を勝ち取ってもらいたいと言うだろう。

もちろん、それは若いから傷ついても何度でも

やり直しができるからだ。

では、私が成功したかと問われれば、それはまったく

遠く及ばない夢のまた夢である。

けれど、それでも人間に生まれてきたからには、

競い合いの中で自己を磨くということは必要なことだ。

問題は、傷ついたときのセーフティネットがしっかり

しているかということである。

言い換えれば、何度でもやり直せる社会であれば

損をする生き方をあえて選ばなくても、不完全な者

同士が許しあって生きるということは可能であり、

致命傷を負うようなことにまでは至らないと思う。

ただ、現実の社会が過度の競争によって疲弊して

いることも間違いない。

その意味では、損する生き方という選択肢は

あってもいいように思う。

しかし、それはそのような人がいてもいいという

だけで、自分が選択する道ではないと思う。

とりあえず、40歳を迎えた今の自分が考えるには

それほど悟ったような生き方を望まないということだ。

この本では、損をして得を取れと言っているわけでは

なく、損をすることそのものに価値があり、損をして、

損を重ねよと言っている。

10年後、20年後、もっと歳を重ねれば、この本に

書かれているような生き方を望んでいるかもしれない。

しかし、今はまだ苦しいながらも損をしないような

生き方を目指したい。

なお、ひろさんの言うことにも共感できる部分は多く、

特に宗教について、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教の

それぞれの成り立ちの話などは、とても分かりやすい。

石井さんの俗っぽいところも、ひろさんの考えを理解する

助けになっていて、特に「あとがき」での損に対する感覚

は、宗教からは離れているが、なじみやすい。

「お金がすべて」ということに違和感を持っている人は

ひろさんのある意味極論に触れることによって、

多くの気付きが得られるのではないかと思う。

そういう意味では、読む価値は大いにある。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 自分を縛る成功、自分を活かす成功(一億円払えば救われる?/嫌な人とは付き合うな/自由こそが本当の成功 ほか)/第2章 心が軽くなる損する知慧(般若の智慧/般若の智慧・その1 損する智慧/損に損を重ねろ ほか)/第3章 「自分なんかバカだ」と気づけば、みんな優しくなれる(なぜ、人を殺してはいけないか?/宗教は羅針盤/ただ信じるということ ほか)

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2011年5月10日 (火)

園善博さんの『本がどんどん読める本』を読んでみた

園さんの『本がどんどん読める本
記憶が脳に定着する速習法!』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、「速読」ではなく「速習」を読字障碍をかかえた

著者が脳科学に基づいて解説している。

以前読んだ園さんの『本当に考える力がつく多読術』には

以下のような多読のメリットが書かれていた。

本を大量に読む―――7つのメリット
①人間力がアップする
  どんな相手にも好印象を与えられる
②問題解決力がつく
  知識が増えると、選択肢も増える
③表現力が豊かになる
  自分の考えを的確に述べられる
④論理力が向上する
  感情的にならない、「頭のいい人」になれる
⑤アイデア力がつく
  関連づけで無限に発想を生み出せる
⑥好奇心がよみがえる
  新しい発見が得られると、人生が豊かになる
⑦マネーメーカーになる
  「お金持ち」になれる可能性が飛躍的に高まる

そして、今回、この本には次のような読書がもたらす

7つの素晴らしい変化について書かれている。

①語彙(使える言葉)が増えて、多彩な才能が花開く
②仕事の知識・スキルがアップし、結果が出せる
③プレゼンテーションがうまくなる
④欲しい資格が手に入る
⑤想像力・発想力が豊かになる
⑥知識欲が高まり、仕事のテリトリーが広がる
⑦うまくいけば、「本を書く人」になれる

そして、本を速く、たくさん読むための速習法の準備と

して、まず5つの思い込みを捨てることから始める。

その5つの思い込みとは次のとおり。

①読解力がないと、本が読めない
②本は最初から最後まで、全部読まなくてはダメ
③本を読むためには「読書の時間」が必要だ
④本を読むのはつまらない
⑤読書は「一人でするもの」だ

これらの思い込みを捨て去った後、勉強効率をアップする

ためのノウハウとして次の3つがある。

①勉強する前に、自分の知識レベルをつかむ
②1回の通読ではなく、「分けて」「繰り返し」読む
③「忘れる」のを恐れるな。また覚えればいい

そして、最後に速習法の3つのポイント。

①本は分けて読む
 理由は3つ
 ・通読しても1度で全部理解するのは難しいから
 ・理解する量が少ない分、内容が記憶に残りやすい
 ・読まないまでも、本全体を繰り返し見るので、
  記憶を強化できる
②目的に応じて、3つの方法を使い分ける
 ・スキミング・リーディング(概要把握)
 ・ターゲット・リーディング(詳細把握)
 ・トレーシング・リーディング(通読)
③内容を振り返る
 本を読んだら必ず、内容を振り返る「ブリーフィング」
 をすることが大切

本を速く読んでも記憶が脳に定着しなければ意味がない

という、真っ当なことを再認識させてくれるという意味で

速読を意識している人は読んでおくといい本である。

【参考文献】(一部抜粋)
『読む心・書く心』 秋田喜代美 北大路書房
『わかったつもり 読解力がつかない本当の原因』 西林克彦 光文社新書
『コリン・ローズの加速学習法 実践テキスト』 コリン・ローズ ダイヤモンド社
『「知」のソフトウェア』 立花隆 講談社現代新書
『「できる人」はどこが違うのか』 斎藤孝 ちくま新書
『だれでも天才になれる脳の仕組みと科学的勉強法』 池谷裕二 ライオン社
『クラズナー博士のあなたにもできるヒプノセラピー』 A・M・クラズナー ヴォイス
『じょうずな勉強法』 麻柄啓一 北大路書房
『上達の法則』 岡本浩一 PHP新書
『学力を育てる』 志水宏吉 岩波新書
『「空気」の研究』 山本七平 文春文庫
『失敗の本質』 戸部良一ほか 中公文庫
『孔子伝』 白川静 中公文庫

【目次】(「BOOK」データベースより)
1章 「読書」は仕事と人生に成功をもたらすマスターキーだ(本をたくさん読むと、どんな素晴らしい変化が起きるのか?/読書の「快楽スイッチ」がONになると、「仕事の好サイクル」が生まれる)/2章 「記憶のメカニズム」を作動させるシンプルな勉強ノウハウがあった!(あなたの5つの「思いこみ」を、まず捨てることから始めよう/普通の速読法には、どんな落とし穴があるのか? ほか)/3章 「プリペアードマインド」をセットすると、脳が「加速」する(「プリペアードマインド」が脳の処理スピードを加速させる/「~したい」という欲望をもとに学習の目的を設定する ほか)/4章 本を速く、たくさん読める3つの読書法をマスターする(「速習法」3つのポイント/全体を大まかに理解するスキミング・リーディングをマスターする ほか)/5章 本を探し、選び、身につける新しい習慣をはじめる(本屋さんへ行くと、5つの「いいこと」がある/ネット書店をうまく活用して本との出会いのチャンスを高める ほか)

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2011年5月 9日 (月)

山崎元さんの『お金をふやす本当の常識』を読んでみた

山崎さんの『お金をふやす本当の常識
シンプルで正しい30のルール』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、お金をふやすためのシンプルで正しい30の

ルールについて詳しく解説されている。

その視点は明確で、売り手の利益は買い手の損失という

ことと、シンプルに考えるということである。

まず、30のルールのうち参考になったものは次のとおり。

・ルール7 使用目的別の運用はムダ!
 目的別の運用の問題点は3つ
 ①資金をいくつかに区切って別々に運用すると
  1つにまとめて運用資産全体について計画する
  よりもリスクが同じなら期待リターンはは低くなる
 ②資金を区切って運用すると手数料が無駄になる
 ③バランス方の運用はコスト・管理面で不利になる
・ルール10 長期投資でもリスクは減らない!
 通常、運用期間が長くなると、期待収益も資産の
 額の不確実性も、ともに大きくなる
 しかし、手数料等の一時的なコストの投資期間
 あたりの影響を薄めるためには有効
・ルール12 ドルコスト平均法を信じすぎるな!
 ドルコスト平均法は、有利でも不利でもないが
 有利な方法だと過信しているとリスクの集中に
 つながるので危険である
・ルール25 テクニカル分析は役に立たない!
 有効性を科学的に立証したテクニカル分析はない
 「価格には全ての情報が含まれている」というのは嘘
・ルール28 株は予想の変化とPERの2つでOK!
 著者が個別株への投資をお勧めしたい理由は3つ
 ①それ自体として面白い
 ②手数料コストがはっきりとしている
 ③投資家の自己責任を実感させてくれる
 個別企業の株に投資する際の7つの手順
 ①興味を持つ
 ②PERを見る
 ③増益率を見る
 ④PERと増益率を同業種の他の銘柄と較べる
 ⑤過去の利益予想の変化と株価の変化を比較する
 ⑥出来高を見る
 ⑦他の持ち株との関係を考える
・ルール29 ポートフォリオは3銘柄から徐々に育てる!
 少なくとも同じ種類の銘柄を続けて買わないように
 しながら銘柄数を増やしていく
 どれか1銘柄が大きく下げてもあまり気にならない、
 という心境になればいい調子
・ルール30 投資の理論を敵に回さない!
 行動ファイナンスは理論としては、
 ①裁定(アービトラージ)の限界に関する理論と
 ②人間の非合理性に関する認知心理学的研究の
  応用の2つの柱を持っている
 「CAPM(資本資産市場モデル)」や「効率的市場仮説」
 などの伝統ファイナンスの理論は、資本市場を説明
 する理論としては誤り
 オプション価格理論をはじめとするデリバティブの理論
 やいわゆる金融工学については、「無リスクでリスク
 フリー金利以上に儲けることは出来ない」

どれも非常に役に立つルールである。

ただ、この本を読んでいて気になる点が1つある。

それは、「気休め」に過ぎないからムダであり、

合理的に考えろという主張で、全てをばっさり

切って捨てている点。

それができるなら、投資の本なんて買って読んだり

しないのだ。

けれど、損失を回避するには、とにかく明快で正しい

戦略が必要であり、そのことを指摘している点で、

貴重な投資の本であることは間違いない。

なお、この本は、『お金がふえるシンプルな考え方

―――マネーのルール24』の改訂版である。

【目次】
まえがき
ルール1 分からない運用商品には手を出さない!
ルール2 初心者向けの金融商品などない!
ルール3 「マネーのホームドクター」を疑え!
ルール4 お金について自分が他人と違うことを認めよう!
ルール5 若いうちは「稼ぐ能力」を鍛えよう!
ルール6 リアルかつシンプルに家計を分析しよう!
ルール7 使用目的別の運用はムダ!
ルール8 ギャンブル依存症について知っておこう!
ルール9 投資のリスクを見積もるくせをつけよう!
ルール10 長期投資でもリスクは減らない!
ルール11 資産配分を決める簡単な方法を覚えよう!
ルール12 ドルコスト平均法を信じすぎるな!
ルール13 デフレ・インフレと投資法を正しく理解!
ルール14 経済パニック論の真意を見抜け!
ルール15 ベンチマークが分かると運用が分かる!
ルール16 株価指数を知りパッシブ運用に注意しよう!
ルール17 外貨投資は立派な“投機”です!
ルール18 不動産の投資価値を正視しよう!
ルール19 生命保険はできるだけ節約しよう!
ルール20 新種の投資商品はお金の流れとコストに注目!
ルール21 返済に勝る運用なし!
ルール22 コストは“確実な”マイナスだ!
ルール23 まずリスク、次にコストのチェックを!
ルール24 投資に必勝法はない!
ルール25 テクニカル分析は役に立たない!
ルール26 売買は合理的に!
ルール27 あなたとプロの条件は5分5分!
ルール28 株は予想の変化とPERの2つでOK!
ルール29 ポートフォリオは3銘柄から徐々に育てる!
ルール30 投資の理論を敵に回さない!
付録 個人投資家・山崎元のスローな株式投資
あとがき
補足 理屈っぽいあなたのための理論的解説

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2011年5月 8日 (日)

デビッド・カークパトリックさんの『フェイスブック 若き天才の野望』を読んでみた

デビッド・カークパトリックさんの『フェイスブック 若き天才の野望
5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、今話題のフェイスブックの若き天才CEOで

あるマーク・ザッカーバーグを中心とした物語である。

しかし、脇役も充実していて、たとえばナップスターや

プラクソの創業者で、ロックスター的ライフスタイルから

投資化とのトラブルが絶えなかったション・パーカー。

ソーシャルネットワークの「リンクトイン」の創立者の

リード・ホフマンの右腕と言われたマット・コーラー。

ワシントン・ポストのCEOでザッカーバーグが尊敬する

ドン・グレアムなど500ページ以上の本にもかかわらず

まったく飽きることがない面白さである。

また、ザッカーバーグのフェイスブックに対する考え方が

分かって、ソーシャルネットワークが流行っている理由も

何となく分かってきた。

最も分かりやすいのが「ザ・フェイスブックは単なる

暇つぶしに過ぎない」という批判に対して、「人々を理解

できるようになることは暇つぶしではない」というもの。

そして、何よりこの仕組みの作り手である人たちが

楽しそうな様子が、フェイスブックそのものも楽しそうに

思わせてくれるところがいい。

私の会社でも、フェイスブックを使うことが推奨されて

いるので、いずれ使うことになるかもしれないが、

会社の人間に見られることを前提にした利用では

フェイスブックの面白さは半減してしまう気がする。

この本の中でも、プライバシーに関して1つの章を

あてており、その中に次のような記述が見られるが、

これは大学生から起業家になったザッカーバーグ

ならではの考え方であるように思う。

『「仕事上の友だちや同僚と、それ以外の知り合いとで
異なるイメージを見せる時代は、もうすぐ終わる」
と彼は言う。彼にはいくつか主張があった。
「2種類のアイデンティティーを持つことは、不誠実さの
見本だ」
ザッカーバーグが道徳家のように言う。しかし、実利的
な面を挙げてこうも言った。
「現代社会の透明性は、ひとりがふたつのアイデンティ
ティーを持つことを許さない」
言い換えれば、自分のプライベートを仕事情報と隔離
したいと思っても、個人情報がインターネットのあちこち
に広がっているから無理だということだ。』

このプライバシーに関しては、作者が書いているとおり

の傾向があるように思う。

すなわち、「年齢が上がるほど、フェイスブックの個人

情報の露出」に抵抗を感じる人が増えるということだ。

フェイスブックのユーザー数はすでに5億人を超え、

毎月5%と驚異的なスピードで成長しているという。

世界中で、個人や企業がコミュニケーションツールや

プロモーションツールとして使用しているというが、

果たして実名での登録が日本で主流となるかどうか。

私はプライバシーやリスクの方に目がいくので、

どうしても使いづらい気がするが、若い人は

そこらへんの感覚は私とは違うのかもしれない。

なお、私がこの本を読んで最も印象に残った場面は

ベンチャーキャピタルの名門でアップルやグーグル、

ヤフーやユーチューブなどに資金を提供したセコイアに

対して、ザッカーバーグたちがパジャマのズボンと

Tシャツでプレゼンをする悪ふざけの部分。

ション・パーカーがセコイアには痛い目にあわせられて

いたので、最初から資金提供を受けるつもりがなかった

からできたことだが、何となく痛快な場面だ。

最近読んだアメリカのオンライン靴小売企業の成功物語

である『ザッポス伝説』にもセコイアは登場していて、

作者のトニー・シェイが資金提供を待ち望んでいたのとは

対照的で、とても面白かった。

他にも、面白い話が満載で、フェイスブックについて

ほとんど何も知らない私のようなものでも楽しめたので、

利用している人や映画を見た人などはさらに楽しめる

のではないかと思う。

分厚い本だが、ぜひ挑戦してみて欲しい1冊である。

【目次】
プロローグ/第1章:すべての始まり/第2章:パロアルト
/第3章:フェイスブック以前/第4章:2004年、以前/
第5章:投資家/第6章:本物の企業へ/第7章:2005年、秋
/第8章:CEOの試練/第9章:2006年/第10章:プライバシー
/第11章:プラットフォーム/第12章:150億ドル/第13章:金を稼ぐ
/第14章:フェイスブックと世界/第15章:世界の仕組みを変える
/第16章:フェイスブックの進化 /第17章:未来へ

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2011年5月 7日 (土)

三橋貴明さんの『「テレビ政治」の内幕』を読んでみた

三橋貴明/八木秀次さんの『「テレビ政治」の内幕
なぜマスメディアは本当のことを伝えないのか』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、「2ちゃんねる」出身者として初の当選を

目指し、自民党公認を得て2010年夏の参院選選挙に

比例代表から立候補した経験もある三橋さんと、

保守主義の立場から幅広い言論活動を展開している

八木さんが「テレビ政治」について対談したものである。

正しくは、この本の出版後に三橋さんは選挙に出る

わけだが、そこに至る経緯のひとつが民主党への

政権交代であったことは間違いなく、それを演出した

のが、テレビであったという論の展開である。

私としては、知らないことも多かったので、面白く

読めたが、それは民主党についての分析について

であり、自民党についての二人の分析はあまり

納得しなかった。

まず、民主党について、その支持基盤が自治労や

日教組などの官公労組や様々な左翼の市民運動

団体というのは、よく言われることだが、政策を見て

いると納得させられる。

私が最も危惧する点は、外国人参政権問題や

人権擁護法、夫婦別姓、非嫡出子の相続分を

嫡出子と同じにするなど、この国の形を変える

ようなことを民主党主導で行うことである。

民主党の投票した人の多くが、これらの法案に

ついてまで賛成していたとは到底思えない。

しかも、その後の民主党の混乱振りを見れば

三橋さんの言うように、自由民主党の「自由」を

取ってしまったのが民主党という話も笑えない。

それに対して、自民党について、総選挙で負けた

理由を保守主義のイデオロギー政党になったから

国民が愛想を尽かしたというのは間違いだと

八木さんは発言しているが、これこそ間違いだ。

民主党が中道左派の路線を強く打ち出しているので

自民党はその対立軸として保守色を出すべきだという

アドバイスはまったく的外れである。

この点は、三橋さんも同様で、安倍晋三さんなら

そうとう同情と支持が集まったというような発言を

しているが、現在の日本では保守は支持されない。

この二人の対談の意図が「テレビ政治」によって

民主党政権が出来上がってしっまたことへの批判

であるため、ある程度仕方がないが、自民党に関する

世間の評価については、まったく見るべきものがない。

テレビが作ったのか朝日新聞が作ったのかは分から

ないが、現状では国民の多くが中道やや左よりの

考え方を持っていることは明らかだ。

そして、「左より」ということが共産党や社会党を

支持することではないように、「保守」という言葉にも

本来の意味以外の多くの意味がある。

たとえば、最近の若者は保守的であるという言い方が

あるが、これはけっして保守的な政党を支持するという

意味ではない。

簡単に言ってしまえば、「保守」は「右より」であり、

「革新」の敵であり、「改革」を望む国民の興味の外

ということになる。

この点では、民主党はリサーチが優れていた。

「テレビ政治」が民主党政権を生んだとも言えるし、

逆に、「テレビ政治」を民主党が利用したとも言える。

私はこの本を三橋さんの本だから読んだのであるし

三橋さんの考え方には教えられることが多いのも

事実であるが、それでもあえて言うなら、保守では

選挙に受かることは難しいということだ。

それが三橋さんの思想・信条であるなら仕方がないが、

明晰な経済分析を政治の場でも生かしたいということ

なら、保守にはあまりこだわらないほうがいい。

まあ、余計なお世話なんだろうけど。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 政権交代に貢献したマスコミの偏向報道(明確になった「日本国民のいちばんの敵」/ネット上の意見は社会を変えられるか ほか)/第2章 問題大臣の化けの皮を剥ぐ(本当に「国民の命令書」なのか/怖いものなしの「政治主導」 ほか)/第3章 「テレビ政治」によって曲げられている真実(自民党幹部の「保守」認識への疑問/タカ派的な議論をすると、テレビが寄ってたかって叩く ほか)/第4章 “見世物”としての「事業仕分け」(新政権発足一〇〇日で何が変わったか/政府が民間のビジネスを削った ほか)/第5章 民主党の暴走、テレビの迷走(多くの企業が資材発注後に工場建設を中止した理由/子供の夢を壊した鳩山政権 ほか)

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2011年5月 6日 (金)

ナシーム・ニコラス・タレブさんの『強さと脆さ』を読んでみた

タレブさんの『強さと脆さ
ブラック・スワンにどう備えるか』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、前作の『ブラック・スワン』の改訂版に新たに

追加された長大なあとがき的エッセイを、独立で翻訳し

たもので、前作を読んでない人にはツマラナイだろう。

どちらかといえばタレブさんのファン向きである。

まず、タレブさんの言う「ブラック・スワン」には3つの

特徴があることを理解していないといけない。

①予測できないこと
②非常に強いインパクトをもたらすこと
③いったん起きてしまうと、いかにもそれらしい説明が
 なされ、実際よりも偶然には見えなくなったり、最初
 からわかっていたような気にさせられたりすること

このことを理解したら、後はタレブさんが歴史、哲学、

心理学、経済学、数学の世界を自由自在に駆け巡る

のをただ楽しんでついて行けばよい。

しかし、この本が、とても読みにくい本であることは

事前に覚悟しておくべきだ。

そして、私が今回一番気に入ったところは次のとおり。

『人間の思想の歴史につきまとう頭の痛い問題は、
懐疑主義と、信じてだまされる道という両極端の、
どのあたりに立ち位置を置くか、つまりどう信じて
どう信じないかを決めなければならないことである。
また、そういう信念にもとづいてどう意思決定するか
も問題である。信念を持つだけで意思決定をしな
ければ無意味だからだ。だから、これは認識論の
(つまり何が本当で何が間違いかを考える)問題で
はない。むしろ、決め、行動し、続ける、そういう
問題である。』

金融工学のモデルは明らかに間違っている。

そんなものを信じたら、1回のブラック・スワンで

全てを失ってしまうことは明らかだ。

しかしながら、人間は懐疑主義のみによっては

当然ながら生きられない。

私たちは何を信じればよいのか、そして、どう行動しな

ければならないのか、ということが突きつけられている。

最後に、黒い白鳥に強い社会の原則10か条。

①壊れやすいものなら、早く、まだ小さいうちに
 壊れたほうがいい
 【つぶせなくなるほど大きな金融機関は要らない】
②損失を社会化し、利益を私有化してはいけない
 【救済すべきものは国有化すべき】
③目隠しをしてスクールバスを運転していた
 (そして事故を起こした)連中は、二度とバスを
 運転させてはいけない
 【経済学界の大物たちは正当性を失った】
④「成功」報酬をもらえる人に原子力発電所を
 経営させてはいけない。金融リスクの管理もダメだ
 【安全装置を省略し節約したお金を利益とはしない】
⑤複雑なことは単純なことで中和する
 【生活の複雑性を金融商品の単純化で中和する】
⑥子供にダイナマイトを渡してはいけない。
 注意書きが張ってあってもダメだ
 【複雑な金融商品は禁止しないといけない】
⑦信頼に支えられる仕組みなんてネズミ講だけだ。
 政府に「信頼を取り戻す」なんてことをさせて
 やらないといけないいわれはない
 【政府では噂は止められない】
⑧ヤク中が禁断症状に苦しんでいても、
 麻薬を与えてはいけない
 【過大なレバレッジの問題にレバレッジを使うな】
⑨市井の人たちは金融資産を価値の保蔵手段として
 使うべきでない。また、あてにならない「専門家」の
 アドバイスに老後の生活を託してはいけない
 【経済的生活を脱金融化しないといけない】
⑩オムレツは割れた卵でつくる
 【私たちがシステムをつくり変えるべき】

タレブ節を堪能したい方にはオススメの1冊である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
1 母なる自然に学ぶ-もっとも古い教え、もっとも賢い教え/2 なんで散歩するか、あるいはシステムはどうやって脆くなるか/3 マルガリータース・アンテ・ポルコース/4 アスペルガーと存在論的黒い白鳥/5 現代哲学の歴史における(たぶん)一番役に立つ問題/6 第四象限/7 第四象限をどうするか/8 黒い白鳥に強い社会の原則一〇箇条/9 汝の運命を愛せ

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2011年5月 4日 (水)

齋藤嘉則さんの『問題解決プロフェッショナル』を読んでみた

齋藤さんの『問題発見プロフェッショナル
「構想力と分析力」』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、『問題解決プロフェッショナル』を書いた

齋藤さんが、「なぜそれが問題なのか」、「問題と

思っていることが本当に問題なのか」という根本的

問から「問題」を考えることを前提に、構成している。

そして、その構成は大きく2つに分かれていて、

前半部は大局的に問題全体を構想する「問題発見

構想編」、後半部は発見した問題をさらに深掘りする

ための「問題発見分析編」であり、問題を構造的に

分解するテクニックが紹介されている。

内容としては、まず、問題とは「あるべき姿」と「現状」の

「ギャップ」であると定義し、問題が明確になれば、

解決策の精度は大幅に向上するとしている。

そして、問題発見ができない理由は次の4つだという。

①問題を定義する前提となる「あるべき姿」を、
 的確に描けない
②「現状」の認識・分析力が低く、正確な把握が
 できていない
③「ギャップ」の構造を解明して、問題の本質を
 具体化・優先順位づけすることができない
④実行可能な「解決策」から逆順で短絡的に
 問題をとらえるために、拡がりを見失う

ここで齋藤さんは①の説明の中で、「業績低迷の企業が

リストラによって一時的にプラス収益への転換を図った

後は、新たな成長・発展ステージについてビジョンや戦略

を示し、具体的課題に取り組むことが求められる」と

言っているが、実際にはこれではダメなのである。

ここでの順番は、まず「あるべき姿」を的確に描くことで

あり、ビジョンや戦略を示したうえで、それに合わない人

をリストラするということでなければならない。

それ以外のところについては、ほぼそのまま吸収しても

いいくらいに参考になる点が多い。

たとえば、ゼロベースから「あるべき姿」を構想する

戦略的問題発見などは、実践してみたいところである。

そして、その戦略的問題発見に必要なスキルは、

次の4つである。

①観察力:現状を客観的かつ正確に認識・把握する
②判断力:責任当事者として選択・判断・決定する
③分析力:具体的レベルにまで論理的に分析する
④統合力:限られた現状認識から全体像を構想する

全体として、少し古いが日本の事例なので馴染みやすく

様々な分析手法が数多く紹介されていて楽しめる。

齋藤さんの本は、さすがにマッキンゼーで活躍されて

いただけあって理論のまとめ方が上手い。

問題解決のクオリティをさらに1段あげたい

という人には、オススメの1冊である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1部 問題発見力が問われる(問題発見力が問題解決のクオリティを決定する)/第2部 問題発見構想編(戦略的問題発見の構想力を高める)/第3部 問題発見分析編(仮説思考と分析力は車の両輪/「拡がり」の中からギャップを生む重要原因を見出す/「深さ」をとらえ、問題を構造的に把握し、具体化する/「重み」づけを行い、取り組むべき問題の優先順位をつける)

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2011年5月 3日 (火)

櫻井よしこさんの『憲法とはなにか』を読んでみた

櫻井さんの『憲法とはなにか』を読んでみた

 (5つが最高)

毎年5月3日の憲法記念日には、法律に携わっている者の

義務として憲法に関する本を読むようにしている。

憲法といえば、それはすなわち第九条の「戦争の放棄」の

問題とされ、「護憲」か「改憲」か、ということが話題にされる。

しかし、この本は日本国憲法が抱えている問題点が

第九条だけではなく、環境権や知る権利など国際的な

新しい権利についての考えが書かれていないことにも

現れていることを指摘している。

私は、法学部の出身でもなく、憲法に関して資格試験の

受験の際に勉強した程度だが、頑固な護憲派である。

理由は単純で、今の憲法が最高のものだとは考えて

いないが、それでも改悪されるくらいなら、平和憲法の

ままであり続けてもらいたいというものだ。

これに対し、櫻井さんはジャーナリストらしい切り口で

憲法について考えないできたことが日本をダメにして

しまったのではないかという問題意識のもと、憲法に

ついて考える際の素材を提供してくれている。

もちろん憲法の専門家ではないので、憲法学者とは

違った問題の論じ方になっている点はある。

しかし、「日常から見た憲法の問題点」は指摘されてる。

そして、何より憲法に目を向けさせようという姿勢は、

ジャーナリストとしても正しい姿勢であると感じる。

私もこの本を読んであらためて憲法について考えて

みたが、その前文も含めて、やはり世界に誇れる平和

憲法だと思う。

普段法律とは無縁だと考えている人も憲法記念日に

くらいぜひ、憲法の各条文を読んでみてはどうだろうか。

とりあえず、ここでは第九条のみ記載しておく。

 第九条 戦争の放棄、軍備及び交戦権の否認

 一項 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際
平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力
による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決
する手段としては、永久にこれを放棄する。

 二項 前項の目的を達するため、陸海空軍その他
の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを
認めない。

この世界に類を見ない国家観が反映した憲法を

誇りに思う日本人はどれくらいいてくれるだろうか。

現在の国連がどのような自衛権を認めたとしても

まったく戦力を持つことが出来ないと定めたこの憲法。

恒久平和のために設立された国連の未来の理念を

大幅に先取りしていることは間違いない。

ただ、この憲法が認めがたいという人がいることも事実。

私のような護憲派も、ただ変えなければいいと考える

だけでなく、様々な人の憲法に関する考え方を知って、

実に迂遠な方法ではあるけれど、日々の研鑽を怠らず、

この国の先行きについて真剣に考えることから始めたい。

そして、この本は素材として、憲法記念日に読むのに

ふさわしい本であると思う。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 日本国憲法とはなにか/第2章 「時代遅れ」の現行憲法/第3章 まかり通る「憲法違反」/第4章 現行憲法で国が守れるか/第5章 第一歩にすぎない新ガイドライン/第6章 “諸悪の根源”内閣法制局の憲法解釈/第7章 今こそ「十七条憲法」「明治憲法」の精神に学ぶ/終章 二十一世紀の新憲法を創出せよ

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2011年5月 2日 (月)

小宮一慶さんの『成功する上司』を読んでみた

小宮さんの『成功する上司』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、『リーダーのための実践する経営』を小説化

したような作品で内容は充実している。

小宮さんがこれまでにその著書の中で語ってきたことを

上手く小説の形にしてまとめられている。

主人公の山村は40歳の会社員で、買収先の会社に

事業部長として出向を命ぜられる。

しかし、それまでは親会社のマネジャーだったが、

多くの部下を持ったことがなく、指示待ち人間の多い

社風の中で、なかなか改革が進まず苦労する。

銀行からの転職を経験している本社の先輩の藤田の

アドバイスや親会社の社長が書いた「リーダー心得帳」を

頼りに「成功する上司」となるべく、奮闘する物語は

かつて多くの部下をもっていた私でも楽しめた。

もちろん、現実には本の通りに簡単に物事は進まないが、

もっといろいろと現実に起こりそうなことを想像しながら

さらにその解決策まで思い描くと、自分なりの物語になり

いっそう楽しめるような構成になっている。

また、登場人物に自分が今まで接してきた実在の人物を

当てはめたりするのも面白い。

「経営とは何か」や「信念を持つことの大切さ」など、

ストーリーを追ううちに学べる構成は、これからいろいろ

学んでいく上でも、良いきっかけを与えてくれる。

情報を吸収するだけでなく、考えながら読むことによって

さらに多くのことが学べる良書である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 部下が自分を認めてくれない!/第2章 自分の考えを浸透させたい/第3章 部下が自発的に動かない!/第4章 働いているのに結果が出ない!/第5章 モチベーション・アップの秘策/第6章 誇りと信念を持てる組織作り/第7章 リーダーの志とは

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2011年5月 1日 (日)

鹿田尚樹さんの『大事なことはすべて記録しなさい』を読んでみた

鹿田さんの『大事なことはすべて記録しなさい』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、あらゆるツールを使ってただ記録するだけで

物事を上手く回していこうという示唆に富んだ本。

まずは、成果につながる、記録の5つのルール。

ルール1【大事】大事なことはすべて記録する
ルール2【時系列】日付と時間を書く&整理・分類しない
ルール3【シンプル】「箇条書き」&「キーワード」で書く
ルール4【1×1】1つのページに、1つのコンテンツ
ルール5【読み返す】1日5分、記録を読み返す

そして、記録インプット術で参考になるのは次のとおり。

ペンとノートは、どこで出しても恥ずかしくないものに。
オリジナル教科書となるノートを持ち歩く。
ノートの最初のページに短期・中期・長期の目標を書く。
右ページにメモを取り、左ページには自分のアイデア。
ネット画面は「画面キャプチャ」で保存する。
ICレコーダーで「会話・アイデア」を記録する。
移動中は携帯電話で記録する。

さらに、記録読書術で参考になるのは次のとおり。

効果的な「読書ノート」の作り方は、
①新しいフレームワークを抜き出す。
②ブログなどに使えそうな「引用句」を抜き出す。
③ポイントとエピソードを分けて抜き出す。

ブログで自分専用の「読書データベース」を作る。

また、記録時間術として参考になるのは次のとおり。

日々のタスクに必要な時間を記録する。
チェックシートを使って、仕事を記録化する。

記録健康術として参考になるのは次のとおり。

自分の健康状態を定期的に記録する。
不安を記録して、不安な気持ちから解放される。

最後に、記録することで得られる6つのメリット。

効果1【再現】読み返せる、マニュアル化できる
効果2【証拠】トラブル回避&実績を示す
効果3【熟考】書きながら考えることで自然と深く考える
効果4【俯瞰】続けることで違いが見え、そして速くなる
効果5【伝達】正しく速く伝えることができる
効果6【蓄積】保存・記録から解放される

とにかくいろいろ参考になることが多く、良書である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 大事なことはすべて記録しなさい/第2章 効率よく情報収集できる「記録インプット術」/第3章 速く読めて、忘れない「記録読書術」/第4章 記録を使って、可処分時間を2倍にする「記録時間術」/第5章 心と体も書くだけでスッキリ「記録健康術」/第6章 記録で人脈が10倍に広がる「記録コミュニケーション術」

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