柳井正さんの『この国を出よ』を読んでみた
柳井正/大前研一さんの『この国を出よ』を読んでみた
(5つが最高)
この本は、ユニクロの柳井さんが「政治大嫌い」にも
かかわらず、日本の危機的状況を見かねて大前さん
との対話形式で、その考えを表明するために出版した
本である。
ただ、正直言って、まだまだ認識が甘いと思う。
影響力を心配して今までこの手の発言を控えてきた
柳井さんが、何かしらの影響を与えたいからこそ本に
したのだと考えると、若干不安でもある。
特にビジネスでの成功者は、数多くの失敗者がいる
ことを忘れ、自分の能力を過信してしまう。
「まぐれ」とまでは言わないが、再現性はない。
絶望的なのに能天気な日本人を嘆いているが、
すでに能天気ではいられず絶望してしまった人たちは
この国に多くいるのが現実だ。
ユニクロを高級ブランドと感じて手が出ない層は
確実に広がっている。
デフレの張本人と名指しされても、バカバカしい意見
として、明確に否定してこなかった柳井さんだが、
この国を出て商売をするのに、今後もそれでいいのか。
と、ここまでは批判的な意見を並べてみたが、
やっぱり柳井さんの影響力は、すごいと思う。
何と言っても、これまで何度も英語を勉強しては
簡単に挫折してきた私が、この本を読んで、また
英語の勉強の必要性を感じ、取り組むことにした。
そして、世界の状況、特にアジアの変化にまったく
考えが及んでいなかったことを知らされた。
英語は手段であり、目的ではないと多くの人が
言うけれど、とりあえず英語でコミュニケーションを
とってみることは、世界に通じる近道だ。
人間の能力が一定だとすると、英語ができる人は
そのぶん何かができないという考えは、英語が
できない私の負け惜しみに過ぎない。
確かに、私のいる会社の英語ができる部長は、
仕事ができないが、そんな奴のことは放っておこう。
社内の英語公用化を発表したユニクロと楽天は
就職したい企業のランキング100位以内からは
ともに姿を消してしまうことになったが、それも
一過性のことだと信じたい。
若者の中にも世界で活躍したいという人はきっといる
はずだし、優秀な人は必ず英語の重要性に気づくはず
である。
ユニクロは今までがそうであったように、今後も失敗は
するだろうが、そのつど立ち上がって強くなると思う。
少なくとも柳井さんの考えが、ユニクロに浸透している
間は大丈夫だという気がする。
すっかり柳井ファンになってしまったが、大前さんの本も
また読みたいと思わせられるいい本であった。
その昔、『企業参謀』を読み熱い思いを抱いた若者は
もうすっかりオジサンになってしまったが、まだまだ
頑張らなければならない。
成功者2人が語る日本は、まだまだ再生が可能である
かのように描かれているが、現状はより厳しいことを
肌で実感している、これからを生き抜いていかなければ
いけない人たちに、ぜひおススメの1冊です。
【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 現状分析-絶望的状況なのに能天気な日本人/第2章 政治家と官僚の罪-誰がこの国をダメにしたのか?/第3章 企業と個人の“失敗”-変化を嫌う若者だらけの国を「日本病」と呼ぶ/第4章 ビジネスマンの「稼ぐ力」-「理想の仕事」探しより「自力で食える」人間になれ/第5章 企業の「稼ぐ力」-21世紀のビジネスに「ホーム」も「アウェー」もない/第6章 国家の「稼ぐ力」-日本再生のための“経営改革案”を提示する
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