デビッド・カークパトリックさんの『フェイスブック 若き天才の野望』を読んでみた
デビッド・カークパトリックさんの『フェイスブック 若き天才の野望
5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた』を読んでみた
(5つが最高)
この本は、今話題のフェイスブックの若き天才CEOで
あるマーク・ザッカーバーグを中心とした物語である。
しかし、脇役も充実していて、たとえばナップスターや
プラクソの創業者で、ロックスター的ライフスタイルから
投資化とのトラブルが絶えなかったション・パーカー。
ソーシャルネットワークの「リンクトイン」の創立者の
リード・ホフマンの右腕と言われたマット・コーラー。
ワシントン・ポストのCEOでザッカーバーグが尊敬する
ドン・グレアムなど500ページ以上の本にもかかわらず
まったく飽きることがない面白さである。
また、ザッカーバーグのフェイスブックに対する考え方が
分かって、ソーシャルネットワークが流行っている理由も
何となく分かってきた。
最も分かりやすいのが「ザ・フェイスブックは単なる
暇つぶしに過ぎない」という批判に対して、「人々を理解
できるようになることは暇つぶしではない」というもの。
そして、何よりこの仕組みの作り手である人たちが
楽しそうな様子が、フェイスブックそのものも楽しそうに
思わせてくれるところがいい。
私の会社でも、フェイスブックを使うことが推奨されて
いるので、いずれ使うことになるかもしれないが、
会社の人間に見られることを前提にした利用では
フェイスブックの面白さは半減してしまう気がする。
この本の中でも、プライバシーに関して1つの章を
あてており、その中に次のような記述が見られるが、
これは大学生から起業家になったザッカーバーグ
ならではの考え方であるように思う。
『「仕事上の友だちや同僚と、それ以外の知り合いとで
異なるイメージを見せる時代は、もうすぐ終わる」
と彼は言う。彼にはいくつか主張があった。
「2種類のアイデンティティーを持つことは、不誠実さの
見本だ」
ザッカーバーグが道徳家のように言う。しかし、実利的
な面を挙げてこうも言った。
「現代社会の透明性は、ひとりがふたつのアイデンティ
ティーを持つことを許さない」
言い換えれば、自分のプライベートを仕事情報と隔離
したいと思っても、個人情報がインターネットのあちこち
に広がっているから無理だということだ。』
このプライバシーに関しては、作者が書いているとおり
の傾向があるように思う。
すなわち、「年齢が上がるほど、フェイスブックの個人
情報の露出」に抵抗を感じる人が増えるということだ。
フェイスブックのユーザー数はすでに5億人を超え、
毎月5%と驚異的なスピードで成長しているという。
世界中で、個人や企業がコミュニケーションツールや
プロモーションツールとして使用しているというが、
果たして実名での登録が日本で主流となるかどうか。
私はプライバシーやリスクの方に目がいくので、
どうしても使いづらい気がするが、若い人は
そこらへんの感覚は私とは違うのかもしれない。
なお、私がこの本を読んで最も印象に残った場面は
ベンチャーキャピタルの名門でアップルやグーグル、
ヤフーやユーチューブなどに資金を提供したセコイアに
対して、ザッカーバーグたちがパジャマのズボンと
Tシャツでプレゼンをする悪ふざけの部分。
ション・パーカーがセコイアには痛い目にあわせられて
いたので、最初から資金提供を受けるつもりがなかった
からできたことだが、何となく痛快な場面だ。
最近読んだアメリカのオンライン靴小売企業の成功物語
である『ザッポス伝説』にもセコイアは登場していて、
作者のトニー・シェイが資金提供を待ち望んでいたのとは
対照的で、とても面白かった。
他にも、面白い話が満載で、フェイスブックについて
ほとんど何も知らない私のようなものでも楽しめたので、
利用している人や映画を見た人などはさらに楽しめる
のではないかと思う。
分厚い本だが、ぜひ挑戦してみて欲しい1冊である。
【目次】
プロローグ/第1章:すべての始まり/第2章:パロアルト
/第3章:フェイスブック以前/第4章:2004年、以前/
第5章:投資家/第6章:本物の企業へ/第7章:2005年、秋
/第8章:CEOの試練/第9章:2006年/第10章:プライバシー
/第11章:プラットフォーム/第12章:150億ドル/第13章:金を稼ぐ
/第14章:フェイスブックと世界/第15章:世界の仕組みを変える
/第16章:フェイスブックの進化 /第17章:未来へ
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