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2011年5月 4日 (水)

齋藤嘉則さんの『問題解決プロフェッショナル』を読んでみた

齋藤さんの『問題発見プロフェッショナル
「構想力と分析力」』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、『問題解決プロフェッショナル』を書いた

齋藤さんが、「なぜそれが問題なのか」、「問題と

思っていることが本当に問題なのか」という根本的

問から「問題」を考えることを前提に、構成している。

そして、その構成は大きく2つに分かれていて、

前半部は大局的に問題全体を構想する「問題発見

構想編」、後半部は発見した問題をさらに深掘りする

ための「問題発見分析編」であり、問題を構造的に

分解するテクニックが紹介されている。

内容としては、まず、問題とは「あるべき姿」と「現状」の

「ギャップ」であると定義し、問題が明確になれば、

解決策の精度は大幅に向上するとしている。

そして、問題発見ができない理由は次の4つだという。

①問題を定義する前提となる「あるべき姿」を、
 的確に描けない
②「現状」の認識・分析力が低く、正確な把握が
 できていない
③「ギャップ」の構造を解明して、問題の本質を
 具体化・優先順位づけすることができない
④実行可能な「解決策」から逆順で短絡的に
 問題をとらえるために、拡がりを見失う

ここで齋藤さんは①の説明の中で、「業績低迷の企業が

リストラによって一時的にプラス収益への転換を図った

後は、新たな成長・発展ステージについてビジョンや戦略

を示し、具体的課題に取り組むことが求められる」と

言っているが、実際にはこれではダメなのである。

ここでの順番は、まず「あるべき姿」を的確に描くことで

あり、ビジョンや戦略を示したうえで、それに合わない人

をリストラするということでなければならない。

それ以外のところについては、ほぼそのまま吸収しても

いいくらいに参考になる点が多い。

たとえば、ゼロベースから「あるべき姿」を構想する

戦略的問題発見などは、実践してみたいところである。

そして、その戦略的問題発見に必要なスキルは、

次の4つである。

①観察力:現状を客観的かつ正確に認識・把握する
②判断力:責任当事者として選択・判断・決定する
③分析力:具体的レベルにまで論理的に分析する
④統合力:限られた現状認識から全体像を構想する

全体として、少し古いが日本の事例なので馴染みやすく

様々な分析手法が数多く紹介されていて楽しめる。

齋藤さんの本は、さすがにマッキンゼーで活躍されて

いただけあって理論のまとめ方が上手い。

問題解決のクオリティをさらに1段あげたい

という人には、オススメの1冊である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1部 問題発見力が問われる(問題発見力が問題解決のクオリティを決定する)/第2部 問題発見構想編(戦略的問題発見の構想力を高める)/第3部 問題発見分析編(仮説思考と分析力は車の両輪/「拡がり」の中からギャップを生む重要原因を見出す/「深さ」をとらえ、問題を構造的に把握し、具体化する/「重み」づけを行い、取り組むべき問題の優先順位をつける)

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