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2011年5月13日 (金)

リチャード・セイラーさんの『実践行動経済学』を読んでみた

リチャード・セイラー/キャス・サンスティーンさんの
『実践行動経済学 健康、富、幸福への聡明な選択』
を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、行動経済学を実際に健康、富、幸福へと

その適用の範囲を広げて論じているところに特色がある。

重要な用語は「リバタリアン・パターナリズム」と「ナッジ」。

どちらかというと経済学ではインセンティブということで

全てが処理されてしまっていたが、原著のタイトルでも

ある「ナッジ」は、「他人に注意を喚起させたり、気づか

せたり、控えめに警告したりする」ことである。

また、「リバタリアン・パターナリズム」は、「選択の自由が

妨げられているわけでも、選択肢が制限されているわけ

でも、選択が大きな負担になるわけでもない」が、より

良い暮らしへの緩やかな「誘導」として意味づけられる。

これらのキーワードを行動経済学が明らかにした

バイアスにからめながら、だんだんと経済学から話が

拡散していくように感じられる。

「誘惑」や「心の会計」は、まだ経済学的話題で収まって

いるが、「結婚を民営化する」というところまで来ると

政策提言であるのかさえ私には判断がつかない。

経済的効果というよりも社会的効用というほうが近い。

経済学としてこんなことまで語れてしまうのかという意味

では、とても刺激的な作品である。

行動経済学が既存の経済学だけでなく、あらゆる学問の

中に入っていって、いろいろと面白い発見をさせてくれる

ことは、とても愉快である。

経済学の狭い枠にとらわれている人は、ぜひ行動経済学の

実践編として、この本を呼んでみることをおススメする。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1部 ヒューマンの世界とエコノの世界(バイアスと誤謬/「誘惑」の先回りをする ほか)/第2部 個人における貯蓄、投資、借金(意志力を問わない貯蓄戦略/オメデタ過ぎる投資法 ほか)/第3部 社会における医療、環境、婚姻制度(社会保障制度の民営化-ビュッフェ方式/複雑きわまりない薬剤給付プログラム ほか)/第4部 ナッジの拡張と想定される異論(一二のミニナッジ/異論に答えよう ほか)

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