« 本田直之さんの『レバレッジ・マネジメント』を読んでみた | トップページ | 辛坊治郎さんの『あいまいな日本の問題点がスッキリわかる』を読んでみた »

2011年5月15日 (日)

クリス・アンダーソンさんの『フリー』を読んでみた

クリス・アンダーソンさんの『フリー
〈無料〉からお金を生みだす新戦略』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、全てのものが無料になるという話でもないし、

無料にすれば利益が得られるという話でもない。

副題にもあるとおり、無料からいかに利益を生み出すか

ということについて書かれた本である。

けれど、現状の様々なビジネスモデルに感心がある人

であれば、書いてあることのほとんどを知っている。

しかも、誰もが知っている、ラジオやテレビが無料である

理由と同じ広告料によって無料化を実現している話や、

携帯電話を無料にして通話料で利益を上げる話など

つまらない話が多すぎる。

できれば、無料の理由がプライバシーを犠牲にしている

とか、心理学的に人間の欲求に働きかけていることで

無料が実現されているという例を多くして、「新戦略」と

誰もが感じられるようなものにして欲しかった。

また、この本には他人の意見の引用があまりにも多い。

たとえば、様々な問題を起こすことで有名な、けっして

先進的なだけではないグーグルの戦略について。

『どうしてグーグルではフリーがあたりまえなのだろう。
なぜなら、それが最大の市場にリーチして、大量の
顧客をつかまえる最良の方法だからだ。シュミットは
これをグーグルの「最大化戦略」と呼び、そのような
戦略が情報市場の特徴になるだろうと考えている。
その戦略はとても単純だ。「何をするにしても、分配が
最大になるようにするのです。言いかえると、分配の
限界費用はゼロなので、どこにでもものを配れると
いうことです」』

また、有料コンテンツが無料化する6つの理由も

ジョナサン・ハンデルの意見の要約である。

理由のタイトルだけを並べると次のとおり。

『1.供給と需要
 2.物質的形状の消滅
 3.入手しやすさ
 4.広告収入で運営するコンテンツへの移行
 5.コンピュータ業界は無料にしたがっている
 6.フリー世代』

長ったらしいところは一部抜粋しているが、

このことからも分かるとおり、とにかく重要な考察は

他人の借りものなのである。

他にも事実の説明については、ウィキペディアを

引用しているという手の抜きよう。

この本が売れた理由は、私にはよく分からないが

現実に起きていることの確認としてなのだろうか。

それでは、次の無料のルールを吟味していただきたい。

『無料のルール
1.デジタルのものは、遅かれ早かれ無料になる
2.アトムも無料になりたがるが、力強い足取りではない
3.フリーは止まらない
4.フリーからもお金儲けはできる
5.市場を再評価する
6.ゼロにする
7.遅かれ早かれフリーと競いあうことになる
8.ムダを受け入れよう
9.フリーは別のものの価値を高める
10.稀少なものではなく、潤沢なものを管理しよう』

私にとっては、あまり参考にならなかったが、

最後に感じたことを書くと、この本自体、アメリカでは

無料で読むことができたらしいが、日本では有料で

しかもその出版社がテレビ局としては無料化を拒み

続けているNHK関係のNHK出版なのは不思議だ。

現状の無料化の流れを大枠で捉えたい人向けの1冊。

【目次】(「BOOK」データベースより)
フリーの誕生/無料とは何か?(「フリー」入門-非常に誤解されている言葉の早わかり講座/フリーの歴史-ゼロ、ランチ、資本主義の敵/フリーの心理学-気分はいいけど、よすぎないか?)/デジタル世界のフリー(安すぎて気にならない-ウェブの教訓=毎年価格が半分になるものは、かならず無料になる/「情報はフリーになりたがる」-デジタル時代を定義づけた言葉の歴史/フリーと競争する-その方法を学ぶのにマイクロソフトは数十年かかったのに、ヤフーは数カ月ですんだ/非収益化-グーグルと二一世紀型経済モデルの誕生/新しいメディアのビジネスモデル-無料メディア自体は新しくない。そのモデルがオンライン上のあらゆるものへと拡大していることが新しいのだ/無料経済はどのくらいの規模なのか?-小さいものではない)/無料経済とフリーの世界(ゼロの経済学-一世紀前に一蹴された理論がデジタル経済の法則になったわけ/非貨幣経済-金銭が支配しない場所では、何が支配するのか/(ときには)ムダもいい-潤沢さの持つ可能性をとことんまで追究するためには、コントロールしないことだ/フリー・ワールド-中国とブラジルは、フリーの最先端を進んでいる。そこから何が学べるだろうか?/潤沢さを想像する-SFや宗教から、“ポスト稀少”社会を考える/「お金を払わなければ価値のあるものは手に入らない」-その他、フリーに対する疑念あれこれ)/結び-経済危機とフリー

【送料無料】...

【送料無料】...
価格:1,890円(税込、送料別)

|

« 本田直之さんの『レバレッジ・マネジメント』を読んでみた | トップページ | 辛坊治郎さんの『あいまいな日本の問題点がスッキリわかる』を読んでみた »

金融・経済」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: クリス・アンダーソンさんの『フリー』を読んでみた:

« 本田直之さんの『レバレッジ・マネジメント』を読んでみた | トップページ | 辛坊治郎さんの『あいまいな日本の問題点がスッキリわかる』を読んでみた »