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2011年6月26日 (日)

勝間和代さんの『勝間さん、努力で幸せになれますか』を読んでみた

勝間和代/香山リカさんの
『勝間さん、努力で幸せになれますか』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、正直言って読んでいて不愉快になる。

扱われている問題が重要なことも、論じている

2人への信頼感があることも、まったく関係ない。

とにかく、香山さんの立ち位置が不自然すぎる。

まず、『しがみつかない生き方』で、ふつうの幸せを

手に入れるためには「“勝間和代”を目指さない」と

書いた香山さんに、勝間さんが書いた動機を

質問したときの答えは、編集者の注文ですというもの。

香山さんとしては、精神科医として頑張りすぎて

病気になってしまう人たちを診てきた経験から

あえて言っておきたいということで、覚悟をもって

対談に臨んだと思うのだが、その立ち位置は

まったく納得のいくものではなかった。

そして、香山さんの主張は、どうヒイキ目に見ても

頑張らない人の代弁者というよりは、自堕落な

自分の正当化というもの以外ではなかった。

なぜ、この社会の犠牲者ともいうべき患者の代弁者

ではなく、香山さん自身が努力しない人として、

努力して成功したとされている勝間さんに

対したのか私には理解しがたい。

また、このような香山さんの立ち位置を

多くの番組でコメンテーターとして活躍する

精神科医のものとして納得できる人は

あまり多くいるとは思えない。

病気の人という例外的な人を出してくることに

香山さんなりの抵抗があったのかもしれないが

努力もせず医者になり、多くの著作の中で

かなりの読書量であることが明らかなコメントを

しておきながら、実はプロレス好きなだけの

怠け者なんですと言われても、納得がいかない。

そのため、どこまで勝間さんが丁寧に説明をしても

香山さんの質問がヘリクツのように感じられて、

議論についていけない。

ところどころで、勝間さんが今までの主張を

修正してまで、議論に応じている点は読んでいて

好感が持てたが、議論そのものには正直なところ

深さが感じられなかった。

ただ、1つこの本に救いがあるとすれば、

「あとがきにかえて」書かれた香山さんから

勝間さんへの手紙の結びでは、今後ますます

2人の距離が離れる一方で、ひとつのテーブルを

はさんで話す機会など、もうないかのように

語られていることに反して、お互いに交流が

あるらしいことだ。

勝間さんには、今回の批判を受け止めた上での

新しい展開を期待したいし、香山さんには、

もっと物言わぬ弱者の目線からの今までどおりの

優しさにあふれた展開を期待したい。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 “勝間和代”は成功者のアイコンか/第2章 ふつうの幸せとは何か/第3章 努力は楽しいか苦しいか/第4章 仕事で幸せは得られるか/第5章 女と結婚と幸せ/第6章 教育と政治で幸せはもたらせるか

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