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2011年7月 8日 (金)

アブラハム・H・マズローさんの『自己実現の経営』を読んでみた

アブラハム・H・マズローさんの『自己実現の経営』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、心理学者で、人間の欲求を5段階の階層に

理論化した「マズローの欲求段階説」で有名なマズロー

の企業経営に関する本である。

この本では、マズローの欲求段階説をもとに

ダグラス・マグレガーが、その著書『企業の人間的側面』

の中で用いたXY理論が前提として出てくる。

まず、X理論とは、「人間は本来なまけたがる生き物で、

責任をとりたがらず、放っておくと仕事をしなくなる」という

考え方で、命令や強制で管理し、目標が達成できない

ときは懲罰が必要であるという経営手法である。

それに対し、Y理論とは、「人間は本来進んで働きたがる

生き物で、自己実現のために自ら行動し、進んで問題

解決をする」という考え方で、労働者の自主性を尊重する

経営手法である。

マズローは、このXY理論を当然の前提とした上で、

あまり説明もなしに用いているので、この理論自体を

知らない人には、少し取っ付きにくいかもしれない。

しかも、マズローはY理論がY事実にすでになっている

として、強く押す一方で、その理論の不完全なことも

指摘しているので、さらに分かりづらい。

ただ、ここで述べられていることの多くは、すでに

古典になっていると言ってもよいだろう。

その証拠に、マズローの言う自己実現理論は

ドラッカーにも引き継がれ、「知識労働者が働く理由は

自己実現なので、仕事で成果を上げたかどうかは、

自己実現したかどうかとイコールになる」とされている。

では、マズローが掲げる「健全な心理的企業経営」の

条件とはどういったものかといえば、次のとおり。

①仕事を通じて自己実現すること
②Y理論(=Y事実)的経営
③協働関係の醸成
④企業の全体的・有機的組織関係
⑤経営管理者の態度とリーダーシップ
⑥社会向上

古い本ではあるが、読んでみる価値は十分にある。

【目次】
自己実現と組織の関係/経営と個人性/非組織的グループについての考察/近代的経営のモチベーション理論/社会向上理論ほか

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