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2011年7月31日 (日)

W・チャン・キムさんの『ブルー・オーシャン戦略』を読んでみた

W・チャン・キム/レネ・モボルニュさんの
『ブルー・オーシャン戦略』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、既知の競争の激しい市場空間である

レッド・オーシャンから抜け出して、未知のルール

なき競争のない市場空間であるブルー・オーシャン

を追い求め、つかみ取るための実践的な枠組みと

分析法を示している。

まず、ブルー・オーシャン戦略の6原則は

次のとおり。

策定の原則
①市場の境界を引き直す
②細かい数字は忘れ、森を見る
③新たな需要を掘り起こす
④正しい順序で戦略を考える
実行の原則
⑤組織面のハードルを乗り越える
⑥実行を見すえて戦略を立てる

また、ブルー・オーシャンを創造するための

基本分析手法の1つである「4つのアクション」は

次のとおり。

①取り除く
②思いきり減らす
③大胆に増やす
④付け加える

そして、ブルー・オーシャンという未開拓の市場を

創造するために必要な「バリュー・イノベーション」とは、

「コストを押し下げながら、買い手にとっての価値を

高める状態」を意味する。

その実現のポイントは、コストを下げるために

業界では常識とされている競争のための要素を

そぎ落とすことと、買い手の価値を高めるために

業界にとって未知の要素を取り入れること。

では、どのようにブルー・オーシャンを創造していくか

については、6つのパスがある。

①代替産業に学ぶ
②業界内のほかの戦略グループから学ぶ
③買い手グループに目を向ける
④補完財や補完サービスを見渡す
⑤機能志向と感性志向を切り替える
⑥将来を見通す

実際には、ほとんどの人がレッド・オーシャンの

競争の中で日々働いていることと思う。

そんな日常から抜け出すために、できることが

この本には書かれている。

ブルー・オーシャンに行けるかは、人それぞれだが

目指すべき所があるということは幸せなことである。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1部 ブルー・オーシャン戦略とは(ブルー・オーシャンを生み出す/分析のためのツールとフレームワーク)/第2部 ブルー・オーシャン戦略を策定する(市場の境界を引き直す/細かい数字は忘れ、森を見る/新たな需要を掘り起こす/正しい順序で戦略を考える)/第3部 ブルー・オーシャン戦略を実行する(組織面のハードルを乗り越える/実行を見すえて戦略を立てる/結び:ブルー・オーシャン戦略の持続と刷新)

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2011年7月30日 (土)

美崎栄一郎さんの『「結果を出す人」はノートに何を書いているのか』(実践編)を読んでみた

美崎さんの『「結果を出す人」はノートに
何を書いているのか』(実践編)を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、前作の実践編として現役社会人25名の

ノートの中身を公開し、美崎さんがアドバイスをする

という構成になっている。

そして、仕事のノートの取り方に正解はないが、

あなたのノートの取り方には、実は「正解」がある

というコンセプトのもとに書かれている。

また、美崎さんのノート術はメモノート、母艦ノート、

スケジュールノートを組み合わせた3冊ノート術なの

ですが、今回は次の3つにノートを分類し、

実例を写真付きで紹介してくれている。

①仕事で結果を出したい人の仕事ノート
②自分を成長させるためのノート
③後から振り返るためのライフログ的なノート

それぞれに工夫を凝らしたノートではあるが

さらに美崎さんからのアドバイスが的確で

アイデアに満ちている。

有名人のノートとしては、勝俣州和さんの

全国ラーメンノートとアンジャッシュ・渡部建さんの

ネタノートが紹介されている。

気づきの多かった前作と比較すると少し物足りない

気もするが、ノート術に興味がある人は、

ぜひ読んでみてください。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 仕事で結果を出したい人のノート(破綻しないタスク管理術/「裏紙症候群」から脱出すべし ほか)/第2章 ワンランク上を目指す人のノート(仕事を“魅せる”ノートの作り方/スピード重視の議事録ノート ほか)/第3章 自分磨きをしたい人のノート(テレビの情報を書き留めるノート術/リアルな記録を残すセミナーノート ほか)/第4章 軌跡を記録するノート(毎日を記録するライフログ/ノートを生活フローに取り入れる ほか)

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2011年7月25日 (月)

主藤孝司さんの『お金がないから成功できる「波乗り」経営』を読んでみた

主藤さんの『お金がないから成功できる
「波乗り」経営』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、年商10億円程度までをサーファー級とし、

そのクラスの成功ノウハウを書いた本である。

SOHOや自営業で従業員も30人以下という規模には

大企業とは違うノウハウが必要ということだが、

納得いくものもあれば、首を傾げたくなるものもある。

たとえば、お金があると努力しなくなってしまうので

お金がないから成功できるということはあるだろう。

また、不況のときでもブームの対極にある市場で

商売することによって儲けられるかもしれない。

けれど、大企業の成功パターンを連続した考え方

「チェーンシンキング」とし、中小企業の成功パターンを

何の脈絡もつながりもない考え方「ジャンプシンキング」

とするのはいかがなものか。

特に例として挙げられている「雨が降ってきた。だったら

モーニング娘。のメンバーがまた一人卒業するかもしれ

ない」という考え方は、ただのバカな考え方でしかない。

常識にとらわれない「飛躍的な思考法」や別の角度から

問題を見直す「多角的思考法」なら話は分かるが

とにかく「いいかげん」に考えれば成功するというのは

たまたま上手くいった人の「まぐれ」に付き合わされて

いる気がしてくる。

しかも、すべての成功事例が著者のNTT代理店として

ISDNをたくさん売ったと言う話だけなのも痛い。

それでも、「起業家常識のウソ」として、次のような事が

間違いであると指摘している点は面白い。

①まずは事業計画だ
 起業時にはイレギュラー対応が重要なので
 事業計画に縛られてはならない
②まずは開業資金を調達しよう
 タネ銭は他人に頼ってはならず、作る前に
 売ってしまうくらいの営業力をつけるべき
③好きなことで独立しなさい
 好きなことを商売にしている人ほど儲かっていない
 まずは「好きでもない目の前の仕事に積極的に取り
 組み、そこから何が学べるか」を常に考えて前向きに
 自分の役割をこなしていくべき
④事業をやるならメンターを持つべきだ
 どういうタイプのメンターが自分にマッチしている
 のかは、自分で商売を始めて利益を出し、失敗も
 重ねていきながら出ないと分からないもの
⑤低価格で勝負しろ
 儲かる企業家は「値上げの実行力」で勝負する
⑥1円株式会社は企業のチャンス
 これは会社法施行によって関係なくなった
⑦感情に訴えるエモーショナルマーケティングこそ最強
 広告の出し方をマスターしたって儲からない
 師匠筋の神田昌典さんを批判するなんて立派
⑧小冊子をつくりなさい
 普通に売っては売れない商品を売っているから
 小冊子なのである
 小冊子は「使うタイミング」が重要
⑨睡眠時間を惜しんで仕事をする
 企業化には瞬発力が必要であり、その瞬発力を
 生む源が「爆睡」なのだ

根拠が薄かったり、主藤さんが成功した方法と違うだけ

だったり、ということもあるように思うが、一つの指針と

してとても興味深く読むことができた。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 景気が悪いから起業家は成功する!/第2章 なぜ、あなたは儲かる起業家になれないのか?/第3章 起業家常識のウソ/第4章 不況だから成功する起業家のノウハウができるまで/第5章 商品なし、資金なし、人なし。だから成功する「波乗り」経営/第6章 「アクティブウェーブ戦略」の5ステップ/終章 あなたの資産を倍増する思考法

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2011年7月23日 (土)

C・K・プラハラードさんの『ネクスト・マーケット』を読んでみた

C・K・プラハラードさんの『ネクスト・マーケット』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、渋井真帆さんの『大人のたしなみビジネス理論

一夜漬け講座』に紹介されていた8冊のうちの1冊。

まず、次に来る市場は何かと言えば、経済ピラミッドの

底辺に位置する貧困層(Bottom of the Pyramid=BOP)が

今後急速に成長する魅力的な市場になるということ。

世界には、1日2ドル未満で生活する貧困層が40億人も

いるのである。

企業は彼らを、援助の相手としてはなく、ビジネスの対象

として重視すべきである。

そして、BOPへのアプローチは、自社の顧客にするため、

まず視点を変え、常識を捨てるところから始まる。

そうするとBOP市場の実情を反映した新しい原理が

求められることになり、そのイノベーションの原理を

構成する12の原則は次のとおりとなる。

1.  コストパフォーマンスを劇的に向上させる
2.  最新の技術を活用して複合型で解決する
3.  規模の拡大を前提にする
4.  環境資源を浪費しない
5.  求められる機能を一から考える
6.  提供するプロセスを革新する
7.  現地での作業を単純化する
8.  顧客の教育を工夫する
9.  劣悪な環境にも適応させる
10.消費者特性に合うユーザー・インタフェースを設計する
11.貧困層にアプローチする手段を構築する
12.これまでの常識を捨てる

とにかく、BOP市場に参入することで得たノウハウや

実現したイノベーションは、先進国市場でも活用でき、

企業の成長や発展に大いにつながるものである。

BOP市場の攻略は難しいが、それによって得るものは

大きいということを多くの成功事例が示している。

めちゃくちゃ分厚い本であるが、読んでおく価値はある。

【目次】(「BOOK」データベースより)
1 序論(企業と貧困-この5年間で変わったグローバル経済のルール)/2 知られざる巨大市場(経済ピラミッドの底辺に眠る市場/BOP市場におけるイノベーション/世界規模のビジネスチャンス/富を創造する経済エコシステム/市場を機能させる条件/社会を変革する経済開発)/3 CEOからの手紙(各界のリーダーはBOPをどう見ているか)/4 ケース・スタディ 新時代のイノベーション(ジャイプール・ラグズ-農村を組み込んだグローバル・サプライチェーン/カザス・バイア-信用販売でBOPの「消費力」を高める/セメックス-貯蓄プログラムを通じて住宅を供給する/ヒンドゥスタン・ユニリーバ1-ヨード欠乏症を闘うマイクロ起業家/ヒンドゥスタン・ユニリーバ2-官民連携で手洗い習慣を推進する/ジャイプール・フット-生きる希望を与える義足/アラビンド・アイ・ケア・システム-すべての人に世界レベルの眼科医療を/ICICI銀行-マイクロファイナンスが社全体を変える/ITC eチョーパル-貧しさゆえの制約をネットワーク力で打破する/EIDパリー-市場を開放するインターネット・キオスク/ボクシーバ-25億台の電話とインターネットで感染症を防ぐ/E+Co-BOPの起業家を支援しエネルギー問題を解決する/アンドラ・プラデシュ州政府-eガバナンスが生んだ社会変革)

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2011年7月21日 (木)

渋井真帆さんの『あなたを変える「稼ぎ力」養成講座新版』を読んでみた

渋井さんの『あなたを変える「稼ぎ力」養成講座新版
決算書読みこなし編』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、「決算書読みこなし編」と銘打たれているが

この本のみで決算書を読みこなすことはできない。

しかし、この本には他の決算書を読むための本には

かけている重要な視点が提供されている。

それは、決算書を読む時は、何かと比較しないと

読んでいることにはならないというものだ。

決算書は1社のものを1期分だけ見ても、何のことか

さっぱり分からない。

それでは何と比較すべきかといえば、次の3つである。

①同業他社と比べる
②過去と現在を比べる
③計画と実績を比べる

この本では、細かい勘定科目については語られない。

全てが比較するための解説なのである。

そのため財務分析も「8つの指標」で十分だという。

①総資本利益率(ROA)=最終利益÷総資本 (%)
②株主資本利益率(ROE)=最終利益÷株主資本 (%)
③売上高営業利益率=営業利益÷売上高 (%)
④自己資本比率=自己資本÷総資本 (%)
⑤負債比率=有利子負債÷自己資本 (倍)
⑥売上高営業キャッシュフロー比率=営業キャッシュフロー÷売上高 (%)
⑦売上高伸び率=(当期売上高÷前期売上高)-1 (%)
⑧営業利益伸び率=(当期営業利益÷前期営業利益)-1 (%)

また、株式投資に必要な3つの指標も簡潔。

①株価収益率(PER)=株価÷一株当たり当期純利益
②株価純資産倍率(PBR)=株価÷一株当たり純資産額
③配当利回り=配当額÷株価×100 (%)

決算書の細かな知識を求めている人には

少し物足りない本であることは間違いないだろう。

けれど、本当に知っておくべきことは、

この本に書いてある「比較すること」なのだ。

この基本の基本を知ってから、さらに細かい

知識を身に付けると決算書が面白くなると思う。

そういう意味では、「決算書読みこなし編」と

いうよりは、入門編というほうがしっくりくる。

鮮やかな表紙になった「新版」でどうぞ。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 決算書「読みこなし力」は人生を変える/第2章 貸借対照表「読みこなし」編/第3章 損益計算書「読みこなし」編/第4章 キャッシュフロー計算書「読みこなし」編/第5章 業界をセクターでみるエクササイズ/第6章 いちばん使える財務分析「8つの指標」を覚えよう/第7章 株式投資に必要な3つの指標を使いこなそう/第8章 決算書で1社の過去・現在、未来を分析しよう/第9章 新聞記事を読みこなそう/第10章 経済誌を読みこなそう

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2011年7月18日 (月)

藤井孝一さんの『成功するためのビジネス書100冊』を読んでみた

藤井さんの『成功するためのビジネス書100冊』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、『週末起業』で有名になった藤井さんの

ビジネス選書家としての書評集である。

水野さんの『成功本50冊「勝ち抜け」案内』と比べて

紹介されている本の推薦の度合いが分からないのが

残念ではあるが、今後の読書にとても参考になる。

私が読んだことのある本に関しては、藤井さんが

どんな評価をしているか、また、私がまだ読んだ

ことがない本に関しては、藤井さんがどのように

あらすじをまとめてコメントしているのかを楽しむと

いった感じなのは、この手の本に共通している。

とにかく、今後読んでみたいと思った本は次のとおり。

①『リーダーシップ論』
 ジョン・P・コッター ダイヤモンド社

②『ニューエコノミー勝者の条件』
 ケビン・ケリー ダイヤモンド社

③『ビジネスEQ』
 ダニエル・ゴールマン 東洋経済新報社

④『コトラーの戦略的マーケティング』
 フィリップ・コトラー ダイヤモンド社

⑤『ルネッサンス』
 カルロス・ゴーン ダイヤモンド社

⑥『コトラー新マーケティング原論』
 フィリップ・コトラー 翔泳社

⑦『企業変革力』
 ジョン・P・コッター 日経BP社

⑧『ファンキービジネス』
 ヨーナス・リッデルストラレほか 博報堂

⑨『静かなリーダーシップ』
 ジョセフ・L・バダラッコ 翔泳社

⑩『コトラーのマーケティング・コンセプト』
 フィリップ・コトラー 東洋経済新報社

⑪『コア・コンピタンス経営』
 ゲイリー・ハメルほか 日本経済新聞社

⑫『競争の戦略』
 マイケル・E・ポーター ダイヤモンド社

⑬『考える技術・書く技術』
 バーバラ・ミント ダイヤモンド社

⑭『創造的仕事の技術』
 忰田進一 ソフトバンクパブリッシング

⑮『3分以内に話はまとめなさい』
 高井伸夫 かんき出版

⑯『戦略「脳」を鍛える』
 御立尚資 東洋経済新報社

⑰『40歳からの仕事術』
 山本真司 新潮社

⑱『鈴木敏文の「統計心理学」』
 鈴木敏文 プレジデント社

⑲『チャールズ・シュワッブが教える定年後資産倍増術』
 チャールズ・シュワッブ 徳間書店

⑳『お金でなく、人のご縁ででっかく生きろ!』
 中村文昭 サンマーク出版

メルマガの文章を本にしたらしく、前後のつながりが

不明な表現や、誤字脱字が多く気になった。

「あらすじ」のまとめ方が上手なだけに、残念である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
はじめに 「藤井式」“脳力”アップを高めるビジネス書の選び方、読み方、活かし方/第1章 おさえておきたいビジネス名著30選/第2章 仕事脳を鍛えたい!あなたのための本/第3章 お金持ちになりたい!あなたの必読書/第4章 いつかは会社を飛び出したい!あなたの必読書/第5章 すぐに仕事に活かしたい!あなたのための本/第6章 たまには日本を考えたい!あなたの必読書

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2011年7月13日 (水)

山崎元さんの『ほったらかし投資術』を読んでみた

山崎元/水瀬ケンイチさんの『ほったらかし投資術
インデックス運用実践ガイド』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、エコノミスト山崎さんと投資ブロガーの

水瀬さんがプロにも負けないほぼほったらかしで

OKな「インデックス投資」について詳しく解説して

くれている。

リスクを避け確実に資産を殖やしたいと願う人に

最適の投資運用法インデックス・ファンド投資の

仕組みと、なぜアクティブ・ファンドに比べて優秀な

のかを簡単に解説し、初心者でもすぐに始められ

るよう各種インデックス商品ガイドもついている。

もちろん、インデックスファンドがいいというだけで

なく、運用についての記述も充実している。

シンプル運用術の基本的な手順は次のとおり。

①家計の財務的な状態を把握する
②「資産配分計画」を考える
③個々の「資産クラス」にどの運用商品を
 充てるのがいいかを選択する
④どの購入窓口で購入するのがいいかを
 考えて、投資する
⑤運用内容を時々メンテナンスする

なお、山崎さんが『超簡単お金の運用術』で主張して

いた「ETFに、国内株4割・外国株6割の比率で投資

する」という投資比率を今回は国内外に半々でもいい

というように修正してきているが、私はかつて書いた

ように「個人的には外国株の比率をもっと高くすること

が有利な気がする」という意見に変わりはない。

当然、日本株で損を続けてきた経験によるものだろう

という理由も変わりがない。

ただ、為替の見通しについては分からないので、

外貨建ての商品を買う際には注意が必要だと思う。

インデックス投資に興味がある人は、ぜひ1度

読んでみると面白い本だと思う。

【参考文献】
『資産運用実践講座Ⅰ投資理論と運用計画』
 山崎元
『最新 資産設計はポートフォリオで考える
 投資信託35の法則』 カン・チュンド
『初心者は株を買うな!』 内藤忍
『しぶとい分散投資術 世界金融危機でわかった!』
 田村正之

【目次】(「BOOK」データベースより)
序章 人はどのようにしてインデックス投資家になるか-水瀬ケンイチの投資遍歴/理論編 なぜ、普通の人にとってほぼベストの資産運用法なのか?-山崎元が教えるインデックス投資の基礎知識/実践編 インデックス投資、こうやったら大丈夫-水瀬ケンイチのすぐにできる徹底ガイド/商品ガイド編 インデックスファンド、ETF商品完全ガイド/もっと知りたいあなたへ ファンドマネジャーに聞く!ここが知りたいインデックス投資/終章 「ほったらかし運用」の魅力とあなたの未来

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2011年7月12日 (火)

小宮一慶さんの『日本経済 このままでは預金封鎖になってしまう』を読んでみた

小宮さんの『日本経済
このままでは預金封鎖になってしまう』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、小宮さんの本にしては珍しく政治的な色彩が

強いつくりになっており、賛成しかねる点が多々あった。

たとえ、それがタイトルにもあるとおり、この国の置か

れた危機的状況から来るものであったとしても、

容認できる範囲にはないというのが感想である。

そもそも「預金封鎖」などになってしまうのかを含め

よくよく慎重に検討しながら読みすすめる必要が

ある本である。

特に印象的なのは次の記述です。

『もちろん、政府と企業では規模が違いますし、
税を強制的に徴収できるなど仕組みも違います。
ですから、企業と国を単純に比較することに
違和感のある方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、破綻するかしないかは、家計も企業も
国も基本的には同じです。稼ぐより使っていれば
借金は増えますし、借りたお金が返せなければ
企業も政府も破綻するのです。
ただ、政府は徴税権がある分、国民がお金を
持っている限りは信用度がある程度は高いと
いうだけです。』

議論を単純化するためとは言え、家計も企業も国も

みんな同じというのはあまりにも乱暴な気がする。

政府には、税を強制的に徴収できる徴税権がある

という大きな違いのため、国民は政府がいかに

無駄遣いしたとしても、後で税金を払うことによって

穴埋めできるチャンスが残されているのである。

もし税金は払いたくないが、バラマキだけはして

欲しいという私のような不心得者ばかりだったと

したら「預金封鎖」という事態に至っても預金が

そもそもないということもありえないことではない。

そして、預金のない私でも次のような「処方箋」が

危険なものであることは分かるのである。

危機を克服するための5つの処方箋
①財政健全化のためのコストカットと消費税の増税
②移民の積極的受け入れと徹底した少子化対策に
 よる人口ピラミッドの健全化
③日本の得意分野を成長させる教育制度の導入
④地域経済活性化と沖縄基地問題を一気に解決する
 防衛力増強
⑤エコ活動強化で貿易黒字の確保

小宮さんなりの処方箋に敬意は表するが、①が

実現の可能性のある唯一のものだろう。

移民は消極的に受け入れたとしても、人口ピラミッドを

変化させるほどにはならないだろう。

教育制度では時間がかかりすぎ、日本の得意分野が

失われてしまうのに間に合わないだろう。

防衛力増強による経済対策などは論外である。

日本が防衛力によって国を守れるなどということは

まったくの幻想である。

もし日本の教育が世界に誇れる点があるとすれば

その最たるものは、戦争になったら国家など捨てろ

ということを若い世代に浸透させたことである。

このことは日本の技術者が韓国の製品を支えて

いることからも分かることである。

私も法律に携わって生活を維持しているので

戦争放棄の憲法解釈については意見を持って

いるが、そんなことは現実の前ではあまりにも

くだらないことである。

戦争になったら人々は国家を捨てて逃げ出すだけだ。

生活のためなら人々は外資で働くことをいとわない。

少子化が問題であっても子供が欲しくない夫婦は

国家のために子供を作ったりしないのである。

エコ活動も震災があったから節電の意識が高まったが

そうでなければ遅々として進まなかっただろう。

最後に、この本を読んで最も疑問に思ったことは、

Chabo!という活動をともにしている勝間和代さんは

インフレターゲット論者のように思うが、小宮さんは

勝間さんにインフレターゲットの危険性を話したり

しないのだろうかということ。

今度、二人がこの問題で共著を出してくれないだろうか。

そしたら絶対に私は読むと思うのだが。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 世界一ひどい日本の財政赤字(日本の現実を直視する/日本の急所、銀行が買い支える大量の国債)/第2章 インフレターゲットは危険な議論(国債金利とインフレ、デフレの関係/インフレからはじまる日本破産のシナリオ)/第3章 財政危機を加速する2つの危険因子(少子高齢化が財政危機を加速する/中国経済の減速で日本経済も減速する)/第4章 危機を克服するための5つの処方箋(処方箋1・財政健全化のスタンスを今すぐ示す/処方箋2・健全な人口ピラミッドを/処方箋3・得意分野を伸ばす成長戦略を/処方箋4・防衛費1%枠を撤廃し、自衛隊増強を/処方箋5・エコの推進で輸入を減らし貿易黒字を増やす)

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2011年7月10日 (日)

小飼弾さんの『新書がベスト』を読んでみた

小飼さんの『新書がベスト』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、生き残るためには新書を読むことが

とにかく必要ということを端的に伝えている。

では、なぜ新書なのかというと、様々な分野の

本を「読み飛ばす」には手軽に読めなければ

ならないため。

読む際に手の中で「しなる」ということが

読みやすさという点では大事とのこと。

そして、コストが安いのも新書のいいところ。

本を読むことが強みになるかどうかの境目は

1000冊だということなので、やはりコストは大事。

本こそ大人買いすべきで、300冊くらいは揃える。

まず、10冊読んだら自分がどう影響されたかを

考えてみることが大事とのこと。

ダメ本にもとにかく多く当たり、偏りがないように

いろいろなジャンルを読んで、読書記録をつける。

ブログを書いてお小遣い稼ぎというのは

なかなか難しいと思うが、最初から有名どころと

張り合うようなことはせず、気軽にやるのがいい。

参考になることは多いが、新書を10倍生かす方法が

まとめられているので、以下に簡単に記す。

①タイトルから本の出来を測る
 ・短いほどにハズレ率は低くなる
②ダメ本も味わう
 ・激しくハズレた本に当たるのは、よい経験
③疑うことを楽しむ
 ・専門家は、すべてにおいての専門家ではない
④洗脳されずに自己啓発本を読む
 ・人は成功ではなく失敗に学ぶ
⑤話題の本とは距離をおく
 ・ビッグネームは避けろ
⑥ジュニア向け新書はこんなに楽しい
 ・大人に教えるより、子どもに教える方が難しい
⑦複数の新書を同時に読む
 ・速読にこだわらない
⑧本で得た知識を活用する
 ・知識は定着させなくてもいい
⑨「超」整理法で本を整理する
 ・アクセスした順に本を並べる
⑩ウェブを使って本を読む
 ・書くように本を読む

紹介されている本も面白そうなので一部抜粋。

『インターネット』 村井純 岩波新書
『数に強くなる』 畑村洋太郎 岩波新書
『大往生』 永六輔 岩波新書
『反貧困』 湯浅誠 岩波新書
『貧困大国アメリカ』 堤未果 岩波新書
『行動経済学』 依田高典 中公新書
『物語 ヴェトナムの歴史』 小倉貞男 中公新書
『昆虫の誕生』 石川良輔 中公新書
『ゾウの時間 ネズミの時間』 本川達雄 中公新書
『ウェブ進化論』 梅田望夫 ちくま新書
『現代語訳 学問のすすめ』 齋藤孝 ちくま新書
『ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ』 佐藤克文 光文社新書
『99.9%は仮説』 竹内薫 光文社新書
『貝と羊の中国人』 加藤徹 新潮新書
『理解する技術』 藤沢晃治 PHP新書
『疑う技術』 藤沢晃治 PHP新書
『かけひきの科学』 唐津一 PHP新書
『説得の法則』 唐津一 PHP新書
『「弱者」とはだれか』 小浜逸郎 PHP新書
『「対話」のない社会』 中島義道 PHP新書
『ミラーニューロンの発見』 マルコ・イアコボーニ ハヤカワ新書juice
『なぜこの店で買ってしまうのか』 パコ・アンダーヒル ハヤカワ新書juice
『元素111の新知識』 桜井弘 ブルーバックス
『カラー図解でわかるブラックホール宇宙』 福江純 サイエンス・アイ新書
『地球温暖化の予測は「正しい」か?』 江守正多 DOJIN選書
『ちょいデキ!』 青野慶久 文春新書
『グーグル 既存のビジネスを破壊する』 佐々木俊尚 文春新書
『理性の限界』 高橋昌一郎 講談社現代新書
『日本の地下経済』 門倉貴史 講談社+α新書
『ネットがあれば履歴書はいらない』 佐々木俊尚 宝島新書
『派遣のリアル』 門倉貴史 宝島新書
『Twitter社会論』 津田大介 新書y
『アップルの法則』 林信行 青春新書インテリジェンス
『3語で9割通じる英会話』 デイビット・セイン 青春新書インテリジェンス
『計算しない数学』 根上生也 青春新書インテリジェンス
『社員を働かせてはいけない』 蛭田敬子 ベスト新書
『おもてなしの経営学』 中島聡 アスキー新書
『パラダイス鎖国』 海部美知 アスキー新書
『学者のウソ』 掛谷英紀 ソフトバンク新書
『Googleの正体』 牧野武文 マイコミ新書
『会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ』 齊藤正明 マイコミ新書

全部読もうとしなくてもいいので、どんどん新書を読んで

情報を取り出せれば、人と差がつくかどうかは分から

ないけど、読書の1つの楽しみ方が手に入る。

そのような教えは実に実践的なのだろうけど、

やっぱり私は熟読してしまうタイプなんだよなぁ。

熟読にも耐えられる新書がいくつあるか、

実際に読んで試してみたくなる本が紹介されて

いることに感謝。

【目次】(「BOOK」データベースより)
序章 生き残りたければ、新書を読め(なぜ今、本を読まなければならないのか/新書以外は買わなくていい)/1 新書の買い方、読み方(読書レベル0からの“初級編”/なんとなく読みはじめてからの“中級編”)/2 新書を10倍生かす方法(タイトルから本の出来を測る/ダメ本も味わう/疑うことを楽しむ/洗脳されずに自己啓発本を読む/話題の本とは距離をおく/ジュニア向け新書はこんなに楽しい/複数の新書を同時に読む/本で得た知識を活用する/「超」整理法で本を整理する/ウェブを使って本を読む)/3 新書レーベルめった斬り!(貫禄のある老舗レーベル/新書界の革命児たち/科学を楽しむ新書レーベル/セットで買いたい新書レーベル/色が定着してきた熟成期レーベル/テーマの鮮度が命の上昇中レーベル)/終章 新書と電子ブックの未来

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2011年7月 9日 (土)

渋井真帆さんの『「目隠しはずし」の税金講座』を読んでみた

渋井真帆/大沢育郎さんの
『「目隠しはずし」の税金講座』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、「稼ぎ力」の向上を目指す渋井さんと

税理士の大沢さんが「大人のたしなみ」としての

税金の基本についてストーリー形式で解説している。

内容としては、とても分かりやすく良い本である。

また、各授業の1時間目終了ごとに簡単なテストが

あるのも復習になって良いつくりである。

ただ、「大人のたしなみ」としては、漫画を入れた

ことによって理解しやすくなっているとは言えず、

ストーリーも渋井さんがある程度は税金の知識が

あるという設定にする必要があったためか、

税金にまったく無関心だった女子大生が渋井さん

扮する魔女によって人間からひよこに変えられて

大沢さん扮する仙人に話を聴きながら税金の森を

旅して行く過程で、その仕組み、秘密を知り、税金を

学ぶことに目覚めていくという強引なもの。

「税金講座」として、授業形式にするなら、シンプルに

渋井さんを生徒役にしてしまった方が良かったのでは

ないだろうか。

ただ、税金の本というと、節税などに関したものが

多い中で、この本は税金の制度そのものについて

「目隠しをしたまま」では「稼ぎ力」が向上しないとの

観点から、詳しく解説されていて勉強になる。

そして、大沢さんは、税金に接する上で重要なことは

次の3つであると言っている。

①関心を持つこと
②必ず選挙に行くこと
③常識で税金を考える姿勢でいること

関心を持つという点では、この本はとてもおススメの

1冊である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
1時間目 税金と歴史
2時間目 日本の税金
3時間目 暮らしの中の税金
4時間目 税金を扱うお役所
5時間目 日本の財政赤字
6時間目 わたしたちにできること

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2011年7月 8日 (金)

アブラハム・H・マズローさんの『自己実現の経営』を読んでみた

アブラハム・H・マズローさんの『自己実現の経営』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、心理学者で、人間の欲求を5段階の階層に

理論化した「マズローの欲求段階説」で有名なマズロー

の企業経営に関する本である。

この本では、マズローの欲求段階説をもとに

ダグラス・マグレガーが、その著書『企業の人間的側面』

の中で用いたXY理論が前提として出てくる。

まず、X理論とは、「人間は本来なまけたがる生き物で、

責任をとりたがらず、放っておくと仕事をしなくなる」という

考え方で、命令や強制で管理し、目標が達成できない

ときは懲罰が必要であるという経営手法である。

それに対し、Y理論とは、「人間は本来進んで働きたがる

生き物で、自己実現のために自ら行動し、進んで問題

解決をする」という考え方で、労働者の自主性を尊重する

経営手法である。

マズローは、このXY理論を当然の前提とした上で、

あまり説明もなしに用いているので、この理論自体を

知らない人には、少し取っ付きにくいかもしれない。

しかも、マズローはY理論がY事実にすでになっている

として、強く押す一方で、その理論の不完全なことも

指摘しているので、さらに分かりづらい。

ただ、ここで述べられていることの多くは、すでに

古典になっていると言ってもよいだろう。

その証拠に、マズローの言う自己実現理論は

ドラッカーにも引き継がれ、「知識労働者が働く理由は

自己実現なので、仕事で成果を上げたかどうかは、

自己実現したかどうかとイコールになる」とされている。

では、マズローが掲げる「健全な心理的企業経営」の

条件とはどういったものかといえば、次のとおり。

①仕事を通じて自己実現すること
②Y理論(=Y事実)的経営
③協働関係の醸成
④企業の全体的・有機的組織関係
⑤経営管理者の態度とリーダーシップ
⑥社会向上

古い本ではあるが、読んでみる価値は十分にある。

【目次】
自己実現と組織の関係/経営と個人性/非組織的グループについての考察/近代的経営のモチベーション理論/社会向上理論ほか

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2011年7月 7日 (木)

主藤孝司さんの『仕事に活かす!フォトリーディング』を読んでみた

主藤さんの『仕事に活かす!フォトリーディング
ビジネスの効率が一気に加速する』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、速読メソッドである「フォトリーディング」を

完璧にマスターしなくても、その一部を身につけるだけ

でも、大いに役立つというコンセプトで書かれている。

そして、この本はその基本テクニックを紹介しつつも、

仕事やプライベートに「フォトリーディング」を利用し、

独自の活用法を身に付けることを提唱している。

まず、そのための活用のステップは次のとおり。

①目的設定・・・重要なのは「絞り込み」
②情報の選別・・・「捨てる」ことを覚える
③インプット・・・効率よく頭の中に取り込むために
④アウトプット・・・効果的なまとめ方

ここでの効果的なまとめ方というのは、マインドマップの

有効活用のことである。

私はかつて、「フォトリーディング」の開発者である

今回の監修のポール・R・シーリィさんの書いた本を

読んで、次のような感想を持った。

『結果から言えば、私には「フォトリーディング」は
まったく出来なかったし、当面必要のない技術であった』

今回も「フォトリーディング」が出来るようになるとは

思えなかったが、基本テクニックを利用する方法は

あるのかもしれないと思えた。

「絞り込み」と「捨てる」技術を身につけることにより

少ないインプットでも満足できるかが私の課題である。

普段は隅から隅まで熟読しないと気がすまない人でも

場面によっては仕方なく「絞り込み」を行っているはず

であるが、それを常態とできるかは難しい。

そういった人には、背中を押してくれる1冊になるかも

しれない。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第0章 フォトリーディングのメソッド/第1章 フォトリーディングがあなたの仕事に役立つ理由/第2章 フォトリーディング「活用」のステップ/第3章 なぜ、フォトリーディングが続かないのか/第4章 今すぐ仕事に使えるフォトリーディング/第5章 あらゆる場面でフォトリーディングを活かす

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2011年7月 6日 (水)

リーアンダー・ケイニーさんの『スティーブ・ジョブズの流儀』を読んでみた

リーアンダー・ケイニーさんの『スティーブ・ジョブズの流儀』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、スティーブ・ジョブズの事業哲学を詳細に

分析し、その生き様を余すところなく活字にしている。

ジョブズ関連の本を読むのはこれが3冊目だが、

その中では最も穏やかなジョブズが描かれていて

好感が持てるものであった。

ますます、iPhoneが欲しくなってしまう1冊である。

そして、こんなことはもう誰でも知っていることなの

だろうが、私が知らなくて妙に心に残ったのは

次のようなジョブズの生い立ち。

『スティーブ・ジョブズは1955年2月、未婚の大学
院生カップルの子としてサンフランシスコで生を受け、
生後1週間もたたないうちに養子に出された』

また、アップルにカンバックしてからのジョブズが

天才や狂気ということからは無縁の経営者として

描かれていることにも納得がいく。

もちろん、デザインやイノベーションへの彼らしい

こだわりについては言うまでもないことだけれど、

使いやすさやシンプルさの追求がアップル製品の

コアメッセージだということはよく分かる。

見た目をスマートにすればよいというようなことではなく

目に見えない部分の基盤さえもスマートにしようという

こだわりが、結局のところ、いかに使いやすくするか

というユーザー目線の機能面をとことん極めた独特の

デザインにつながっていく。

このあたりの感覚はジョブズの流儀としか言い表せない。

デザインとは、何よりも機能そのものだというメッセージ。

さらに、すべてが完璧でなければ納得できないという

ジョブズのこだわりがアップルを支えていることは

間違いがない。

アップルのパソコンがレゴブロックと同じ材質のボディー

だった時代もあったことなど興味深い話も満載である。

ジョブズやアップルに興味のある人には特に

おススメの1冊である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 フォーカス-「ノー」が救ったアップル/第2章 独裁-アップルのワンマン・フォーカスグループ/第3章 完全主義-プロダクトデザイン、卓越性の追求/第4章 エリート主義-Aプレーヤー以外の能なしは去れ/第5章 情熱-宇宙をへこませる/第6章 発明欲-イノベーションはどこからもたらされるのか/第7章 ケーススタディ-iPod誕生の経緯/第8章 トータルコントロール-一から十まで

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2011年7月 2日 (土)

渋井真帆さんの『何をやってもダメだった私が、教わったこと。気づいたこと。実行したこと。』を読んでみた

渋井さんの『何をやってもダメだった私が、教わったこと。
気づいたこと。実行したこと。』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、ビジネス基礎力をストーリー形式で

解説している、とても分かりやすい本である。

では、「ビジネス基礎力」とは何かといえば、

ビジネス思考スキル、コミュニケーションスキル、

事業プランの作成、マーケティング、

プロフェッショナル資質のことである。

ストーリーは、少しご都合主義的ではあるが

この手の本としてはよく出来ていると思う。

まず、登場する主人公は渋井さん自身を

モデルにしている。

その失敗や挫折だらけの主人公が、銀行マンの

夫やセミナーの講師をしているときに知り合った

女性経営者などからビジネスの成功法を少しずつ

学んでいくというもの。

ビジネスで1番大事なものは「熱い想い」ではなく

事業を継続していける仕組みであるという。

そして、『利益を出し続けるには、お金を払って

もらい続けるための仕組みを作り出し、維持し

なければならない』ということだ。

また、事業プランの3つのキモは次のとおり。

①誰にお金を払ってもらうのか
②何の価値にお金を払ってもらうのか
③単発ではなくお金を払い続けてもらうために
 どういう仕組みを作るのか

次に企業における「人財」には2種類あり、

言われたことを言われたとおりにする働き方の

「人手」と、ビジネスにおける正解のない課題に

対して考え、発想し、それらをビジネスや現実の

制約の中で形にしていく働き方の「人材」がある。

そして、人材になるために「ビジネス基礎力」が

必要になるということなのだ。

結果的には、マーケティングのフレームワーク

などを使うことによって、ビジネス教養セミナー

というお金を払ってもらい続けるための仕組み

を作り、事業として始めることになるのだが、

そこまでの過程を上手く物語にしている。

途中で「仕事とキレイを両立する」などという

話題も出てくるが、単なるキレイなだけで

目立っている女性企業家ではないことが、

この本を読むと分かる気がする。

仕事が嫌になって起業でもしてみようかという人に

ぜひ読んでもらいたい1冊である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第01章 夢と想いはあるのに、なぜ成功できないのか?/第02章 正解のない課題を考える方法/第03章 ビジネス思考力を強化する方法/第04章 究極のコミュニケーションを行う方法/第05章 プロフェッショナルの資質を身につける方法/第06章 最強の事業プランを作る方法/第07章 最後の鍵

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2011年7月 1日 (金)

ピーター・F・ドラッカーさんの『ネクスト・ソサエティ』を読んでみた

ドラッカーさんの『ネクスト・ソサエティ』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、世界の流れの中で読むと「歴史が見たこと

のない未来」を描き出しているのかもしれないが、

日本に関する記述に限って言えば、これまでの歴史を

再度繰り返すだけの未来を描いているように思える。

まず、「ネクスト・ソサエティ」では、知識が資源となり、

知識労働者が中核の働き手となる。

そして、『知識労働者にとっても、報酬は大事である。

報酬の不満は意欲をそぐ。しかし意欲の源泉は、

金以外のところにある。知識労働者のマネジメントは、

彼らが組織を必要とする以上に、組織が彼らを必要

とするとの前提のもとに行わなければならない』と

いうことらしい。

また、『今日マネジメントは、IT革命によってかえって

必要な情報をもてなくなった。手にするデータは増え

たが、ほとんどが組織の内部についてのものである』

ということは考えておかなければならない。

しかし、『IT革命におけるeコマースの位置は、産業

革命における鉄道と同じである』と言い、『鉄道が

生んだ心理的な地理によって人は距離を征服し、

eコマースが生んだ心理的な地理によって人は

距離をなくす。もはや世界には一つの経済、一つの

市場しかない』と言えるようになった。

さらに、「ネクスト・ソサエティ」の特質は、①知識は

資金よりも容易に移動するがゆえに、いかなる境界も

ない社会、②万人に教育の機会が与えられるがゆえに、

上方への移動が自由な社会、③万人が生産手段として

知識を手に入れ、しかも万人が勝てるわけではない

がゆえに、成功と失敗の並存する社会である。

では、そのような社会にあって、トップマネジメントの

あり方についてのポイントとは、次の5つがある。

①コーポレート・ガバナンスが変容する
②外の世界で起こることを理解する必要がある
③いつ命令し、いつパートナーとなるかを
 知らなければならない
④知識労働の生産性の向上に真剣に取り組ま
 なければならない
⑤みながともに生産的に働けるようにすることを
 考えなければならない

ここまでは、とても分かりやすくグローバル化と

変化の激しい時代が描かれているが、話が日本に

及ぶと突然、劇的な改革を望む機運に関しては

注意を要すると、おとなしくなってしまう。

これは日本が変化に追いつけないという意味なのか

日本は変われないだろうという皮肉なのか分からない。

もっとも印象的なのは、日本についての5つの謬説を

指摘した後で、正しい仮説として挙げられている5つに

ついてである。

①官僚の優位性はほとんどあらゆる先進国で見られる
②日本の官僚は長年の不祥事と無能の暴露にも
 耐久力を示して、権力を維持してきた
③社会の維持にはエリートの指導力が必要であり、
 日本には、官僚の後を継ぐものは現れそうにない
④日本では経験的には、先送り戦略には一概に
 不合理とはいえないものがある
⑤日本の政策形成者にとっては、大事なのは経済よりも
 社会であって、先送りこそ合理的な戦略である

ドラッカーは丁寧にも、この日本に関する章を次のような

言葉で締めくくっている。

『もちろん、官僚の擁護などは異説である。しかし異説と
いうものは、通説よりも真実に近いことが少なくないので
ある』

今現在、政治主導を掲げる政党によって、日本は

メチャクチャなことになっているが、このことを親日家でも

あったドラッカーは、あの世でどのように感じているの

だろうか。

もう、新しいドラッカーの意見を読めないのが、残念に

思える1冊である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1部 迫り来るネクスト・ソサエティ(ネクスト・ソサエティの姿/社会を変える少子高齢化 ほか)/第2部 IT社会のゆくえ(IT革命の先に何があるか?/爆発するインターネットの世界 ほか)/第3部 ビジネス・チャンス(起業家とイノベーション/人こそビジネスの源泉 ほか)/第4部 社会か、経済か(社会の一体性をいかにして回復するか?/対峙するグローバル経済と国家 ほか)

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