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2011年8月13日 (土)

マイケル・サンデルさんの『サンデル教授の対話術』を読んでみた

マイケル・サンデル/小林正弥さんの
『サンデル教授の対話術』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、NHK教育テレビで「ハーバード白熱教室」と

題して放送され、大きな反響を呼んだサンデル教授の

対話型講義についての本である。

まず、タイトルにある「対話術」についてであるが、

これには「術」という語に「技術(テクネー)」という

英語の単なる「テクニック」という側面だけではなく、

「アート」という側面も含ませているということで、

サンデル教授の対話型講義の本質に迫ろうとする。

また、最近話題のファシリテーションとの対比から

ともすれば宗教的・政治的・商業的なファシリテーション

が度を越すと思考を操作するマインド・コントロールの

ようになってしまうのに対し、サンデル教授の哲学的・

学問的思考は、それとは正反対で、あくまでも自由な

思考を育むという認識は納得がいく。

その上で自身もサンデル教授に導かれるようにして

千葉大学で対話型講義を実践している小林さんは

印象に残ったサンデル教授の講義に現れるアートに

ついて次の8つを挙げている。

①学生の発言を論理的に明確にする
②学生に哲学的立場を自覚させ、
 それぞれの立場の代表者を見出す
③個人的な攻撃を避けさせて、
 学生自身の論理を徹底的に展開させる
④臨機応変に議論を展開させていく
⑤哲学に関する実験をして学生にその内容を考えさせる
⑥チームを作って少数派の意見を積極的に引き出す
⑦正反対の意見を戦わせて議論を深化させる
⑧あえて自分の思想への反対意見を引き出す

私も以前は教育の現場でファシリテーションと称した

指導法を専門にしていたので、その難しさも含めて

サンデル教授の対話型講義という指導法の凄さが

実感できる指摘である。

一般に自由は尊重されるべきであるが、他者の自由な

思考に我々はどこまで寛容であることができるか、

教育の現場ではなかなか難しい問題である。

サンデル教授の対話術をテレビで少し見ただけで

この本を読み始めたが、もっとサンデル教授の

授業や著作に触れてみたいと思わせられる

良い1冊であると思う。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1部 サンデル教授、大いに語るー対話型講義をめぐって(自分自身のこと/対話型講義とはどのようなものか/講義法について/ハーバード大学の講義とその学生たち/東京大学での特別講義/日本とコミュニタリアニズム/アメリカと「市場の道徳的限界」/今日における正義と哲学)/第2部 現代に甦るソクラテス的対話ーサンデル教授から学ぶ講義術(大学に甦る対話篇・ハーバード白熱教室/サンデル教授の講義術/日本における対話型講義の技術/対話型講義による教育改革を/対話型講義の美徳ーその実践に関心を持つ人々へ)/付論 近現代的正義論から古典的正義論へー新しい正義論への道

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