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2011年10月31日 (月)

午堂登紀雄さんの『問題解決力をつける本』を読んでみた

午堂さんの『問題解決力をつける本』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、著者がかつて、経営コンサルティング

ファーム、アーサー・D・リトルに在籍していた時代の

経験を盛り込んだ「問題解決力の高め方」を

テーマにした本である。

また、「ロジカルに考え、ぶっ飛んで発想する」ための

使えるスキルを紹介し、できるビジネスマンの

知的生産術が身につくように考えられた本である。

内容的には問題解決の基本的な考え方に加え、

コンサルタントが経営コンサルティングの場面で使う

「フレームワーク」を図解入りで紹介している。

ただ、よく知られたフレームワークの紹介が中心で、

この本だけで問題解決力が身につくとは思えない。

午堂さん自身は頭のよい人だと思うので、その著書の

タイトルをとてもキャッチーなものにして本を買わせる

ところまではとても上手いと思うが、どれも中身の

深堀りができていないので、浅い知識しか身に付かず

リピーターを獲得するには至っていないのではないか。

午堂さんは知識量は申し分ない人だと思うので、

もう少し「ぶっ飛んで発想」してもらいたかった。

フレームワークの復習やまとめをしたい方には

お手軽な1冊であるとは言える。

【目次】(「BOOK」データベースより)
1章 「問題解決力」が仕事と人生に大差をつける!-“年々、進化する人”の共通点とは?/2章 まず、問題の「真因」を見極める-こうすれば“発見力”が10倍アップする/3章 問題をロジカルに「分析」する-頭ひとつ抜きん出る“論理力”の身につけ方/4章 解決策の「仮説」を立てる-限られた情報・時間の中で“最適解”を見つけるトレーニング/5章 さらにぶっ飛んで「発想」する-“すごい解決策”がひらめく人の習慣/6章 戦略を自信をもって「実行」に移す-「思考」を「行動」に直結させ、「成果を出す」ために

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2011年10月30日 (日)

アラン・ピーズさんの『話を聞かない男、地図が読めない女』を読んでみた

アラン・ピーズ/バーバラ・ピーズさんの
『話を聞かない男、地図が読めない女』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、男と女が分かりあえないことを脳の違いに

求めた本である。

男女平等なんて考え方は間違いだと常々思っている

私にとっては、大変面白かった。

脳科学ブームの先取りとしても面白いが、男女の違いを

ホルモンの作用に求める点も興味深い。

男性と女性では、ホルモンの作用や脳の神経経路の

働きが異なっているため、人間という同種ではあっても

同質ではまったくないという著者の主張は説得力がある。

裏づけとしてのデータや資料、科学論文からの引用が

どれだけ信憑性があるものか疑問ではあるが、

日常の中で生じる男女の感じ方の差異などについては、

この本に書かれた説明が当たっていると感じることが

とても多かった。

男と女はそもそも違うのだから、そういうものだと思って

対応するのも、また一つの身の処し方なのだろうか。

男女の関係に思い悩んでいるという人よりは

男女の違いを感じつつも自分なりに折り合いをつけて

日々を送っているという夫婦などにおススメの1冊。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 同じ種なのにここまでちがう?-偉大なる進化の過程/第2章 そうだったのか!/第3章 すべては頭のなかにーこれは事実?それともフィクション?/第4章 話すこと、聞くこと/第5章 空間能力ー地図と縦列駐車/第6章 思考、態度、感情ー災害の発生しやすいところ/第7章 不思議な化学変化/第8章 男は男、でも…/第9章 男と女とセックスと/第10章 結婚、愛、ロマンス/第11章 新しい未来へ

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2011年10月16日 (日)

山田昌弘さんの『希望格差社会』を読んでみた

山田さんの『希望格差社会
「負け組」の絶望感が日本を引き裂く』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、以前に山田さんの『ワーキングプア時代』を

読んだときと同じように、胸が痛くなる本である。

そして、これまた同じように他人事の感想を持つから

では、もちろんない。

ニートやフリーターが激増したのは本人達にやる気が

ないことが問題なのではない。

社会構造の変化に伴って、これまで社会のリスクを

緩和してきたものが、逆にリスクとなってしまうような

過酷な状況が生み出されてしまい、普通に努力した

だけでは安定した幸せをつかめる希望が得られなく

なってしまったのだ。

たとえば、子供を産むことがリスクである社会とは

いったいどういうものだろうか。

たとえば、大学院に行くことがリスクである社会とは

いったいどういうものだろうか。

分析の数々は納得のいくものもあるが、社会の

あり方そのものにはまったく納得感がない。

そのことがこの本の価値を減少させているとするなら

それは間違った読み方なのかもしれない。

しかし、解決策が書いていないことへの不満が

結局のところこの本の価値を下げている。

そして、解決策が簡単ではないことは誰もが

分かっている。

では、どのような解決策があるかといえば、

それは「ある」と勘違いしている人がいるだけ

なのかもしれない。

失われた20年と言う人がいるが、この20年の中に

何度も景気回復の兆しはあった。

希望が持てると感じた経営者もいたかもしれない。

けれど、実際には「負け組」に敗者復活の機会が

与えられるまでには至っていない。

そして、それは今後もかなり難しいように思う。

なぜなら、「負け組」は何かに負けたからなったのでは

なく、あえて言えば「勝ち組」になれなかったというだけ

の存在だからである。

「日本には希望が足りないのではなく、絶望が足りない

のだ」と分かったようなことを言う人がいるが、そういった

人は自分が絶望してみればいい。

そうすれば、今は能力が高いと思っている自分の力が

無力であることを思い知るはずである。

もし、「絶望」ということについて何か言うとするなら、

池田信夫さんのように、次のように言うべきだ。

『今の日本に足りないのは希望ではなく、
変えなければ未来がないという絶望ではないか』

ところで、格差が収入の多寡であるうちは、まだ是正する

手段が解決策として見出せるが、格差が「希望」にまで

及ぶと途端に解決策が遠くに行ってしまう。

希望格差社会は失われた30年を予言しているように

感じられてならない。

巻末の次のような対策は返済の見込みがないので

まったく不可能なことのように私には思える。

『自活して生活できない高齢者に年金があるように、
若者にも「逆年金」制度ができないだろうか。
世代間の助け合いを最も必要としているのは、
若者なのである。これは、自活できるようになるまで
お金を貸し出し、後で返済させる制度である。
 ここまでインパクトがある対策を、早急に打ち出す
位の社会的決意がなければ、日本社会の不安定さ
は、深刻度を増すに違いない』

こんなことが解決策でないことは、誰にでも分かりそう

なものだが、そうではないのだろうか。

ぜひ1度読んで見て、みなさんなりの解決策を考えて

みていただきたい。

【目次】(「BOOK」データベースより)
1 不安定化する社会の中で/2 リスク化する日本社会-現代のリスクの特徴/3 二極化する日本社会-引き裂かれる社会/4 戦後安定社会の構造-安心社会の形成と条件/5 職業の不安定化-ニューエコノミーのもたらすもの/6 家族の不安定化-ライフコースが予測不可能となる/7 教育の不安定化-パイプラインの機能不全/8 希望の喪失-リスクからの逃走/9 いま何ができるのか、すべきなのか

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2011年10月12日 (水)

マイケル・サンデルさんの『これからの「正義」の話をしよう』を読んでみた

マイケル・サンデルさんの『これからの「正義」の話をしよう
いまを生き延びるための哲学』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、ハーバード大学史上空前の履修者数を

記録しつづける「ハーバード白熱教室」の超人気講義

「Justice(正義)」をもとにした全米ベストセラーの

邦訳本である。

もともとが哲学好きであることを除いても、やはり

この本の質の高さは想像以上であった。

たとえば、第4章の終わりの次のような一節は

法律を飯の種にしている私のようなものにとっては

資本主義の中で常に考えさせられる問題である。

『子供を産むことと戦争で戦うことほど異質な行為は
 ないだろう。しかし、妊娠しているインドの代理母と、
 アンドリュー・カーネギーの身代わりとして南北戦争
 を戦った兵士には共通点がある。彼らの置かれた
 状況の是非を考えていくと、二つの問題に向き合わ
 ざるをえなくなる。それは、正義をめぐって対立する
 さまざまな考え方の分岐点となるものだ。ひとつは、
 自由市場でわれわれが下す選択はどこまで自由
 なのかという問題。もう一つは、市場では評価され
 なくても、金では買えない美徳やより高級なものは
 存在するのかという問題である』

資本主義社会にあっては、契約自由の原則は

当事者が自由な意思による判断に基づく限り

これを尊重し、経済の発展の基礎とされている。

しかし、公序良俗に反する契約が無効である等の

例外があることはもちろんだが、そもそも契約の

当事者が平等な立場で公正な判断を下せるだけの

情報を互いに持っているかということを問題にすると

途端にほとんどの契約の成立が怪しくなってくる。

カネで雇われる身代わり兵士も代理母も本当に

自由な選択をしたと言えるのだろうか。

本当に平等の立場であったのだろうか。

このことは、第6章でジョン・ロールズの『正義論』に

よって、一つの方向性が示される。

『選択の自由』を書いた経済学者のフリードマンは

不公正さを是正するのではなく、この差を受け入れ

そこから利益を得るべきだと主張したのに対し、

ジョン・ロールズは、次のように反論している。

『自然による分配は公正でも不公正でもない。
 人が社会の特定の場所に生まれることも同じだ。
 どちらも自然の事実にすぎない。公正か公正で
 ないかは、組織がこうした事実をどのように扱う
 かによって決まる』

この事実を適切に扱う組織はアメリカをはじめ、

まだこの地球上に存在していないかもしれない。

けれど、私たちはいつまでも不公正さから利益を

得るだけでよいものだろうか。

それが「正義」であると言えるだろうか。

私たちは、どうすれば自分が強い立場で契約を

結べるかということばかりに注力しすぎなのでは

ないだろうか。

考えさせる本を良書と呼ぶのなら、この本は

間違いなく良書である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 正しいことをする/第2章 最大幸福原理-功利主義/第3章 私は私のものか?-リバタリアニズム(自由至上主義)/第4章 雇われ助っ人-市場と倫理/第5章 重要なのは動機-イマヌエル・カント/第6章 平等をめぐる議論-ジョン・ロールズ/第7章 アフォーマティブ・アクションをめぐる論争/第8章 誰が何に値するか?-アリストテレス/第9章 たがいに負うものは何か?-忠誠のジレンマ/第10章 正義と共通善

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2011年10月11日 (火)

柳井正さんの『成功は一日で捨て去れ』を読んでみた

柳井さんの『成功は一日で捨て去れを読んでみた

 (5つが最高)

この本は、ユニクロの柳井さんの『一勝九敗』に

続く2冊目の本である。

前著は、大成功を収めたユニクロも実際のところは

一勝九敗というくらい、失敗ばかりであったという話が

失敗を次の成功に生かして単なる失敗に終わらせて

いない柳井さんのユニクロの凄さを伝えていたが、

今回はさらに上を行くための方法論だ。

私たちはユニクロの社員でない限り、外側から

成功したユニクロを見るだけで、そこにある成功を

捨て去ってまで変化を志向していることを感じない。

しかし、ユニクロ内部では確実に変化が生じている

のであり、それを知らない私たちは時々流れてくる

ユニクロ関連のニュースを驚きをもって受け止める

くらいがいいところである。

フリースの愛用者としてはそれでいいのだろうが、

ビジネスマンとしてはユニクロの成功の秘密には

とても興味があるし、この本はそのプロセスから

成功後の戦略までを見せてくれる面白さがある。

一企業の話という以上に楽しめる箇所満載である。

ただ、この本で最も興味深かったのはP102からの

「週4日のノー残業デー」という話であった。

私はてっきり、柳井さんを仕事中毒の猛烈社長かと

思っていたが、本当にデキル人というのは考え方も

スマートなものなのだ。

ノー残業デーをCSR活動と位置づけ、夜遅くまで

仕事をしている社員を見ると効率が落ちていると

考えるあたり、新しいリーダー像にふさわしい。

相変わらず、60歳から65歳で経営の第一線から

引退し、投資家として一生を送るつもりでいると

前著を引いて語っているが、まだまだ若々しいし

これからの日本を支える経営者を育てる意味でも

もう少し第一線で頑張っていただき人である。

最後に巻末にある、FAST RETAILING WAY

(FRグループ企業理念)を書いておくと次のとおり。

ステートメント ─ Statement

 服を変え、常識を変え、世界を変えていく

ファーストリテイリンググループのミッション ─ Mission

・本当に良い服、今までにない新しい価値を持つ服を
 創造し、世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、
 幸せ、満足を提供します
・独自の企業活動を通じて人々の暮らしの充実に貢献し、
 社会との調和ある発展を目指します

私たちの価値観 ─ Value

・お客様の立場に立脚
・革新と挑戦
・個の尊重、会社と個人の成長
・正しさへのこだわり

私の行動規範 ─ Principle

・お客様のために、あらゆる活動を行います
・卓越性を追求し、最高水準を目指します
・多様性を活かし、チームワークによって
 高い成果を上げます
・何事もスピーディに実行します
・現場・現物・現実に基づき、リアルな
 ビジネス活動を行います
・高い倫理観を持った地球市民として行動します

別に私はユニクロの宣伝がしたいわけではない。

ただ、自分が所属している会社のステートメント等と

比較してみると、やはり視点にぶれがなく、

良くできていると思う。

成長する企業は、こういう点でこそ、ぬかりがない。

ユニクロの服を1着も持っていない人にも

おススメの1冊である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 安定志向という病(玉塚新体制へ託した成長/3年ぶりの社長復帰 ほか)/第2章 「第二創業」の悪戦苦闘(なぜ再度、社長をやろうと思ったか/経営者を育てるのは難しい ほか)/第3章 「成功」は捨て去れ(再強化・再成長のための3つのエンジン/素材を生かした商品開発 ほか)/第4章 世界を相手に戦うために(ロッテと組んだ韓国への出店/成長が見込めるアジア市場 ほか)/第5章 次世代の経営者へ(H&M襲来は大歓迎/子会社3社統合は再生の第一歩 ほか)

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2011年10月10日 (月)

フィリップ・コトラーさんの『コトラーのマーケティング思考法』を読んでみた

フィリップ・コトラーさんの『市場戦略論』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、マーケティングの世界的な権威である

フィリップ・コトラーさんの『Harvard Business 

Review』誌掲載の論文を収録したものである。

そのため、基本的事項に触れた点は少なく、

これからマーケティングを勉強していこうという

人には、まだ早いという印象を受ける。

たとえば、第2章以下、「撤退のマーケティング戦略」

第3章「デ・マーケティング戦略」、第4章「市場シェア

のマネジメント」、第5章「メガ・マーケティング」などは

それぞれ「撤退時」や「脱マーケティング」、市場シェア

を取り過ぎて非難を浴びないためのマーケティング、

政治力を必要とするようなグローバルな巨大市場に

おけるマーケティングなど、これから市場シェアを

獲得していこうという多くの企業が参考にできるもの

ではない。

そのため、教科書的な本を読んでからであれば

面白いだろうが、タイトルのみに惹かれて手にすると

やや期待はずれの感を抱く人が多いかもしれない。

ただ、第1章と巻末の特別インタビューは、面白い。

特に、マーケティングの効果を上げるのは単純では

ないと認めた後で、効果を上げるには次のような

作用によるところが大きいという指摘は興味深い。

1.顧客主義
  顧客ニーズとウオンツを認識しているか
2.統合されたマーケティング組織
  分析、計画立案、実行とコントロールが
  可能な人員配置になっているか
3.適切なマーケティング情報
  必要な質の良い情報を得ているか
4.戦略志向
  長期的な成長と収益性を考えて、
  革新的な戦略、計画を立てているか
5.効率のよいオペレーション
  経済効率を考えて実行し、
  問題に対応すべく常時モニターしているか

マーケティングの奥深さ、幅の広さを感じるには

とても良い1冊ではある。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 マーケティング思考と販売思考/第2章 撤退のマーケティング戦略/第3章 デ・マーケティング戦略/第4章 市場シェアのマネジメント/第5章 メガ・マーケティング/第6章 顧客志向はクロス・ファンクショナルを求める/第7章 マーケティング・サイエンスの原点/第8章 芸術とビジネスのコラボレーション/補遺 特別インタビュー マーケティング・マインドの追究

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2011年10月 1日 (土)

大江健三郎さんの『「話して考える」と「書いて考える」』を読んでみた

大江さんの『「話して考える」と「書いて考える」』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、なんとも奇妙なタイトルではあるが、

ノーベル文学賞を受賞する前からのファンに

とっては実に大江さんらしい本だと感じるのでは

ないだろうか。

たとえば、その奇妙さは、人は「話して考える」か

「書いて考える」かの二者択一の選択を普段しては

いないだろうと思われるからだ。

では、どうしているかといえば、人は「頭の中で

考える」のではないだろうか。

けれど大江さんは終始この2つの考え方を

ひと続きのものとしようと、この著書の中で

模索し続けているのである。

大江さんのこの著作は書き下ろしのエッセイを

含むとはいえ、基本は講演録なのだが、

その「前口上」として次のようなことを述べている。

「私はいま、話して考える際の論理性を、いかに
書いて考えるそれに近づけ、両者に連続した責任を
とるかを考えています」

このことは講演では「話して考える」ことが

優位性を持ちうるのに対して、小説家として

言葉を書き記してきた大江さんが「書いて考える」

ということにも論理性はあり、それを責任を持って

証明しようとしているかのようである。

これは話すことが苦手だと考えている大江さんが

それでも講演を続け、常に小説家として考えてきた

ことなのだろうが、とても生真面目で大江さんの

人柄がにじみ出ていると思われるところである。

しかし、これが大江さんを批判する人たちの

鼻に付くのも何となく理解できる。

そういった意味では、好き嫌いが分かれる

著作かもしれないが大江さんを支持する人に

とっては、楽しめることは間違いないだろう。

そして、何よりもその人柄を最も表しているのが

1つ目の中野重治さんについての講演と

2つ目の佐多稲子さんについての講演だろう。

この2つを読んで、二人の作品を読みたいと感じた

なら、それこそまさに講演の成功であり、

大江さんが意図していることとは関係なく、

「話して考える」から「書いて考える」への橋渡しと

なっているのではないだろうか。

ただ、私は時折冗談を交えて話す大江さんの

テレビインタビューなども好きなのではあるけれどと、

やっぱり「頭の中で考え」てしまうのである。

【目次】(「BOOK」データベースより)
中野重治の美しさ/佐多さんが「おもい」と書く時ー『夏の栞ー中野重治をおくるー』にそくして/子供の本を大人が読む、大人の本を子供と一緒に読む/子供らに話したことを、もう一度ーエドワード・W.サイードの死の後で/「夢を見る人」のタイムマシン/語る人、看護する人/病気と死についての深い知識の向こうにあるもの/暗闇を見えるものとするー精神医学の表現者の思い/タスマニア・ウルフは恐くない?/あらためての「窮境」よりー教育基本法、憲法のこと/教育基本法、憲法の「文体」-さきの講演の補註として

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