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2011年10月16日 (日)

山田昌弘さんの『希望格差社会』を読んでみた

山田さんの『希望格差社会
「負け組」の絶望感が日本を引き裂く』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、以前に山田さんの『ワーキングプア時代』を

読んだときと同じように、胸が痛くなる本である。

そして、これまた同じように他人事の感想を持つから

では、もちろんない。

ニートやフリーターが激増したのは本人達にやる気が

ないことが問題なのではない。

社会構造の変化に伴って、これまで社会のリスクを

緩和してきたものが、逆にリスクとなってしまうような

過酷な状況が生み出されてしまい、普通に努力した

だけでは安定した幸せをつかめる希望が得られなく

なってしまったのだ。

たとえば、子供を産むことがリスクである社会とは

いったいどういうものだろうか。

たとえば、大学院に行くことがリスクである社会とは

いったいどういうものだろうか。

分析の数々は納得のいくものもあるが、社会の

あり方そのものにはまったく納得感がない。

そのことがこの本の価値を減少させているとするなら

それは間違った読み方なのかもしれない。

しかし、解決策が書いていないことへの不満が

結局のところこの本の価値を下げている。

そして、解決策が簡単ではないことは誰もが

分かっている。

では、どのような解決策があるかといえば、

それは「ある」と勘違いしている人がいるだけ

なのかもしれない。

失われた20年と言う人がいるが、この20年の中に

何度も景気回復の兆しはあった。

希望が持てると感じた経営者もいたかもしれない。

けれど、実際には「負け組」に敗者復活の機会が

与えられるまでには至っていない。

そして、それは今後もかなり難しいように思う。

なぜなら、「負け組」は何かに負けたからなったのでは

なく、あえて言えば「勝ち組」になれなかったというだけ

の存在だからである。

「日本には希望が足りないのではなく、絶望が足りない

のだ」と分かったようなことを言う人がいるが、そういった

人は自分が絶望してみればいい。

そうすれば、今は能力が高いと思っている自分の力が

無力であることを思い知るはずである。

もし、「絶望」ということについて何か言うとするなら、

池田信夫さんのように、次のように言うべきだ。

『今の日本に足りないのは希望ではなく、
変えなければ未来がないという絶望ではないか』

ところで、格差が収入の多寡であるうちは、まだ是正する

手段が解決策として見出せるが、格差が「希望」にまで

及ぶと途端に解決策が遠くに行ってしまう。

希望格差社会は失われた30年を予言しているように

感じられてならない。

巻末の次のような対策は返済の見込みがないので

まったく不可能なことのように私には思える。

『自活して生活できない高齢者に年金があるように、
若者にも「逆年金」制度ができないだろうか。
世代間の助け合いを最も必要としているのは、
若者なのである。これは、自活できるようになるまで
お金を貸し出し、後で返済させる制度である。
 ここまでインパクトがある対策を、早急に打ち出す
位の社会的決意がなければ、日本社会の不安定さ
は、深刻度を増すに違いない』

こんなことが解決策でないことは、誰にでも分かりそう

なものだが、そうではないのだろうか。

ぜひ1度読んで見て、みなさんなりの解決策を考えて

みていただきたい。

【目次】(「BOOK」データベースより)
1 不安定化する社会の中で/2 リスク化する日本社会-現代のリスクの特徴/3 二極化する日本社会-引き裂かれる社会/4 戦後安定社会の構造-安心社会の形成と条件/5 職業の不安定化-ニューエコノミーのもたらすもの/6 家族の不安定化-ライフコースが予測不可能となる/7 教育の不安定化-パイプラインの機能不全/8 希望の喪失-リスクからの逃走/9 いま何ができるのか、すべきなのか

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