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2011年12月12日 (月)

小島寛之さんの『サイバー経済学』を読んでみた

小島さんの『サイバー経済学』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、数学エッセイストとしても活躍している

経済学者の小島さんが、数式なしで金融工学や

ベイズ推定といった確率論などの新しい経済学

について解説した入門書である。

2001年の出版ということもあり、経済的な時代

背景は少し古いものとなってしまったが、解説され

ている内容に興味がある人にとっては、それほど

気にならないだろう。

ただ、今回私が注目したのは理論的な部分よりも

次の「確率的な詐欺」という記述である。

たとえば、「株で大儲けした」などという体験談が

ベストセラーになるのがいい例だとし、そこには

典型的な詐術の構造があるという。

『確かに、賭けで大儲けをすることは確率的に
非常に小さい。だから、そういう人が出ると、
そこには何か特殊な秘密のノウハウがあるか
のように人は漠然と思うものであろう。
 しかし、「大数の法則」を考えれば、「ノウハウ」
などではないのだと、すぐ見破ることができる。
 どんなに小さな確立で起こることでも、たくさん
のデータがあれば、それはその確立の表す平均
値の分だけ起きている。たとえば、コインを10枚
投げてすべてが表となる確率はおよそ1000分
の1である。こんなことはちょっとやそっとでは
起きそうにない。起きた本人には奇跡に見える
だろう。けれど、もしも1万人の人がコイン投げに
参加していれば、期待値として平均10人にその
ことが起こりうる、と予言できる。大数の法則に
よれば、予言の平均的な誤差は3人程度である。
つまり、1万人の参加者のもとでは、「奇跡」の
起きている人は「ほとんど必ず存在する」といって
よいのである。このような「奇跡」を筆者は「統計
的存在」と呼んでいる。
 けれども、こういう一人の「統計的存在」を
メディアを使ってキャンペーンすれば、その効果
は絶大なものになる。メディアというのは、膨大に
して雑多な人々にいっぺんに同じ風景を見せる。
それは統計的な感覚を抹消してしまう効果を
持っているのである。』

この記述からも分かるとおり、私たちが確率論

について知っておくべきことは、それを使って

お金儲けができるということではなく、それを

悪用する者に騙されないようにしなければなら

ないということだ。

また、最終章のケインズに関する記述は小島さんの

思い入れたっぷりの内容となっている。

【目次】(「BOOK」データベースより)
序章 市場に棲む魔物/第1章 サイバー経済/第2章 IT時代のベイズテクノロジー/第3章 金融工学とリスクの売買/第4章 投機社会の危険性/第5章 個人が合理的でも社会は調和しない/第6章 バブルに踊るのは愚かな人々か/第7章 市場にかける魔法

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